「デジタル給与」が解禁-ついに給料も、銀行振込からスマートフォン振込へ-

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こんにちは、金次郎です。

 今年の4月1日から、お給料も銀行振込以外にスマートフォンに振り込む「デジタル給与」が解禁されました。
 国も、この給与支払い方法を取り入れたいと希望する会社の受け付けを始めています。
 今年の夏頃には本格的に「デジタル給与」を開始する見込みでして、若者らを中心に普及しているスマートフォンに給与を振り込むと言う事で利便性向上が期待されています。
 しかし一方で、損害補償やデジタル機器の安全性に対する懸念もあり、「電子決済アプリ」へのスマートフォンを利用した給与支払いには慎重な意見もあります

大原則の「給与は現金払い」

 お給与は労働基準法の第24条1項で
 「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」
 と定められており現金での支払いが大原則です。
 しかし、この条文には以下の「ただし書き」が書いて有ります。
 「確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払う事ができる」
 つまり、労働者の預金口座にお給料を振り込む方法も認められているのです。

賃金支払の五原則
 1・通貨払い
 2・直接払い
 3・全額払い
 4・毎月一回以上
 5・一定期日払い

 政府は給与の「デジタル払い」導入を2020年7月の成長戦略に明記しました。
 これに従い、厚生労働省は2020年11月の施行規則改正で、スマートフォンの決済アプリを運営する資金移動業者の口座も対象に加えました。 

社会人の6割が反対している「デジタル給与」

 一般社団法人「キャッシュレス推進協議会」によりますと、スマートフォンの「決済アプリ」を利用しての買い物額は、2018年は1650億円だったのが、2022年には10兆7986億円にまで増加しています。
 「デジタル給与」になると、給与が直接スマートフォンに振り込まれるため、今までの様に現金自動預け払い機(ATM)で給与を引き出してから、チャージすると言う手間が省けます。
 また給与を支払う企業側にも振込手数料の削減などメリットが有ります

 と言う事でスマートフォンを使って買い物をしている人は大歓迎かな?と思ったら、この「デジタル給与」を利用したいと言う人は、僅か19%と言う調査結果が出ました。
 一番スマートフォンを使って買い物をしているであろう20代でも「デジタル給与」を利用したいと言う人は26%でした。

「デジタル給与」を利用したくない理由
 ・スマホ決済が使える店舗が限られている
 ・預金金利がつかない

 社会人のキャリアに関する調査をしている「Job総研」を運営するライボ(東京都渋谷区)が、全国の社会人860人を対象に「電子マネー実態調査」を行いました。
 その結果、93.6%の人が「交通系」か「QRコード決済系」等の電子マネーを「利用している」と回答しました。

ところが、「勤務先で「デジタル給与」が導入されたら利用するか?」の質問には

・「利用しない」   28.7%
・「多分利用しない」 32.1%

となり、利用意欲の無い人が6割にもなりました。

参考:(ITメディアONLINE)デジタル給与払い「利用しない」が6割 電子マネー利用率9割超も

「デジタル給与」のメリットとデメリット

  政府が推進している「デジタル給与」ですが、欠点は無いのでしょうか?
 「デジタル給与」のメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット

 ・銀行口座がない従業員にも給与支払いができる
  外国人労働者など、日本の銀行口座を持っていない従業員に対しても、給与の支払い
  ができるようになります。 

 ・振込手数料を削減できる
  給与を銀行口座に振り込む際は、1件毎に振込手数料がかかりますが、「デジタル給与」
  にする事で振込手数料の削減ができます。
 

 ・ポイント還元などが福利厚生の一環になる
  決済アプリや電子マネーは、利用するとポイントが付く仕組みになっていますので
  従業員の福利厚生の一環にすることができます。

デメリット

 通常の賃金払いとの二重運用が発生する
    「デジタル給与」は、従業員の希望によって実施しますので、希望しない従業員に対しては、
  現行の銀行口座振込や現金で給与を支払う必要があります。

  よって、現在の給与支払い方法と「デジタル給与」の二重運用が発生する事になりますの
  で、事務作業が増えてしまいます。

 個人のキーを管理するのが難しい
  銀行振込の場合、振込先の銀行名・支店名・口座種別・口座番号・口座名義が必要なのに対し
  て「デジタル給与」払いには、「個人キー情報」が必要です。

  従業員の「個人キー情報」は、個人情報であるため、情報漏洩が起こらない様に厳重な取り扱
  いが求められます。

 システム連携の費用や工数がかかる
  「デジタル給与」システムを導入すると、その分システムの維持管理費用や作業工数がかか
  ると言うデメリットもあります。

  銀行振込と違い「デジタル給与」払いでは、中継業者を挟まなければいけませんので、その
  ための支出や作業が発生します。

参考:(マネーフォワード)給与デジタル払いとは?解禁はいつから?メリット・デメリットや実施方法を解説!

終わりに 

 私が今勤めている事業所でも、5月からはお給料は今まで通り金融機関に振り込まれますが、給与明細は上記参考記事を提供している「マネーフォワード」の「クラウド給与」と言う機能を使って見る事に変わり紙ベースでの給与明細は無くなります。
(マネーフォワードによる給与明細確認は、既に去年から見れる様になっています)

 しかし、直接個人のスマートフォンに給与が振り込まれる「デジタル給与」については、個人的には怖い感じがしています。

 今でもコンビニ等のレジ等で、スマートフォンを読み取り機にかざして簡単に買い物を済ませている人をたくさん見かけます。
 けど「今月は、何にいくら支払うとか、現在いくら使って後いくら使える」など、金銭管理能力がしっかりしていないと「これに払わなきゃいけないのに、お金が無い」なんて事になりかねません。

 過去の例ですと、バブル経済時の「カード破産」です。
 あの頃は、給与所得が有れば、ほとんど無審査でドンドンと複数社にまたがってクレジットカードが作れました。
 カード払いだとお金を使った感覚が無いですから、クレジットカードでの買い物が過ぎて、引き落とし日に銀行残高が足りなくて

「カードの利用停止」⇒「自己破産」

と言う社会人がたくさん出ました。
「デジタル給与」でも、クレジットカードと同じ様な感覚で使ってしまう人が、多く出そうな気がしてなりませんです。

  

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