名札や、名前の刺繍がされていない制服で、どれだけ子ども達の権利を守れるかー?  

学校 名札

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

以前は当たり前に見られた中学生の制服の胸元に縫い付けられたネーム刺繍や名札。それが現在は廃止した学校が多いことをご存知ですか?

近年は生徒の個人情報の保護や防犯意識の高まりから廃止した学校が増えています。ですが、胸元に記載された名前は生徒たちや教員間が名前を覚えやすいなど友人関係を築く上や生徒指導でのメリットも多く見られ、各学校で試行錯誤な日々が続く一方です。生徒の円滑な学校生活と安全・安心のバランスをどう取るかが、大きな課題となっている様です。

今回は色んな地方での、刺繍されたネーム・名札について考えていきたいと思います。

名前入りの刺繍・名札を無くすか否か、対応が迫られる学校側

夏の男女の学校の制服

ネーム刺繍を廃止するか否か。廃止を選んだ場合に発生する不利益も考えなければなりません」。大阪府にある門真市立第四中学校の教頭の男性はずっと頭を悩ませている話です。

文部科学省によりますと、制服のネーム刺繍や名札の取り入れは一般的に教育委員会や各都道府県の自治体ではなく、それぞれの学校の判断に委ねられます。門真市立第四中学校では現在は制服のシャツやブレザーにネーム刺繍が入りますが、2026年度に小中一貫の9年制義務教育学校へ再編するに際し、廃止するか否かの検討を始めました。

同様の廃止は全国の学校で加速しています。背景には子ども達を狙った嫌がらせや事件に巻き込まれるケースが相次いでいることでした。佐賀県では登校していた女児の顔と名前が第三者の男に撮影され、インターネットに拡散されたケースを重く受け止め、2021年に佐賀県警が登下校中にネーム刺繍や名札など個人が特定されやすい物の着用を廃止する様に、佐賀県内の学校や教育委員会に要請を出しました。

大阪府東大阪市にある学生服メーカーの瀧本の担当者は「生徒の本名が校外の人に理解しやすい事は大きな問題だという意識の向上から、制服にネーム刺繍を廃止した学校は増えています」と説明します。大阪府内でもこの数年で廃止した中学校があって、教頭の男性は「ネーム刺繍を廃止することで、個人情報の保護など安全性は向上するでしょう。生徒や保護者の方の意見、現代社会の流れも踏まえて検討を重ねていきたい」と述べます。

個人情報の保護の観点以外には、ネーム刺繍は、「縫い付け式の名札は衣替えの時期や洗濯する度に縫い付けが必要となり面倒」「後輩らに制服を譲る時にネーム刺繍を取り外す手間を要する」などの声から廃止するケースもあります。その反面で、胸元の名前は生徒や教員間での交流や指導にはメリットも多くあって、生徒からも「友人を自分に紹介された時に名前をすぐ覚えられる」などという声もあります。

着脱式の名札になれば、個人情報の保護や防犯の観点から一気に課題が解決しそうな気もしますが、それは問屋が卸さないといいます。複数の学校関係者によりますと、中学校でネーム刺繍や名札の縫い付けが根強くあるのは付け忘れや紛失が多いからでした。

以前着脱式の名札を付けていた大阪府四條畷市にある中学校は2015年頃、胸元のネーム刺繍に変更しました。生徒や保護者、教職員で構成された委員会で検討した結果、「名札を付け忘れた時に他人の制服と取り違えることがある」「生徒が名札を無くす」ことが理由の1つとして多く挙げられました。

この中学校では洗濯がしやすく、紛失しないなどのネーム刺繍のメリットを活かしつつ、さらに個人情報の保護などに適応させるべく、2024年度からネーム刺繍の位置を胸から胸ポケットのフラップ部分に変更する案を練っています。学外ではフラップを胸ポケットの中に入れ、名前を隠せる様にする算段です。この中学校の担当者は「名札が必要な入試などの時に名札忘れを予防することも可能です」とメリットが多いといいます。

現在までに名札のある学校でも同様の取り組みが始まっています。滋賀県長浜市立高月中学校は2022年度から取り入れたブレザーの胸ポケット内を工夫を凝らし、名札を取り付けたままの状態で、シーンごとに出し入れ可能にしました。

着脱式名札を原則校内のみの着用に変更し、名札自体を廃止する学校や、名札を持ち帰らず教室で保管する学校も増加傾向です。福岡市立箱崎清松中学校は、下校する前に生徒が教室内に設置の保管場所に自分の名札を返却します。名札の教室保管は全国の小学校でも採用する学校が多く浸透しつつあります。

神奈川県川崎市の市立枡形中学校は教諭らが下校時に生徒の名札を回収して、登校時に生徒の名札を配布していましたが、2022年度から名札自体を廃止しました。名札を管理する教諭らの手間を解消することや、生徒が名札を紛失した時に保護者に自己負担がかかるためだからだとします。

市立枡形中学校は教科担任制ですが、「教諭らが生徒の一人一人の名前を覚えるのにそんなに時間は取らない」と話す校長。「私ら管理職は生徒の名前を覚えるのが大変ですが、朝の登校の挨拶の時に積極的に生徒と関わっていきたいという気持ちが日々生まれています」と副次的効果もあって、今のところ廃止による苦情も、寄せられていないといいます。

参照:制服の「名札」は個人情報。つける?隠す? TBSラジオ(2023年)

教育社会学が専門の関西学院大学の教授の女性によりますと、高度経済成長期になってから、学校では生徒に規律を重視する「管理教育」の意識が強まり、ネーム刺繍や名札はその流れで拡大していった慣習だということです。

昨今の社会情勢を踏まえ、「個人情報保護や防犯意識は多様に変化していて、学校側は生徒をメーンにした柔軟な対応が求められている時代です」と説明しました。

名前がないことでのメリット

この記事にも出て来ますが、防犯の面です。だいぶ前にニュースで観て知っていますが、数年前からスーパーやコンビニなどの店員さんが名前を出すことに変化がありました。

以前はレシートや名札にフルネームなど本名が記載されていましたが、本名を出すことで第三者が検索して自宅や電話番号が知られ、犯罪に巻き込まれたという話が多くあり、そのことが浸透してから、Aさんとか、担当とか、名前もフルネームを出さないとかを始め、店員さんのプライバシーを保護する取り組みが多くなりました。

最近のレシートなどは個人情報保護の配慮から、その様な記載に変わりました。

学生の皆さんは大人ではありませんが、個人情報保護や防犯の意味では、今回の取り組みは必然というか、当たり前だと思っています。

今はスマホの解析度が昔より高い分、いつ自分のことが誰かにどんな時に知られるか分からない時代です。

学校現場も試行錯誤の状況みたいですが、子ども達を守れる点では、もっと全国で拡大して欲しい取り組みだと思います。

冬の男女の学校の制服

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、高眼圧症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。