新型コロナウイルス感染症の予防・対策のためにできること

新型コロナウイルス感染症

この記事は約 7 分で読むことができます。

 現在、世界で爆発的に感染が広がっている新型コロナウイルス。

 中国本土で感染が確認された患者の数は4万人以上、死亡者の数は900人超と依然として猛威を振るっており、世界各国には不安と混乱が広がっています。

 日本でも武漢からのチャーター便での帰国者やクルーズ船の乗客の間で感染が確認されて以降、中国への渡航歴などがなくどこで感染したのかも不明な患者も現れ始め、徐々に感染が拡大しつつあります。

 流行の兆しを見せている新型コロナウイルスへの感染を防ぐには、一人ひとりの予防意識と正しい感染対策が必要です。そこで今回は、厚生労働省などの公的機関から発信されている「個人でできる新型コロナウイルス感染症対策」を簡単に紹介していきたいと思います。

新型コロナウイルスの感染経路

 新型コロナウイルスの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」が有力とされています。

 

代表的な感染経路について

 

・飛沫感染

咳、くしゃみで出た飛沫(しぶき)にウイルスが付着しており、その飛沫を吸い込むことで口や鼻の粘膜から感染する。

 

・接触感染

ウイルスの付いた手で鼻や口、目元に触ることで粘膜から感染する。

 

・空気感染

ウイルスを含んだ飛沫から水分が蒸発して「飛沫核」という小さな粒子になり、空気中を漂うことで飛沫核を吸い込んで感染する。

 

 空気感染は空気に乗ってウイルスが移動するため感染が広がりやすく、同じ部屋にいるだけで感染するおそれがありますが、現時点では新型コロナウイルスが空気感染するという公式発表はありません。

 また、中国政府は飛沫感染と接触感染に加え「エアロゾル感染」を主張していますが、J-CASTニュースによればエアロゾル感染の定義ははっきり定められておらず、必ずしもエアロゾル感染=空気感染であるとは言い切れないそうです。

 そもそもエアロゾルとは「霧や煙のように、気体中に微粒子が安定して漂っている状態」を指します。例えば気体の中にウイルスを含んでいた「飛沫」と「飛沫核」のいずれかが混ざっていても、エアロゾルを吸入して感染したのならどちらもエアロゾル感染ということになるのです。

 飛沫核だけになっても行動できる――いわば空気感染するウイルスならば別の対策が必要ですが、これまで明らかになった情報から推測すると新型コロナウイルスが空気感染するという可能性は低いため、基本的な飛沫感染対策を徹底するのが重要であると専門家は述べています。

基本的な感染対策

 現時点で新型コロナウイルスは人から人へ感染することが確認されており、主な感染源は新型コロナウイルスに感染した人の咳やくしゃみ、痰などです。

 まずは咳エチケットと、こまめな除菌に取り組みましょう。

咳をする時のエチケット

 新型コロナウイルスは咳・くしゃみで飛び散った飛沫を口や鼻から吸い込んだり、飛沫が 付いた部分に触れた手で目元や口元に触ったりすることで感染します。

 咳・くしゃみをする際にはなるべく人から離れ、マスクを着用したり口と鼻を押さえたりして唾が飛び散るのを防ぎます。

 また、手で口元を覆うと手に唾液が付着し、ウイルスの付いた手で色々なものに触ってウイルスを拡散するおそれがあるので咳を押さえる際はティッシュやハンカチ、二の腕、服の袖などを使うよう心がけましょう。

マスクの使い方

 マスクは鼻と口をしっかり覆い、耳に紐をかけて隙間を作らないように装着します。

 マスクの効果はあくまで「飛沫の飛散の防止」であり、他人からウイルスをうつされないための対策というよりは自分が他人にうつさないために使うものです。満員電車や窓のない屋内など換気が不十分な場所では感染予防の効果もありますが、風通しのいい屋外ではあまり効果はありません。「マスクを付けているから大丈夫」と軽率に人ごみに近付かないようにしてください。

