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みなさんの職場にはタイムカードというものはありますでしょうか?
モリサワのいるTANOSHIKA CREATIVEでは、タイムカードの代わりにiPadで勤怠管理をしているのですが、行政に記録を提出する関係で、iPadに自分の元々の名前が大きめに書いてあります。
実はこれがモリサワにとって心から苦痛でした。
この名前を見られたくなくて、最終的にはそこで改名しようと決めました。
今回は、LGBTQ+当事者である”訳あり冒険者”モリサワが名前を変更して、治療するまでの冒険譚です。
また、改名においては、ノンバイナリーの方やXジェンダーの方にも参考になると思います。
ぜひ最後までご覧ください。

新しい名前を付ける経緯
モリサワはトランスジェンダーであり、性別非公開の上でAKARIのライターをやっていますが、その一番の理由は、モリサワをモリサワとして見てほしいという部分からです。
トランスジェンダーとは、こころの性とからだの性が一致していない人を指し、医学用語の”性同一性障害”とは、厳密には異なる言葉になります。例えば、生まれた時の性は男性で自身のことを女性と認識している方はトランスジェンダー女性(MtF)、その逆をトランスジェンダー男性(FtM)といいます。
引用元:(jobRainbow MAGAZINE)トランスジェンダーとは?【性同一性障害との違いも詳しく解説(当事者監修/2022年最新版)】2025/7/2
ちなみに元々は、自身の性自認(自分の思う性別)とは全く違う名前でした。
だからこそ、一発で性別が分かってしまうことが苦痛で、幼少期の頃から悩み続けました。
本来、改名や治療はもっと早めに行う予定でしたが、就職中に失敗し、実家に長くいて独り立ちすることができないままいました。
それどころか、通常のメンタル面が弱いこともあり、改名や治療をすることを決断することはできませんでした。
ちなみに、性自認と自身の体に違和感を持ち始めたのは幼少期の頃からです。
その気持ちを持ち続けて、第二次性徴期を迎えました。もちろん起こる癇癪。
カミングアウトをして、世間がLGBTQ+という多様性を認め始めたとしても、改名や治療に対して両親は基本的に反対をしていました。
いつの間にか月日は経過し、30歳の誕生日の前日に実家へ帰り、誕生日になった瞬間、母親と名前を一緒に決めました。
名前を決める際に、色々と考えていました。
最初は「今後自分(モリサワ)の子供は諦めて欲しい」
という”罪滅ぼし”のもと、両親それぞれから名前を取った名前から提案。
母からは、「なんかダサいからヤダ」と一蹴されました。
元々の名前は母が決めましたが、最後は母親自身の決断力が無いことから、当時の母の友人に決めてもらったそうです。
さて、新しい名前をダサいと一蹴されてしまったので、他にも候補があった名前を提案しました。
この場合、元々の名前の由来、元々の名前の意味を引き継ぐ漢字の形でつけた名前が新しい名前となります。
そして、母が一番気に入った名前は、モリサワが気に入った名前と一緒でした。
姓名判断をした際に、新しい名前や元々の名前、母の友人から言われる前に母がつけたかった名前を全て占っていましたが、新しい名前の運勢が最強すぎる状態にありました。
もちろん、姓名判断が全てではありません。
読み方をどうしようかと思いましたが、きっとこれからのことを考えたら性別に由来するよりも中性的な読み方でいいのでは無いかということで、二人とも納得した上で新しい名前が決まりました。
決まった瞬間、サビ管にチャットを送ったのを覚えています。
名前の変更と、治療を始めるために全く別の心療内科へ
モリサワの在住している近辺では、ジェンダークリニックが無いわけではありませんが、定期的に通院している精神科とは全く違う心療内科へ行くことを決めました。
大都会福岡市のクリニックへ電話し、予約を取りましたが、その予約が半月先で、有給を取って、すぐに行きました。
初診の前に、心理検査(SCT)を一つ終わらせました。
初めての診察で初めましての主治医が放った一言は
「30歳か。ここまでよく頑張ったね。」
この言葉でモリサワの心はとても救われました。
何気ない一言かもしれませんが、今まで性別違和を否定され続けてきたからこそ、この言葉を言われた時に心だけが救われた感じがして泣いていました。
改名をするために出来上がった診断書
誕生日に新しい名前はもう決まっており、日常生活や現在の仕事場であるTANOSHIIKA CREATIVEで使用実績を作っていました。
それと並行してジェンダークリニックでは沢山の心理検査(SCT、MMPI、WAIS-Ⅳ、ロールシャッハテスト、バウムテスト)と、染色体やホルモン値を含む血液検査(当時の価格1万2000円)を受けました。
最終的に有給を使いながら、頑張って通い詰めた結果、初診日から約1ヶ月ほどで診断書ができました。
ほぼ毎週通っていたのでそうなります。
これからの治療は主にホルモン注射になりますが、この診断書は家庭裁判所に出すために主治医から書いていただいたものです。
実際にどんな手続きを行ったか
さて、早く名前を変えたいモリサワです。
裁判所のサイトの名の変更許可というサイトの中身をしっかりと読みながら、その中にあるサイトで「名の変更許可の申立書」というページへ移動し、書式をダウンロードして書式例を参考にしながら書きました。
また、新しい名前の使用実績と、VP松尾ソフィーさんの意見書とクリニックの診断書をファイルに入れて、レターパックプラスで家庭裁判所へ提出しました。
