“諦めないことが大事”難病SMAインフルエンサーMegさんの語る命がけの出産とこれからの夢【後編】

車いすの女性と寄り添う男性、保育器の中にいる管につながれた赤ちゃんの画像と、難病SMAインフルエンサーMegさんが語る命がけの出産、その先の夢 後編 あきらめないことで掴んだOIrihimeパイロットという夢。やりたいことを叶えた先にある、さらなる夢へというテキストと、夫婦と赤ちゃんの画像

この記事は約 14 分で読むことができます。


この度、難病SMAを抱えながら妊娠・出産を経験されたMegさんにお話を聞く機会をいただきました。
前編では、難病を抱えた状態で挑んだ妊娠・出産・子育てに関してのお話を伺いました。
後編では、最近分身ロボットの『OriHime』のパイロットに合格されたそうで、どんなお仕事をしているのか、現在の心境や今後の活動について併せて伺えればと思っております。
ぜひ最後までご覧ください。

「絶対に諦めない!」4年越しに掴んだ夢『OriHimeパイロット』

島川:このたびOriHimeパイロットに合格されたという事なのですが、その事についてお伺いしてもよろしいですか?

Megさん:まずOriHimeパイロットについて説明します。
『分身ロボットOriHime』はコンパクトサイズの丸っこくて見た目も動きも可愛らしいロボットです。それをインターネットで繋いで、イヤホンを付けてマウスとキーボードを使って自宅からお話できます。
OriHimeにはカメラが付いていて、向こう側の風景やお客様の顔が全部見られます。
なので、誰が来たかとか日本人か外国人かも全部分かって、自宅に居ながら自分の意識を飛ばして、あたかもその場所にいるかのように遠くの方と会話が出来る…まさにファンタジー世界を現実で体現しているかの様な感覚です。
OriHimeパイロットになるにはまず書類選考があって、合格したら面接があるのですが、その書類選考がなかなか通らないんです。

私は最初のOriHimeの常設店のカフェが出来る前、テレビの取材を受けて「今後、OriHimeみたいな分身ロボットがどんな風に普及していったらいいと思いますか?」と質問された時に、「居酒屋で分身ロボットが働けたら…」なんて言っていました。
その時からOriHimeパイロットをやりたかったのですが、年数が経つにつれてどんどん有名になって、年々ハードルが上がっていきました。
私もこれまで分身ロボットカフェを3回受けたのですが、3回とも不合格でした。
それだけみんなこの仕事がしたいのだと思います。
有名なのもあると思うのですが、やはり自宅に居ながら仕事が出来るという利便性が大きいと思います。
当事者だけではなく、障がいを持ったお子さんがいるお母さんなど何らかの理由で外出困難な方も受けられるので、本当に狭き門なんです。
それでも私は「OriHimeパイロットになりたい。OriHimeパイロットとして働きたい。」と、ずっと口に出して言っていたんです。
OriHimeを開発されたオリィ研究所に仲のいいスタッフの方がおられるのですが、その方にお会いするたびに「OriHimeで働きたいんだけどさぁ…」ってず~っと言っていました。
「担当じゃないから…」って言われたんですが、それでもず~っと言っていました(笑)
今回はカフェではなく東京都庁の新事業の方に応募しました。
「私じゃないと出来ませんよ!」というぐらいの勢いで強気に書いたら、通算4回目にしてようやく合格できました。実に4年越しでした。
私の辞書に『諦める』という言葉は存在しないのです。
そして『言霊』というのは本当にあるのだなと思いました。
この間、先ほどお話したオリィ研究所の方のfacebookで誕生日の投稿があったのですが、「OriHimeパイロットになれましたよ!」とコメントしたら、ハートをもらえました(笑)
今は東京都庁の南展望室に来られた観光客の方々に、展望台からの景色などを案内したり、お話したりする仕事をしています。

島川
:実際に働かれてみての印象はどうですか?

