あなたは性的同意年齢13歳をどう思いますか?~子どもの人権を考える8

性的同意年齢

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はじめに

これから大人になろうとしている10代の皆さん。
皆さんは「性的同意年齢」という言葉を知っていますか?

現在、この「性的同意年齢」が13歳から16歳に引き上げられようとしています。

皆さんにとってとても大切な心と体の問題について取り上げていこうと思います。

性的同意年齢の定義とは

第一東京弁護士会所属、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長、保護司を務めている上谷 さくらさんによると、下記の様に示されています。

性交、つまりセックスすることについて 同意する能力があるだろうとみなされている年齢、という言い方になりますね。また「性的同意年齢」というものもあります。キスしたり、裸にして体をなめたりなど、“性交”以外の性的行為に対して同意する能力があるとみなされる年齢のことです。

引用 NHK 性的同意年齢とは 

世界各国の「性交同意年齢」

世界各国の「性交同意年齢」は、下記の様になっています。

16~18歳 アメリカ

  16歳 カナダ、イギリス、スペイン・ロシア・フィンランド・韓国

  15歳 フランス・スウェーデン

  14歳 ドイツ・イタリア

  13歳 日本

日本の「性交同意年齢」は13歳で、明治時代に刑法で制定されてから100年以上変わっていません。

明治・大正時代の平均寿命は44歳前後ということで、人生100年時代と言われている現代において状況がかなり変化しているのにもかかわらず、法律は古いままになっています。海外と比べてもかなり低年齢に定められています。

性被害に遭い、相手を罪に問うには・・・

画像引用 NHK  性交同意年齢とは?なぜ13歳?世界では…<用語解説>

お子さんが性被害を受けて、それが同意があったとみなされてしまったときに初めて性的同意年齢の定義を知って驚愕される親御さんたちが少なくないそうです。

いまの刑法には「暴行脅迫要件」というものがあり、望んでいない性行為を犯罪として罰するには、「同意していないこと」だけでなく、加害者から「暴行」や「脅迫」を加えられるなどして、「抵抗できない状態につけこまれた」状態であることを被害者側が立証しなければならないからです。

13歳以上の者に対する性交等については,暴行・脅迫や心神喪失・ 抗拒不能の要件を満たせば,それぞれ,強制性交等罪,準強制性交等罪が成 立する(同法第177条前段,第178条第2項)。 

引用「性犯罪に関する刑事法検討会」取りまとめ

 

こうきょ‐ふのう〔カウキヨ‐〕【抗拒不能】 の解説

心神喪失ではなく、身体的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態。例えば、手足を縛られている、酩酊している、高度の恐怖・驚愕 (きょうがく) ・錯誤に陥っているため、意思決定の自由を奪われている状態をいう。

引用:抗拒不能(こうきょふのう) の意味

つまり、いかに被害者が「抗拒不能」の状態であったか、被害者が自身が証明しないといけないわけであり、それにより、立証のハードルが極めて高く、被害者にかなりの負担を強いることになっています。

被害に遭ったときに、身体がフリーズすることなどの症状も考慮されず、被害の実態に即していないと指摘する声も上がっています。

被害者支援団体からは「暴行」「脅迫」「抗拒不能」要件の撤廃または拡大を求める声があがっています。

性犯罪の刑法改正で試案

公訴時効の撤廃もしくは延長

性に関する知識が乏しい日本の子どもたちは、大人から受けた行為が性加害であったと認識できるまで、時間がかかります。ましてや、それを被害だと申告するには勇気がいり、難しさを感じることだと思います。

そこで、公訴時効を撤廃もしくは延長することも、試案にあげられています。

体の一部や物の挿入も「性交」扱いに

現在の強制性交等罪は、男性器(陰茎)を膣や肛門、口腔内に挿入する又は挿入させる行為を処罰の対象としています。

試案では、「膣又は肛門に身体の一部又は物を挿入する行為」も性交と同等の扱いとし、同罪の適用対象の見直しも示されています。

子どもたちに身近に接する人々の地位や関係性を利用した性犯罪規定の対象を広げるかどうか

2017年の改正で、「監護者性交等罪」と「監護者わいせつ等罪」が新設されました。

この改正により、18歳未満の子どもたちに対し、肉親や、同居している保護者など「現に監護する者」が影響力があることを利用して性交などをした場合は、「暴行」や「脅迫」がなくても処罰の対象になりました。

しかし、この「現に監護する者」の範囲の特定が難しく狭いことや、18歳以上の被害者は対象にならないという問題が山積したままになっています。

教師スポーツ指導者職場の上司施設職員など、子どもたちに身近に接する機会の多い立場や、地位にある人たちも処罰の範囲内とするか、検討会で議論が続いています。

まとめ

日本の性教育は海外と比べてかなり遅れていると私は思います。

性行為によっていろいろなリスクがあることを子どもたちに十分に教育できているとは私は思えません。

文部科学省が定める日本の小中学校の学習指導要領では、性交については「教えない」こととなっています。

「性行為は、お互いの同意のもとにするもので、断る権利もあります。」そもそも、「同意のない性行為は、性行為ではなく暴力だ」ということが理解されていません。それなのに、13歳の少年少女たちに性行為に同意があったと判断させられる状況は過酷すぎると思います。16歳に引き上げることは、義務教育を受けている子どもたちを守ることに繋がります。

みなさんの心と体はみなさんのものです。大切に扱われて当然のものです。みなさんを守るために本気で動き出している大人たちはたくさんいます。性被害について悩んでいるのならば、どうか、信用できる大人を見つけて、相談してほしいと思います。

<子どもの性被害に関する相談窓口>

児童相談所虐待対応ダイヤル「189」

子どもの人権110番 0120-007-110(午前8時半〜午後5時15分、月曜〜金曜)

チャイルドライン 0120-99-7777(午後4時〜午後9時)

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター【一覧】

参考サイト

なぜ、性犯罪の刑法改正が必要なの? いま知ってほしいこと、わかりやすく解説 huffpost

大人との恋愛に憧れていた14歳の私と、性的同意年齢 

これまでの子どもの人権を考えるシリーズ

noteでも書いています。よかったら、読んでみてください。

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