手の消毒

 ウイルスの付いた手で目・鼻・口などを触ると粘膜からウイルスに感染してしまうので、手洗いとアルコール消毒はこまめに行いましょう。

 厚生労働省によれば、手洗いは水だけで行うよりもせっけんを使う方が殺菌効果が高く、1回の手洗いに長く時間をかけるよりも短い手洗いを2回行った方が多くの菌を除去できるそうです。

 手洗いはせっけんで60秒のもみ洗い+15秒のすすぎのセットを1回か、せっけんで10秒のもみ洗いと15秒のすすぎのセットを2回行うのがベストです。童謡の「ぞうさん」か「ハッピーバースデー」を2回歌いきるくらいを目安にして洗いましょう。

 また、消毒用アルコールを使う際は手が濡れていると除菌効果が落ちてしまうので、ハンカチやペーパータオルでしっかり水分を拭き取ってからアルコールを手に取り、よく手を乾かすようにしてください。

不特定多数の人が集まる屋内に行くのは避ける

 新型コロナウイルスの感染力の強さは事例によって違うようですが、換気が不十分な閉鎖空間で不特定多数の人と接触するなど、一定の状況下では感染リスクが増大します。

 たとえ周囲に咳をしている人がいなくとも、風通しの悪い室内で大勢の人と会話をしていれば感染する可能性があるということです。どうしても外出や人と会う必要が生じた場合は、なるべく人の多く集まる場所と風通しの悪い場所は避けて移動しましょう。

十分な健康管理

 国内で感染が広がりつつある以上、どれだけ感染源から離れようとしてもウイルスと接触するリスクを完全になくすことは難しくなっています。そのため、現在は「ウイルスと接触しても体の中に取り込まない」「万が一取り込んでしまったとしても、発症や重症化させないように免疫力を高めておく」ことが重要となります。

 体の免疫力を高めるには、十分な睡眠とバランスの取れた食事が必要不可欠です。夜更かしや暴飲暴食は避け、健康的な生活習慣を心がけて体を万全の状態に保ちましょう。

(画像元:首相官邸ホームページ

感染したかもしれない、と思ったら…

 自分、あるいは身の回りの人が新型コロナウイルスに感染した疑いがある場合、直接病院に行くと待合室などでウイルスを広めてしまう可能性があります。

 感染の可能性があると感じたら保健所や帰国者・接触者相談センターにあらかじめ相談をして、適切な指示や診察を受けるようにしてください。

 また、家族に感染の兆候が見られた場合は、家族に感染を広げないための対策が必要になります。厚生労働省が家庭内での注意事項をWeb上でまとめているので、可能な限り適切な対処をしましょう。

まとめ

 新型コロナウイルスについては未だ不明な部分があり、予防のためのワクチンや治療に使う抗ウイルス薬もまだ存在していません。

 さらに現時点ではウイルスに感染しているが症状がない人(無症状病原体保持者)から感染するか否かは明らかになっていないため、知らず知らずのうちにウイルスに接触している可能性もあります。

 そのため、今はウイルスを遠ざけることよりも「ウイルスに触れても感染しないための対策」と「ウイルスを他人にうつしてしまわないための心がけ」が重要と言えます。手洗い・除菌の徹底でウイルスを体に取り込まないようにし、日頃から咳エチケットを身につけましょう。

 また、いたずらに不安を煽るようなデマや詐欺が現れるおそれもあるので、発信元が不確かな情報は鵜呑みにせず、しっかりと情報の精査を行いましょう。

 新型コロナウイルス感染症は不治の病ではなく、罹患すれば必ず死に至るわけでもありません。決してパニックにならず、適切な予防策と対処を取ってください。

 

参考元:首相官邸ホームページ—新型コロナウイルス感染症に備えて

    厚生労働省—新型コロナウイルスに関するQ&A

    J-CASTニュース―「エアロゾル感染」「空気感染」違いはあるの? 新型コロナめぐり混乱、専門家の見解

心理学や日本文学に精通しているnonoのおすすめ記事

HOME

新型コロナウイルス感染症

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です