発達障がい者への支援:勉強会で学んだ適切なサポートの方法

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こんにちは、改めましてM. Jです。

以前、M.Jは病院などで仕事をしていました。

病院では患者さんやその家族に加え、他の職種のかたとも連携を取る必要性があったのですがコミュニケーションの取り方が著しく悪く、相手の立場や感情に配慮できないことが多くありました。

私の発達障がいの特性上、「人の立場や感情を把握することが難しい」ため、人間関係のトラブルが多くありました。

医療機関で仕事をしていた人間としては致命的な問題だったと思います。

M.Jが抱えていた「致命的な問題」の原因は「支援者の立場で物事を考える姿勢が著しく不足していること」だったと思います。

ただ「支援者の姿勢」で適切な姿勢で行動することは簡単なことではなく、10年以上の年月が経過していました。

そんな中、2023年8月に児童精神医学の医師(先生)の「成人期の発達障がいの支援について」の講演がありました。この講演の内容は、得られるものが豊富にありました。

M.J自身が持っていなかった「支援者としての心構え」に加え、日常生活の中で他のかたに対し「どのようにコミュニケーションを取っていくか」についてしっかり学ぶことができました。今回の勉強会で得られた内容をもとに「支援者視点でのコミュニケーション」について書いていきます。

発達障がいや精神障がいの当事者の支援をされるかた、または会社や事業所などで障がい者と一緒に仕事をされているかたは、M.Jと共に「支援者の視点」で観ていただければと思います。

今回は、以下の項目に沿って適切なサポートについて書きます。

  • 発達障がいの特性を理解しよう!
  • 発達障がい者に対する適切な支援者
  • 発達障がいのある人とのコミュニケーション
  • 発達障がい者へのサポートの方法
  • 母のM.Jに対する子育て(実際)
  • 障がい者が生きやすい社会へ

発達障がいの特性を理解しよう!

まず、発達障がいの分類について簡単に書きます。

発達障がいの分類

《1》アスペルガー症候群(=ASD)

  • 言葉の発達の遅れは基本的にない
  • コミュニケーションの問題がある
  • 対人関係・社会性の問題がある
  • 著しくパターン化した行動を取る
  • 興味・関心の偏りが激しい
  • 運動が苦手・手先が不器用

《2》注意欠陥多動性障害(=ADHD)

  • 不注意・注意力不足
  • 集中できない
  • 多動(動かずにいることが困難)
  • 多弁(話をし過ぎる)
  • 衝動的に行動する

《3》学習障害(LD)

  • 「読む・書く・計算する」などの動作が苦手

つぎに、今回の勉強会の「基本」である「発達障がいの特性による問題」について書きます。

発達障がいの特性による問題】➡️  社会不適応の原因

アスペルガー症候群(=ASD)特性による問題

  • コミュニケーションが下手で、周囲から孤立する
  • 状況把握ができず、空気が読めない
  • 細部にとらわれ、全体が見えない
  • 真面目だが融通が利かない
  • 相談が下手で、困っても相談しない
  • 助言しても従わず、自分のやり方にこだわる

注意欠陥多動性障害(=ADHD)特性による問題

  • 話や指示の細部を聴いていない
  • 忘れ物や用事の忘れが多い
  • 順序立てや段取りが下手
  • 机の上が乱れていたり、頭の中も整理されていないことが多い。
  • 目についたことや思いつきで行動する
  • 仕事の期限を守れない
  • 同じ間違いを何度もする

発達障がいの特性が強く出てしまうと仕事を含めた社会生活への支障が生じてきます。

特に、仕事の場面では「上司の指示を聞くこと」「状況把握をして適切に行動すること」「同じミスをしないこと」を多く要求されます。

そのため、発達障がい者が仕事を含めた社会生活に適応するためには、「サポートする人(=支援者)」や「適切な支援」が重となってきます。

発達障がい者にとってどのような人が適切な支援者となるのでしょうか?

次の項では、発達障がい者に対する支援者について書きます。

発達障がい者に対する適切な支援者の条件

障がい者(本人)の立場に立つことができる人。

障がい者の「1人1人の世界」を認識することができる人。

障がい者に合わせて、援助することができる人。

こだわりが強い人に対して、受け入れられるように解説ができる人。

障がい者と社会を結びつけることができる人。

発達障がい者に「適切な支援をすること」は難しいです。

上記①・②の「本人の立場に立つ」「障がい者の世界を理解する」ことが重要です。

これらのことができないと残りの③〜⑤も行なうことはできないと思います。

発達障がい者に対してうまく関わったり、適切な支援をすることは、支援者にとってはいろんな壁を越えていかないといけません。

支援者が「自分目線」を捨てて「相手目線」で物事を考えることがものすごく重要です。

そのためには、1人1人の特性だけではなく「個性」を把握することが必要になります。

支援者が「自分目線」を捨てて「相手目線」になるためには、発達障がい者本人とのより良いコミュニケーションが重要です。

どのようにすれば、本人と「より良いコミュニケーション」ができるのでしょうか?

