-正しい情報発信やつながりを求めて-KIF1A関連神経疾患家族会『たこやきの会』会長 織田菜々子さんインタビュー【前編】

正しい情報発信やつながりを求めて KIF1A関連神経疾患家族会『たこやきの会』 会長 織田菜々子さんインタビュー 前編

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この度、KIF1A関連神経疾患家族会たこやきの会』会長の織田菜々子さんと副会長の元木里奈さんにインタビューさせていただきました!

織田さんの息子さんは「目が動くものを追う動きが他の子と違う」と4ヵ月健診で指摘され、二度の遺伝子検査によりKIF1A(キフワンエー)関連神経疾患の確定診断を受けました。

診断を受けて間もない頃に「先天異常症候群をもつ子と家族の支援システム(GENIE、ジーニー)」に登録。そこで副会長の元木さんを含む4つの当事者家族と出会いました。

その後、2025年6月にKIF1A関連神経疾患の当事者の交流や支援に繋げるために家族会『たこやきの会』を立ち上げました。

今回のインタビューを通じて、家族会『たこやきの会』の活動や、KIF1A関連神経疾患の息子さんのこと、クラウドファンディングを終えての心境などを伺いました。

今回お話を伺ったのは、翼祈、島川です。

ぜひ前後編併せて最後までご覧になってください!

KIF1A(キフワンエー)関連神経疾患とは?

翼祈:KIF1A(キフワンエー)関連神経疾患のことを聞かせていただけませんか? 

また、『たこやきの会』様に参加されている方には、どのような症状がありますか?

織田さん: KIF1A(キフワンエー)関連神経疾患は、遺伝子変異により、神経細胞の中で物質を運ぶ役割をもつKIF1Aというたんぱく質の働きが妨げられ、 様々な症状が起こる希少疾患です。

主な症状としては、以下のようなものがあります。

・発達の遅れ

・知的障害

・低緊張(身体に力が入りづらく適度な緊張を保つことができない)

・痙性対麻痺

・けいれん

進行性であること、そして脳の小脳という部分が小さくなってしまうことが、1つの大きな特徴とされます。

また、視覚障害により、目が見えづらい方が多いです。

私の息子も視神経が萎縮しています。全く見えない子もいますし、成長につれ徐々に視力を奪われるような症状が出ている子もいます。

KIF1A(キフワン)遺伝子の異常で起こる病気の症状

引用元:(KIF1A関連神経疾患家族会 たこやきの会) KIF1Aとは

KIF1Aのイメージ画像

公式Instagramより

息子さんに疾患が判明した時のこと

翼祈:織田さんの息子さんがKIF1A(キフワンエー)関連神経疾患だと確定診断を受けるまでのことについて、聞かせていただいてもよいでしょうか?

織田さん:生後4ヵ月ぐらいの時に追視(目でものを追えるようになること)がなかなかできないことをお医者さんに指摘を受けたことが、1番初めでした。

その後も、通常の発達の過程を追うことがなかなかできず、悩んだ末、生後7ヵ月の時に、市の保健師さんに相談をしました。

その際に、息子の身体に障害や病気がある可能性についてご指摘を受けて、病院で様々な検査をしました。

生後7ヵ月ぐらいから検査をし始めましたが、この病気が何なのかを掴めませんでした。

最後の砦で、1歳2ヵ月の時に、2回目の遺伝子検査をして結果が分かりました。

翼祈:息子さんが診断を受けた時にはどのようにお感じになりましたか?どのように障害受容されたのですか?

織田さん:生後4ヵ月の時から10ヵ月以上「この子の病気は何なんだろう」と思い、知りたい気持ちでしたので、教えてもらった時点では「やっと病名が分かって良かった」と思ったのが正直な感想です。

息子は2歳(取材時)ですが、まだ腰も座っておらず、自分で座ることも立つこともできません。

また、おしゃべりができないので意思疎通も困難です。

家族会の活動をしていると、よくどのように障害受容したのかと聞かれますが、息子の障害を完全に受け止めきれているのかと言われると自信がありません。

病気とは向き合っていても、症状が進行していく将来や、このまま歩けない、話せないままかもしれない未来に対して、不安を感じたり、受け止めきれないような気持ちになることは多々あります。

診断を受けるまで時間も労力もかかりましたし、たくさんの葛藤がありましたが、病名が判明するまでにかかった期間だけで見ると、多分息子は早かった方です。会員の中には10年以上かけてようやく診断を受けた方たちもいらっしゃいます。

そのような親御さんたちのことを考えると本当に多くのご苦労があったんだろうなと思います。

診断と治療は?の説明文
遺伝子解析の種類

公式Instagramより

たこやきの会立ち上げまでの道のり

翼祈:2025年6月に、KIF1A(キフワンエー)関連神経疾患家族会 『たこやきの会』が立ち上げられましたが、その背景を伺ってもいいでしょうか?

