潰瘍性大腸炎の治療法、『オルガノイド』と【抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法】について。 

潰瘍性大腸炎

この記事は約 10 分で読むことができます。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

潰瘍性大腸炎とは、食生活やストレス、生活習慣の乱れなどが原因で、大腸の粘膜に炎症が発生し、潰瘍ができる病気です。現在では、完治することは困難とされており、国の指定難病の1つです。

難病の中では日本では最も患者の多い難病で、全国に22万人以上の患者がいると推計されています。免疫の機能を調節する薬で炎症を抑制する治療が効果が出るケースもありますが、原因が解明されていないことで根本的な治療法がありません。治療効果があまり出ない「難治性」の患者が全国におよそ1万人います。

毎年5月19日は世界IBDデー(IBDを理解する日)として、潰瘍性大腸炎やクローン病といった、腸管の粘膜に潰瘍ができる発症メカニズムが未だ解明されていない、炎症性腸疾患(IBD)を理解し合う日となっています。

今回は潰瘍性大腸炎の治療法として期待されている『オルガノイド』と【抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法】、潰瘍性大腸炎の娘さんを持つお母さんの《優しいパン》について特集します。

潰瘍性大腸炎の治療法①『オルガノイド』

「潰瘍性大腸炎」の患者の腸に、患者本人の細胞から合成した腸の色んな細胞が集まった『オルガノイド』と呼ばれるものを移植する、世界で初となる手術が成功したと東京医科歯科大学のグループが2022年7月7日、会見を開き明らかにしました。傷付いてしまった身体の一部を修復させる再生医療において、細胞を組織に合成し移植する新しい段階を予感させる大きな前進です。 

「患者さんの術後経過は良好です。10年に及ぶ研究開発は非常に長い道のりでしたが、今回、1例目の手術が成功し、良いスタートを切れたことはとても大きな成果でした」と、東京医科歯科大の岡本隆一教授は、2013年にスタートさせた研究を回顧しました。

実証研究は、ただれて壊れてしまった大腸の表面に、新しく合成した表皮を移植して傷を塞いで、根本的に完治させることを目標としています。

まず最初に、患者本人の大腸内の状態の良い部分から、ごく少ない粘膜を内視鏡で採取します。続いて実験皿の中で、腸の組織が成長していく環境を再現し、およそ1ヵ月を要して『オルガノイド』を倍増させます。

『オルガノイド』は分裂を繰り返しておよそ0.1〜0.2mmの球状の小さなかたまりを合成しながら成長し、実際の表皮にある同様の立体的な構造に変化します。細胞を増加しながら機能する「幹細胞」や粘膜の細胞も含んでいます。

この球状に育った表皮の『オルガノイド』を、内視鏡を使いながら、大腸のただれて傷が付いた部分に散布します。動物実験では、この『オルガノイド』が定着して、ただれて傷付いた表皮が健康な状態に再生し、その下に血管なども張り巡らされて、体重も健康体に戻ることが確認されてました。人間でも同様の成果が得られるかこれから約1年かけて観察を継続します。

『オルガノイド』の移植手術は2022年7月5日に潰瘍性大腸炎の患者1人に行われ、翌日には退院しました。「他の患者さんの治療にも『オルガノイド』役に立てば嬉しい限りです」と手術を受けた患者さんはそう話したといいます。

研究グループによりますとこれから先、さらに7人の潰瘍性大腸炎の患者に『オルガノイド』の移植手術を行う計画だとします。

参考:世界初 ミニ臓器移植 再生医療の新たな一歩 東京医科歯科大、難病「潰瘍性大腸炎」で 東京新聞(2022年)

潰瘍性大腸炎の治療法②【抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法】

画像引用・参考:潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が先進医療Bとして承認、2023年1月より実施 PR TIMES(2023年)

順天堂大は、「潰瘍性大腸炎」の患者を対象とした、健康な人の腸内細菌を移植して症状を落ち着かせる新しい治療をスタートさせました。国が2023年1月当初、保険診療と併用可能な「先進医療」として承認しました。長い期間投薬が必要な、既に存在する治療法に置き換わる可能性を秘めています。

大腸の中では、臓器の中に生息する多彩な細菌群「腸内細菌叢」が免疫の制御に関係しています。腸内細菌の種類のバランスが乱れると免疫が過剰に反応し、炎症を引き起こします。この様な腸内細菌のバランスの偏りが潰瘍性大腸炎の原因の1つと想定されています。

そこで、消化器内科が専門の石川大・順天堂大准教授ら研究チームは【抗菌薬併用腸内細菌叢移植】と呼ばれる治療法を開発しました。最初に、患者の大腸の腸内細菌を抗菌薬でキレイにし、腸内環境をリセットさせます。それから、健康な人の便から取り出した腸内細菌を含んでいる液体を内視鏡などで大腸に移植します。腸内細菌のバランスの偏りを落ち着かせ、炎症の抑制を狙います。患者97人を対象にした事前の臨床研究では、約2ヵ月後に7割弱で症状が落ち着きました。

参考:順天堂大、難病「潰瘍性大腸炎」の新治療法…健康な腸内細菌を移植 読売新聞(2023年)

潰瘍性大腸炎の娘へ、母が作る《優しいパン》in長崎県

潰瘍性大腸炎で食事制限のかかる娘に母として何かできるだろうかー?」。1人の母親が悩み抜いた末に出した答えは、特技を活かして、みんなに《優しいパン》を作ることでした。娘を思う母の希望が詰まったパンへの共感が浸透しています。

