【書評】『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』 今、世界を支配するグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの光と影

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1.この本を手に取ったきっかけ

 21世紀の今を生きるうえで必要不可欠なツールを生み出している、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの巨大4大企業を、本書では「四騎士」と名付ています。四騎士とは、ヨハネの黙示録に登場するもので、地上の4分の1をそれぞれ支配し、剣、飢餓、悪疫、獣によって「地上の人間を殺す権威」を与えられています。

 グーグルは現代人の知識の源で、世界中の人々からもっとも多くの質問を投げかけられています。

 アップルは、宗教にも似た熱狂的なファンを持ち、低コストの製品をプレミアム価格で売ることに成功しました。

 フェイスブックは、普及率と使用率でいえば、人類史上もっとも成功している企業の一つです。

 アマゾンは、ネットショッピングと宅配によって買い物の手間を減らし、小売業の市場を一気に独占しました。

 私も、これら四騎士のユーザーの一人ですが、これら企業について詳しく分析し、その‟光”と‟影”にも焦点を当てた大作があると耳にし、この本を手に取りました。 

2.こんな人にオススメ!

 この本に取り上げられている四騎士のユーザーの方は、もちろん、学生からビジネスパーソンなど、さまざまな人にオススメです。

3.四騎士はペテン師から成り上がった

 それまで考えられなかったスピードで価値を生み出して発展した大企業は、ある種のペテンや知的財産の盗用を犯していることがよくあります。四騎士もまた、例外ではありません。

 テクノロジー史上で最も有名な‟窃盗”はマウスで動くグラフィカルなデスクトップ・コンピュータという構想です。ゼロックスでは実現できなかったそれを、スティーブ・ジョブズはマッキントッシュで完成させました。

 ゼロックスのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)しかり、シナプティクスのタッチスクリーンしかり、P.A.semiの省電力チップしかり、アップルが現在の主導的地位を築く基礎となった技術に関して、その多くを買ったり、あるいはライセンスを受けたりしました。

 そして、ときにイノベーションは法律で止まりません。フェイスブックはワッツアップの買収の承認を経るとき、2つの会社が短期的にデータを共有することはないとEUに約束しました。しかし、実際にはデータは驚異的なスピードで共有され、EUはフェイスブックに1億1000万ユーロ(約130億円)の罰金を科しました。

 しかし、この金額よりもフェイスブックが得た利益の方が大きく、フェイスブックは「法律違反をする」という判断を下したのです。

4.四騎士が共有する「覇権の8遺伝子」

 これら、四騎士に共通するものは何でしょうか。あえて言うなら、本書では、①商品の差別化、②ビジョンへの投資、③世界展開、④好感度、⑤垂直統合、⑥AI、⑦キャリアのは箔づけになる、⑧地の利だというのです。

 第一に、四騎士にはそれぞれ優れた製品があります(商品の差別化)。

 グーグルは優れた検索エンジンを持っていますし、アップルのiPhoneも優れたスマートフォンです。フェイスブックの整理されたフィード、‟ネットワーク効果”(誰もが参加している)、そして絶えず導入される新しい機能が組み合わされて、フェイスブックはどんどん便利になっていくのです。

 アマゾンは1クリックで注文すると2日以内に製品が届くサービスです。

 第二に、四騎士にはビジョンへの投資が明確です。グーグルは「地球上の情報を整理する」というシンプルかつ説得力あるビジョンがあります。フェイスブックのビジョンは、「世界をつなぐ」です。

 第三に、世界展開です。中国でも14億人、アメリカやEUだと3~5億人しかいませんが、世界全体で見れば70億人も消費者がいます。本当の意味での大きな意義のある会社になるには、国境を越えて世界中の人々にアピールする製品が必要です。

 第四に、四騎士は優れた好感度を持っています。四騎士には「かわいげ」があるというのです。

 グーグルの元副社長であったマリッサ・メイヤーは雑誌『ヴォーグ』に登場するほどでした。アップルは、クールでカッコいいというブランドイメージがあります。アマゾンは、小売業の従来の「どんくさい」イメージを一新し、フェイスブックの創始者であるマーク・ザッカ―バーグは映画にもなりました。

 その一方で、アマゾンは法人税をほとんど支払っていなかったり、フェイスブックは「メディアではなくプラットフォーム」などといって、フェイクニュースに関する責任逃れをしています。四騎士はイメージが良いがゆえに、さまざまな追求から逃げたりもしています。