織田さん:息子が診断を受けたのは、2024年7月でした。

その時はインターネットで検索しても、ほとんど日本語で疾患についての情報がなく、SNSで呼びかけても日本人で同じ病気の人を見つけることはできませんでした。

そのような同じ病気の人たちとのつながりがないままで、子どもを育てることに不安や孤独を感じ、やはり同じ境遇にいる人達とお話をしたいなと思うようになりました。

また、子どもの未来を想像した時に、こんなに親子で孤独な状態でやっていて、私がいなくなったら、この子の疾患や障害のことを適切に理解し、支援に繋げてくれる人はいるのだろうかと不安に思いました。

そのような中で、親がいてもいなくても、子どもが安心して成長して、社会で生活できる環境を整えてあげたいと思いました。 

翼祈:都立小児総合医療センターが運営の「先天異常症候群をもつ子と家族の支援システム(GENIE、ジーニー)」に登録し、4つの当事者家族と出会ったと伺っています。

自分の家族以外の当事者家族に初めて出会えた時、どんなことを感じましたか?

織田さん:東京都立小児総合医療センターや兵庫県立こども病院などが共同で、同じ疾患の子達を繋げてくれるピアカウンセリングシステムGENIEを運営しています。

同じ病気の人と会うために、GENIEに連絡し、10ヵ月ほど経った後に、ようやく元木さん含め4人の家族の方達と会うことができました。

その方達と会った時に、やはり子ども達が社会で安心して生活するためには、1つの団体を作った方がいいという想いが強まり、家族会を立ち上げました。

補足

KAND(KIF1A関連神経疾患)が初めて報告されたのは2011年です。

日本での正確な患者数は明らかになっていません。

世界では、約550家族が患者団体KIF1A.orgに登録されています。

悩みや治療法、課題について

翼祈:『たこやきの会』様に参加されている当事者の方やご家族からは、どのような悩みを聞くことがありますか?

織田さん:会員の皆様とはLINEグループを作っていて、日常生活で困ったことがあるときや、他のご家族のお話を聞きたいときなどに、気軽に情報交換をしています。

ほとんどの子が肢体不自由で、歩くことができない、もしくは難しい子達です。

日常生活を送る上で保育園に行ったり学校に行ったり、ご飯を食べさせたり、お風呂に入らせることも、普通に身体が動かせる子と比べると難しいです。

LINEでは、どうしたら快適に子ども達が過ごせるよううまくサポートできるかというお話をしたり、リハビリや治療のこと、福祉サービスについての相談をしたりします。

翼祈:専門家の方が、「早期の療育やリハビリが重要。」と言われていました。

実際に患者さんは、どのような療育やリハビリを受けているのでしょうか?

織田さん:根本的な治療は未確立ですが、仰るように投薬、療育、リハビリなどが大切です。

ほとんどの子が理学療法を受けています。他にも手先の動きを訓練する作業療法、飲み込む力や言葉の発達などを支援する言語聴覚療法などを受けています。

元木さんのご家庭では、訪問マッサージなども受けて、身体に適切な感覚が入るようになりました。

翼祈:KIF1A(キフワンエー)関連神経疾患の様な希少疾患の抱える課題には、どのようなことがあるとお考えですか?

織田さん:希少疾患である為に、疾患に対する日本語の情報がどうしても少ないことが、まず最初の課題だと思います。

医療関係者の方達でも、疾患名をご存知の方は珍しいです。そのため、疾患名にたどり着くまでに時間がかかったり、適切な診断を受けることが難しい場合があります。

また、情報が少ないことから、社会的な理解や支援が少ないことも課題です。

希少疾患ゆえに、日常生活の中で同じ病気の人を見つけることは非常に困難であり、当事者同士が繋がることも難しいことが課題です。

翼祈:どのような想いで織田さんが活動されているかを伺ってもよろしいでしょうか?

織田さん:「子ども達にとって住みよい社会を、今も将来にわたっても作ってあげたい」ということを自分たちの活動の軸としています。立ち上げ当初からずっと変わりません。

他の希少疾患の人達も、同じように情報がなかったり、孤独という課題を抱えています。

私たちの活動が何かしら他の希少疾患の方達にも、希望を与える活動ができたらいいなと、いつも副会長の元木さんと話をしています。

翼祈:日本では患者数が不明な中で、どの様にして当事者のご家族などを繋げていますか?

織田さん:立ち上げた時は5家族で始まって、今は14家族がこの会に参加しています。

はじめの5家族は、GENIEというシステムを使って出会った私や元木さんを含めた方です。

また、患者さんの事例報告を上げてらっしゃるお医者さんたちをインターネットで見つけ、お声がけをさせてもらって、患者ご家族に当会を紹介してもらったりして少しずつ会員数を増やしてきました。

翼祈:インスタでご家族のアカウントなども発信されていますね。

元木さん:私も個人のアカウントからインスタの発信をしています。

障害児がいる家族でも、日常をこういう風に前を向いて暮らしているんだと、同じような障害を持ったご家族に伝えたいという想いから始めました。

直接的な反響はありませんが、クラウドファンディングなどの時の応援であったり、皆さんと繋がっていると思っています。

たこやきの会のロゴについて

5個のカラフルなたこ焼きのイラスト

たこやきの会のロゴはこちらです。

翼祈:『たこやきの会』のロゴは、どのようなきっかけで今のものになったのでしょうか?
また、初めて見た方からは、どんな反応がありましたか?

