現代の「新型肺炎」と104年前の「スペイン風邪」流行を比較してみる

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こんにちは、金次郎です。

 新型肺炎の第7波も感染者が減り、今年は日本各地で3年ぶりにお祭りや大規模イベントが復活開催されています。
 また、政府は感染者の減少を受けて、日本人の旅行だけでなく海外からの観光客の来日も解禁しました。
 しかし、一部の識者は、これから冬に向けて寒くなる季節に、今度はインフルエンザと新型肺炎のダブル流行が起こる可能性を懸念し、気をつける様に言っています。

 一体この感染症の戦いは、いつまで続くのでしょうか?
 過去に流行した「スペイン風邪」に終息へのヒントがないかと思い、今回調べてみました。

 また、前述したインフルエンザとも比較も行いますので、最後までお付き合いください。

世界的な「スペイン風邪」の流行

 世界的な病気の流行は過去にも有りました。

 今から104年前の、1918年から1920年にかけて世界中で感染者が出た「スペイン風邪」。

※ 一般的には「スペイン風邪」と言われていますが、国立感染症研究所などでは「スペイン・イ
  ンフルエンザ」もしくは「流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)」と表記したりしていま
  す。

 当時の地球の人口は約19億人ですが、その27%に当たる約5億人が感染し、死者も推定1億人以上出たと言われる、史上最悪のパンデミック(人類共通感染症)です。

 「スペイン風邪」は、合計で3回の流行の波が来ました。

 1回目は、1918年3月にアメリカ陸軍の兵士が発熱、頭痛、喉の痛みを報告し、これが最初のスペインかぜの症例とされています。
 当時は、第一次世界大戦の真っ最中で、ヨーロッパに派遣される兵士により、他のアメリカ軍基地やヨーロッパに感染者が急速に広まり、その後アフリカや日本を含むアジアにも感染者が出ます。

 2回目は、同じ年の8月に、変異したウイルスがアメリカ・フランス・シエラレオネで同時発生し、軍隊の移動に伴って猛威を振るいます。
 この2回目が、1番多くの感染者と死者を出します。

 3回目は、翌年の1919年1月で、この3波では戦争の講和会議出席の為にフランスのパリに滞在していた、アメリカのウィルソン大統領も感染してしまいます。

「スペイン風邪」終息の訳

 1918年から世界中で猛威を振るったスペイン風邪は、1920年の春には収束しました。
 これは多くの人が感染した事で、このスペイン風邪のウイルスに対する中和抗体を得た事で収まったと考えられています。
 20世紀初頭は、まだ抗生物質が発見されておらず、ウイルス学もそれほど発達していなかったので、当時の医薬技術はスペイン風邪にはほとんど無力でした。
 患者の隔離や、手洗い・うがい、さらに集会や移動の制限などしか手立てがなく、流行を抑えることができませんでした

参考:(Yahooニュース)1918年の「スペイン風邪」はどう「収束」したのか:新型コロナの波と比較する

インフルエンザと新型肺炎を比較する

 冒頭にも書いた様に、この冬はインフルエンザと新型肺炎のダブル流行が懸念されています。

 新型肺炎とインフルエンザどう違うのでしょう?

 今度はインフルエンザと新型肺炎を比べてみましょう。

潜伏期間

 初期の新型肺炎 5日
 オミクロン株  3日
 インフルエンザ 2日
 と、現在の新型肺炎(オミクロン株)の潜伏期間は、インフルエンザとほぼ変わりません。

共通症状

 気道症状:咳、鼻水、のどの痛み
 身体症状:熱、頭痛、だるさ、筋肉痛、関節痛

 初期の新型肺炎の症状として、味覚障害臭覚障害が有りましたが、オミクロン株ではほとんど見られず、共通症状もインフルエンザと見分けがつきません。
 結果として、インフルエンザか新型肺炎かの判断は、現状医療機関での検査に頼らざるを得ない状態です。

違うのは「重症化リスク」

 違う点は、それぞれの病気に対して重症化しやすい人です。

 年齢

 インフルエンザ 生後6ヶ月から5歳の小児、もしくは50歳以上の方
 新型肺炎    65歳以上の高齢者

基礎疾患

 インフルエンザ 喘息(ぜんそく)を含む肺疾患、高血圧を除く心臓や血管の病気、腎臓や肝臓の病気、血液疾患、糖尿病等を有する成人および小児

 新型肺炎 慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、脳血管疾患

肥満度

 インフルエンザ 顕著な肥満(肥満度を示すBMIの数値が40を越える成人)
 新型肺炎    肥満(BMI 30以上)

妊娠している女性

 インフルエンザ 全ての妊婦
 新型肺炎    妊娠後期の方

その他

 インフルエンザ 介護施設や慢性期病棟の入所者
 新型肺炎    喫煙者

参考:(Yahooニュース)新型コロナとインフルエンザ 症状や重症化リスクはどう違う?

マスクも限定使用になったけど、インフルエンザに注意な今冬

 新型肺炎の感染者がかなり減って、海外からの旅行者も受け入れ出したと言う事で、厚生労働省もマスクの着用については「屋外では原則不要」としました。

マスクの着用は、以下の様な時に限定しました。

・屋内で人との会話で距離が取れない時
・電車やバス等に乗る時
・病院への通院時
・高齢者と会う時

参照:(厚生労働省)マスクの着用について

 しかし、日本感染症学会では以下の様に、今冬はインフルエンザが流行する事を警戒しています。
 「新型肺炎流行の為、手洗い・マスク着用・三密回避を行ったおかげで2020年から2022年初頭までインフルエンザ感染の報告はほとんどありませんでしたし、同時流行もありませんでした。
 しかし、2022年4月後半から報告数が増加し、例年を超える患者数となっており、医療の逼迫が問題となっています。
 今般、海外からの入国が緩和された事により人的交流が増加すれば、国内へウイルスも持ち込まれると考えられ、わが国においても、今秋から冬には、同様の流行が起こる可能性があります。」と警鐘を鳴らしています。

参考:(一般社団法人 日本感染症学会)提言 2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について(一般の方々へ)  

終わりに 

 今年は、空梅雨(からつゆ)でほとんど雨が降らないまま、物凄い猛暑が訪れました。
 それで、新型肺炎の感染者だけでなく熱中症に罹る人も多く出て、救急車の出動が間に合わなかったり受け入れ先の病院が中々見つからないと言う事が発生しました。

看護師が多数感染し、業務が滞る病院

 そして、今は秋の涼しさどころか、いきなり寒くなっています。
 この様な気温が乱高下する気象状況ですから、肺炎感染や熱中症だけでなく体調不良を訴える人もかなりいます。
 1年を通して、常に体調管理に気を付けなければいけない状況です。
 マスクも屋外では不要になりましたが、状況に応じて着けたり外したりなんて面倒だし、この3年でマスクを着けての外出に慣れてしまいましたので、私は今まで通り常にマスクを着けて外出しようと思っています。

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