Megさん:めっちゃくちゃ楽しいです!もう楽しいしかないですね!
展望室に来られる方の9割が外国人の方なので、基本的に英語で接客しています。
実は元々英語の勉強をしていて、英語の教員免許も持っているのですが、ここで働くようになってから、生きた英語がだんだん戻ってきて、毎日が本当に充実しています。
外国の子供たちに話しかけられてよく一緒に遊んだりするのですが、それがまた楽しいんです。
私は息子が保育園に行ってる間に働いてるのですが、自分が『母親』だけではなくて、『母親以外のまた違った立場』になれるのが、ストレス発散にもなって、凄くありがたいと思っています。
特に今、子育て中のお母さんなどは、家事育児ストレスの解消にもなりますし、1時間でも2時間でもいいので、家事や育児以外の時間があって、更にそこからお給料がもらえる、『自分の居場所』が本当に必要だと思います。

OriHimeは今、英語の教科書にも載っているらしいです。
山口から来た修学旅行生の子達に「教科書で見たことある」と言われたのですが、そのぐらい、世間的にも広く認知されてきています。
日
本の企業にも取り入れたいということで、今はまだ海外よりも日本を拠点に普及させていきたいというのが東京都の方針なんです。

島川:これから、OriHimeパイロットとして、チャレンジしてみたいことはありますか?

Megさん:その事業自体が半年契約と凄く短く、3月末で終了しちゃうんです。
なので今、色々と企画書を出していてなるべく爪痕を残したいなと思っています。また、東京都の方とお話する機会もありますので、OriHimeの使い方の提案もしています。
あとは接客で使う英語を勉強したり、英語圏以外のお客様もいらっしゃるので、スペイン語、フランス語、ドイツ語などの他言語も勉強したり、東京都庁周辺に何があるのか頭に叩き込んだり、「私が居た方がいい」と思ってもらえるようなアピールをしています。
今の仕組みでは、普通に面接を受けると、見た目で落とされる確率が高くて、そもそも重度訪問介護を使って仕事ができません。
しかも進行性の病気なので、どんどん症状も悪化していくし…体が痛いとか雨だと通勤できないとか、色々と制限があるので、会社に通うのも非常に難しいです。
だからこそこういう働き方が、どんどん増えていってほしいと強く願っています。

アンチさえも追い風に!未来を描くMegさんの今後の人生設計

島川:今後、どんな事を発信していきたいですか?

Megさん:まずは子育てについてです。
重度障がい者が子供を産むことに対して、一度記事にしていただいたことがあるのですが、アンチコメントが凄く多かったです。
アンチコメントは減らないとは思いますが、見方を変えるとそれだけ興味があって見てくれてる方がいるということですので、「もっと重度障がい者が出産、子育てをしやすい環境作りをしていきたい」と思っています。
そのためには、まず自分が経験してきたことを発信することがいいと思っています。
また、私はSMAのⅡ型なのですが、私自身に合う薬がありません。同じような状況の方が他にもいるらしいので、そのことも発信していきたいと思っています。
できる人が行動を起こさないと何も変わらないと思うので、発信活動を続けていきたいと思っています。
パソコンの環境も整えたので、noteやYouTubeなど、やりたいことはいっぱいあるし、コラボしたい人もいるのですが、手が足りないと言うか、『私』が足りない状況です。
旦那さんも今、重度訪問介護の仕事をしてて、夜勤とかあるので忙しくて、自分でやるしかありません。息子との時間もちゃんと作りたいし、どうしたらいいか困っています。

先日久々にnoteを更新したのですが、長文が苦手な人でもストレスなく読めるような文章を書きたいので、今の書き方を変えるつもりはありません。
長文を読むのが苦手な友人がいるのですが、「あなたの記事なら読める」と言ってくれるので、今後も自分のスタイルを貫いていきたいです。
ほかには、リアルの場で講演会をしてみたいです。
話を聞きたいと思ってくださる方がいるのならば、どこにでも行きます!
最終的には本を書きたいと思っています。
自分の人生は波乱しかなかったので、何巻に渡るか分かりませんが、本を書きたいです。