 第五に、四騎士は垂直統合によって、流通をすべてコントロールしています。製品を自社生産していなくても、その調達、営業、販売、サポートを自社で行っているのです。

 第六に、四騎士は、それぞれAIによるデータへのアクセスとその活用能力が優れています。四騎士のような企業は、人間がインプットしたデータを学習し、それをアルゴリズム的に記録するテクノロジーを持っています。

 第七に、四騎士はそれぞれキャリアの箔づけになるトップクラスの人材を集める力を持っています。テクノロジーに強い人材の争奪戦は過熱しており、最高レベルの人材を惹きつける能力を、四騎士は持っています。

 第八に、地の利、つまり場所も重要だというのです。過去10年の間に時価総額が何百億ドルも増加した企業は、ほぼ例外なく世界的な技術系あるいは工学系の大学に自転車で通える距離にあります。

 四騎士のうちの3社、アップル、フェイスブック、グーグルは世界レベルの工学系大学であるスタンフォード(大学ランキング2位)と良好な関係にありますし、さらにカリフォルニア大学バークリー校(3位)からも自転車で通える距離にあります。アマゾンに近いワシントン大学(23位)も同等のレベルでしょう。

 キャリアの拍づけ企業となるためには、‟原材料”を持たなければなりません。かつては炭鉱のそばに発電所を建てていましたが、現代は一流の工学、経営、教養の学位を持つ人材が集まる場所に企業をつくるのです。

5.NEXT GAFA

 本書には、次に覇権を握るかもしれない、‟第五の騎士”として、アリババ、テスラ、ウーバー、ウォルマート、マイクロソフト、エアビーアンドビー、IBM、ベライゾン、AT&T、コムキャスト、タイム・ワーナーなどの名前が挙がっています。

 果たして、次の時代の覇権を握るはどの企業なのでしょうか。注目ですね。

6.GAFA以後の世界で生き抜くために

 本書では、四騎士が登場した以後の世界で、私たちが、どう生き抜いていくべきかも詳しく書かれています。

 デジタル化によって、ビジネスチャンスは世界中に広がりました。このような社会では、

一部の‟超”優秀な人材が有利に働きます。世界中の企業が注目を集める彼らは、どこの企業でも好待遇で働けます。

 しかし、平凡な凡人にとって、それは有利な環境といえません。並みの能力の人にとっては、世界中の何百人もの「並み」の人々がライバルとなります。世界中がひとつの大きな市場となったことで、他から抜きんでた才能や能力のない人々は、厳しい競争にさらされます。

 このような「並み」の人間が成功するためには、何が不可欠なのでしょうか。もちろん、頭がよくて働きもので他人に親切な人のほうが、怠け者よりは出世しやすいことは確かです。そのことは、これまでもこれからも、おそらく変わりはしません。しかし、デジタル時代を生き抜くにも、もっと別の要素も必要になってくるといいます。

 まず、何よりも重要なのは心理的成熟だというのです。かつてのように、ひとりの上司のもとで決まった作業をするというスタイルの分野は減少しています。デジタル時代の労働者は、毎日さまざまな役割をこなし、たくさんの関係者に対応していかなければなりません。

 そうした場面において、心理的成熟は不可欠です。強いストレスのもとでも、落ち着いて学んだことを仕事に応用できるようにしなければなりません。

 加えて、好奇心も必要です。デジタル社会は変化が早く、日々、新しい変化が起きています。その中で、古いやり方に固執せず、常に新しいアイディアを考え続けることが、成功の秘訣にもなるのです。

 そして最後に、当事者意識を持つことも重要です。誰かに任せきりにして、ただ単に指示を待つのではなく、何を、いつ、どのように終わらせるのかを、自分自身で考える力が必要です。仕事やプロジェクトは、すべて自分のものだと思わなければなりません。

7.関連する書籍

 『ITビッグ4の描く未来』は、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの巨大ITビッグ4の企業が、「なぜ強いのか」を丁寧に分析し、各社の「最近の動向」と「未来に向けた戦略」が書かれた書籍です。

 参考

スコット・ギャロウェイ(2018)『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』渡会圭子訳、東洋経済新報社.

小久保重信(2017)『ITビッグ4の描く未来』日経BP社.

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