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昨年10月より、弊社でオペレーション・マネージャーを務める松尾ソフィーさんと、トークセッションの機会を頂き、ライターメンバー、salad・Pink・どんはれ・ゆた・島川とのトークセッションが実現しました。また、makoとりんごいくらも同席してお話を伺いました。
ソフィーさんの回答は太字で記載しています。
英語が堪能で、国際的な企業でのお仕事も多数経験されてきたソフィーさんが、なぜ弊社で勤めることになったのか?また、本人のセクシュアリティである「パンセクシャル」についても、「LGBTQ+への理解を深めてもらうためになんでも聞いてほしい!」という力強いお言葉を頂きました。
今回は、お仕事とパンセクシャルの両軸でお話が聞けました。
ソフィーさんプロフィール
- どんな国で働いていたの?
- 日本でしか働いたことはありませんが、日本国内で日本企業、アメリカ企業、フィンランド企業で働いていました💡
- 職歴(上から順に)
- 高校の先生(英語科)
- 大学事務(国際センター)
- 不動産資産運用の会社でカスタマーサポートと運用管理
- 英会話スクールのマネージャー
- コールセンター
- フードデリバリー会社でカスタマーサポート
(アソシエイト→チームリード→プログラムマネージャー) - オペレーションマネージャー(←イマココ!)

様々なお仕事に取り組まれています!
これまでのお仕事について
salad:経歴を拝見しまして、フィンランドやアメリカなどの海外企業にお勤めだったとお伺いしているんですけども、日本企業と海外企業でいうと、どちらが働きやすいですか?
私はカルチャー重視なので、どこの国の会社がよかったみたいなのはあんまりないかもしれません。というのも、どこの国の企業かというよりも、会社自体のカルチャーで凄く変わってくるからです。例えば、アメリカ企業にも日本っぽい企業もあれば、フィンランドっぽい企業もある、みたいな感じです。
国の法律によって変わる社則とかあって、例えば有給の付与日の違いでいえば、フィンランドだと年に20日間つくんですよ。日本は10日なので、そういったところとかでもしかしたら、フィンランドとか北欧の国の有給をより取得できる会社で働きたい人は、そのほうがいいのかも知れませんね。
salad:職歴も拝見いたしまして、様々な分野で働かれてこられていますが、今回株式会社SANCYOが福祉で初めての業種となります。福祉には元々興味があったんですか?
もう全然射程圏外でしたね。本当に全く考えていなかった業界でした。
そもそもはITとか、テック企業で探してたんですが、転職活動していて、業務の内容と会社のカルチャーがこんなにぴったり合う会社があるのって、凄く衝撃を受けて。それもたまたま見つけただけなんですけど、ご縁もあってか、採用までとんとん拍子で進みました。
Pink:私も職歴を拝見して、コミュニケーションスキルがとても重要なものばかりだという印象を受けました。実際お会いした時もコミュニケーションスキルが高い方だと思いました。そのスキルはどのようにして、身についたのでしょうか?
