人工股関節置換術の当事者と当事者家族で語る、働き方の工夫や家族の様子-第4回AKARI Cross Talk-後編

術後を見守った家族の想い人工股関節置換術後編というテキストと、家族の抱き合うイラスト

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いつもAKARIの記事を読んでいただき、ありがとうございます!

こちらはAKARIのライターさんによる対談企画、『AKARI Cross Talk』です!

今回は第4回として、人工股関節置換術について、当事者であるmakoさんとりんごいくらさん、そして当事者家族であるねこパンクさんのお三方をお招きし、出術に至ったきっかけやリハビリの時のお話などを伺いました。

前編の記事はこちらです!

 

後編となる今回は、働き方や生活の工夫についてや、当事者家族の視点でトークを展開しました。ぜひ最後までご覧ください!

働き方や生活の工夫(術前・術後の変化)

足元注意の看板

島川:通勤の面や作業をする上で不便さを感じたことや、それに対して工夫していることは何かありますか?

りんごいくら:私は重いものを持てないというくらいで、あまり思い浮かばないです。

通勤面では今は自転車や電車を使って通勤していますが、今の生活にも慣れたので、現在困っていることは特にありません。

mako:私は最初は電車通勤をしていたのですが、ぶつかると踏ん張れなくて、転倒する可能性があったので、人とぶつかるのが怖かったんです。

なので、できるだけ人がいないところを探しながら、人ごみを避けて歩いていました。

また、雨の日は金属部分が滑りやすいので、その上を歩かないように気をつけていました。

病院の先生から定期健診のたびに「転倒しないでくださいね」と言われるんですが、実は私はもう3回こけたことがあって(笑)

ねこパンク:え〜(笑)

mako:雨上がりにコンビニに入ったときに、たまたま傘の滴で床が濡れていて、そこで滑ってしまったんですよ。 

ねこパンク:あれ怖いよね〜。

mako:そうなんです。それで一回転びました。後の2回は物を持っていて、そのまま足元がふらついて倒れたので、そこは気をつけたいです。 

今回の『Closs Talk』に参加するにあたって、病院からいただいた資料を読み返していたんです。

そこには『股関節にかかる負荷として、歩く動作は体重の2.5倍から3倍です』と書いてあったんです。それに対して、『転ぶとなんと体重の30倍!』

こけることで脱臼の心配もありますが、一気にそれほどの負荷がかかるので、そもそも人工股関節を痛める原因になるということです。

今まではもし転んでも、ただ単に脱臼のことだけを考えていたんですが、人工股関節の耐久年数も、もしかしたら減る可能性もあるんだなと感じました。

だから、改めてこけないように気をつけたいと思っています。

島川:こけないでと言うのは簡単ですけど、でも言うしかないですもんね。

ねこパンク:こけるときはこけますからね。

りんごいくら:リハビリテーションの学会に参加した際にいただいた書類に「どんな人でもこけないようにリハビリする」と書いてありました。

なので、がんでもどんな病気でも、こけないように前もってのリハビリの指導をすることが必要だと思っています。

認知症になった人がこけて骨折して、リハビリができなくなり、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)になって亡くなってしまうこともあります。

ねこパンク:私もこけないように気をつけます。

よく家で猫が足にまとわりついて、「うわーっ!」となるんですよ。

一同:(笑)

ねこパンク:ちょっと猫と話し合いをします

mako: そうしてください(笑)

島川:術前と術後では、仕事選びに関しても、気を付けていることはありますか?

りんごいくら:術後の話になるんですけど、もともと手術を受ける前は白血病でもあったので、体力がとても落ちているんです。

元気な人と比べたら体力が4割ぐらい落ちているので、「あんまり動かないような仕事をしましょう」と先生に言われていて、「事務のお仕事を選ぼう」とずっと決めていました。 

mako :私も事務のような、机に座ってできるお仕事を希望しています。

現在は、A型事業所でお世話になっていますが、そこに行き着くまでが本当にすごく悩みました。

島川:身体障がいの手帳はどのタイミングで発行されましたか?

mako:私はだんだん歩行が難しくなってきたので、手術の5ヶ月前に肢体不自由の手帳を発行しました。先ほど自分の手帳を見て気づいたのですが、5ヶ月前はちょうど杖を使い始めたタイミングでした。

そのタイミングで、先生から「手帳を発行しましょうか?」と言っていただきました。 

りんごいくら:私は手帳を手術の半年後に発行してもらいました。

母が先生と交渉してくださって、手術した年末の12月に手帳をもらいました。

手帳の種類と等級は、身体障害で一番低い6級ですね。

mako:私は動けないときに作っていただいたので4級でした。

等級が高いことが、良いのか悪いのかわからないです(笑) 

