この記事は約 11 分で読むことができます。
この度、障がい当事者家族の視点から商品開発を行い、障がい者の生活を支える、『つくるゾウ』の代表の松嶋慶子さんにインタビューさせていただきました!
代表の松嶋さんは、コロナ禍の時、ご自身の息子さんにマスク必須の中で、障がいの特性でマスクができないことが悩みでした。はじめは同じ様な悩みを持つ方に松嶋様が製作したグッズを無料で配っていてましたが、規模が大きくなり、2021年に『つくるゾウ』を立ち上げました。
『つくるゾウ』は、障がい当事者家族が主体となり、日常の困りごとを解決する商品の開発・販売を行っています。
『つくるゾウ』の人気商品である「ヘルプテープ」は、利用者の方が使いやすい様に強いメッセージと敢えて余白を残して、書き込めるという配慮もあります。
また、公式Xの利用者の声を拾い上げて改良を重ねるなど、きめ細かに対応しています。
今回のインタビューを通じて、障がい当事者の家族が自分にもこれが合ったら良いと思うものを開発し、それを販売していることで支援の輪が広がり続けていると感じました。
そして、「ヘルプマークと『つくるゾウ』の商品も併用し、生活に役立てて欲しい」と利用者に対する、当事者家族だからこそ分かる、温かい愛情の言葉を頂きました。
今回お話を伺ったのは、翼祈、島川です。
ぜひ前後編併せて最後までご覧になってください!
『つくるゾウ』について
翼祈:『つくるゾウ』立ち上げのきっかけや、これまでの歩みについてお聞かせ下さい。
松嶋さん:『つくるゾウ』は、障害のある子どもを育てる中で感じた「こんなものがあったら助かるのに」という想いから始まりました。
コロナ禍では、マスクを着用していない人に厳しい視線が向けられることがありました。私の子どもも障害の特性からマスクを着用することができず、そのような状況の中で私自身も辛さを感じていました。
そこで、「障害の特性によりマスクを着用できません」と記載したカードを作成しました。SNSで紹介したところ、同じような悩みを抱えるご家族から「自分も欲しい」「家族が困っている」といった声を多くいただきました。
当初は希望者の方と住所を交換し、私が個別に無料で郵送していました。しかし、徐々に希望者が増えたため友人に相談したところ、「クラウドファンディングで制作費や送料を集めてはどうか」と提案を受けました。
クラウドファンディングでは、カードの印刷費や送料に加え、当時要望の多かったバッジの制作費も計画に含めました。その結果、目標金額の200%を達成することができました。
カードやバッジの無料配布を行った後も余剰金が残ったため、以前から多くの要望をいただいていた「貼るタイプの障害があります」の開発に活用することにして、これが後の『ヘルプテープ』につながります。
開発当初はマスキングテープを使用し、「障害があります。困っていたら助けてください」と印刷したものを制作しました。しかし、衣服に貼ると剥がれやすいという課題があったため改良を重ね、最終的には養生テープに印刷した仕様へと変更しました。

実際のヘルプテープ
翼祈:『つくるゾウ』を立ち上げた後、どの様にして参加メンバーを集めていきましたか?また、どんな障害を抱えている当事者のご家族が参加されていますか?
松嶋さん:参加されているご家族の障害特性も幅広く、身体障害のある方をはじめ、内部障害、知的障害、自閉症、ダウン症、てんかんなど、さまざまな障害のある方が参加されています。
翼祈:色んな障害を抱えてる当事者のご家族が参加されていることで、どの様な悩みが共有されることが多いのでしょうか?
松嶋さん:活動を続ける中で、特に外見からは分かりにくい障害のある方ほど困りごとが多いことを実感しています。障害があることが周囲に伝わらず、誤解を受けてしまうケースも少なくありません。そのため、ご家族から悩みを伺いながら、困りごとを周囲に伝えるための支援グッズを開発しています。
翼祈:『つくるゾウ』のロゴに込められた意味や、このデザインに決めた経緯を教えてください。
松嶋さん:「つくる」という創作する言葉に、シンボルマークとして取り入れていこうという話が上がりました。 作成の作を『作る』と、造形の造で『造る』を平仮名にし言葉として『つくるゾウ』という名前にして、子供が好きな象さんを混ぜ入れて、親しみやすい感じになる様に仕上げています。
商品開発について