ありがとうございます。コミュニケーションスキルが高いって言われると凄く嬉しいんですけど、元々は全くといっていいほどコミュニケーション能力は全然なくて、幼少期とかは言っちゃいけないこととか、余計な一言とか、思ったことをすぐに言っちゃうところがあったんですよ。
それで子供の頃、中学生とか高校生とかぐらいまでとんでもなく浮いていました。だけど、クラスで面白い子とかってコミュニケーション能力が高くて、そういう子たちを見ていたら、私もこんな風になりたいなって、常に憧れる人物がいたんですよね。
中学の時は徳永さんになりたいなとか、高校の時はじゅんちゃんみたいになりたいなとか、そういう憧れはあって、その子達はどういう風に喋るんだろうとかどういう風にコミュニケーションするんだろう、みたいなのは凄く吸収して、影響を受けましたね。
社会人になってからは、上司がコミュニケーションのロールモデルの対象だったりとかして、そういうところから吸収して、今に至るのかなと自分では思います。
どんはれ:色々なお仕事をご経験されていますが、自分にとってこれは適職だなと感じたのはどれでしょうか?どのような自己分析をして気付いたのか、その過程を知りたいです。
そうですね、割と今までずっと自分が得意なことしか仕事にしてないので、全部適職だったと思うんですけども、今のお仕事も本当に楽しいですし、達成感も凄くあるお仕事なので、凄く好きです。なので、今ももちろん適職だと思いますし、やっぱり得意なことを仕事にできているっていう意味で適職って言っていいのかなって思うので、好きかどうかは別として、ですね。
私の経験としては、コールセンターとかめちゃくちゃきつかったんですけど、成績は良かったので、得意だったと思うんですよね。本当にスキル的な適職っていう意味では適職だったなとは思います。好き嫌いで判断するのであれば、ストレスがないお仕事の方が比較的、適職だったのかなって思います。今の仕事はとても楽しいので、どちらかといえば、好きっていう意味で適職かなって感じています。
ゆた:福岡で生まれ育ったと聞いていますが、ハーフであることで、生きづらさなどは感じましたか。
はい、感じました(笑)エピソードでいえば、私、今は『松尾ソフィー』なんですけど、昔は苗字もカタカナだったんです。なので、完全に外国人さんみたいな感じだったんですよね。
いわゆる一般的な日本人であれば、『脇役になる』っていう選択肢を選ぶこともできるとは思うんですけど、私にはその選択肢がなかったんですよ。
私のことをみんな知っているのが当たり前で、小学校でも中学校でも、部活の大会に出ても、皆んな私のことを知っているんですよね。大会の時に自分の学校のエリアを通り過ぎると「ソフィーさんだ」、みたいに指を指してくるみたいなことは日常的にあって、(こちらが何もしていなくても)スタートからあんまり自由がなくて、常にそういう柔らかなプレッシャーを感じている状態ではあったかなと思います。
あとは、マイクロアグレッション(無意識な偏見が言葉などに出ること)をすっごく浴びて育ってきました。
例えばもう10年以上前の話ですけど、IT企業に面接に行ったんですよ。何を聞かれるか全部分かっているので、履歴書の備考欄に「日本生まれ日本育ち、日本国籍で、母国語は日本語の日本人です」って書いて持っていったんですよね。
面接会場で他の候補者の方とかと一緒に待合室みたいなところで座って待っていたんですが、人事の方が来られて「ここに日本人って書いてありますけど、お間違いないですか?」って聞かれたんですよね。わざわざ書いたのに、そんなこと間違わないでしょ、と思ったんですが、そういうことを聞かれたりしました。
あとは、学生の時の話だったんですけど、銀行で口座を作ろうとした時にお電話で必要な書類とかを聞いたんですね。一通りお話が終わって、必要なものを持っていきますって言ったら、「先にお名前お伺いできれば予約を取って準備しておきますので」って言われたんです。当時は名前が全部カタカナだったので、それを伝えると「外国の方なのに日本語上手ですね、分かりませんでした」って言われて、私は日本人なんですって伝えると「念のためパスポートお願いします」って。
いや、私は日本人なので、普通に身分証明書があるんですけどって伝えても、「でも、念のためお願いします」みたいな感じで、無理やりパスポート持ってこされたりとか、そういうエピソードは無数にあって、そういうことに対処しながら生きてきました。最近はなくなってきていて、昔の方が酷かったなと思いますね。そういう意味では結構生きづらさを感じていますね。
ゆた:正直、英語を喋れるし、日本語も喋れるなんてめちゃくちゃかっこいいなと思うのですが、その語学力は自然に身についたものですか? それとも勉強しましたか?
勉強しましたね。私自身、日本人の母親に日本語で育てられたので。それこそ、さっきの話と繋がってくるんですけど、名前がカタカナなので、「ソフィーちゃんは絶対英語ぺらぺらだよね」、からスタートなんですよね。
私、英語話者の人にも聞かれるんですよ、なんで英語喋れるのって聞かれたら、『いじめられたら喋れるようになった』って、答えるんですけど、そういう「ペラペラなんでしょう?」って言われた時のアイデンティティというか、「自分はハーフなのに英語を喋れないのってちょっとおかしいよね」とか、そういう焦りみたいなのが凄くあって、独り言は全部英語にして自力で勉強しました。
もう今は完全に第二言語です、って言えるぐらい喋れるようになりました。
ゆた:私は、これから一般就職を目指し仕事を探していこうと思っています。ソフィーさんは高校の先生やコールセンターなど様々な業種を経験されていますが、実際その経験って活かせる場面って今までありましたか?
