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この度、障がいをお持ちの方とご家族の「ありのままの姿や日常」を写真に残す『muikku』(2020年8月設立、福岡県北九州市中心)の上原藍さん、入江亜矢子さんにインタビューしました!
社会福祉士・フォトグラファーの上原さんと、医療従事者の入江さんが主体となり、医療的ケアの様子も隠さずに撮影することを理念としています。
最長半年におよぶ入念な事前打ち合わせで、撮影される方の心身の状態を深く理解し、当日のリラックスした撮影を実現。成長の記録と家族の絆を写真に残し、2026年には第4回muikkuマルシェを開催するなど、地域に根差した活動を展開しています。
お話を伺ったのは、翼祈、島川です。
ぜひ最後までご覧になってください!
『muikku』の立ち上げの経緯やビジョンについて
翼祈:『muikku』の立ち上げには上原様の忘れられない経験が影響しているとお聞きしましたが、どんな経緯があったのでしょうか?
上原さん:私には長男と娘の3人の子供がいて、1人目の息子は普通の子で、写真がたくさん残っていました。娘は医療的なケアが必要な状態で、入院などでなかなか子供の写真を撮る機会がないまま、大きくなりました。
娘と同じ病院に入院している子供達が、長い期間退院できなかったり、そのまま亡くなっていく実態を目の当たりにし、その子供たちにも、家族写真を残す機会があるといいなと思いました。
また、娘がろう学校に通っていて、運動会が全学部一緒に行われるので、私が勝手に写真を撮っていて、その時に撮った写真をプレゼントしました。
その写真を見てとっても喜んで下さって、七五三の撮影の依頼をしてくれた人が入江さんでした。
翼祈:『muikku』が掲げているビジョンについて、お聞きしてもよろしいでしょうか?
上原さん:「写真撮影をした時間、撮影の時の笑い声そのものがご家族の明日の希望となります。そこには、当たり前にある幸せが日々あるということ、そのご家族の写真を通じて地域社会に伝えていくこと」が『muikku』の大切な役割だと思っています。
私も入江さんも子供に障がいがあるため、そのような障がいをお持ちの方とご家族もこの地域社会で当たり前に生きていることを写真を通して伝えていきたいです。
『muikku』として大切にしている価値観であり、それを伝えていく役割ができるのは私達にしかできないと思っています。
翼祈:『muikku(ムイック)』という団体名にはどんな意味や想いが込められているのでしょうか?
上原さん:muikkuはフィンランド語で、「はい、チーズ」という意味の掛け声です。
日本語の「無垢」という言葉ともかけています。覚えてもらいやすくて気に入っています。
翼祈:入江さんは『muikku』のロゴやカレンダーも担当していると聞きました。
上原様から見て、入江様のイラストに感じる魅力は何ですか?
上原さん:『muikku』のロゴは、結構皆さんにも周知されてきていて、『muikku』の特徴をぎゅっとまとめてイラスト描いてくれてありがたいと思っています。
撮影の際に大切にしていることについて
翼祈:『muikku』では、どんなことを大切に撮影されていますか?
上原さん:撮影前の打ち合わせは非常に大事にしているところで、打ち合わせを担ってくれているのが入江さんです。
入江さん:私が細かい調整をしている目的は、間をつなぐことでワンクッション置いて、ご家族から受けたご希望と『muikku』が大事にしていることとの擦り合わせを、時間をかけて行うためです。
皆さんにはできれば撮影の2週間前までにお申し込みをいただけると、ゆっくり打ち合わせができますので、そのようにお伝えしています。
日にちが決まっている撮影だと、半年前から撮影の申し込みがあるため、「大体このぐらいになったら打ち合わせを始めましょう、ご希望があれば教えてください」と、メールでやり取りをしています。
お外での撮影になると直前の天気が分かってこないと擦り合わせができない部分があるため、最終的にテレビ電話でやり取りをしながら打ち合わせをします。
撮影以外のことでも日常生活のこと、進学を控えている方だったら進学先のことや、今の様子などをうかがいます。最低でも30分、長いと1時間かかることもあります。
少しでも私達に会う時の緊張感がなく「あっ、知ってる人が来てくれて撮影してるんだ」と緊張感が無くなるように丁寧にお喋りをしながら打ち合わせを進めています。
『muikku』の特徴について
翼祈:『muikku』の特徴や強みは、どんなところですか?
