障がい者雇用は「やる気」だけでは進まない ─ 久留米市『年間101人』の壁 「前編」【ねこパンク】

くるっぱの看板の後ろから顔を出している猫たち

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ねこパンクロゴ

はじめに

「障がい者雇用を増やしましょう。」

その言葉に、
異論はありません。

働きたい人が働ける社会。

障がいがあっても、
生まれ育った街で、
自分らしく暮らし、
自分らしく働ける社会。

そんな地域になってほしいと、
私もそう思っています。

久留米市では現在、
「第7期久留米市障害福祉計画」の中で、
福祉施設から一般企業への就労移行者数を、
年間101人という目標を掲げています。

計画では、
令和3年度(2021年度)の実績である79人を基準に、
令和8年度(2026年度)までに、
約1.28倍となる101人を目指しています。

参照元 :(久留米市)第7期久留米市障害福祉計画 第3期久留米市障害児福祉計画 2024/08/13 (PDF)10P

行政が具体的な数値目標を掲げ、
障がい者の社会参加を後押ししようとしていることは、
とても意義のある取り組みだと思います。

数字だけを見れば、
決して高すぎる目標ではないのかもしれません。

でも、
その数字を見た時、
私は一つの疑問が浮かびました。

「久留米に、
その受け皿となる企業は、
本当にあるのだろうか。」

もちろん、
目標を掲げることは大切です。

目標があるからこそ、
行政も支援機関も、
企業も当事者も、
同じ方向を向くことができます。

けれど、
受け入れる企業の現実を見ないまま、
数字だけが先に歩いてしまえば、
その目標は、
少し苦しくなってしまう気もします。

障がい者雇用は、
「働きたい人」だけの問題ではありません。

「雇いたいけれど難しい。」

そんな企業側の現実も、
同じように考えなければ、
前へ進むことは難しいのではないでしょうか。

今回は、
久留米市が掲げる「年間101人」という目標をきっかけに、

地方都市における障がい者雇用の現実について、
考えてみたいと思います。

「年間101人」という目標と、地域の現実

黒猫と仲間達がジャンプしている

福祉の現場では、
一般就労を目指して努力している人がたくさんいます。

就労移行支援事業所で訓練を重ね、
資格を取得し、
履歴書を書き、
面接の練習をする。

「働きたい。」

その気持ちは、
決して小さなものではありません。


厚生労働省の障害者雇用状況を見ると、
障がい者の雇用数は年々増加しています。

一方で、

その多くは法定雇用率の対象となる比較的大きな企業で進んでおり、

地方では求人の選択肢が限られる地域も少なくありません。

だからこそ、
地方では求人そのものが少ない。

あったとしても、
事務職や一部の企業に集中していることが多く、
自分に合う仕事を見つけることは簡単ではありません。

能力が足りないからではありません。

意欲がないからでもありません。

地域には選択肢が少ない。

それが現実です。

だからこそ、
就労継続支援A型・B型事業所は、
働く練習の場であると同時に、
安心して通える居場所にもなっています。

生活リズムを整える。

人と関わる。

少しずつ自信を取り戻す。

そうした積み重ねがあるからこそ、
一般就労という次の一歩が見えてきます。

しかし、
その一歩を踏み出した先に、
十分な受け皿がなければ、
前へ進みたくても進めません。

本人の努力だけでは、
どうにもならない壁があります。

それは、
地域全体が抱えている課題なのだと思います。

中小企業が抱える「雇いたくても難しい」という現実

 猫市長が障害者雇用について考えている

障がい者雇用が進まない理由として、
「企業の理解不足」が語られることがあります。

もちろん、
理解を深めることは大切です。

でも、
それだけでは説明できない現実があります。


中小企業庁によると、日本の企業の99%以上は中小企業です。

地方都市では、
地域経済の多くをこうした中小企業や小規模事業者が支えています。

久留米市にも、
町工場があります。

飲食店があります。

商店があります。

地域を支える小さな会社が、