どの仕事で学んだことも、基本的に活かせる場面は、ありますね。高校の先生の話題があがったので、その話をしますと、高校の先生って人前で喋る、誰にでも分かる説明をする、時間内に話をするというスキルがベーシックとして必要なんですね。それは今、会社の皆さんに何かをプレゼンする時に、絶対に必要なスキルなので、高校の先生は22歳の時なので10年前なんですけど、未だに役に立っている経験ですね。
あとはコールセンターも、意外にスキルが必要なお仕事なんですよ。カスタマーサポートのコールセンターだったので、機械に問題があった人、スマホに問題があった人とかから電話かかってくるんですね。問題の解決の仕方が凄く事細かに決まっていて、最初にまず、どのボタンを押してそうなったのかとか、画面が具体的にどう変わったのか、画面に出てきたメッセージに何と書いてあったのか、エラー番号は何だったのかとか、そういうのをずっと深掘りしていくんですよね。
その次にこの方は、今電話してきているけど、何がしたいの、どうなりたいの?っていう、最終要望を確認するんですよ。そこって、意外とこうふんわりしがちなんですよね。最終要望を確認したうえで、解決策の合意を取って解決する流れが決まってるんですけど、これって本当に何にでも使えるスキルだなって思っています。
例えば、私が今この会社で支援員の方と面談をして、「こういうことで、困っているんですよね」って言われたとしたら、「どういうことがきっかけでそうなったんですか」、「どなたかに相談しましたか」、「相手の方どういう反応でしたか」などの深掘りができますし、困っていることを受けて、最終的にどの状態が理想なのか、ということを聞けるという意味では、今までのお仕事で身に付けたことは、今も凄く生きてますね。

明るく当時のお話をしてくださいました!
ご自身のセクシュアリティ(パンセクシュアル)について
ゆた:ソフィーさんがパンセクシャルだと認識されたのは、何歳の時でしょうかまたその時どう思いましたか
正直、あんまり分からなくて、凄く難しい質問だなって思いました。ただ、高校生ぐらいだったかな、Tha L Wordっていうドラマがあるんですけど、そのドラマにシェーンっていうキャラクターがいて、女性のレズビアンの役なんですけど、シェーンが大好き過ぎて、「私は女性も恋愛対象だな」って、そのドラマを見て確信に変わったみたいなことはあるかもしれません。結構ふんわりしているなって。その時に特別困ったとか、人と違うみたいなことにはならなかったですね。
Pink:パンセクシュアルの考えとして、そもそも相手の性のあり方などどうでもよく好きになった人が好きというのは、私は、人を好きになるごく自然なことのように思うのですが、ソフィさんはどう思われますか?
私もそう思います(笑)言い方はあれかもですが、変なことしているっていう感じはないというか、「人として魅力的なんだから当たり前じゃない?」って思っています。異性愛者の人がこちら側の気持ちが分からないように、私も異性愛者の方の気持ちがイマイチ分からないので。異性愛者の方が自分たちが普通と思っているように、私も自分のことを普通だと思っています。
どんはれ:初恋はどんな感じだったのでしょうか?どんな方に恋愛感情が湧きましたか?
これ新情報を与えちゃうんですけど、私「Aロマンティック」って言って恋愛感情がないんですよ。初恋もかなり遅くて、初恋かもと思ったのは大学生の時だったんですけど、その時は「絶対これが恋だわ」と思っていたんです。でも、振り返ってみると私、その人に対して恋愛感情を持っていたわけじゃなくってその人とカップルになることによって生まれる『社会的ステータス』にしか興味なかったんですよね。
それがこれまで付き合って、交際してきた方々の振り返ってもうほぼそれなんですよ。カップルというか、パワーカップルみたいなそういうステータスを求めているというのが一番、強い感情で。なので、恋愛感情はなかったんですね。
どんはれ:どんな方が恋愛対象になりますか?タイプなど差し支えなければ、教えてください。
私です。私が私のタイプです(笑)じゃないと、恋愛感情ないとか言っている時点で、付き合うっていうことにそもそも社会的ステータスしか求めてない訳ですから、その点でお互いに合意できないと交際に至らないわけじゃないですか?そうなると、私と同じ考えを持っている方でないと駄目なのでタイプは私です、と言うようにしてますね(笑)
どんはれ:パンセクシャルの人の結婚観をお聞きしたいです。結婚やお子さんなどは今後考えていたりしますか?
