「精神障がい者枠」で働く!2018年4月雇用義務化へ

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1.2018年4月精神障がい者雇用義務化へ

 2018年4月より、精神障がい者の雇用が義務化されます。簡単に説明しますと、企業が雇用すべき障害者の範囲に、正式に「精神障がい者」も含まれるようになるのです。

 現在、障害者雇用促進法で、50人以上の企業が雇用すべき従業員に占める障害者の割合は、2%と定められています。しかし、その算定基準には、これまでは身体障がい者と知的障がい者しか含まれておらず、精神障がい者は除外されていましたが、2018年4月よりその算定基準に、正式に精神障がい者も含まれるようになるのです。

 このことは、「企業は必ず精神障がい者を雇用しなければならない」ということを意味はしませんが、これまで「精神障がい者が働くことは難しい」と言われてきた現状と比べると、これからは精神障がい者がより働きやすい社会になっていくことは確かです。

2.精神障がい者が働くために

 精神障がい者が働くうえで重要なことは、まず働く意欲です。働いていくのは自分自身ですから、「働きたい」と思わなければ、スタートは始まりません。

 就職活動は競争の現場でもあります。就職活動を勝ち抜き、内定を得るためには、自己アピールを明確にしなければなりません。そのためにも、自分の長所(強み)をつかむ必要があります。

 応募する企業を探す→応募する→書類選考→面接という就職活動の流れは、障がい者雇用の現場もおおよそ同じです。採用面接でも、面接時に必要になってくるマナーなどは同じですが、面接の際には、障がい者雇用ならでの質問もあります。それは、「働くに当たって、どのような配慮が必要ですか?」という質問です。

 ここで、「なにもありません」と言い切るのは、良い回答ではないかもしれません。なにかしらの配慮が必要だから、「障がい者雇用」なのですから。

 障がい者雇用をめぐる状況は、常に変化しています。たとえば、以前は精神障害者の採用に消極的だった企業が1年後には積極的に採用している、という例もあるでしょう。

 以前は、「ハローワークに求人を出していても、精神障がい者は採用されない」、「企業は身体障がい者や知的障がい者の人ばかり採用していて、精神障がい者は採用されない」、「障がい者雇用で採用された人は、フルタイムで勤務しないとだめ」、「障がい者は景気が悪くなるとリストラされてしまう」などといわれていますが、現在は必ずしもそうではありません。

 古い情報は頭の片隅に置く程度にとどめて、新鮮な情報にできるかぎり接するようにしましょう。

 就職活動をする際に、就労移行支援事業所(就労を希望する障がい者に対し、生産活動の機会の提供、求職活動の支援などを行う機関)に所属する方法があります。就労移行支援事業所を利用する場合には、自分に合う支援機関かどうか検討してください。多くの支援機関で、見学や体験利用ができるはずです

3.オープン就労とクローズ就労

 精神障がいを持っている人が働くときにまず問題となるのが、オープンで働くか、それともクローズで働くか、ということです。オープンとは職場に精神障がいのことを明らかにして働くこと、クローズとは障がいを明らかとしないで隠して働くことを指します。

 オープン就労で働く場合は、障がいのことをを配慮してもらえることによる様々なメリットがあります。通院日が確保される、労働条件などを配慮してもらえる、薬を気にせずに飲める、何か困ったことがあった時に会社に相談できるなどです。

 しかし、クローズで働く場合には、これらの配慮を得ることはできまん。それでもクローズで働く人が少なくないのは、クローズのほうが選べる職場の選択肢が増えること、また障がいがあることを自分でも認めたくない場合があるからです。ですが、クローズだと多くの人が仕事が続かない、という調査もあります。

 その理由の一つは、雇用側の考えるイメージとのギャップが背景にあると思われます。たとえば、精神障がいを持つ人の中には、履歴書を見る限りでは高学歴であたっり、過去に一流企業に勤めた経験がある人もいるでしょう。

 そういう人に対し、企業は即戦力的な役割を求めがちです。しかし、なんらかの精神疾患を持っている人は、仕事をする上での集中力や正確性や持続力が、健常者の人と比べると落ちている人も多いのが現状です。そうすると、企業から要求されるレベルの仕事ができないという事態が、しばしば生じます。

 また、昼に薬を飲んでいるのを見られて何の薬か聞かれて答えられなかったり、自分の病気が知られるのではないかと日々、不安になってそれがつらくなってしまったりする場合が多いようです。

 加えて、クローズで就労する人の場合、病気を抱えている自分に対する自己理解がきちんとできていない可能性もあり、自分の思い描く仕事のできる自分と、それができない自分とのギャップに苦しんで落ち込んでしまうケースもあるようです。

 こういった事情から、やはり自分の障がいをオープンにして、障がいに対する配慮のある環境で働くことが、何より一番でしょう。だからこそ、精神障がい枠で働くという選択肢が、一つの大きな可能性を秘めているのです。

  参考

里中高志(2014)『精神障害枠で働くー雇用のカギ・就労のコツ・支援のツボ』中央法規出版.

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2018年7月16日

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1 個のコメント

  • とても参考になりました。

    先入観ですが、
    身体障害者、精神障害者や発達障害者は、助成金や年金をもらっても
    健常者の同じ立場の人よりも収入が少なく
    手帳の保護を受けても生活が難しいように思います。

    日本人の気質として、将来に対する安心感が
    モチベーションや挑戦、さらには経済を支えていると思いますので、
    国民が安心できる社会制度、経済、雰囲気になることを
    常々願っています。

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