その後、家庭裁判所から面談の代わりとされた「照会書」という書類が届きました。
個人的には、面談だときっと言葉が出なくなるのを考えてみれば、まだマシだと思いました。
過去の犯罪歴や交通違反等、ホルモン療法(治療)や性別適合手術の有無等のアンケートに答えていました。しかし、これはまだ可愛い方です。
ここからさらに以下のような内容について、詳しい記述を手書きで求められました。
1.変更したい名を称するに至ったいきさつ
2.改名を必要とする具体的理由
最初に送った「名の変更許可申立書」で、名前の変更を必要とする具体的な事情は書いたはずでしたので、内容は似ている気がします。
ただ、これを詳しく知りたいとのことでしたので、しっかりと書かせていただきました。
ジェンダークリニックの主治医が、
「今の名前があなたにとって、どう精神的に苦痛であるかをしっかりと書くんだよ。それが僕から与えられるヒントかな。」
主治医は、答えをすぐにあげるというよりヒントをくれるタイプです。
冒険者で例えるなら、同じパーティーに入った最強の勇者(主治医)がただ敵を倒してあげるということではなく、戦い方を教えてくれるような形です。
きっとモリサワという人間が今後も家庭裁判所と付き合うからこそのヒントだと思いました。
そのため、最初にノートには元々の名前で困っていることを書きました。
元々は性別違和による精神的苦痛が一つ。
そして、最終的にホルモン治療はもう始まっています。
つまり、元々の名前の場合、これからは日常生活を元の性別のような元の名前で送りにくいということなども書かせていただきました。
家庭裁判所へ照会書を送った1ヶ月後には…
なんと改名が認められました。

実際に届いた福岡家庭裁判所の審判所の謄本です。
治療も進んでいたことですし、ありがたいお話です。
結果が届いた時、多分心から喜びすぎて色々なお世話になっている方々にLINEを送りました。
ここ最近の新生児の名前が変化球のように難しいこともそうですが、モリサワの名前について。
「直球どストレートな読み方ではあるけれど、馴染みがないのかもしれないな」と思いはしました。
だから凄く読み方を聞かれました。
しかし、これはあくまでも家庭裁判所側が「認めたよー!」というだけの状態です。
ここから始まるのは手続きです。
マイナンバーがあるならば、イッキにマイナンバーが変わった瞬間に変わってほしいところが本音ですが、現実はそう甘くないです。
翌日から、有給休暇を沢山使用し、平日に銀行、免許センター、地元の役場への手続きに追われました。
多分ここで1年間の有給休暇をほとんど使った気がします。
でも、それは「改名をする」と決めた時に予測できていたので、まさに予想通りという感じでもあります。
これまで、結婚や離婚などで、この変更手続きを行った方々を心から尊敬した瞬間でした。
(マイナ保険証の方はここ注意です。)
最近はそれもやっと変更され、心から「やっと社会的に”新しい名前になった…!」と実感するのでした。
改名実績に使った資料
改名のためには、「名前を使用している実績」が必要になります。
モリサワの場合、仕事で使用するGoogleアカウントやZOOMアカウントをビジネスネームとして使用し固定化していました。
他にも多くの使用実績を作らせていただきました。
例えば名刺の作成。
元々はデザインをやっていたので自分で名刺を作成して業者に発注しました。正直いつ、どこで使うかは分かりません。
そのほかには、ガス料金引き落としの紙や通販。
そして、銀行でも使用可能なフルネーム印鑑というものを、「改名予定の名前」と「現在の苗字」で印鑑を作成しました。
これを有給申請の紙に印鑑として使用します。
ちなみに、高校生や学生の場合学校によっては通称名で小テストやテストを受けるなどしてそれを使うなどもあるみたいです。
もしホルモン治療やその他、手術が進んでいる場合などで元の名前が元の性別とわかりやすく困る場合、そして診断書がきちんとあると正直通りやすい部分がありました(モリサワでも3ヶ月ほど)
改名や治療の際にTANOSHIKA CREATIVEが支えてくれたこと
ここは間違いないです。
障がいや病気に関することだけでなく、職員にLGBTQ +の研修があります。
他にも支援員さんにはホルモン治療中にホットフラッシュが起こったり、メンタルが不安定になった時にも面談をしていただきました!
また、本社のVPの松尾ソフィーさんには、多くの面談をしていただきつつ、改名の際に沢山相談に乗っていただいたり、会社として意見書を書いてくださいました。
(こちらは以前AKARIがソフィーさんにインタビューをした時の記事になります!)
改名する以前にも、
「これであれば改名実績としてできます!」
と言ってくださったり、何かとお世話になっています。
以上、今回は冒険者として中の人がプレイヤーネームを変更したお話の冒険譚でした!
補足
ちなみに、従姉妹が弁護士事務所で働いていることを忘れて進めた今回の改名でした。
「家裁の案件ならすぐ言ってよ」
と改名後に言われてちょっと後悔しましたが、この従姉妹には、
「今度は性別の戸籍変更という大イベントの家裁案件があるから協力して!」
と伝えました!
さて、前半はここまでです!
後半では改名後のモリサワがどうなったのか、そして、ホルモン治療も行っているモリサワに起きた変化についてなどを伝えていければと思います!
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