「久遠チョコレート」のその後-障がい者雇用は特別では無い-

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こんにちは、金次郎です。

 3年前に書かれた、障がい者を多数雇っている「久遠チョコレート」さんの記事です。

密を避けたバレンタインの楽しみ方と、障がい者雇用に取り組む久遠チョコレートをご紹介!

 この「久遠チョコレート」では、従業員の約6割の方が、何らかの障がいを持っている方たちです。

 創業者の夏目浩次氏は、トップショコラティエの野口和男氏から「チョコレートの製造は正しい素材を使い、やり方さえ間違えなければ、誰でも同じように作れる」と言う事を聞きます。
 それで夏目氏は「チョコレートの製造こそが『障がいが有っても、作る工程で誰も排除しない食材だ』」と確信しまして、野口氏の助言を受けながら「久遠チョコレート」ブランドを立ち上げました

「久遠チョコレート」のおさらい

 久遠チョコレートでは

・誰も置き去りにしない社会を
・誰も置き去りにされない世界を

 をモットーに、2018 年に愛知県豊橋市に「QUON チョコレート豊橋 SDGs ラボ」を開設します。
 株式会社ベルシステム24 と「SDGs の推進と持続可能な地域づくりに関する連携協定」を締結し、チョコレート工場の共同運営を開始します。

 総論で紹介した3年前の過去記事の時点では、
・従業員は330名で、そのうち「230名が障がいのある方」でした。

それが、2022年8月時点では、
・従業員は570名になり、そのうち「430名は子育て中のママさん達や、悩みを抱える若者などLGBTQ の方で(その中の308名が障がい者手帳を保有の方)となっています。

店舗数も
・全国38拠点28店舗 から
・全国57拠点40店舗 に増えています。

参考:(久遠チョコレート)COMPANY GUIDE 

「久遠チョコレート」3つのこだわり

チョコレート

1・素材のピュア  :世界中から厳選したピュアチョコレートを素材に、余計な油分は
           一切加えず、ひとつひとつ手作業で丁寧に仕上げています。

2・作り手の多様性 :QUONチョコレートは、障がいを持つ方や子育て中のママさんなど
           多様な方々によって創られています。
           全国の多様な方々がショコラティエとなり、妥協のないモノ作りを
             追求しています。

3・日本の再探求  : チョコレートを通じて日本各地の食文化を発信します。

参考:(久遠チョコレート)久遠チョコレートについて

障害者雇用の現状

 厚生労働省が、2023年12月22日に発表した2023年6月1日時点の障害者雇用状況によりますと、
民間企業で働く障害者数は、前年比4.6%増の64万2178人で過去最多を20年連続で更新したとの事です。
 「障害者雇用促進法」が義務付けた法定雇用率(2.3%)を達成する企業は増えていますが、日本国内に有る全企業の50.1%にとどまっています。
 法定雇用率が未達成な企業のうち、6割近い58.6%の企業は、障害者を1人も雇用していません。
 障害者の雇用に積極的な企業と、そうでない企業の差が大きい状況が続いています

参考:(福祉新聞):障害者雇用、民間で約64万人に増加 最多更新するも義務達成はまだ半数

障がい者が働く事業所

 4年前の2020年に、障害者が働く事業所にはA型とB型が有る事を書きました。

障害者だって働けるよ

・A型 事業所と雇用契約を結び、職員さんの指示に従って決められた作業(仕事)を行いますの
    で、各都道府県の最低賃金が保障されています。
    ですから、令和3年度の平均賃金を見ますと月額81,645円ほどのお給料がもらえます。

・B型 雇用契約は結ばずに、作業の成果によって工賃を受け取るかたちの作業所です。
    なので最低賃金が適応されず、令和3年度の平均工賃の月額は16,507円となっており、時
    給に換算すると233円にしかなりません。

 このように同じ就労移行支援でも、A型とB型では貰えるお金にかなり差があります。

そんななか「久遠チョコレート」は

 この現状を少しでも変えていこうと試みているのが「久遠チョコレート」です。

  「久遠チョコレート」では
   ・フルーツのカットや茶葉の粉砕
   ・チョコレートの加工
   ・箱詰め
 と、工程を細分化して、全ての作業を自社で行っています。

 どの工程も軽作業なので、障がい者であっても働くことができ、細分化したことによって、その障がい者の症状に適した仕事をすることができています。
 本来なら外注しなくてはならない仕事も自社で行う事によって、費用を浮かす事ができます。
 その浮いた費用を工賃に充てることによって、利用者している障がい者のお給料を増やす仕組みです。

 先ほど述べた様に、B型事業所では平均工賃の時給は233円で月額は16,507円となっていますが、「久遠チョコレート」では、障がいの重さや仕事の内容を問わず、時給は500円以上、月給は50,000円を超えるほど貰うことができます。

 夏目浩次氏は、「愛知県の最低賃金が1026円だから、そこを目指すということ。どれだけ障がいが重たくてもそこへいく。(月額工賃)1万円はやっぱりおかしい。それは本当にやりがいにはなってないだろうし、やっぱりおかしいものはおかしいねって、ちゃんと向き合える社会にしていきたい」と言います。

参考:(Hugkum)障害者に稼げる場所を!一流として走り続ける「久遠チョコレート」の挑戦

終わりに 

 去年ユニクロが、初任給を30万円に引き上げることで経済界を驚かせましたが、今年は第一生命がユニクロを上回る32万円を提示しました。

もうすぐ春闘-今年の企業の賃上げ姿勢は凄い!-

 大企業を中心に、賃上げが続いています。
 私たち、障害者事業所で勤務している作業員のお給料は、住んでいる都道府県の「最低賃金」が基本でして、後は1ヶ月に働いた時間数です。
 A型もB型も、最終目的は一般就労ですが、現状一般企業はなかなか障がい者を雇用しようとはしません。
 先に書いた「法定雇用率」を満たしたら、後は求人票すら出しません。
 おのずと「就労移行支援事業所」で働くしか無いのが現状です。

 それどころか、私たちの様な週20時間勤務の短時間労働者や個人商店主も、来年からは「厚生年金保険料」の支払い義務が発生する予定ですので、給与から天引きされるお金が増えてしまいます。

年金制度改革?改悪?~2025年にA型などで働く障害者も、厚生年金保険料支払い義務発生?~

これを「生きづらい国」と言わずして何でしょうか?

 一般の方のように長時間の労働を長期的に行うことは難しい部分がどうしてもありますが、その中で局所的でも、障がい者を雇用できる仕事があるのなら積極的に雇用してほしいし、障がい者だって、折角働くのであれば少しでも役に立ちたいと思うのは自然なことです。

せめて、お互いがストレスを溜めない良い関係が作れる職場が増えれば本当に有り難いことです。

注:記事の内容の一部は、ライター仲間の「yuta」さんが書きかけていたものを参考にしました。  

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