次の項では、発達障がいのある人とのコミュニケーションについて書きます。

発達障がいのある人とのコミュニケーションの留意点

本人の話をよく聴くこと!

本人の世界を理解し、本人の理解者になる。

本人自身が理解される喜びを知ることができるようにさまざまな工夫をする。

《「この人はわかってくれる」と思ってもらえるようにする》

復唱と要約をする

「◇◇ということですか?」と復唱する。

「◇◇なのですか?」要約を入れる。

《こちらが「どこまで理解したか」を示す》

言葉を補足する

「◇◇なのですか?」「◇◇ということですか?」

→支援者が足りない言葉を補足する

《話す中で本人が「自分の考えや自分の気持ち」に気づくようサポートする》

視覚の利用

→発達障がい者は視覚的な情報のほうが理解しやすい。

重要なキーワードは書いて本人に示す。

本人に伝えたいことは図を利用して伝える。

《メモ用紙やホワイトボードを用いて因果関係は矢印でつなげていくと伝わりやすい》

発達障がい者と適切にコミュニケーションを取るために必要なことは「本人の理解者になる」ことです。

発達障がい者は特性が強いことが多いため、仕事を含めた社会で「周囲の人と適切にコミュニケーションを取ることが難しい」ことが多いです。

よって、本人をサポートする方法として特に ①本人の話をしっかり聴く、②本人の話を復唱する(場合によっては要約する)ということを実践することが大切です。

それによって本人が支援者に対して「この人はわかってくれる」という安心感をもつことができます。

安心感が生まれてくることによって、本人と支援者のコミュニケーションは円滑に進み、お互いの人間関係はかなり良好になってきます。

「相手目線」と「本人の話をよく聴くこと」を意識して行動することは、発達障がい者をサポートするには最も欠かせない要素です。

これを踏まえた上で、本人をサポートすることができれば「発達障がい者の社会参加」はうまくいくのではないでしょうか?

次の項では、実際の発達障がい者へのサポートの方法について書きます。

発達障がい者へのサポートにおけるポイント

発達障がい者が社会でより良く生きていくためには、どうしても「周囲のサポート」が必要となります。

周囲の「サポートの方法」によって、発達障がい者の「生きやすさ」や「働きやすさ」が大きく変わってきます。そこで、発達障がい者の「QOL(生活の質)の向上を図る」ためには、どのようなサポートが必要なのでしょうか?

発達障がい者へのサポートにおけるポイント

本人の「困りごと」を尋ねる。

本人にとって「謎の部分」を支援者が解説をする。

本人が「相談しやすい雰囲気づくり」をする

本人の「取扱説明書」を一緒につくっていく

本人が「助けてもらう人生」に導き、かつ本人が「できること」は本人が行なう。

→本人と周囲がお互いに助け合うイメージが望ましい。

実際に発達障がい者をサポートしていく方法】

《1》基本的な支援の方法

本人と一緒に「本人の得意な部分と苦手な部分」を話し合う。

本人が「苦手な部分」は、周囲の人に助けてもらう。

→苦手な部分を「助けてもらう実績」を積んでもらう。

本人に「助けてもらう快感」を実感してもらう。

《周囲の人に助けてもらうことによって、本人が「苦手な部分」に気づきやすくなる》

《2》支援者の仕事

周囲に対して「本人の生き方・人生」について解説する

本人に対して「他者の気持ち・意図・状況」を解説する。

本人に対して「今後起こること」について解説する。

→特に、本人に対して「危険性のあること」を解説する。

《今後起こることや危険性を予想したうえで解説すること》

発達障がい者のサポートについて、「面倒くさい!」と思う方もおられるかもしれません。

しかし、実際にサポートする方法は比較的シンプルなものです。

重要なことは、本人の「得意な部分と苦手な部分」を把握していくことです。

発達障がい者の場合、苦手な部分でものすごく困っていることが多いため、苦手な部分とそれについてどのように対応すればよいかといった「取扱説明書の作成」は、サポートしていく上で欠かせません。「取扱説明書」が作成されて実行されれば、障がいによる「困りごと」は大きく軽減されます!

これに加えて、サポートをしっかり行なっていくためには、本人に対して「他者の気持ちを解説すること」「今後起こることを予測して伝える」ことが重要です。

実際には、これらの2項目ができれば「適切なサポートができる」のではないでしょうか!