たくさんあります。

従業員が十人にも満たない会社も、
決して珍しくありません。

そうした会社では、
一人休むだけで、
仕事が回らなくなることもあります。

一人が教育担当になるだけでも、
現場は大きく変わります。

毎日、
目の前の仕事をこなしながら、
会社を維持していく。

それだけでも精一杯。

そんな会社も少なくありません。

障がい者雇用に興味がないわけではない。

むしろ、
「できるなら雇いたい。」

そう考えている経営者もいると思います。

でも、
思いだけでは会社は回りません。

職場環境を整える時間。

仕事を教える時間。

設備を整える費用。

そのすべてを、
小さな会社だけで背負うことは簡単ではありません。

さらに近年は、
原材料費も光熱費も上がっています。

人件費も上がっています。

まずは今いる従業員の生活を守る。

それが経営者として最優先になるのも、
無理はありません。

だから私は、
障がい者雇用を進めるには、
企業の努力だけを求めるのではなく、

企業が挑戦しやすい環境を整えることも、
同じくらい大切なのだと思います。

小さな会社だからこそできること

猫たちがお掃除をしている画像

だからといって、
「難しい」で終わってしまうのは、
少しもったいない気もします。

最初から、
フルタイム雇用である必要はありません。

例えば、
開店前の清掃。

商品のシール貼り。

郵便物の仕分け。

簡単な軽作業。

仕事を少し切り分けるだけでも、
新しい働き方が生まれることがあります。

近年では、
週20時間未満の超短時間雇用という考え方も広がり始めています。

もちろん、
それだけで生活できるわけではありません。

でも、
働くきっかけにはなります。

「働けた。」

その小さな成功体験は、
次の一歩につながります。

在宅ワークも、
選択肢の一つです。

データ入力。

SNS運用。

デザイン制作。

文章を書く仕事。

通勤が難しい人でも、
自宅なら力を発揮できる仕事があります。

地方だからこそ、
ICTを活用した働き方には、
まだ大きな可能性が残されています。

そして、
企業は一人で悩む必要もありません。

ジョブコーチをはじめ、
支援機関には企業を支える仕組みがあります。

「どう接したらいいか分からない。」

その不安を、
企業だけが抱え込まなくてもいいのです。

就職はゴールではなく、スタート

猫たちが仕事場で楽しそうに働いている画像

障がい者雇用では、
「何人就職したか。」

どうしても数字が注目されます。

もちろん、
数字は大切です。

でも、
私はそれ以上に大切なことがあると思っています。

働き続けられることです。

就職できても、
数か月で辞めてしまえば、
本人も苦しい。

企業も苦しい。

支援する人たちも苦しい。

だからこそ、
就職はゴールではありません。

そこから始まる毎日を、
どう支えていくのか。

企業。

行政。

福祉事業所。

支援機関。

そして当事者。

誰か一人が頑張るのではなく、
地域全体で支えていくことが必要なのだと思います。

おわりに

猫市長が職員たちと会議をしている画像

久留米市が掲げる
「年間101人」という目標。

その数字には、
障がいのある人が地域で働き、
自立した生活を送れるようにしたいという、
行政の思いが込められています。

一方で、
目標を実現するためには、
企業が置かれている現実にも目を向ける必要があります。

「働きたい。」

その思いだけでは、
働くことはできません。

「雇いたい。」

その思いだけでも、
雇用は実現しません。

その間をつなぐ仕組みがあってこそ、
地域の障がい者雇用は前へ進んでいくのだと思います。

後編では、
企業の負担を減らしながら障がい者雇用を進める方法や、
超短時間雇用、
在宅ワーク、
ジョブコーチなどの支援制度について考えてみたいと思います。

ねこパンクロゴマーク

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

また後編でお会いしましょう。

ねこパンクでした。

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