精神疾患を抱えている人は車の運転をしてもいいのか

精神疾患

この記事は約 9 分で読むことができます。

はじめに

私は現在、統合失調症を患っていて、主治医からは車の運転は許可できないと言われました。なぜなら、服用しているお薬、ハルシオンが眠気をもようおし、運転は禁止と注意書きされたものだからです。

しかし、車の運転は生活する上で必要で、精神疾患を患っていながらも車の運転をしている人は多いと思います。実際のところどうなのでしょうか。調べてみました。

運転免許を取得するには

運転免許を取得できない病気

そもそも、運転免許を取得の際に問題になる病気はどんなものでしょうか。
具体的な病名が『道路交通法施行令』第33のニの三に規定されています。

  • 統合失調症(自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。)
  • てんかん(発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないもの並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除く。)
  • 再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれがあるものをいう。)
  • 無自覚性の低血糖症(人為的に血糖を調節することができるものを除く。)
  • そううつ病(そう病及びうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。)
  • 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害 その他自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気

引用:精神疾患があっても運転免許の取得・更新はできる?

平成13年に道路交通法が改正され、てんかん統合失調症などであっても症状が安定して運転に差し障りがないと判断されれば、免許が取得できるようになりました。

その背景には、精神疾患を治らない病気という偏見があり、運転は難しいと考えられていたからでした。現在では、運転を滞りなく行える身体の能力と知的能力は、運転試験状で確認することが基本であり、滞りなく運転できるまでに精神疾患の症状が回復することは十分にあり得ることと考えられています。このような歴史的変遷がありました。

私は、統合失調症ですが症状が落ち着いているので、取得、更新ができるはずです。

服用している薬が運転禁止とされている

ハルシオンという睡眠薬を服用しているのですが、これが運転禁止と注意書きされたものでした

睡眠薬は眠気などの副作用が起きてしまう可能性があるため、原則的に運転や危険作業が禁止となっているものが多いです。リスクがあるため、製薬会社も「運転禁止」と表記せざるを得ませんでした。

ハルシオンも注意書きの文章に

本剤の影響が翌朝以後に及び、眠気、注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

引用【精神科医が解説】トリアゾラム(ハルシオン)の効果と副作用 – 【公式】田町三田こころみクリニック

と、表記されています。しかしながら、睡眠薬を飲まないことによる不眠の状態で運転する方が悪い影響を与えてしまうかもしれませんお薬を飲んだら運転禁止にするべきかどうかは大変悩ましい問題です。運転できないことで生活が成り立たない方もいるかもしれません。自己責任になってしまいますが、お薬を飲まれながら運転されている方がいるのが実情のようです。

日本精神神経学会は平成 26 年 6 月に公開した「患者の自動車運転に関する精神科医のためのガイドライン」の中で次のように述べています。

処方する医師としては、薬物の開始時、増量時などに、数日は運転を控え眠気等の様子をみながら運転を再開するよう指示する、その後も適宜必要に応じて注意を促す、といった対応が現実的であろう。

つまり、添付文書に運転禁止とあるから一律禁止にするのでは無く、個々の患者の副作用の出方や病状に応じて、適宜個別に運転の可否を判断することが望ましい、というものです。

引用:心療内科 精神科 こころクリニック 精神薬と車の運転

 

日本精神神経学会も「副作用の出現の仕方には個人差があり、処方を受けた者全員に運転を禁じなければならないほどの医学的根拠はない」とするガイドラインを2014年に発表している。

引用:Yahoo!ニュース 睡眠薬を飲んだら運転禁止なのか?

以上のようにお薬の眠気などの副作用は個人差があり、個々の症状をみながら、全面的に運転を禁止にするわけでもなく、様子をみながら運転を許可していくことが現実的な落としどころとなっています。

免許の取得には病気の申告が必要となる

免許を取得するときには病気の申告が必要になります。

以下の質問に答える義務があります。

  1. 過去5年以内において、病気や治療を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある。
  2. 過去5年以内において、病気を原因として、身体の全部又は一部が思い通りに動かせなくなったことがある。
  3. 過去5年以内において、十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中活動している最中に眠り込んでしまった回数が週3回以上になったことがある。
  4. 過去1年以内において、「飲酒を繰り返し、絶えず体にアルコールが入っている状態が3日以上続いたことが3回以上ある」または、「病気の治療のため、医師から飲酒を止めるよう指導を受けているにもかかわらず、飲酒したことが3回以上ある」のいずれかに該当したことがある。
  5. 病気を理由に医師から、運転免許の取得又は運転を控えるように助言を受けている

引用:精神疾患があっても運転免許の取得・更新はできる?