パンセクシャルの人がみんな、同じ結婚観があるという訳でもないので、本当に私個人のお話になっちゃうんですけど、私自身は結婚も出産も全く興味がありません。今後も一人でいたいですね。私の幸せを誰にも邪魔されたくありませんね(笑)
どんはれ:ハーフであること、パンセクシャルであること、一般とは違うマイノリティーの属性であることに生きづらさを感じたりしますか?それで周りと衝突したこととかありますか?それをどうやって解決したのか、よければお聞きしたいです。
凄い、いい質問ですね(笑)ハーフであることは、もうぶっちゃけ解決することってできなくて、無意識な偏見とかマイクロアグレッションで持っている人って、もう無数にいるんですよ。
なので、もう一人一人に対して、「今のダメですよね」、「今のだめですよね」ってやっていったらきりがないんですね。もう無視するとか、注意する時はするんですけど、ほぼもう受け流すといいますか、解決っていうよりかは、ハーフであることに関してはスルースキルだけですね。
あとはですね、本当に凄く失礼なこととか言われたりすると注意したり怒ったりします。日本人だって言っているのにずっと下手な英語でしつこく話しかけてくるとかあると、全然、怒ります(笑)
パンセクシャルであることに関しては、正直、悩んだことがなくて。そもそも、カミングアウトもしていないし、何月何日がカミングアウトディとかもなくて、もうただ『自分として生きてる』だけなので、これは本当に周りと衝突したこととかもありません。
というのも、私の家庭はちょっと複雑で、親がいないので、そもそも、そのパンセクシュアルです、っていうのを公表しなきゃいけない親がいないんですよ。そこのハードルが全くないのは他の方とちょっと違うところなのかなとは思います。なので、悩んだこともなくて、打ち明ける苦しさ、みたいなものも感じたことなくて、ただただシェーンまじかっこいい!って思いながら生きてきましたね(笑)
どんはれ:性差はなくしていった方がいいと思いますか?
性差って言葉は凄く難しいなって思うんです。ジェンダーとか性別とか色々ジャンルみたいなのがあるんですけど、医学的な性差ってのは絶対になくならないとは思っています。
医学的に男性であれば男性だし、インターセックスであればそうだし、女性であれば女性であればそうだし、トランスジェンダーであればそうだし、これはなくならないので、どうしようもありませんし、そもそもどうしようとも思わないですね。
ただ、ジェンダーギャップ(社会的な男女差)はなくした方がいいと思っています。例えば、女性の方が賃金が低いとか、女性の国会議員の数が少ない、ということがあるんですけど、日本って、2024年の段階で世界におけるジェンダーギャップランキングで118位でめちゃくちゃ低いんですよ。
アイスランドとかが1位なんですけど、本当にG7でも最下位ですし、例えばG7の女性参画大臣の中で、日本が唯一男性なんですね。そういったところはどうにかしないと国として駄目なんじゃないのかなとは個人的には思っています。あまりに女性が生きづらい国として、そのまま走っていってしまったのかなって感じています。
ゆた:パンセクシュアルについて私達はまだまだ理解が進んでいないと思いますが、周りには理解してほしいって思っていますか。
うーん、どうでしょうね……?私個人としてはスルースキルがあるので、別にどうでもいいというか、基本的には踏み込んで来られないならそれでいいって思うんですけど。例えばガラケーからスマホに変わる時ってあったじゃないですか?あの時ってスマホってなんのこっちゃ、みたいな感じでスタートするじゃないですか?