まいごふを使用している様子
翼祈:商品開発をする際は、どんなことを意識されていますか?
松嶋さん:商品開発は当事者さんがどの様に困っているかをヒアリングをして、どんな形になったら困りごとが減るのかを集計して総括し、企画をしていく形を取っています。
判断が難しいことや、こちらを取ればこちらが解決しない物事もあるため、どうしたらいいんだろうと感じる事もあります。
翼祈:『つくるゾウ』の商品の中で、特に購入して下さった方で、その反響は声で特に印象的なエピソードとかは何かございますか?
松嶋さん:『ヘルプテープ』も『まいごふ』もそうですが、「助かりました」と使った方が言って下さったり、メールやお手紙をわざわざ下さったり、SNSで使ってるところを写真撮ってあげてくれています。
そうした様子を見ると、1番嬉しく感じますし、「良かった、この人助かったんだ、少し便利になったんだ」と、励みにもなります。
翼祈:クラウドファンディングがなければ、開発が難しかった商品などはあったのでしょうか?
松嶋さん:クラウドファンディングでしか作れなかったのは『マスクができない防止カード』と、 『ヘルプテープ』でした。
翼祈:公式のXで在庫がないものや作ってほしいサイズのリクエストにも応じると書いていました。なぜここまで、きめ細かな対応ができるのでしょうか?
松嶋さん:私たちは少人数で、小回りがききやすいことと、 スタッフ全員に障害を抱えてる家族がいるため気持ちが伝わりやすく、困ってることに対して「そうだね。その悩みが解決したら楽になるよね」と話が次のステップに取り入れやすかったりします。
「今こういうことで困ってるんです」「このようなものがあると便利だと思いますと」という投稿や声があれば、それを取り入れたりします。
できるか必ずメモし共有して、こういう風にありますと話をし、こういうものがあれば、その悩みも解決しますねと、今進めています。
翼祈:『つくるゾウ』様の公式Xに商品の加工が変わる場合があると明記されています。 それは、購入された方から改良を重ねていらっしゃるのでしょうか?
松嶋さん:改良もありますし、途中で気が付いたこともあったり、「これよりもこっちの方が使いやすいのか」を感じました。例えばXのポストの方でそうで、最近だと、『まいごふ』が該当します。
裏面に住所を入れられるスペースがあっても、住所を見せたくない人がいて、QRコードを貼れるとの声を頂き、確かにと思い、名前を見せたくない人もいることを理解しました。
その声は、ポストしてくれて下さった方に直接交渉して、この案を一応採用したいのですが、よろしいでしょうか?というQRコード用紙を導入して販売する運びになりました。
翼祈:私がXで見たのが、今度からこの商品は防水加工ではなくなるとの投稿でした。そういった変更も利用者の声から生まれたのでしょうか?
松嶋さん:はい。現在販売している防水タイプは、洗濯にも耐えられる仕様で、多くの方にご利用いただいています。一方で、実際に利用者の方からお話を伺うと、「1日だけ使えれば十分」「価格をもう少し抑えてほしい」という声もありました。
防水タイプは長期間使える反面、どうしても製造コストが高くなります。そのため、毎日使う方には防水タイプ、短時間や1日だけ使用したい方には安価な使い切りタイプというように、選択肢を増やせないか検討するようになりました。
現在は、防水タイプとは別に、1日程度の使用を想定した低価格の使い切りタイプの販売を検討しています。
翼祈:『つくるゾウ』の公式Xでは、買われた方の活用法や声に敏感に反応しています。購入者の声を広く拾うことで、これから購入を検討している方や、今利用している方にとって参考になったなど、声が届いていたりするのでしょうか?
松嶋さん:⚪︎さん買っていることで、例えば、結構フォロワーさんが多い人は、その人経由で来ていたり、活用事例とかを見て、これはいいと思い、ヘルプマークと一緒にセットで付けましょうと、買われる方がいます。
翼祈:シールを少し切って、使いやすくしたとの投稿とかも見て、投稿が反応が付いていたりもしました。購入された方で、実際に活用されてる方の声は、強いんだろうなと『つくるゾウ』さんの公式Xから感じました。
松嶋さん:ありがとうございます。 嬉しいことだと思っています。
翼祈:2021年に立ち上げた頃と現在で、ユーザーから求められることの変化は何かございましたか?
松嶋さん:年々、ユーザーの皆さんから求められる製品のレベルが高くなっていると感じます。活動当初はカードなど比較的シンプルなご要望が多かったのですが、現在は「一体どうやって作れば良いのだろう」と思うようなご相談も増えています。
現在チャレンジしている『身に付けられるGPS』もその一つです。2年間取り組み続けていますが、まだ製品化には至っておらず、難しさを感じているテーマの一つです。
翼祈:位置情報は大事だったりしますよね。どこに行かれるか分からないことを考えると、 本当に当事者のご家族には、自分のお子さんが突然いなくなって、分からないことは、不安だと思います。
私もGPSを付ける話を資料で読んで、非常にいいと思い、読ませていただきました。
「ヘルプテープ」について
翼祈:ヘルプテープのデザイン面でこだわった部分は、どういったところになりますか?
松嶋さん:障がいの特性が非常に幅広いことも事前に分かっていたため、「余白を必ず作ること」を開発前に決めていました。 余白に名前を書いたり、例えばその人にとって重要なこと…癲癇です。チック症です。などを、後から手書きで書き込めるスペースがあります。
翼祈:ヘルプテープが実際に災害の現場で役に立ったそうですが、具体的な内容を教えて下さい。
松嶋さん:能登半島地震の際には、金沢医科大学の医療支援チームから連絡をいただき、『ヘルプテープ』を現地へ持ち込んでいただきました。
『ヘルプテープ』は養生テープを使用しているため、ハサミがなくても手で簡単に切ることができるため、必要な分だけ使ったり、他の方へ分けたりすることもできます。
そのため、災害現場のような限られた環境でも使いやすく、必要な方へ迅速に配布できるという利点があります。1巻で多くの方が利用できるため、ご家族だけでなく、学校や施設などで共有して使われることもあります。
実際に医師の方からも、「全員が持っていなくても、必要なときに誰か一人が持っているだけで助かる場面がある」と言われたことがあります。
また、余白部分にはその方に必要な配慮や伝えたい内容を書き込むことができます。イベント会場などでは床に貼り、スペースの確保や周囲への説明に活用されたというお話もいただいています。
前編はここまでです。
後編はこちらから読めます。
関連情報
公式ホームページ:
公式X:
https://x.com/elephant_create?s=21









コメントを残す