今は歩けるようになったので、手帳が更新された場合、「どうなるんだろう」という心配はあります。

島川:社会資源の活用については、何か関連して利用されているものなどはありますか?

mako:私は手術前と術後で筋肉が安定するまで、駐車場の身体障害者マークを発行していただいたのですが、とても助かりました。

ねこパンク:今は使っていないんですか?

mako:今はもう普通の駐車場に止めているので、使っていないですね。

前までは身障者用の場所じゃないと、もう怖かったです。

ねこパンク:色んな意味で怖いですもんね。

りんごいくら:私も同じですが、今でもときどき遠いところに行くときに使うので、大切に持っています。

mako:私も手術後に転倒して肩を痛めたり、いろんなことがあったので、また何かが起こるかもしれないと思って、何かあったときのために取っております。

りんごいくら:市役所の福祉課に返したくないよね。

ねこパンク:水戸黄門様の印籠みたいなものだからね。最終兵器だから。

一同:(笑)

患者家族の視点から見て、どんなことを感じたか

 

介護をする家族

島川:手術前後のご家族の様子について、覚えていることはありますか?

ねこパンク:手術前は、どういうふうになるかが全く想像できなかったです。

手術に至る前に、結局車椅子になりましたから。

術後は、また車椅子からリハビリを始めました。

本当に少しの歩みでしたけど、最後は「歩けるようになってよかったよね」という感じでした。

ただ、今も痛みがあるのか?

あったとして、それが関節の痛みなのか、術後の痛みなのか、他の病気の痛みなのか、いまいち掴みどころがなかったです。

父本人がものすごく我慢するタイプの人でしたから、「大丈夫、大丈夫」としか言わないんですよね。

りんごいくら:私も同じで言わないです。耐えたくて我慢します。

ねこパンク:車で出かけるときに、私が一緒のときは肩を貸して乗り降りを手助けするのですが、それでもあまりやりすぎないように注意はしていました。

これは性格上のものでしょうが、あんまり一生懸命世話をすると嫌がるので、本人からも「頑張りたい」という気持ちがものすごく伝わってきました。

島川:画一的にこうしたらいいというよりは、人に合わせるしかなさそうですね。

ねこパンク:そうですね。術後のリハビリを経て少しずつ歩けるようになってからは、自分で車を運転して出かけたりできるようになりました。

mako:私の叔母は88歳ですが、今年の2月に人工股関節の手術をしたんです。

膝とか股関節は悪いんですけれど、もともと元気がよくて車を運転したり、散歩や畑仕事、家庭菜園をしたりしながら一人で暮らしています。

なので、術前にどれだけ筋肉があるかどうかで治る早さが変わるのかなと、叔母を見てて思うんです。

手術を受けてから今が半年目なんですけど、もう畑仕事してるんです(笑)

私からメールをすると、「今日も何々の野菜を取った」とかメールが返ってくるので、すごいなと思います。

島川:畑ならしゃがむことが多そうですけどね。

ねこパンク:頻繁にしゃがんでるでしょう?

mako:叔母には「絶対にしゃがんだらダメよ」と言っているんですよ。

どんなふうに畑仕事をしているんだろうと不思議に思うんですけれど、実際には元気でやっているみたいです。

もともと叔母は心臓にペースメーカーを入れていたので、手術自体も少し心配だったんですよね。

叔母もいろいろと検査したり、私もかかりつけの先生に聞いたんですけど、「そちらの内科的なものがクリアであれば、いくつになっても人工股関節の手術をすることで生活の質が上がります」と言われました。 

ねこパンク:元気であれば関係ないんですね。

mako:そうですね。痛みをこらえながら、したいこともできない生活でそのまま生涯を閉じるよりも、「内科的に問題がなければ手術はした方がいい」というお話でした。

もし手術をして心臓の方に負担がかかって、「何かあったらどうしよう…」と心配していたんですけど、今のところ大丈夫みたいです。

ただ問題は、やはり年齢があまりにも上に行くと、リハビリを頑張れないかなというのはあると思います。ただ、叔母を見ていると、年齢だけじゃないのかなとは思いました。

りんごいくら:家事をすればするほど手先を動かすから、長生きするという話を以前どこかで見かけました。女性は家事でも何でもするし、よく喋るしで長生きするけど、男性で特に家事を嫌がる人は、すごくリハビリも遅れてしまうみたいです。 

ねこパンク:うん、男性の大半はリタイアしたらもうずっと昼寝やもんね。

島川:地域社会からどんなサポートを受けられるとありがたいと感じますか?

