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この度、障害当事者家族の視点から商品開発を行い、障害者の生活を支える、『つくるゾウ』の代表の松嶋慶子さんにインタビューさせていただきました!
代表の松嶋さんは、コロナ禍の時、ご自身の息子さんにマスク必須の中で、障がいの特性でマスクができないことが悩みでした。はじめは同じ様な悩みを持つ方に松嶋様が製作したグッズを無料で配っていてましたが、規模が大きくなり、2021年に『つくるゾウ』を立ち上げました。
『つくるゾウ』は、障がい当事者家族が主体となり、日常の困りごとを解決する商品の開発・販売を行っています。
前編では、人気商品である「ヘルプテープ」が実際に災害現場で活用され、被災者が100個切り離せることで各自の悩みを書き、救えたことなどについて詳しく伺いました。
前編の記事はこちらです
後編では、人気商品「まいごふ」が複数のバリエーションがあることで広がる活用法、なぜその文字と色を採用したのか、将来の『つくるゾウ』の理想像について伺いました。
今回お話を伺ったのは、翼祈、島川です。
ぜひ前後編併せて最後までご覧になってください!
「まいごふ」について
翼祈:『つくるゾウ』の商品で、『まいごふ』も人気だとお聞きしました。 どんな点が人気なのでしょうか?
松嶋さん:『まいごふ』が支持されている理由の一つは、これまで同様の商品がほとんど存在しなかったことだと思います。
『まいごふ』は、自力で帰宅することが難しい方のためのタグです。「1人でいたら迷子です」「保護または110番してください」といった具体的なメッセージを記載することで、本人が1人でいること自体が緊急性の高い状況であることを周囲へ伝えられます。
実際に、「気になっていたけれど、どう対応すれば良いか分からなかった」「声を掛けるべきか迷っているうちに見失ってしまった」という話を聞くことがあります。そこで、『まいごふ』には見つけた方が次に取るべき行動を分かりやすく記載し、迷わず対応できるよう工夫しました。
また、デザイン面にもこだわっています。タグには注意喚起の色として知られる黄色と黒を採用していますが、刺激が強すぎないよう、PANTONE 801の明るいイエローを選びました。遠くからでも目に留まりやすく、かつ見やすさにも配慮した配色にしています。
翼祈:『まいごふ』に関して、私が資料を拝見した時に書いてあったことが、障害者の方以外にも、例えば認知症の方だったり高齢者の方にも、良いと拝見しました。実際に『まいごふ』があることで、障害者のお子さんの事例で大きな事件、事故にならずに助かった事例も、あったそうです。『まいごふ』があることで、全然違うんだろうと思いました。
松嶋さん:『まいごふ』を付けていることで、周囲の方が「何か事情があるのかもしれない」と気付いてくださることが大きいと思います。
子どもの場合であれば、見かけた方が声を掛けたり、一時的に手をつないで待っていてくださるケースもあるかもしれません。
一方で、成人の場合は体格が大きく、保護することに不安を感じる方もいると思います。そのような場合でも、『まいごふ』に記載された内容や裏面の情報を見て、110番通報や保護者への連絡といった行動につなげてもらえる可能性があります。
見かけた方が「どうしたら良いのだろう」と迷うのではなく、具体的な対応方法が分かることが『まいごふ』の大きな役割だと考えています。
翼祈:商品名に込めた思いを聞かせていただけませんか?
松嶋さん:迷子になりません様に、無事帰れます様に、と、「迷子」、「MY」とお守りの「護符」を意味します。護符の「ふ」を選んで、『まいごふ』となりました。
翼祈:ネームタグと丸型のものがありますが、ストラップ型を2パターン展開にした理由を教えてください。
松嶋さん:最初は、ヘルプマークと併用されるとは思っていなかったのですが、実際Xで、ポストを見かけた時に、ヘルプマークの下に付けている、横に付けている、並んで付けている方が多くいました。
『まいごふ』自体は、 PVCでシリコン製で、重量は少しあるものです。 恐らくヘルプマークと同じ程度の重さで、結構重く、2つ付けることで、軽量にしようと考え、丸型から誕生しました。丸型の方は、ポリエチレンカーボネートで軽量で、ただ頑丈かどうかの観点では、シリコンの方が頑丈です。
丸型のタイプも作り軽量化を図りました。
翼祈:シールタイプも展開されていますが、ストラップタイプ以外にシールタイプがあることで、購入された方のニーズや活用方法も変わってくるのでしょうか?
松嶋さん:何処か遠出、外出すること、イベント、何処かに行く時に、鞄を放り出して出て行ってしまう子が多くて、そのような方に対して貼るタイプとなります。
服に貼ってお出かけしていただけると、1人でうろうろして、迷子になったとか何かがあった時に、すぐ分かるようになります。
翼祈:服とかに貼られている方とかもいるとお聞きし、商品の写真とかに載っていましたよね。服に貼って、見える様にできることはいいと思いました。
翼祈:ストラップタイプの『まいごふ』に、情報カードを2枚同封した理由を教えていただけませんか?