上原さん:『muikku』には、障がいや疾患があったり、医療的ケアが必要な家族がいたり、保育士、看護師の方など、医療や福祉に関わる仕事をしている方が在籍しています。
こうした多様なキャリアを持つ方が集まっているのが『muikku』の強みであり、沢山のサポーターに支えられている団体です。
その分、他の写真撮影をされる方達よりも、撮影中に休憩を入れたり、相手の方がしんどそうでないかなど、気付けていると思います。
入江さん:『muikku』の前提として、障がいを抱えている方や、医療的ケアを必要としている方が撮影を希望されています。
それぞれの経験を踏まえて、様々な休憩やケアが途中で入ることを前提として撮影に臨むところは、『muikku』の強みであり、大事にしていることです。
翼祈:手話ができる方がいるそうですが、そのことで撮影を希望された方のお気持ちに添えますか?
上原さん:手話が必要になる方は、他の方が言葉で会話するのと同じように、手話でやり取りできるところを、希望されている方のお気持ちに添え、対応させてもらっています。
翼祈:写真撮影の際に、プロのメイクやヘアアレンジの方を手配されるそうですが、ご家族の方の反応はいかがですか?
上原さん:プロの方も、『muikku』の活動に賛同してくださっている方が遠方から来てくださったり、障がいを持っている方への経験がある方が来てくださっています。
触られることが嫌だったり、体幹が弱かったりでメイクが苦手な方は、お着物の着付けのところでは、身体を支えるのが大変なので、苦しくない様に配慮をしてくださいます。
対応してもらい、諦めていたことが実現されたことを、喜んでいただいています。
様々なお子さんへの写真撮影時の配慮について
翼祈:発達障害などのお子さんはじっとしていられなかったり、視線が合わなかったり、こだわりが強かったりします。その様なお子さんにはどんな配慮をして撮影されていますか?
上原さん:事前にご本人さんとご家族と事前に打ち合わせをし、なるべくパニックや癇癪が起こらないように配慮します。
目線が合わなくても、無理して合わせる必要はないという考えで撮影しています。
入江さん:初見の方が苦手、急に大きなカメラを向けられることに慣れていないお子さんは、いつもと同じ場所で、いつもと違うことすることを、なかなか最初から受け入れられないことがあります。
事前に私達の顔と、何をする人なのかを伝えておくことで「ちょっとでも知っている人、見たことある人」として記憶してもらい、カレンダーのこの日に来ることを話します。
ご家族に伝えて事前に伝えてもらうことで、ご本人が少しでも抵抗なく、撮影に臨んでいただきたいと思ってやっています。
その後も、日頃のご家族がその方にどのように関わりをしているかを聞き取りしながら「では、この方法でしてみませんか?」と、ご家族と相談をして決めています。
事前に打ち合わせをすることで、お子さんもご家族も安心感を感じて、ご家族の気持ちに沿った撮影、当日を迎えられると思っています。
翼祈:医療的ケア児のお子さんには、どんな配慮をされていますか?
上原さん:医療的ケア児は、お子さんの体調優先でやるため、撮影中でもケアは優先してやってもらえます。
医療的なケアは、お母さんたちにとって育児の一部ですので、『muikku』はケア中も含めて写真を撮ることを大事にしており、そのケアの様子も私たちは大切に撮っています。
翼祈:医療的ケア児のお子さんを撮影された時の印象的なエピソードはありますか?
上原さん:ケアをしている様子の写真を見せると、お母さんが「私ってこんなに優しい顔をしてるの?」と、驚かれていました。
お母さんもケアをしている様子は、きっと自分では見れないと思います。
自分がこんな表情をしていたことを客観的に見れて、いい思い出になっていると思います。
翼祈:『muikku』では、好きなものや苦手なこと、病気、成果などを先に聞いておくとお聞きしましたが、先に好きなものを知っていた時、どんなことが起きた時に役に立ちますか?