島川:すてきな夢ですね。
もし本を出される時は、その宣伝もぜひ一緒にやらせてください。 

Megさん:その時にはぜひ、帯を書いていただきたいです。

島川:最後に、この記事を読んでいる方々に向けてメッセージをお願いします。

Megさん:私はやりたいことは実現させることに意味があると思っていて、実現させないと気が済まない性格なんです。
ちゃんと人生の設計図を頭の中で描いていて、何年後に結婚して、何年後に子供を産むとか…そういうのを全部頭の中で計算しながら生きているんです。
今のところは私が描いた通りの人生設計になってます。
夫もついてきてくれていますし、とにかく私は何事に関しても、絶対無理だと周りに言われても、『諦めないこと』が大事だと思っています。 
ずっとそれを想い続けることで、OriHimeパイロットにもなれたし、結婚して子供も授かりましたし、夢を叶えてきました。
私は重度障がい者なので、いつどうなるか分かりません。
だからこそ、諦めてしまったら結局自分が後悔するだけなので、行きたいところには行って、やりたいことはやって、後悔のない人生を送りたいんです。
この記事を読んでくださっている皆様にも、後悔しないような人生を送って欲しいと願っています。

島川:素晴らしいメッセージありがとうございます。

くまくまパパ:貴重なお話をありがとうございました。
最後に語られた『絶対に諦めない』事って本当に大事なのだなと感じました。私も視覚障害を患ってから出来なくなったことが増えたのですが、出来ないことを数えるより出来ることを探す…出来ない理由を探すより、やりたい理由を見つけていこうと改めて思いました。

島川:本日は素晴らしいお話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました。

インタビュー、編集を終えて…

いかがでしたか?

『絶対に諦めない』というMegさん…
その意志の強さで数々の夢を叶えている…感服しますね。
ただそれよりも、頭の中で事細かな人生設計を立てて、しかもその設計通りに夢を叶えていっている…健常者や障がい者関係なく『人として』尊敬に値します。まさに『有言実行』…これを出来る人は健常者の方でも少ないのではないでしょうか…凄くカッコいいのですヽ(・∀・)ノ

さて、長々と語ってしまいましたが今回の記事はここまででおしまいです。

AKARIの読者の皆様、たった一度きりの人生…後悔のない人生を共に歩みましょう。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

気になる言葉たち

OriHimeパイロット 本文へ戻る

OriHimeにはカメラ・マイク・スピーカーが搭載されており、インターネットを通して操作できます。学校や会社、あるいは離れた実家など「移動の制約がなければ行きたい場所」にOriHimeを置くことで、周囲を見回したり、聞こえてくる会話にリアクションをするなど、あたかも「その人がその場にいる」ようなコミュニケーションが可能です。
引用元:(OryLab(オリィ研究所)テクノロジーの力で「不可能を可能に変えていく」)分身ロボットOriHime PRODUCT

自分の身体は自宅のベッドにあっても、ロボットの目を通して遠くの景色を見る事ができ、ロボットの腕を通して大切な人に手を振る事もできる……

心のワープ:体は動かせなくても、心は都庁やカフェにワープしている感覚。
魔法の依代よりしろ:ロボットという「器」を借りて、現実に魔法をかけるような働き方。
距離の消失:たとえ100km先でも、手を伸ばせば届く距離になる不思議。

それはまるで、自分の分身を別の場所に飛ばして活動するようなアニメの世界を、テクノロジーの力で実現したかのような不思議な体験です。
物理的な距離や身体の不自由を飛び越えて、心だけが自由にはばたく。 画面越しに「見る」だけではなく、その場所に自分の「存在」を届けることができる。そんな「未来の当たり前」を先取りして体現している人たち…それこそが「OriHimeパイロット」なのです。

東京都庁の新事業 本文へ戻る

東京都では都庁展望室等において、スマートフォンやパソコン等を通じ遠隔で
操作できる分身ロボット「OriHime」により、外出困難な重度障害のある方等が
在宅から案内業務を行います。
この案内業務の実践を通じて、障害のある方を含むすべての方が、最大限
自分が持つ力を活かすことができる働き方の実現を目指します。
引用元:(東京都)分身ロボットを活用した新たな働き方の支援事業/2025.2/PDF