今のLGBTって日本ではまだそういう段階かなと思って、ガラケーからスマホに変わるみたいな、このままガラケー使い続けるのは、ちょっときついよとは思います。なので、LGBTについての知識を蓄えておかないと、周りは実際LGBTの人ばかりなので、ついてこられなくなっちゃうよ、とは思いますね。今スマホに切り替えていない人が置いていかれているのと同じで。なので自分が困らない為に知っておいた方がいいんじゃないのかなとは思います。
ゆた:私は男性だから男らしくだとか女性だから女性らしくしなさい、といった感覚があまり理解できませんでした。ソフィーさんはそういったステレオタイプな考え方についてどう思いますか?
私は好きじゃありませんね。元々私も結構、「女の子なんだから、もうちょっと品良くしなさい」と言われてて…。子どもの頃は凄い品がない子どもで、今もそうなのかもですけど(笑)なので、それは凄く感じながら生きてきたなと思います。やはり性別のステレオタイプは私の中でかなり古い考えという印象です。
男らしく女らしくっていうステレオタイプが凄く古い考え方なので、そういう方をたまに見かけたりするとちょっと驚いちゃう。今までは北欧の企業だったりとか、アメリカの企業とかで働いてきたっていうのがあって、今、コミュニティが日本だけみたいな感じになっているんですよね。
外国のコミュニティにいたのに急に日本に来たみたいな感じになって、そういう意味でも日本にはまだステレオタイプの考え方をする人が本当にいるんだ、多いなって感じるので、もうちょっと改善できたらなって思います。私も少しでもお力になれればって思って会社のために色々やっています。

公表していることについて
Pink:まだLGBTQ+という言葉も浸透していなかった時代はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの三つだけでした。私が知る限り、自分のセクシュアリティについて公表していたのは、主にミュージシャンが多かったと記憶しています。
ソフィーさんは、公表されることに葛藤はなかったのでしょうか?
また、公表しようと思われた何かきっかけがあれば教えて頂けますか?
葛藤は全然ありませんでした。というのもそもそもハーフなので、他の人と違うことが日常で凄く慣れていて、人と違うように扱われるのも慣れていたので、今更、更にパンセクシャルのステータスが加わっても、何も変わらないみたいな、人と違うことに慣れてるっていうのが、凄く強みになったかなと思いますね。
パンセクシャルであることを公表するというよりかは、『隠さないで生きていく』というほうが正しいのかも知れません。カミングアウトしていない状態を英語では『クローゼットに入ってる』って、いうんですけど、そもそも生まれた時からクローゼットに入っていないので、何も葛藤することはないですね。公表しようと思ったきっかけも全然なくって、自覚した時からですね。
私は最初、自分のことバイセクシャルだと思ってたんですけど、アメリカに留学していた時に、「クラスメートの女の子がちょっと気になるんだよね」とか、そういうことを凄く自然と話していましたね。公表するというよりかは、会話の中で自然と入っている内容なので、『話して当たり前の内容だった』って感じです。
変わりゆくセクシュアリティの世界について
salad:わたし自身もパンセクシャルで、公表というかAKARIの記事にしていて、聞かれたら答えるような形にはしているのですが、会社での公表はどのようになさいましたか?
さっき、ステレオタイプとかなくしていけるように頑張っています、とお話したと思うんですけど、会社でハラスメントの研修とか『DEI(多様性・公平性・包括性)』の説明会をやっていたりするんですけど、その中で例として自分のことを出す形で皆さんには伝えています。
それも別に「よし、私がパンセクシャルだって言うぞ」、ではなくて、シンプルに「当事者としてこういう例があった方が分かりやすいよね、私は全然抵抗ないし」、みたいな感じでシェアしているんですよね。なので、説明会にいらっしゃった方は皆さん知ってらっしゃると思います。
salad:私自身、最初はバイセクシャルだと思っていたのですが、時代が進むにつれて、「パンセクシャル」や「ポリセクシャル」など、様々に枝分かれしていくLGBTQの世界で名称やセクシャリティの呼び方が変わっていくことはどう思われますか?