上記の質問に「はい」がひとつでもあれば、主治医に診断書をかいてもらって提出する義務が発生します。

私は、5番の病気を理由に医師から、運転免許の取得又は運転を控えるように助言を受けていに該当し、車の運転をするには医師の診断書が必要になってきます。

質問票の症状に該当してしまったかたは、つぎの三つの診断から当てはまるものを医師から判断されます。

  1. 運転に必要な能力を欠くおそれのある症状なし
  2. 運転に必要な能力を欠くおそれのある症状あり
  3. 特殊な事情があるためで、今後6か月以内にOKになりそう(この場合はOKになったときに再度の診断書が必要)

実際のところ「運転に必要な能力を欠くおそれがある」という判断はなかなかしづらいです。明らかに病状がコントロールできていない場合を除けば、ほとんどのケースで「問題なし」という診断書になります。

ですから、「病気を申告したら運転免許が取れないのではないか」という過度な心配はしなくても大丈夫です。

引用:精神疾患があっても運転免許の取得・更新はできる?

てんかんや統合失調症などの病気で事故を起こしてしまった例は、事故全体の0.1%ほどといわれていて、精神疾患があることと事故をおこしてしまうことの因果関係は疑問を持たれています。重症の方の場合、医師が任意で公安委員会に届け出を出しますが、相当な危険がある状態でない限り行わないと考えられます。

たとえ、統合失調症などの病名がついている状態だとしても、症状が落ち着いている状態なら、免許を取得することはできます。

病名がついた以降、安心安全に免許を取得するためには、診断書が必要になってきます。運転免許センターで定型の書式のものを取り寄せる必要があります。

ちなみに現在の法律で、虚偽の申告をして、それがバレると、1年以上の懲役または30万以下の罰金が課せられます。

また、申告が必要な状況下で事故をおこしてしまった場合、自動車運転致死傷罪の適応が厳格化されています。そして、申請を噓偽りなく正しく行っていなかったとしたら、裁判になった時に、裁判官を含めた心証は間違いなく悪いものになってしまうかと思いますし、精神疾患を抱えている患者さんの車の運転は、社会の風潮によってさらに風当たりが強いものになってしまいます。

申告をして診断書が必要になれば、患者さんにとっては、免許申請が2度手間になってしまう。診断書代金がよけいにかかってしまうという負担がありますが、申請は正しく行いましょう。

さいごに

私の場合、運転免許センターに電話をかけました。受付の女性からいろいろな質問をされました。統合失調症になった経緯や、初診の病院、現在通っている病院などを聞かれ、心臓病や脳の病気、てんかんやなどの持病があるかなども聞かれました。

運転免許センターから診断書を取り寄せ、それに主治医に「症状は安定している」と書いてもらって提出しました。おおよそ一カ月後に運転免許センターから運転を許可するむねの電話連絡がきました。次回の更新から診断書の提出はしなくてよいとのことでした。

運転免許センターに電話をする前に警察の安全運転相談に電話をかけました。そこで病気を告知し、車の運転について相談したのですが、運転禁止のお薬を服用して運転しているため、もし、事故をおこした場合、危険運転致死罪に該当する可能性もあり、過労運転として罪が重くなることもあると言われました。そして、警察の方に車の運転は控えるように言われました。主治医が話していたことですが、警察官の方はたとえ法定速度が50kmのところで51㎞のスピードで走っていたらスピード違反といいます。しかし、実際にスピード違反で捕まることはないでしょう。しかも、警察官の方も法定速度50㎞のところを51㎞以上のスピードで走っていることもあるでしょう。医師も同じで原則車の運転はしてはいけないというお薬を処方されているので、運転は許可できないと言われるし、警察官の方も許可することはできないという態度をしめされました。

しかし、地方で暮らしていると車の運転は生活するのにかかせないことであり、お薬を服用しながら車の運転をしている方は大勢います。大変悩ましい問題でありますが、そういったリスクを背負いながら車の運転をするしかないようです。

私はこれからも安全運転で車の運転をしようと思います。

 

 

noteでも書いています。よかったら、読んでみてください。

おすすめ記事の紹介

HOME

精神疾患

2 件のコメント

  • 記事を読ませていただきました。車の運転には地域の状況によって必要になる場合もあります。車の運転をする時に薬の影響などに繋がるのもあるかもしれません。これからも記事を楽しみにしています。

  • 記事を読ませてもらいました。薬と車の運転がどう影響を与えるかということもあるかもしれません。これからも記事を楽しみにしています。

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。