重度障がい者等の外出困難者の雇用促進を目的とした、東京都の新たな就労モデル…分身ロボットの活用による就労支援事業。
在宅でOriHimeという分身ロボットを遠隔で操作し、都庁舎の案内業務などを行う新しい働き方です。

重度訪問介護 本文へ戻る

重度訪問介護とは、重い障害があり、日常生活のほぼすべてに支援が必要な方が、自宅で安心して暮らし続けるための障害福祉サービスです。
食事・排せつ・入浴などの身体介護だけでなく、見守りや外出の付き添い、医療的ケアの補助まで、長時間・包括的に支援できるのが大きな特徴です。
引用元:(一般社団法人さくらいふ総合研究所)重度訪問介護とは何か|利用できる人・サービス内容・誤解されやすいポイント│仕事と介護の両立|親の介護で限界になる前に

要するに、重度訪問介護は「生活」を支えるための制度です。
「就労で恩恵を受ける企業自身が支援を行うべき」というのが国(厚生労働省)の基本的な考え方でした。
そのため、かつては「仕事中や通勤には使えない」という大きなルールがあったのです。「働くことで利益を得るのなら、その支援は会社がすべき…税金(社会福祉サービス)は使いませんよ」という理屈です。
24時間の介助が必要な方を雇う際、企業がその全額を負担するのは現実的に非常に厳しく、結果として「働きたいけど、介助費用がネックで雇ってもらえない」という悪循環を生んでいました。
ですので、「働きたい!」という意欲があっても、介助がなければパソコン操作もトイレもできない重度障害者にとって、このルールは大きな壁となっていました。
しかしながら、Megさんが挑戦している「東京都の新事業」などは、まさにこの壁を壊すための挑戦。テクノロジーと新しい制度を組み合わせることで、「重度障害があっても、介助を受けながら当たり前に働く」という未来が、今まさに始まろうとしているのです。自治体が主導してこの壁を乗り越えようとする取り組みは、社会を変えるほどの大きな影響があると信じてやみません。

参考元:(ヘルパー会議室)【一覧表あり】重度訪問介護の「できないこと」16選 | 

SMAの分類 本文へ戻る
分類発症時期身体の症状
Ⅰ型
(重症型)
生後6ヶ月までに
発症
支え無しで座るのが困難。
Ⅱ型
(中間型)
生後6ヶ月以降
18ヵ月未満
支え無しで座る事は出来るが自力で立つ事、歩く事が困難。
Ⅲ型
(軽症型)
生後18ヶ月以降
二十歳未満
自力で歩く事は出来るが成長とともに転びやすくなる。
Ⅳ型
(成人型)
二十歳以降自立して生活できる。進行は緩やかで徐々に筋力が落ち始める。
難病情報センターホームページ(2026年01月現在)を参照
参照元:( 公益財団法人 難病医学研究財団)難病情報センター
※サイト内検索→「SMA」もしくは「脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんしゅくしょう)
50音索引で探す場合は「さ行」→「脊髄性菌縮小(せきずいせいきんいしゅくしょう)」
告示番号索引で探す場合は「1~」→「3」で探せます。


それぞれの症状に合わせて新薬が開発されつつあるものの、効力には個人差があり、Megさんのように現在の新薬では十分なアプローチが難しい方々も確かに存在するみたいです。こうした方々に光を当てたいという強い思いでMegさんは今も『発信活動』に尽力しておられるのだと思います。

関連記事

以前お話を聞いた際は、ご自身のSMAの症状についてや、親御さんとの関係、パートナーの方との出会いについてや、お子さんの希望について話をいただき、難病による社会生活の制限や、社会の側に感じる壁に正面から向き合う姿に非常に感銘を受けました。

→HOME

車いすの女性と寄り添う男性、保育器の中にいる管につながれた赤ちゃんの画像と、難病SMAインフルエンサーMegさんが語る命がけの出産、その先の夢 後編 あきらめないことで掴んだOIrihimeパイロットという夢。やりたいことを叶えた先にある、さらなる夢へというテキストと、夫婦と赤ちゃんの画像

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です