【後編】障がい者雇用は「やる気」だけでは進まない ─ 久留米市『年間101人』の壁【ねこパンク】

くるっぱをかかげる猫たち

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ねこパンクロゴ

はじめに

前編では、
久留米市が掲げる「年間101人」という目標と、
その受け皿となる企業の現実について考えました。

「雇いたい。」

そう思っていても、

人手や時間。

経営の余裕。

さまざまな事情が重なり、
一歩を踏み出せない企業があります。

それもまた、
地方都市の現実です。

では、
障がい者雇用は、
このまま難しいままなのでしょうか。

私は、
そうは思いません。

最初から、
完璧を目指す必要はないからです。

小さく始める。

無理なく続ける。

その積み重ねが、
地域らしい障がい者雇用につながっていくのではないでしょうか。

今回は、
そんな「現実的な障がい者雇用」について、
考えてみたいと思います。

小さく始めるという選択肢

郵便局で働く猫たち

障がい者雇用というと、

「フルタイムで働く。」

そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。

でも、
最初からそこを目指さなければならないわけではありません。

近年、
全国で注目されているのが、
「超短時間雇用」という働き方です。

東京大学先端科学技術研究センターが提唱したモデルをきっかけに、
自治体や企業でも少しずつ導入が進められています。

参照元 : (東京大学先端科学技術研究センター 社会包摂システム分野 IDEAプロジェクト)IDEA PROJECTについて

障がいのある人が、
週に数時間から無理なく働き始められる仕組みとして、
新しい選択肢になっています。

例えば、

開店前の清掃。

商品のシール貼り。

郵便物の仕分け。

簡単な軽作業。

仕事を少し切り分けるだけでも、
新しい雇用が生まれます。

企業にとっては、
大きな負担になりにくい。

働く側にとっては、

「自分にもできた。」

そんな成功体験につながります。

もちろん、
週に数時間働くだけでは、
生活を支えることはできません。

でも、

働くことに慣れる。

自信を取り戻す。

職場との信頼関係を築く。

そうした時間は、
決して遠回りではありません。

そして、
本人が希望すれば、
少しずつ勤務時間を延ばしたり、
より安定した仕事へつないでいくこともできます。

超短時間雇用は、
ゴールではなく、

新しいスタートなのです。

 

地方だからこそ広がる働き方

パソコンで仕事をしている黒猫

もう一つ、
可能性を感じるのが、
在宅ワークです。

以前は、

会社へ通勤することが、

「働く」ということでした。

でも、
今は少し違います。

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、
テレワークは一気に普及しました。

それまで難しいと思われていた仕事も、
オンラインでできることが分かり、
働き方そのものが大きく変わりました。

パソコン一台でできる仕事が、
少しずつ増えています。

データ入力。

ホームページの更新。

SNS運用。

動画編集。

デザイン。

ライティング。

体調に波がある人。

通勤が難しい人。

そうした人でも、
自宅なら力を発揮できることがあります。

企業にとっても、

設備を大きく変えずに始められるというメリットがあります。

地方だから難しい。

そう考えるのではなく、

地方だからこそ、

距離に縛られない働き方を広げられる。

そんな時代になってきているのかもしれません。

「分からない」は、一人で抱えなくていい

職場で説明を受けている黒猫

障がい者雇用について話をすると、

「何を配慮したらいいのか分からない。」

そんな声を耳にすることがあります。

それは、
決して特別なことではありません。

初めてなら、
分からなくて当然です。

厚生労働省では、
企業と障がいのある社員の双方を支援する
「職場適応援助者(ジョブコーチ)」制度を設けています。

参考元 : (厚生労働省) 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援について

ジョブコーチは企業を訪問し、
障害特性を踏まえた仕事の教え方や、
職場でのコミュニケーション、
職場環境づくりなどを支援し、
「働き続けられる職場」を一緒につくっていく役割を担っています。

仕事の教え方。

職場での困りごと。

本人とのコミュニケーション。

企業と本人の間に入り、

「どうすれば長く働き続けられるか。」

その視点で、
一緒に考えてくれます。

障がい者雇用は、

企業だけの努力で成り立つものではありません。

行政。

福祉事業所。

支援機関。

それぞれが役割を持ち、
企業を支える仕組みがあります。

「できない。」

そう決める前に、

「相談してみよう。」

その一歩が、
新しい雇用につながることもあるのです。

就職は、ゴールではない

新しい職場でパソコンワークをしている黒猫

障がい者雇用では、

「何人就職したか。」

という数字が、
どうしても注目されます。

もちろん、
数字は大切です。

しかし、
厚生労働省も、
障がい者雇用では
「就職」だけでなく「職場定着」を重視しています。

働き始めたあとも、
安心して働き続けられるよう、
ジョブコーチなどによる支援が行われているのも、
そのためです。

だから私は、

本当に大切なのは、
その先ではないかと思うのです。

安心して働けること。

困った時に相談できること。

「また明日も来よう。」

そう思える職場であること。

就職して終わりではありません。

そこから毎日が始まります。

もし、
環境が合わずに短期間で離職してしまえば、

本人もつらい。

企業もつらい。

支援する人もつらい。

だからこそ、

就職はゴールではなく、

スタートなのです。

数字だけでは見えない毎日を、
どう支えていくか。

そこに、

本当の障がい者雇用の価値があるように思います。

おわりに

猫たちが職場で頑張ろーって手を挙げている

前編では、
「年間101人」という目標と、
地方都市が抱える現実について考えました。

そして後編では、
その現実の中で、
何ができるのかを考えてきました。

週に数時間から始める。
在宅という働き方を活用する。
支援機関と一緒に取り組む。

どれも、
劇的な方法ではありません。

でも、
障がい者雇用は、
一度に大きく変わるものではないと、
私は思うのです。

一人が働き始める。
その姿を見て、
また一社が挑戦する。

その積み重ねが、
地域を少しずつ変えていきます。

久留米市が掲げる
「年間101人」という目標も、
就職者数を達成すれば終わり、
というものではないはずです。

大切なのは、
就職した一人ひとりが、
一年後も、二年後も、
「ここで働き続けたい」と思えること。

そこまで考えて初めて、
目標は意味を持つのではないでしょうか。

障がいがあっても、
自分に合った働き方を選べる。
企業が、
「一緒に働いてよかった」と思える。
そして地域が、
障がいのある人が働く姿を、
当たり前の風景として受け入れていく。

そんな社会を目指したいと思います。

障がい者雇用は、
誰かを助けることだけではありません。

地域で暮らす一人ひとりが、
それぞれの力を発揮できる場所を
増やしていくことです。

年間101人。

その数字の先には、
101通りの人生があります。

一人ひとりに、
働く理由があり、
不安があり、
そして小さな希望があります。

障がい者雇用とは、
単に就職者数を増やすことではありません。

その希望が、
「働き続けられる毎日」へと変わっていくこと。

私は、
それこそが、
本当に目指したい障がい者雇用なのだと思います。

ねこパンクロゴマーク

最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。

ねこパンクでした。

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