次の項では、M.Jに発達障がいがあっても、社会で生きることができるようになった「M.Jの母が実際に行なった子育て」について書きます。

母のM.Jに対する子育て(実際)

この項では、M.Jがよく覚えていない3歳〜7歳の時に「M.Jの母から聞いた話」とそれ以降の18歳までに実際に行なわれた「規格外の子育て」について書きます。

M.Jは、3歳の頃「言葉の発達」が著しく遅いことに加え、「指差し」もほとんどできていなかったようです。「周囲に対する興味」もあまり示していませんでした。

市町村の母子保健の担当者からも「言語の発達が遅れている」「特殊教育を受けてみてはどうか」と言われていたようです。

そのような状態であった為、基本的に母は付きっきりで私に向き合っていました。

7つ年の離れた姉が居たのですが、母は私が3歳の頃からは「自分のことは自分でするように」指導されていたようです。

よって、母は私が生まれてからは「姉と向き合う」ことはほとんどなかったと思います。

母はM.Jに対して次のような方法を意識していたのではないかと思います。

「子ども目線」で物事を考え、対応する。

《基本的に「上から目線」で対応しない!》

相手の話を聴くことを徹底する。

《「否定しない姿勢」は、ものすごく大事!》

相手の行動を見守ることを徹底する。

著しく危険な行動をした時以外は注意をしない。

声掛けの方法を工夫する。→「柔らかい感じで伝える」「大声で伝えない」

相手の納得が得られる方法を工夫して、実行する。

穏やかな雰囲気を表出する。→ピリピリした感じを与えない。

母は、M.Jに対して上記のような対応を徹底していました。

母から厳しく言われたことは、ほとんどありませんでした。

ある時、母はM.Jに対して「ゲームのしすぎ、もうやめなさい!」と言いました。

M.Jは、とっさに「お母さんもこのゲームをしてみたら」と言い、ゲームのコントローラーを渡しました。

何と、母はゲームをし始めました。楽しそうにして「これ、楽しいね!」と言い、できるだけ時間のある時は一緒にゲームをしました。

M.Jは、母の「意外な行動」に驚き、ものすごく感激しました!

母は上から否定することもなく「子ども目線」となって行動したのです!

母は、戦時中に生まれたにも関わらず「包容的な感じ」でした。

基本的に、母と居る時は「楽しく」過ごしていました。

M.Jは、比較的「のびのび育てられた」ほうだと思います。

これ以外も「子ども目線」でいろんなものを見ていました。

M.Jが小・中学生で猛烈ないじめを受けた時も、アドバイスよりも「共感すること」を徹底してM.Jの話をしっかり聴いてくれました。

この「規格外の子育て」によって、M.Jはイキイキとした生活を送ることができるようになりました。

母のM.Jに対する子育ては、以前の記事にも記載しています。ご覧いただけると有り難いです。

関連記事:M.J:病気の早期発見:母への想い

障がい者が生きやすい社会へ

以上、発達障がい者への支援でした。

発達障がい者をサポートしていく上で最も重要なことは「常に相手目線を意識して、対応すること」です。

意識しないと「上から目線」となってしまいます。そのようにしてしまうと「あいつはこんなこともできない!」という考え方になり、本人と支援者間のトラブルの発火源となります。

今回の記事で挙げた「本人とのコミュニケーション」「適切な支援の方法」をしっかりご覧いただき、本人の「話を聴いて共感すること」「苦手な部分をサポートすること」「取扱説明書を作成すること」を行なっていただければ、発達障がい者の「生きづらさ」「働きづらさ」は軽減されると思います!

また、「穏やかな雰囲気」「言葉の伝え方を柔らかくする」といったことを実践すると、発達障がい者にとって過ごしやすくなると思います。

最後に、発達障がい者にとって生きやすい社会とはどのような社会でしょうか?

発達障がい者にとって生きやすい社会

障がい者が「助けてもらう側だけ」ではない。

健常者も助けてもらう場合もある。

障がい者と健常者がお互いに助け合って、感謝し合う社会が理想!

現在発達障がい者に限らず、さまざまな障がい者がコミュニケーションに「困りごと」を抱えていることが考えられます。

もし、コミュニケーションが難しい障がい者に出会ったときは、今回の記事のような「本人目線の対応」ができれば「障がい者にとって生きやすい」と思います!

障がい者にとっても、健常者にとっても「生きやすい社会」になることを願っています!

記事をご覧いただき、どうもありがとうございました。

今回の記事は、以下の文献を参考にしました。

参考:厚生労働省:発達障がいの理解(PDF)

今後について

興味があることや、今後書いていきたい記事のテーマとして、すい臓のケアは簡単ではない!、人にも環境にも優しい時差出勤を導入してみよう!、多様な働き方を導入してみよう!があります。

皆さんに役立つ情報を届けていければと考えています。
今後ともよろしくお願いします!

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