私も最近ちょっと多いなと思いますね。何かを調べる際、情報量が限られてしまうので、基本的に日本語ではなく全部英語で調べるんですけど、英語で調べると、本当に無数に出てくるんですよ。エイセクシャル、グレイセクショル、Aロマンティックオートロマンティックとかとにかく、凄いいっぱい出てきます。
今、世界中にLGBTの方がいますが、その方達が『自分の入れる箱』を凄く探していて、その箱を作っている段階なんだろうなって思うんですよね。これとこれ一緒じゃん、みたいなセクシュアリティの名前があっても、別の名前として存在してたりとかもするのが現状です。
今アメリカで『DEIのロールバック』とか結構話題になってますけど、整理されていくフェーズに今から入っていくだろうな、とは思ってますし、整理された方がちょっといいのかなっても思ってます。
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Pink:今年「LGBTQ子ども・若者調査2025」が実施されたとネットで知ったのですが、12歳〜34歳のLGBTQ+当事者を対象に、学校や日常での経験を聞くことを目的としているそうです。そのことについてどのように思われますか?
少し調べてみたら、国がやっているのではなくて、小さな団体がされている調査だったと思うんですけど、基本的にはLGBTに限らず、何かを判断したりとか、アクションを取ったりするときは、調査は必須ではあるんですね。そういう意味では、どんなアクションをしたいのか、目的は分かりませんが、調査すること自体には意義があると思います。
この調査によって、これぐらいの子たちが親に話せないとか、親に話したら勘当されるのではないかと不安に思っているとか、そういうことが明らかになるかも知れなくて、そういう情報やデータって調査しないと親の目には届かないと思うので、そういった意味ではかなり重要なことだと思います。こういう調査はどんどん公表していってほしいなって思います。
島川:先日、LGBTQの女性だけが集まる会に参加されたそうですが、その時のお話を伺っていいですか?
初めて参加させていただいたんですけど、去年の終わり頃にもLGBTのパレード、プライドパレードも初めて行ってみて、パレードの車にも乗ったんですよ、友達がたまたま乗るからってことで「行く?」って誘われて(笑)そういうコミュニティにも去年頃から顔を出すようになって、女性のLGBTの人だけが集まる場所にも行ったんですよね。
今までの私のコミュニティの形成の仕方と全然違うなと思いました。よくあるのが友達とかって学校や会社で作ったりすると思うんですけど、それって知識のレベルとか社会的ステータスのレベルだったりがある程度一致していて、話が合う人たちが自動的に集まりやすくなっていると思うんですね。
なので、自分と近い思考を持っている人と友達になれますし、コミュニティを築けるんだなって、このイベントに参加して思いましたね。
なぜ、そう思ったのかというと、このイベントには本当に色んな人がいるんですよ。なぜなら『LGBT』という制限しかないからです。色んな仕事の人、見た目の人、色んな考え方、色んな価値観を持っている方がいらっしゃて、頭が爆発するぐらいびっくりしちゃって。
「私って今まで凄い狭い世界で生きていたな」って思いましたね。
あとは、驚くほど人数がいたんですよ、70人から80人ぐらいいて、結構パンパンだったんですけど、こんなにいるのっていう安心感が凄くて。パレードもイベントも去年から行き始めたばかりだったので、周りに女性のLGBTの人ってほぼいない状況だったので、「全然大丈夫じゃん」、「一人じゃなかったじゃん」って安心したのが大きかったですね。
島川:そのイベントの中で、印象的な出来事などありましたお聞かせください。
友達と一緒にいて、その友達の友達の友達ぐらいの関係性、軽く挨拶したぐらいの関係だった方がぱぱぱっと寄って来られて「彼女探していますか?」って聞いて来られたんですよね。私は「いや、探していないです」って答えたら「はい、なら大丈夫です」って言ってどこかに行かれて。
それが本当に衝撃的で、そういう価値観の方もいらっしゃるんだなって(笑)私は結構、ちゃんと会話をして、友情関係が築かれて、そこから交際に発展するみたいな概念でいたから「交際にそもそも発展させる気があるのか」ってところからいきなりだったのでかなり衝撃でしたね。
