東大生の官僚離れ‐なぜ、国家公務員試験を受けなくなった?‐

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こんにちは、金次郎です。

 国家公務員 総合職(キャリア官僚)と言えば、東京大学出身者と言うイメージです。
 しかし、ここ10年は東京大学の学生受験者が減り続けており、省によっては採用者数が1桁と言う結果になった事が、今年の調査で分かりました。
 なぜ、東京大学の学生は、キャリア官僚になりたく無くなったのでしょう?

公務員試験とは?

 公務員になるためには、公務員試験を受けて合格しなければなりません。

 その公務員試験には「国家公務員試験」と「地方公務員試験」の2つが有ります。

 その中にも「総合職試験」「一般職試験」「専門職試験」などの種類が有ります。

 その試験の対象も
  ・大学院卒業者
  ・大学卒業程度
  ・高校卒業程度
  ・社会人を対象にしたキャリア試験
 と、色々な種類が有ります。

参照:(グッドスクール・資格取得情報比較【2023年最新】国家公務員試験の難易度は難しすぎる?ランキングと合格率や年収も調査!

東京大学卒が、どんどん減っていく

 上記の試験の中でも、国家公務員総合職(大学卒業程度)試験は、いわゆる「キャリア官僚」になるための試験ですから一番難しく、合格率も9.2%ほどです。
 ですから、「キャリア官僚は、東京大学を卒業した人がなるもの」と言うイメージがずっとありました。
 しかし、ここ10年は、この国家公務員総合職の試験を受ける、東京大学の学生が年々減っているそうです。

 今年の東大生の合格者数は193人で、大学別で見るとトップですが、去年に比べて24人減っています。
 この人数は「1種試験・2種試験」から、「総合職試験」に名称が変わった2012年度以降では最少を記録しています。
 また、合格者数も初めて200人を下回りました。
 2012年度以降で、東大生の合格者が一番多かったのは2015年度の459人ですから、ここ10年で半分以下に減ってしまった事になります。

 特に国の経済政策をしてもらう経済産業省を志望する、東京大学経済学部の学生が少なくなっており、10年前は46人だった合格者が今年は9人と、1桁にまで落ち込んでしまいました。
 この人数を見た経済産業省の幹部たちは驚きを隠せなかったそうです。

・国家公務員総合職 大学別合格者順位

東京大学 193人
京都大学 118人
北海道大学 97人
早稲田大学 96人
立命館大学 78人
東北大学 70人

  となっており、赤文字の早稲田大学や立命館大学など、私立大学からは634人(31.3%)が合格しており、前年度の531人(28.4%)から103人も増えています。

 厚生労働省などでは、いわゆる「MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)大学」と呼ばれる、大手私立大学の卒業者がキャリア官僚の半分を占めるそうです。

参照:(ビジネスジャーナル)内定者の半数がMARCH級の省庁も…キャリア官僚、私大卒が3割に、東大は減少

参考:(朝日新聞)東大経済学部卒の新人官僚、10年で8割減 学生「慣例」に幻滅

官僚のつらさ

 霞ヶ関で働くとなると、やはり政府をはじめ国会議員との対応も発生しますので、どうしても長時間労働になってしまいます。
 また、国会が開催されている間は、議員個人だけでなく国会対応もしなければなりません。
 これら主の仕事以外の対応もしなければならい事から、就職先として学生から敬遠されているのでは無いでしょうか?

でも、国家公務員は、その分民間企業よりも高い報酬をもらっています。
 大企業と中小企業では違いますが、民間企業では、40代課長で858万円、50代部長で1000万円ほどの年収です。
 しかし、キャリア官僚になると、40代課長で約1200万円、50代局長で約1800万円と民間企業よりも収入は多いです。

 しかし、あるキャリア官僚OBは
 「内閣府に出向していた期間の評価はAランクだったのですが、省に戻ったらCランクの評価に落とされてしまいまいた。
 これは多分、出向期間中は所属する省の省益に貢献しなかったからでしょう」と言います。

 ノンキャリアの女性職員も
 「国会対応などの雑務に忙殺されて本命業務が滞ったり、文書の書き方が悪いと言うだけで決裁を差し止められたりと、とにかく無駄な業務が多いです。」と不満を漏らします。

 後は何と言ってもこれでしょう。
 「とにかく省庁は年功序列ですから、能力が有っても勤務年数が経たないと上に上がれない組織です。
 また書類は、細かい資料を添えて上司に見せて説明しても、修正を言われたら修正する必要がありますので、深夜まで対応が及ぶことがしばしばあります。」

 これらの、現代では形骸化した仕事の進め方が、今の若い学生たちには魅力的な就職先候補として見られず、仮に入職した人も「やはりこの仕事は自分には合わない」と、入職3年から5年以内にどんどん辞めて行くのだと思います。 

参考:(DIAMOND ONLINE)「東大生が官僚にならなくなった」理由は?学生の“霞が関離れ”を映す現役職員のリアルな声

終わりに 

 私の中学・高校時代の友人で、自衛隊に入隊した人がいますが、階級が下の隊員は間違った命令でも反論せずに遂行しなければならない、つらさと言うか苦労が有ったそうです。
 その彼が、頑張って幹部試験に合格して幹部になった後、今度は素直に命令に従わない部下に手を焼いたそうです。
 自衛隊の場合は、年功序列に加えて階級社会の苦しさ&つらさですね。

 私が新卒で入社した会社も、入社当初は「年功序列制度」の会社でしたが、バブル崩壊後は「能力主義」に人事制度を改めまして、仕事ができる人ほど出世できる様にしました。
 地方自治体の役場などは、かなり人事改革が行われ入職年度に関わらず自由に意見が言える様になりましたが、霞ヶ関の官庁も改革が必要ですね。

  

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