「子ども用車いす」を知ってほしい―マークに込められた思い

子ども用車いす

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 皆さんは、「車いす」といえばどんなものを想像するでしょうか。

 おそらく、たいていの人は病院で使われているような大きな車輪がついたものを想像するはずです。実際に街中や病院でそういった車いすを見かけたり、けがや手術などで使った経験がある人もいるでしょう。

 では、「子ども用の車いす」は、一体どんな形をしていると思いますか?

 すべての車いすが病院の車いすと同じ形、というわけではありません。子どもが使う車いすには、一般的にイメージされる車いすとは違う形をしたものもあるのです。

これは「ベビーカー」じゃない―誤解されやすい車いす

 難病や障害を抱えた子どもが使用する車いすには、「バギータイプ」という種類のものがあります。このバギータイプの車いすは背もたれが大きく、角度が調整できるようになっているのですが、一見するとベビーカーによく似た外見をしています。

 バギータイプの車いすはベビーカーと比べて大きく頑丈なため重量も重く、片手で持ち運ぶことは難しくなっています。また、バギータイプの車いすを利用している子供は首が据わっていなかったり、体幹が弱かったり、車いすに医療機器や栄養剤などを積んでいたりと、車いすから離れられない事情があるのです。

 しかし、バギータイプの車いすがあることは、世間にはあまり知られていません。そのために車いすをベビーカーと間違われて、「邪魔だからベビーカーを畳んで」「そんなに大きい子どもをベビーカーに乗せるなんて」と心ない言葉をかけられたり、車いすが入れる場所でも「ベビーカーはだめです」と断られたりする事例が多いようです。

子ども用車いすを知ってほしい―啓発のための活動

 バギータイプの車いすと、車いすが必要な子どもたちのことを知ってもらいたい―

 そんな想いから、子ども用車いすの啓発活動を行っている人達がいます。

 一般社団法人「mina family」は障害のある子どもを持つ母親が設立した団体で、子ども用車いすのマークや啓発ポスターを作成し、より多くの人に子ども用車いすを知ってもらうためにさまざまな活動をしています。

 また、国土交通省でも子ども用車いすの啓発用ポスターを作成したり、SNS上では子ども用車いすを紹介する投稿がされたりと、子ども用車いすの認知と理解を広める活動の輪は少しずつ大きくなっています。

車いすが必要な子どもと、その家族のためにできること

 子ども用車いすを使う子どもは車いすがなければ外出することはできませんし、子ども用車いすは普通の乗用車に乗せられないため、移動の際にはバスや電車を使う場合が多くなっています。また、子ども用車いすは高価なので、病気や障害があっても助成金がもらえない子どもはベビーカーを車いすの代わりに利用していることもあるそうです。

 どうしても車いすを使わなければならない事情があるのに、理解してもらえず周囲から責められたり冷たい目で見られたりする…そんな現状に、障害のある子どもとその家族はつらい思いをしています。

 しかし、子ども用車いすのことがもっと知られれば、車いすを使う人達が周りの人の誤解によって傷つくことは少なくなるかもしれません。

 車いすを使う人は周りに配慮して、周囲の人はそれを温かく見守ってくれる。そんな優しい社会に変えていきたい―子ども用車いすマークには、そんな気持ちが込められています。

参考元:mina family livedoor news

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