プール熱(咽頭結膜熱)。アデノウイルスが原因で感染する、子どもの三大夏風邪の1つ。  

プール熱

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

「プール熱」は正式名は咽頭結膜熱という感染症で、プールの水などにいるアデノウイルスを介して感染することが多いことで、こう呼ばれます。年間を通して感染者はいますが、感染源であるアデノウイルスは暑くて湿度の高い環境を好む傾向であることで、プールの授業などが始まる夏場にかけて特に子ども達の間で流行ります。

プール熱は、その昔はプールの水から人から人へ感染が拡がることが多いことからそう呼ばれました。例年、6月ごろから徐々に流行し始め、7~8月にピークとなります。ここ近年の傾向では冬季にも小流行が起きることがあります。

プール熱は、手足口病、ヘルパンギーナと並んで、子どもがかかる三大夏風邪の1つです。

今回はプール熱の症状や原因、治療法、予防策などについてお伝えします。

▽症状

プール熱の潜伏期は5~7日となります。咽頭炎(のどや扁桃腺が赤く腫れ、扁桃腺に白色の浸出物がみられる炎症)、結膜炎(目の充血)、急な39℃前後の発熱が数日から1週間持続する症状や、昼間は元気だったお子さんが、夜になって急にぐったりすることから、「咽頭結膜熱」と言われています。 頭痛を始め、鼻づまり、悪寒、食欲不振、吐き気、全身倦怠感といっただるさ、嘔吐、よだれが出たりという症状が3〜7日持続することもあり、眼の症状では、目が充血し痛みもあり、涙が止まらず、目やにが多くなり、かゆい、まぶしがることがあります。

39度前後の高熱が出ることで、熱性けいれんや脱水、まれに「肺炎」などの合併症に注意が必要となります。

このほかにも腹痛、咳、首のリンパ節腫脹と圧痛、下痢を伴うケースもあります。

プール熱はウイルス感染症であるため、どれだけ目を清潔に洗ってもすぐに改善に向かうことはありません。合併症を阻止するための抗生剤を使ったり、炎症を抑止する点眼薬などを併用して使いながら1~2週間程度を要して治療していく必要があります。適切な薬を使うことで、身体内にプール熱に対する抗体を少しずつ合成されることで快方へと向かいます。

自然に完治することがほとんどですが、眼の症状が強いケースでは、その後も治療が必要です。息苦しそう、ぐったりしている、高熱が何日も長引くといった、いつもと違う様子になっている時は速やかに病院に行きましょう。

▽原因

プール熱はアデノウイルスが原因で発症します。主にアデノウイルス3型がプール熱の素因とされていますが、2型・4型・7型・11型など別の型のケースもあります。

アデノウイルスの感染力は凄く強力で、飛沫感染や接触感染、経口感染などで直接的に感染を拡大させること以外にも、症状が出なくなった後も喉から7~14日間程度、排泄物からは1ヵ月程度の長期間、ウイルスが体外へ排出されることが報告されています。経口感染で発症するとアデノウイルスが、手や指を通して口に入ることで感染します。排便した後や赤ちゃんのおむつ交換した後などで、手洗いや手指の消毒をきちんとしなかったり、十分ではなかった時に、感染する可能性があります。

その上で厄介なのは、アデノウイルスには複数の型があることで、1回でもプール熱に感染したとしても、別の型に感染すると、再度プール熱に感染してしまうケースがあります。ですが、一度感染したアデノウイルスの型に対しては免疫を獲得できるので、同じ型のアデノウイルスでのプール熱に感染することはありません。

プール熱は眼を手でこすりがちとなる環境にいるほど感染が拡大しやすいため、学校のプール授業などは特に注意を払って下さい。家庭内も感染を拡大しやすい環境となることもあり、感染を予防する対策を行うことがとても大事となります。

塩素濃度の消毒の管理が不十分なプールに、何らかの理由でアデノウイルスが含まれていた場合、プールの水を介してプール熱に感染する恐れもあります。眼の症状は一般的に、まずは片方の目に出現し、その後、反対側の目にも同じ様の症状が出現します。

▽感染経路

・感染者が使ったタオルやおもちゃ、コップ、発症した赤ちゃんのオムツを触った後の手を通した接触感染

・感染者から咳やくしゃみで飛び散ったしぶきを浴びた際の飛沫感染

▽診断基準

綿棒で喉やまぶたの裏側をこすって、アデノウイルスが検出されるかを迅速診断キットで検査します。15分ほどで結果が分かるので、簡単に検査することが可能です。ですが、検査をするタイミングや採取したアデノウイルスが少ないケースなどは、プール熱に感染していても、結果が陰性になってしまう場合もあります。