松嶋さん:単純に書きミス、誤字脱字、変更点があった場合用です。油性ペンで書くことで、誤字脱字をやりやすいと思って、足りなかった時の為に一応2枚は入れています。
翼祈:『まいごふ』は黄色い啓発ポスターも作られています。 啓発ポスターを作ったことで、『まいごふ』が必要な方に届けられる実感などはございますか?
松嶋さん:Xに上がっていたA4のチラシは、『まいごふ』を色んな人に知ってもらいたい想いで、簡易的なものでもいいので、とお知らせで作りました。
こういう商品がありますよと発信するため、作った経緯はありますが、基本的に予算が売り上げが全部開発費に回っている状態で、予算をかけたくないと枚数は刷っていません。
例えばお医者さんから自分のクリニックに置きたいと連絡が来た時に増刷しています。
翼祈:では、大々的にポスターを貼ってと言っているのではなく、枚数も印刷していないとのことですよね。
松嶋さん:『まいごふ』のお知らせを置いてもいいですよ、問い合わせが来た時に、では置かせていただきますと、その都度増刷します。
翼祈:用途用途に合わせてとのことですよね?
松嶋さん:お問い合わせの度に、の対応となります。

その他の商品について
翼祈:聴覚過敏の方向けの『おとなしール』は、シールが4枚同封されています。 これにはどんな狙いがあるのでしょうか?
松嶋さん:『おとなしール』に関しては、ヘッドフォンは丸みがあって、シールを貼るとシワになりますよね。
翼祈:なります。確かに剥がすのが難しく、少しはげたりもします。
松嶋さん:『おとなしール』は、クシャクシャになってしまう端を避けるために、必要な部分の文字だけが、引っ付いていく、転写式を採用しました。
私は「クシャクシャ」になるのが嫌で、綺麗につくように転写式を採用しましたが、転写式を使ったことがない人が多いとの問題が上がりました。
追加で予備2枚を3つを同封し、紙でもなんでもページ書式を書いて、気軽に貼ってそれでもまだ失敗してしまった時、まだ予備があります。
翼祈:練習に臨まれた上で、本番をヘッドフォンに貼り付ける方が多いとのことですか?
松嶋さん:1枚目に練習しましたとの声とかが多くいますし、一発で貼れて、残り2枚は剥がれてきたらもう1回貼ろうと言われる人もいます。
翼祈:『おとなしール』は、書いたイラストや文字にもこだわったとお聞きしました。このデザインを採用した経緯を教えて下さい。
松嶋さん:聴覚過敏シールは子供向けのデザインが多いことが、少し気になっていました。体つきが大きくなっても、動物系のデザインでは、実際に直に顔の周りに身に付けるものにどこか違和感を感じる方もいると思いました。音符の中に耳を塞ぐ手を組み合わせて、耳塞いでいますとのロゴで、モダンなタイプのデザインに仕上げています。
耳を、音を塞いでいますことと「苦手な音を防いでいます」というメッセージを書いたことで、聴覚過敏の人用のヘッドフォンですよと分かりやすくしています。
翼祈:視覚からも、良い音楽を聴いてるわけじゃなく、自分に聴覚過敏があることを周りの方からも、分かりやすい様にされていることですよね?
松嶋さん:そうですね。
翼祈:その他の商品で、カーマグネットには鼻がハートのパンダ。ストラップには猫。付箋は蝶をモチーフにしています。 『まいごふ』など、人をデザインした商品が多い中で、動物も起用した商品が開発されたきっかけを教えて下さい。
松嶋さん:実は順番が逆で、動物系が先になってピクトグラム系になってきています。
最初の方が、動物を起用した時は、子供が喜ぶと思い、動物をモチーフにしたものが使われています。 最近、特に動物を使う必要性を感じず、動物を使っていません。ピクトグラムを見やすさだけを追求したデザインになりました。
翼祈:今後、『つくるゾウ』が開発してみたい商品があれば、教えられる範囲で教えていただきたいです。
松嶋さん:開発は障害を抱える方が、身に付けられるタイプのGPSケースを開発しています。
翼祈:こちらは絶賛開発ということですか?
松嶋さん:そうですね。 今も少し考えています。
タイミングが合う度に、色々な方と話し合って詰めても、結構様々な特性に引っかかる付け方だと難しい話になり、今少し詰まっている状況です。
翼祈:GPSは便利ですが、様々な意味で難しい点もあるのですね。
松嶋さん:精度が高いGPSを付けようと思うと、重量が子供からするとかなりの負担になります。
そもそも身に付けること自体が嫌な子供もいるため、その気にならない様に、GPSを小型にして、外れない様にすることが1番のネックです。
翼祈:GPSは高度な技術だと思いますが、そのため金額的な面では、少し高くなったりしますか?
松嶋さん:私たちはGPSを開発してるわけではなく、他社さんの物を起用していて、GPSを入れるケースを開発しようと思っています。GPSが取り外されない様なケースを開発している段階です。
翼祈:通常価格が凄く上がるわけではなく、GPSのケースを作られているのですね?