織田さん:あのロゴは私の友人が作ってくれたものでした。

いくつか案をもらい、その中から最も私たちがしっくりきて、気に入ったものを選びました。

たこやきの会という名前やロゴも皆さんから愛していただいていまして、愛着を持って見てくれていると思っています。

翼祈:ホームページに、「たこ焼きにはタコやネギ紅しょうがなど、様々な具材が入っている。それぞれが異なる個性を持ちながら調和し、美味しい一品となるような多様な人々が関わり合い、お互いを支えあい、温かく支援の輪を築いていきます」と書いてありました。

皆さんに疾患のことを知っていただき、広めていく活動である意味が込められていて素敵だなと感じました。

また、ロゴのたこ焼きも、普通のたこ焼きの色ではありませんが、たこ焼きが輪になって繋がっていて、温かみや絆を感じられました。非常にデザインも可愛くて好きです。

織田さん:ありがとうございます。 嬉しいです。

活動を始めて感じたことや反応について

活動内容の紹介

翼祈:公式ホームページには、日本のみならず、世界のKIF1A(キフワンエー)関連神経疾患の研究成果などが掲載されていますが、初めて知った方や読んだ方からはどんな反応を頂けましたか?

織田さん:自分の息子が診断を受けた1年前は、日本語でまとまった情報が全くなく、私たちのホームページができるまでは、研究・学問としてKIF1Aとはどのようなものかという情報があるだけでした。

そのため、ホームページを作る時に、最もやりたかったことは、「自分が診断を受けた時に知りたかった情報を載せること」です。

ホームページの原稿は私が執筆したのではなく、私たちを支援してくださっている研究者や、医師の皆様、米国の患者団体に協力していただきました。

そのため、医学的にも正しい情報ですし、私たちのような一般の人たちがわかるような表現で書いてくださいとお願いをしたので、かなり読みやすく、理解しやすいものができたのではないかと感じております。

掲載内容については、ご覧になった医師、研究者の皆様からも、褒めていただきましたが、患者ご家族の方達に感謝の言葉をいただけたことが特に嬉しいです。

翼祈:医師などが『たこやきの会』に携わっておられることで、KIF1A(キフワンエー)関連神経疾患の知識や研究への理解が深まる部分が増えましたか?

織田さん:これまで医師・研究者の皆様と、オンラインセミナーや情報交換会を開催させて頂き、 素人ながらに色々と勉強させてもらっています。

当事者目線ですが、確実にこの疾患に関する知識が深まってきていると思っています。

KIF1A(キフワンエー)は日本人研究者によって発見された、神経細胞内で物質輸送に関わるモーターたんぱく質で、日本のKIF1Aに関する研究はトップレベルです。

しかし、KIF1A(キフワンエー)関連神経疾患自体は、あまり医師の方たちには認知度が高くなく、研究者の方達とお医者様のつながりも、今までほとんどありませんでした。

当会の呼びかけで研究者の方達も、お医者様達も私たちに協力すると言ってくださり、医師・研究者・家族会の3者で情報交換や意見交換をしています。

非常に良い相乗効果になっていると感じるので、医師、研究者の皆様との関係が今後も発展していければと思っています。

翼祈:『たこやきの会』を立ち上げる前と立ち上げた後で、当事者やご家族に、どんな変化を与えたと思いますか?

織田さん:元々会を立ち上げる時に、「2025年は、会の基盤作りをする年にしましょう」と元木さんと話をしていました。会員を増やしたり、研究者、医師の方と繋がっていき、私たちの会の土台を作ることをやってきた半年でした。

今まで同じ疾患の当事者とのつながりがないことで孤独な思いが私だけではなく、会員の皆さんにもあったのではないかと思います。

たこやきの会ができたことで、子どもの疾患に今まで以上に前向きに向き合えたり、子どもの疾患について、自分の言葉で伝えられるようになったり、社会とのつながりを深めるきっかけになれたかと思います。

私はこの会を通じて、会員の皆さんがやりたいこと、実現したいことを叶えられる場になればいいなと思っています。

KIF1A JAPANのロゴ

前編はここまでです。

後編はこちらから読めます。

 

公式ホームページ:https://www.kif1a.jp/

公式X:https://x.com/kif1a_japan?s=21

公式インスタ:

https://www.instagram.com/kif1a.japan?igsh=Zmh4aHBjY29jNW9t

公式Threads:

https://www.threads.com/@kif1a.japan?igshid=NTc4MTIwNjQ2YQ==

公式Facebook:

https://www.facebook.com/people/KIF1A-JAPAN/61578964832630/?ref=xav_pl_fb_external_link_ios

髪を結んでいる笑顔の女性一人

副会長の元木さん

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、薬害で糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、高眼圧症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。2026年1月15日、適応障害も発症。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。