それを友達にこういうことがあったんだよね、って話したら、「それは効率的で合理的だよね」、って言われちゃって、あ、そうなのかって。私は結構戸惑っていたんですけど、それを言われて、その人にとっては交際したいというゴールに向かって走っているから、そうじゃない人と話すことは非効率的なんだろうなって、そういうこともあるかって勉強になりました。
salad:LGBTの方って対象が限られているから、友達になってそこから恋愛してみたいな流れになって行くのは相当難しいので、そういう考え方の人も結構いるんじゃないかなって思いますね。
全然いいと思いますよ、私が不慣れすぎただけなんですよ(笑)
今回お話を聞いた感想
Pink:今回、インタビューに参加することができて、多くの学びを得たと思います。
私たちの質問に、終始笑顔で、丁寧にわかりやすく、時にはユーモアを交えながら答えて下さったソフィーさんは、最所に感じた通り、聡明で明るい方だなと思うと同時に、そうなるまでには、色々と苦しいことや、つらいことがあったのではないかと思います。
まだまだ知らないことも多いので、これからも「セクシュアリティ」についてインタビューさせていただく機会が持てたらいいなと思います。ソフィーさん、本当にありがとうございました。
salad:とてもエネルギッシュな方で、私自身もマイノリティー当事者としてお話していてとても共感できる部分が多かったです。またお話をしてみたい!そう思いました。今回は、インタビューありがとうございました。
どんはれ:数々の職を経験してきたソフィーさん。ハーフであるために生きづらさを感じながら生きてきたそうで、それは日本企業で働く際にも働きづらさとして感じるものだったそうです。日本国籍であるにもかかわらず、パスポートの提示を求められたり、数を上げればきりがないほど、そんなエピソードがたくさんあるそうです。私は見た目も普通の日本人として生きてきたので、その苦労は想像するしかありません。
私自身もハーフの方に無意識に差別的な態度をとっていないか気になりました。パンセクシャルでもあり、性的マイノリティであることも公表されており、ハーフであることから、マイノリティであることには慣れているので、公表には抵抗がなかったとおっしゃられていました。
マイノリティで生きていることを強みに変えて失礼なことを言われてもスルースキルを身に着けているソフィーさんはしなやかで強い方という印象を受けました。楽しい話がいっぱい聞けてよかったと思います。本日は、インタビューありがとうございました。
ゆた:今回、ソフィーさんの話を聞いて、私の中で、LGBTの話題をするときになんでそんな枠をつける必要があるのだろうか、と疑問に思っていたのですが、当事者にとって、そういった枠組みが安心材料になるし、自分をカテゴライズすることが自分という人間のある意味、証明になっているということが分かりました。
また、ソフィーさんのように自分という人間を理解して受け入れている人であっても、イベントで同じような感覚の人たちと会話をすると、一人じゃないと思えるという話を聞いて、まだ、自分の性を理解できず、苦しんでいる人はどれほど自分を追い込んでしまっているのだろうかと凄く考えさせられました。
世界には無意識な当たり前のせいでどれだけ多くの人が苦しんでいるんだろうと、そして、日本ではまだまだ生きづらさを感じて生きている人が多いんだろうなって思いました。ソフィーさんも話していたように、これから、LGBTだろうと、何も言わずとも色んな性自認がある世界だ、となっていくだろうし、その流れにおいていかれないよう、ガラケーからスマホに移り変わってもついていける柔軟な思考でありたいと強く思いました。
mako:ご自身がハーフであることに様々な生きづらさを感じて来られたと伺いましたが、そのつらい思いも吹き飛ばすかのように語学も独学で学ばれたとのこと。英語の教師の職についた後、外資系の会社に勤められ、それまでの経験を生かして、今TANOSHIKAの社員として働かれていて今とても楽しい!と言われる。
パンセクシャルについてもありのままのご自分を受け止め、楽しく生き生きとされているそんな姿にとても元気を頂きました!今回お話を聴くことが出来てとても良かったです。
りんごいくら:ソフィーさんはハーフで成長過程やLGBTQが分かる内容を堂々と語ってくださいました。彼女から伝わってくるエネルギッシュさは魅力的でライター側も元気をもらいました。自分もあのように生きたいなー。運よくソフィーさんと出会えたことに感謝します。ありがとうございました。
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