松嶋さん:ただ外されないようにする仕掛けが入ったケースでは、どのような形になるのか、まだ最終形態が見えていません。価格が高額になるという可能性も、全くないわけではなく、まだ具体的にはお答えができません。
翼祈:外せないタイプだと、まず見つかったら駄目な部分があると思うので、難しいと思いました。
松嶋さん:私もそうですが、気になる方は重くて腕時計ができません。私自身がそうなので、感覚過敏の子は、もっと気になると思い、今試行錯誤はしています。
未来に向けて
翼祈: 松嶋様や『つくるゾウ』様が今後叶えたい夢や、将来の展望をお聞きしてもよろしいでしょうか?
松嶋さん:日常の中に障害があることで、困る場面がまだ多くあると思います。 ただ、ほんの少し周囲に伝える方法があることで、状況が大きく変わり使えないところが使えるようになります。
そして、生活が便利になったり、快適になったりすることが、増えるように少しでも助けられる様にこれからも『つくるゾウ』は、作り続けていきたいなと思っています。
翼祈:この記事で、初めて『つくるゾウ』さん達のことを知った方もいます。 障害当事者の皆さんに向けてメッセージをお願いいたします。
松嶋さん:色々と困りごとがあるかと思います。今当事者同士が案を出し合って作っている、『つくるゾウ』という団体があります。是非ご覧になって下さい。また、困りごとが思い付くことがあれば、是非ご連絡下さい。
感想
翼祈:私は、12個の障害と病気を持ってる多重障害者です。目に見えない障害、内部障害もあり、実際に色々大変ではあります。
目に見えないことで、大変さも理解していただけなかったり、本当に困っていることがあっても、元気そうだと思われる悩みもあります。
私はヘルプマークを付けていても、前にお聞きした時に言われた話は、今結構付けている方が多いことで、例えば前に少ない時に、ヘルプマークを付けてたら「この人に席を譲ろう」と思った時に、すぐ譲れたそうです。
今付けている方が多いため、どなたに譲っていいのか、介助の仕方が分からないとの話を聞き、認知度が高まった為に活用が上手くできなくなったそうです。
私自身、特に『まいごふ』に関しては、今は同じ場所にずっと居たりとかできても、元々発達障害でどこに行ったか分かりません。本当に家族からもすぐどこでも行方不明になっていなくなって、それでも毎回帰ってこれて今生きてるのが不思議なぐらいだと言われ続けてきました。
昔から迷子になる子だった人で、私が小さい時に『まいごふ』があったら、恐らく私の両親は付けて、買っていたと思いました。
『つくるゾウ』様の商品は、障害当事者のご家族が考えて開発された製品で、本当に当事者の方やご家族の方にとって、悩みを取り上げて商品を作ってることは強みです。今後も、必要としてる方に、『つくるゾウ』様の商品を購入していただいて、徐々に活用法が広がったり。『つくるゾウ』様の製品を使っている方を支援の輪が広がって、障害があっても皆さんが生きやすい生活になったらいいなと思い、今日はお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。
松嶋さん:私個人の意見を話すと、ヘルプマークはデザイン面から言えば素晴らしいものだと思います。プラスマークとハートマークで、少し色が問題かもしれないと思っています。
赤を採用していることで、心疾患と間違える場合があると思います。翼祈さんが言われていた通り、ヘルプマークを様々な人が付ける様になって、骨折とか一時的なものでもヘルプマークが使える様になりました。
骨折の時は、見た目で分かっても、本当に何の疾患なんだろうと思い、席を譲れない人は、非常に増えてきてしまったと感じます。
この人にどう対処したらいいんだろう、何で付けているんだろうと疑問に思う方が増えたと思います。
『ヘルプテープ』をよく活用している方の話では、裏面にベタっと貼り付けて、自閉症です、お話ができません、ある程度の特性が書いてあれば、察することもできる人はいます。長時間は立っていられませんと書いたりとか、一工夫が必要になってきてしまった事実もあると思います。
翼祈:数年前に結構アクセサリー感覚で、付ける人が増えた問題もありました。そのような点では、私もヘルプマーク自体を否定するわけではありません。あまりにも本当に広がり過ぎた為に、活用法が、より複雑になった面を問題視しています。本当に困っている当事者の方にも、この人は付けているけど大してそんなにないんだろうと思われる可能性も高い意味で、私も危機感を抱いています。
松嶋さん:勘違いされないためのグッズを併用しなければいけませんし、グッズが少ないことも、また問題だと思っています。
今、私は東京都に勘違いを防ぐために、例えば知的障害です、 自閉症です、と色んな組み合わせができる、ヘルプマークと併用できる製品の申請を出しています。審査を通過すれば、もう少し分かりやすくなるかなとは思っています。
島川:昔私は、特別支援学校の先生をしていた事がありまして、生徒が本当に居なくなってしまうことが何回かありました。その時はGPSもそうですが、ご家族の身では本当に死活問題で毎日のことで、このような商品があるだけで、本当に心強いだろうなと感じさせていただきました。
今回の記事を通して、少しでも認知が広がっていくといいなと思っております。ご協力いただきまして、ありがとうございました。
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