バリアフリー対応のホテルに泊まってみた

バリアフリー対応

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1.車椅子の母とホテルへ

 私には、3年前、脳出血で倒れ、左半身が麻痺している母がいます。現在、母は自宅では杖を使って車椅子なしでも歩くことができますが、自宅以外を行動する場合には、車椅子が欠かせません。

 そして、今回、自宅から電車で1時間ほどかかる福岡市内に家族で出かけることになりました。しかも、一泊の旅行です。母はリハビリで、車椅子で電車に乗る訓練を受けたことはありますが、脳出血で倒れてから、家族で旅行に行くのは今回が初めてです。すると、旅行会社に問い合わせてみると、バリアフリー対応のホテルが予約できるとのことです。

 ここでは、そのバリアフリー対応のホテルに泊まった状況をレポートします。

2.ホテルの設備レビュー

 まず、ホテルに着いて驚いたのは、身障者用の駐車場が一台止まれるスペースがあったことです。今回は、どうやら先約があり、その駐車場は使えませんでしたが、次に来るときは、この駐車場も使えることができるかもしれません。

 そして、客室内へ・・・ちょっと狭いですね。車椅子がスムーズに移動できるよう、段差はないのですが、車椅子が転回するには狭いかもしれません。ですが、浴室とトイレがあるユニットバスの中は広々としています。ここでは、車椅子でも問題なく移動できます。手すりも完備されています。

 ですが、ちょっと困ったことも。母は自宅でお風呂に入る際、お風呂用の椅子を使うのですが、ここには椅子が置かれていません。フロントに問い合わせてみると、やはり、椅子は用意されていないとのこと。しかたなかく、母は今回は、お風呂に入ることを諦めました。

 しかし、バリアフリー対応のホテルに泊まれたことに、母は大変満足。ぐっすりとよく眠れたとのことでした。

3.日本のバリアフリーホテルの取り組み

 今回、泊まったホテルは最近完成したホテルなので、バリアフリー対応の客室が設置されていたかもしれません。ですが、後日、調べてみると、政府の施策でバリアフリー対応の客室を増やそうとする指針があるとのことです。

 現在、国土交通省のホテルの設計基準では、客室が50室以上ある宿泊施設は、車椅子用客室(バリアフリールーム)を1室以上設置する義務があるとのことです。このバリアフリールームは、通路の幅や車椅子を転回するスペースを広くとるため、通常の約1.4倍の面積が必要となります。

 しかしホテル側にはバリアフリールームを多く設置すれば、ホテル全体の部屋数が少なくり、売り上げが減少するとの懸念があったようです。

 そこで、国土交通省は、今年、バリアフリールームの設計基準を満たさない一般的な客室でも、車椅子の利用者に対応できる指針を策定したとのです。

 その内容は、車椅子で室内を移動できる最低限の目安として、客室への入り口とユニットバスの入り口は段差をなくし、間口を80センチ以上確保すること。そして、客室内の通路は1メートル以上とし、転回スペースを設けること。

 また、ユニットバスには、便器と浴槽の近くにそれぞれ手すりを設置し、視覚・聴覚障害者の利用も想定し、客室の外側の客室番号は、分かりやすいように浮き彫りにすること。字幕放送に対応したテレビも設置すること。これらの指針は、2017年4月以降に新築されるホテルや増築される施設が対象となるとのことです。

 一方で、2020年東京五輪・パラリンピックに向けての対応も示してあります。そこには、既存のホテルの改修方法として、隣り合う2室の間の壁を一部取り壊し、1室につなげてバリアフリールームに改修することを提案しています。1室につなげることで、車椅子の移動スペースを十分確保でき、スロープも設けて段差も解消すべきとの提案も行っています。

4.まとめ

 最近では、インターネットでもバリアフリー対応の宿泊施設を探すことができて便利です。調べてみると、バリアフリー対応客室用の露天風呂があったり、大浴場での介助入浴が可能な温泉宿、食事の飲み込みに不便がある人への対応のために料理の刻み食を用意してくれたり、和室でも簡易ベッドが使えたりもします。

 ノーマライゼーション(障害を持つ人と持たない人とが平等に生活する社会を実現させる取り組み)が叫ばれている現在、宿泊施設でもバリアフリー対応のホテルが増えているのですね。今度はいつか、母と一緒に温泉宿にゆっくりと泊まりたいと思っています。

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2018年7月16日
バリアフリー対応

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