ねこパンク:私の父は、地域のサポートをほぼ受けてはいないはずです。

今だったらヘルパーさんなどにお願いできますが、当時はそういうのは完全に普及していないし、そういう情報もなかなか入ってこなかったです。

それに、病院からもそういう話は一切なかったです。

今だったら日々のちょっとしたことでお願いできたりするので、当時にそのことを知っていたら、父にもう少し良くしてあげれてたのかなと思います。

他のメンバーさんで、ヘルパーさんに来てもらって、ご飯を作ってもらってると聞きましたので、「あ!そういう考え方があったのか!」と逆に思いました。

島川:今は家に入って何かをしてもらうサポートも充実していますもんね。

ねこパンク:そうですね。入ってもらうことに抵抗さえなければ、結構何でもやってくれるという話も聞いてます。

島川:例えば、訪問看護だと、服薬管理とかの家族だと管理しきれない部分のサポートもあったりするから助かりますよね。

 

今回のAKARI Cross Talkはここまでです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

参加した感想

makoさん

今回【AKARI Cross talk 人工股関節置換術】に参加させていただいて、色んな学びがありました。

もとはご自身のがんの治療のために使った薬の副作用による大腿骨壊死症のために、両足に人工関節を入れられたりんごいくらさん。
そして、膠原病の治療薬のステロイドによる副作用で手術を受けられた、ねこパンクさんのお父様のこと。

お二人のお話を伺って、手術に至る原因もそのあとの経過も、人それぞれだと感じました。

りんごいくらさんが、「ほとんど動作制限を感じていなくて、それより生きてるだけで幸せ!」と話されたことがとても印象に残り、私も年数が経つと動作制限が軽くなるかも!と希望をいただきました。
転倒に気を付けながら、耐用年数を少しでも延ばしながら生活していきたいです。

いま、股関節の痛みと戦いながら、手術を受けるか悩まれている方もいらっしゃると思います。私は一時期、動作制限があることに悩んだ時期もありましたが、今は痛みから解放されて手術を受けて良かったと思っています。

まずは、整形外科の先生と手術によるメリット、デメリットについて良くご相談をしていただきたいと思います。いい方向に向かいますように🍀

りんごいくらさん

今回は共通点のある利用者同士で、ゆるやかな座談会をすることができ、よい時間を過ごせました。座談会を通して、今後も転倒に気をつけながら出勤したいと思い直しました。
ありがとうございました。

ねこパンクさん

私は、父が人工関節の手術を受けた家族という立場で、今回のトークセッションに参加させていただきました。

当事者のお二人から、手術を決めるまでの思いや、術前・術後の大変さ、そして人工関節とともに暮らす中での日々の気遣いについて、じっくりお話を伺いました。

当時は、家族として心配することはあっても、父自身がどれほどの痛みや不安を抱え、どんな苦労をしていたのか、すべてを理解できていたわけではありません。

今回のお話を通して、あらためて父の苦労に触れたような気がしました。

人工関節の手術は、手術そのものだけではなく、その前後の生活や、日々の小さな気遣いも含めて向き合っていくものなのだと思います。

今回伺ったお話が、これから人工関節手術を考えている方、そして現在、人工関節とともに生活されている方にとって、少しでも安心や参考につながればうれしく思います。

編集長 島川

今回はAKARI Cross Talkの第4弾ということで、人工股関節を実際に使用しているmakoさんと、りんごいくらさんのお二人を軸にお話をしていただきました。

また、この企画を進める中で、ねこパンクさんのお父様にも経験があるということが新たにわかり、当事者のご家族の視点からもお話を伺うことができました。

皆さん様々な経緯で人工股関節の置換手術を受けてこられており、術後の様子やリハビリの経過も、その方の状況によって千差万別であることがよくわかりました。

その中でも便利なグッズであったり、生活の工夫や気を付けるべき点など共通する部分もあって、傍で聞いていて学びの多い時間でした。

『AKARI Cross Talk』について

AKARIではこれまで、座談会などのトーク企画を様々な形で行ってきました。

この度、メンバーさんと行っていた座談会の名称を『AKARI Cross Talk』と改めています。

Cross Talkには、「座談会」「対談企画」という意味があり、お互いの個性や経験が掛け合わさり、新たな魅力を発信したいという想いを込めました。

今後も同じような悩みや経験がある方で集まって、お話しした内容を共有できればと思っています。

以下はこれまでのAKARI Cross Talkです。ぜひこちらも併せてご覧ください!

第1回【ライターさんで集まって好きなものの話などをしました】

https://akari-media.com/2026/07/06/member-3760/

https://akari-media.com/2026/07/07/member-3767/

第2回【お互いの日常の困りごとについて話しました】

https://akari-media.com/2026/07/10/member-3740/

第3回【The piasu×海音でCross Talkを行いました】

https://akari-media.com/2026/08/24/member-3801/

また、トークの中で出た、よりディープな内容については、有料noteでも発信しています。

こちらもぜひ購入して読んでいただけると嬉しいです!

https://note.com/mio0053/n/n4efcddfb9e3c

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