入江さん:好きなものを伺っておくと、その子の近くには、好きなものを撮影の日にご家族に持ってきて、好きなものを持った状態で撮影に臨みます。ご本人とご家族の安心材料として、撮影に取り込んでいこう、一緒に撮影に臨むグッズとして取り入れています。
翼祈:写真撮影の際に、ご兄弟のお写真を撮ることもあるかと思います。
その際はどのような工夫をされていますか?
入江さん:撮影の際、ご兄弟の方を「○○ちゃんのお兄ちゃん」、「○○ちゃんのお姉ちゃん、妹さん」ではなくて、ご自身のお名前を呼ぶようにしています。
そうすると、周りやその子達も笑顔になり、気持ちが向いてくれます。
思い出深い出来事について
翼祈:お写真を撮っていただいたご家族からは、どの様な反響や声をいただきますか?
入江さん:それぞれの撮影に様々な思い出があります。
例えばお母さんのまなざし、ご家族のありのままの姿を感じていくことを前提で撮影に臨み、いつもの様子を撮ってもらえたこと。
また「難しくても、写真を撮ってもらってよかった」というお声をいただいています。
翼祈:『muikku』は、2020年のコロナ禍から活動しています。コロナが明けてから数年経ちますが、当時大変だったことや、撮影の仕方に違いなどはありますか?
入江さん:1番大きな違いは、施設側からの受け入れ体制が変わってきたことでした。
コロナ禍の時は本当に厳しくて、「抗原検査の結果を持ってこないと入れません」ということもありました。
翼祈:2022年11月に難病指定を受けたお子さんの初の七五三の写真を撮られていた記事を読みました。その時の思い出について、お聞きしてもよろしいでしょうか?
上原さん:実は撮影開始の時間に、たくさん雨が降っていて、撮影が進むにつれて、徐々に晴れ間が出てきて、最後晴れて良い写真が撮れたとご家族喜んでくださいました。
お子さんに関しては、本当によくここまで成長したよねと、成長を確かめ合いながらの撮影にはなりました。
翼祈:撮影したお子さんや撮影をするはずだったお子さんが亡くなられた後も、家族で写真展に来られたり、連絡があることもあるとお聞きしました。
なぜ『muikku』はご依頼をいただいたご家族と縁が深いのだと思いますか?
入江さん:亡くなられたご家族がいる方は、いつまでもその方が胸の心の中にいて、「会いたい、話をしたい」というお気持ちは、ご家族はずっとお持ちだと思います。
写真展示をしたり、その方の記録が残っていると写真に会いに来てくれたりするのですが、写真撮影の時のことなど、思い出をお話されたいのではないかと思っています。
翼祈:以前撮影したお子さんが自分の写真を見つけて、指を差していた。
背が大きくなって鼻のチューブが抜けて、お絵描きも上手になって、お話もできるようになったことが嬉しかったとお聞きしました。実際に過去を知ってるからこそ、感無量な部分もありますか?
上原さん:そのお子さんに関しても、小さい頃から撮影をさせていただき、徐々に成長していく姿を見れるのは、見守っていても嬉しいと思います。
翼祈:2022年8月に『muikku』の初めての写真展が開催されて、フォトブックやコラージュ写真、製作サポーターの作品展示があったそうですが、どんなことが印象的でしたか?
上原さん:初めての写真展に、様々な方が足を運んでくださって、「インスタで見る写真よりも実際に写真をパネルで見る方が、命、生きていることをダイレクトに感じる」との感想を沢山いただきました。写真の持つ力は凄いと思いました。
翼祈:2023年からmuikkuマルシェを始めたきっかけや目的は何ですか?