また、血液検査で採血した血液から、アデノウイルスの抗原検査をしたり、急性期と回復期のペア血清からの抗体上昇で感染しているかを判断します。

症状が喉の赤みと発熱だけというケースでは、プール熱というのか否かというポイントがあります。感染症法によりますと、プール熱とは

「検査した医師の判断で、所見や症状からプール熱の発症を疑い、または、以下の2つの基準を全部満たした時、

⚫︎発熱・咽頭発赤

⚫︎結膜充血

​上記の基準は片方しか満たしませんが、検査した医師の判断で、所見や症状からプール熱の発症を疑い、または、病原体診断や血清学的診断でプール熱の発症だと決定されたもの」

と明記されています。その上で、感染症法の基準では、熱と喉の赤みだけではプール熱には該当しないということです。

▽治療法

アデノウイルスに対するワクチンや特効薬はなく、対症療法となりますが、高熱に対しては解熱剤、喉の痛みにはうがいや抗炎症剤など、辛い症状を緩和します。また、目やにや結膜炎(充血)には抗生物質やステロイドの入った点眼薬を使用し、眼のかゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬や抗菌薬、ステロイドの点眼薬を処方します。

喉の痛みで水分や食事が摂りにくくなることもありますが、果物やトマトなどは酸を含んでいるため、オレンジジュースなどのような刺激のあるものは避け、のどごしの良い少し冷たい飲み物が推奨されます。(例えば、麦茶や牛乳、ポタージュスープ、冷めた味噌汁やスープ、ヤクルトなど)

食べ物は、刺激が少なく噛まずに、薄味で飲み込めるものが推奨されます。(例えば、ゼリーやアイスクリーム、プリン、冷めた雑炊、そうめん、豆腐など)

経口補水液などで水分補給をしたり、高熱での症状を落ち着かせるために解熱剤を使いながら、お子さんの免疫力が回復するのを待ちます。

▽予防策

・流水とせっけんで手洗い・うがいを行う

・手指や身の回りの消毒

・ドアノブやスイッチ、おもちゃ、トイレ、手すりなど共有部分は、マスクや使い捨ての手袋を着けて、こまめに消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)などで消毒する

・感染者の汗などを拭く時は、必ず自分専用のタオルやペーパータオルを使用し、タオル類は共有しない様にする

・洗濯を感染者のものと分けて行う

・赤ちゃんが感染した時におむつなどの交換する時には流水・せっけんで手洗いを必ず行い、感染源となる目やにや涙は他の感染者の使用の恐れがあるハンカチやタオルではなく、ティッシュなどの使い捨てのもので拭き取る。マスクや使い捨ての手袋を着けて、専用のゴミ袋を用意しておく

・プールから上がったら、シャワーを浴び、眼をよく洗って、うがいをする。感染者が涙や眼やにを拭き取る場合は、ティッシュペーパーや清浄綿を使用し、眼を直接手で触れない様に気を付ける

・感染者の入浴は1番最後に行う

・感染者の消毒や掃除をした後は必ず手をせっけんで洗う

▽登園・登校の目安

プール熱は学校保健安全法における”学校感染症”に当たることで、症状が改善されたと認められるまで登園・登校は出席停止となります。発熱や喉の痛み、眼球結膜の充血などの主要症状が治まってから、2日後から登園・登校可能となります。

プール熱を放置し続けると、特にお子さんのケースには視覚障害まで達してしまう恐れも十分に想定されますので、異常を感じたら速やかに病院に行って下さい。

プール熱に感染する患者の6割は5歳以下とされていますが、体力が落ちている時には大人でもまれに感染することもあります。大人が感染した時は、子どもと比較して強い症状が現れる、発症期間が長引くなどの傾向があります。特に、身近なお子さんが感染した時には、感染しない様に注意を払って下さい。

参考:感染力が強く高熱が出る夏風邪「プール熱(咽頭結膜熱)」の症状と感染経路、広げないための対策 NHK 健康ch(2022年)

気付いてました?

去年私は原因不明の小児肝炎でアデノウイルスのことを少し触れました。あの感染症が出た時に支援員さんに、「その後の原因などの続報があれば、記事化しましょう」という話がありましたが、いつの間にか消えていたので、続報を書くことはありませんでした。※2023年3月現在

プール熱の合併症は、肺炎 などで、特に小さいお子さんは特に重症化しやすい傾向にあるので、 高熱が続く場合は速やかに病院を受診をして下さい。

プール熱に関してもずっと書きたい題材でした。流行りやすい子どもの感染症に関しては後5〜6つ位?で一区切りです。これからまた違う病気や障害のことを書き続けます。今回まで三大夏風邪などの記事をお読み頂き、ありがとうございます。

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も2交代制で担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。