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1.SDGsとは
さて皆さんはSDGsという言葉をご存知ですか? SDGs(エスディージーズ)は、Sustainnable Development Goalsの略で、日本語で「持続可能な開発目標」と訳されます。SDGsは、2001年に国連で策定されたミレニアム開発目標(MDGs=Millennlum Development Goals)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までの国際開発目標のことをいいます。
国際社会では、MDGsを開発分野の羅針盤として掲げ、2001年から2015年までの15年間で一定の成果を上げました。一方で、MDGsが掲げる教育、母子保健、衛生といった未達成の目標や、サハラ以南のアフリカなど一部の地域での目標達成の遅れといった課題が残されました。
また、深刻さを増す環境汚染や地球温暖化といった気候変動への対策、頻発する自然災害への対応といった新たな課題が生じたほか、民間企業やNGO(非政府組織)などの開発に関わる主体の多様化など、MDGsの策定時から、開発をめぐる国際的な環境は大きく変化しました。
MDGsが開発途上国のための目標であったのに対し、SDGsは格差の問題、持続可能な消費や生産、気候変動対策など、先進国が自ら取り組まなければならない課題を含む、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標です。
2.SDGsの17の目標
SDGsは、以下の17の目標から成り立っています
①貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
②飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
③すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
④質の高い教育をみんなに
すべての人に包括的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
⑤ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメント(力をつける)を図る
⑥安全な水とトイレを世界中に
すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに
すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
⑧働きがいも経済成長も
すべての人のための持続的、包括的かつ持続可能か経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する
⑨産業と技術革新の基盤つくろう
強靭なインフラを整備し、包括的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る
⑩人や国の不平等をなくそう
国内および国家間の格差を是正する
⑪住み続けられるまちづくりも
都市と人間の居住地を包括的、安全、強靭かつ持続可能にする
⑫つくる責任つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
⑬気候変動に具体的な対策を
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
⑭海の豊かさを守ろう
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
⑮陸の豊かさも守ろう
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性の損失を図る
⑯平和と公正をすべての人に
持続可能な開発に向けて平和で包括的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包括的な制度を構築する
⑰パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
3.サステイナブル(持続可能な)とは
「持続可能」という言葉には、英語のSustainnableが本来持っている、「ある資源を利用するときに、環境に悪い影響を与えず、使いつくすことなく、継続的に利用できる」という意味が込められています。
つまり、将来の世代にも、今と同じように利用できるように、という意味合いが大事です。また、将来のためには、使いつくさないというだけはなく、新たに育てること、現在の悪い環境を改善することなども必要です。
4.ディベロップメント(開発)とは
Developmentは、日本語で「開発」という意味を持ちますが、SDGsには、研究開発とか都市開発というような「開発」の意味のほかに、元の英語が持つ、次うな意味もふくんでいます。
・生物(人をふくむ)の発達や成長
・発展して生まれるもの
・事業などの発展
・ものごとの進展
つまり、「開発」という言葉で、今ある状態からもっとよい形に変わること、変えていく取り組みのことをあらわしているのです。
5.SDGsを決めるにあたって考えられたこと
SDGsは「17の目標」と「169のターゲット」からなりたっています。17の目標(ゴール)それぞれにいくつかのターゲットが定められています。ターゲットとは「いつまでに、何を、誰が、どのようにして取り組むか」という具体的な達成項目をあらわしたものです。
そして、SDGsの17の目標には、「5つのP」の要素のいずれか一つ以上を含んでいます。
5つのPとは、
・People(ピープル/人間)
・Planet(プラネット/地球)
・Prosperity(プロスペリティ/豊かさ)
・Peace(ピース/平和)
・Partnership(パートナーシップ)
です。
SDGsの17の目標は、平和や暴力、格差の拡大、環境問題など広い範囲の問題に取り組むもので、それぞれ密接に関係しあい、「経済」「社会」「環境」の3つのバランスがとれるように設定されています。
例えば、貧困や不平等のような経済・社会に関する問題の解決にあたっては、環境を守ることにも配慮するようにしています。
「No one will be left behind/だれひとり取り残されない」というキーワードは、SDGsの根底にある、とても重要で力強い意思をあらわしたものです。
すべての人のための目標の達成をめざし、もっとも弱い立場の人々に焦点をあてます。だれかを取り残したり、だれかの犠牲のもとに達成するゴールはありえないという考えに、SDGsは立っています。
6.日本の取り組み
日本政府は2016年に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、次の8つの優先課題を決めました。
①あらゆる人々の活躍の推進
②健康・長寿の達成
③成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
④持続可能で強じんな国土と質の高いインフラの整備
⑤省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会
⑥生物多様性、森林、海洋などの環境の保全
⑦平和と安全・安心社会の実現
⑧SDGs実施推進の体制と手段
これら優先課題の実施に向けて、国の役所のそれぞれが関わる具体的な項目や指標を決めました。そして達成に向けての計画を立て、資金などの確保、民間の企業・団体などの積極的な取り組みを表彰する賞をつくり、さらに、学校・家庭・職場でSDGsに関する学習を促進しています。
SDGsは、‟壮大で野心的な目標”といわれることがあります。たしかに、世界中でだれひとり取り残すことなく、2030年までに、これだけたくさんの問題を解決しなければなりません。
何度も繰り返しますが、SDGsの達成で大切なのは、「持続可能性」です。これからの社会が少しでも持続可能であるよう、一人一人の行動が求められます。
参考
公益財団法人 日本ユニセフ協会(2018)『知っていますか? SDGs ユニセフとめざす2030年のゴール』さ・え・ら書房.
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