またマルシェで行ったサービスや、その際の反応について聞かせてください。
上原さん:『muikku』は本当に沢山の方からご寄付をいただいて活動・運営をしています。
マルシェは、ご寄付くださった方、日頃から応援をしてくれている方、撮影を依頼してくれたご家族に対して、目に見える形でその恩返しができたらと思い始めました。
障がいをお持ちの方とご家族も地域社会で暮らしていることを実際に見て、知っていただく機会を作ることが目的です。
入江さん:様々障がいをお持ちの方とご家族、当事者の方達に協力してもらい、みんなが交流しながら時間を同じ空間で楽しめるマルシェをしています。
翼祈:muikkuマルシェの第1回目の先着入場者特典は、どのようなものだったのでしょうか?
インスタで拝見した時に、今年2026年が第4回目のチャリティーくじがありましたが、くじを引かれた方の感想とかお聞きしてもよろしいでしょうか?
入江さん:最初の入場特典にしていたものは、日頃ご協力いただいてるサポーターさんが「是非、皆さんに渡してください」と、マルシェにお持ちいただき、お客様に気持ちとしてお配りしました。
チャリティーくじは、私達マルシェで出店料とかいただいてない部分もあり、各店舗さんから景品を提供していただいて、引いたくじを持って提供していただいている店舗さんに実際に行きます。
1番の目的は行く予定がなかった店舗さんのところに行って、その場で会話が生まれたり、コミュニケーションが取れたらと思い、チャリティーくじを開催しています。
翼祈さん:2021年に会報誌「haju」の発行が始まった経緯や内容を教えて下さい。
入江さん:障がいをお持ちの方とご家族、医療的ケアを受けている方が地域で暮らしている様子を撮影していることを、様々な方に広く知っていただくために会報誌の発行を始めました。
会報誌では、ご寄付や応援をいただいて活動しているので、私達の活動の詳細や、成果についてのことを伝えています。
今後の展望やメッセージ
翼祈:上原さんや入江さん、『muikku』で今後叶えたい夢や、将来の展望をお聞きしてもよろしいでしょうか?
上原さん:病棟で入院している子供たちの撮影は、必ず叶えたい夢です。
本当に福岡には数多くの病院があるため、子ども病院さん、九州大学病院さんであったり、大変な子供たちがいるところに行って、撮影会ができたらと思っています。
入江さん:病棟撮影は上原さんと共有している夢です。
同じように夢を抱いている、『muikku』を利用してくださっている障がいをお持ちの方とご家族の皆さん、支えてくださっている皆さんは、本当に温かく見守ってくださっています。
私達があり続けることで繋がり、広がっていく輪もあると思いますので、できるだけ細く長く、皆さんのご縁を守っていきたいです。
翼祈:この記事で初めて『muikku』さん達のことを知った方もいます。
利用を考えている障がい当事者の皆さんに向けて、メッセージをお願いいたします。
上原さん:どんな障がいでも、ご相談いただければ撮影が実現できるように努力はしてまいりますので、お気軽にご相談いただけたらと思います。
感想
翼祈
両親が最初の七五三で、写真館に私を連れて行った時に、撮影を担当してくれた方が優しい男性だったのですが、顔が少し怖かったため泣いてしまい、撮影ができなかった経験を、お話を聞いて思い出していました。
muikku様は日常のことを切り取った写真を撮られておりますが、私自身、特に20代から30代にかけて、自分の写真を10年、15年以上撮影していません。
今思えば、両親の写真も、自分自身の写真も撮っていなかったことは、もったいないことだったと感じています。
過去に撮っていないものに関しては取り戻せなくても、今後、自分にコンプレックスがあっても、写真を残すことの大事さ、残すことでその後を振り返られることを今回のインタビューで感じました。
少しでも自分の写真を撮って、残していくことが自分、家族にも良いことをインタビューを通して感じさせていただきました。今回はありがとうございました。
島川
本当に皆さんの活動のお陰で、思い出が残せたご家族もたくさんいるのではないかと思いますので、引き続き応援させていただければと思います。
関連情報
公式ホームページ:
https://muikku-photo.amebaownd.com/
公式インスタ:
https://www.instagram.com/muikku6?igsh=MWZhb3loZGczM3k0OA==







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