長崎県長崎市北部の琴海地区にある大村湾を望む高台には、1軒の小さなパン屋が佇んでいます。畳16畳程度の広さの店内には、焼きたての食パンやメロンパン、あんパンなど約10種類の手作りパンが並べられています。このパンを作っている店主の女性Aさんは、子どもの頃から夢だったパン屋を、2021年にオープンさせました。

女性Aさんの手によって生み出されるこのパンは、一見、普通のパンに感じますが、実は全種類脂質を抑えて作られた「低脂質パン」でした。バターの使う量は全種類10g未満と、一般的なパンと比較しても3分の1から4分の1をカットされています。あんパンを割ってみると、小麦の良い香りが包まれ、こしあんも甘さ控えめでした。「低脂質パン」と言われるまで食べても、一般的なパンと比較しても食感や味は全く同じ様な食感でした。女性Aさんがそんな「低脂質パン」にこだわり抜いて作るのには1つの理由が存在しました。

「低脂質パン」誕生の始まりは次女が5年前に発症した「潰瘍性大腸炎」でした。パンが好きな次女は、潰瘍性大腸炎の影響で、食べ物には細心の注意を払わなくてはなりません。潰瘍性大腸炎の患者は、腸に負担がかからない食事が求められており、次女のケースは、食物繊維や脂質を多く含んだ食べ物は体調を悪化させる可能性があるため、ほとんど口にすることができません。

発症する前は何も問題なく食事ができていた次女ですが、潰瘍性大腸炎を発症し、入退院を繰り返す次女のために、女性Aさんは毎日の食事を記録し、体に適した食べ物と適さない食べ物を記したりなどと、闘病する次女をサポートしてきました。「私は食事制限のかかる娘のために何かできないかー?」。と悩み抜きました。女性Aさんは趣味でパンを作っておよそ20年になります。家族や地域住民の方にも、その味は好評でした。女性Aさんは次女のために、「低脂質パン」作りにチャレンジすることを決意しました。

ですが、そう決意したものの、女性Aさんの前に1つの大きな問題が立ち塞がりました。それはパン生地から脂質をどの様にカットするかということでした。バターは混ぜなくてもパンを作ることができますが、多くの人が食べたくなる、しっとりとした、柔らかい生地のパンは作れません。試作段階では、バターの代わりにオリーブオイルを使用しましたが、理想の食感にはなりませんでした。女性Aさんの家族も、失敗作のパンを数え切れない位総動員で食べました。

その中で、女性Aさんが徹底的に励んだことは配合割合でした。水や粉などの量は、室温や季節などによって左右されます。女性Aさんは、パソコンで細部に渡り計算しつつ、材料の量を調整していきました。試作品が完成するまでは2年が経ちました。そして、バターの使用量を最小限までカットし、次女が気にせず食べられる「低脂質パン」が完成しました。潰瘍性大腸炎の発症で食べ物が制限されていた次女にとっては、毎日の食事に“選択の自由”ができた瞬間でもありました。

参考:長崎発 難病と闘う娘へ 手作りパンに込めた母の思い NHK 長崎WEB特集(2023年)

女性Aさんの営む店は、土日のみ営業しています。オープンの8時間前の午前2時から、女性Aさんはパンを1人で作り始めます。焼き上げるパンはおよそ100個です。丹精込めて完成させた「低脂質パン」を求めて色んな地方から色んな人がこの店にやって来ます。

子育て中の女性、健康面が気がかりな男性に、中には、次女のように、病気で脂質が多く含まれるものが食べられず、毎日の食事に気を遣う人もいます。女性Aさんによりますと、長崎県内には、潰瘍性大腸炎などの「炎症性腸疾患」の患者に心を配り、低脂質の食べ物を販売する店はそんなにないのが現状だということです。長崎県長崎市内に在住の50代の女性Bさんは、胃がんを罹患し食べ物への不安を抱える中で、女性Aさんの「低脂質パン」に救われたと話しました。

その人がどうかは分からないけど、

きっかけはその人が確か私と同じ発達障害を持っているからブログを読み始めた気がするんですが、私より若い人で消化器官系の病気を持っている人がいます。

その人は電車での通勤なのですが、電車の中で顔面蒼白で脂汗が出る程朝から体調が悪くて、立っていられないからよく席を譲って貰ったり、お腹が痛い時には1駅ごとにトイレのために降りて、何とか仕事をして帰って来ていると書いてありました。

アレルギーもあるらしいですし、腸がどうとか書いてあったので、もしかしたらどこか内臓系の疾患があって、それが酷いんだと思います。

私はギトギトするのは無理ですが、油の使っている食べ物を食べても大丈夫ですし、食物繊維もむしろ沢山取らなきゃいけなくて、最近野菜ジュースを飲む様になりました。ほとんどのものに油も食物繊維も入っているはずなので、潰瘍性大腸炎の方の食事がいかに大変か、この記事を書いて知りました。

こちらで紹介した治療法も、《優しいパン》も潰瘍性大腸炎の方にとって光だと思います。難病は完治することは難しいですが、少しずつでも進んでいる研究が、その後の大きな道筋になってくれると信じています。

関連記事

5/19 世界IBDデー(IBDを理解する日)に合わせて「IBDあるある」を投稿して盛り上げよう!患者会の大阪IBD、TOKYO・IBDとグッテによる共催イベント PR TIMES(2022年)

トイレを貸してほしい!IBD=炎症性腸疾患に理解を NHK 首都圏ナビ(2022年)

noteでも書いています。よければ読んでください。

→HOME

 

潰瘍性大腸炎

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。