『燕は戻ってこない』。派遣社員の女性が、「代理出産」を求められ葛藤する物語。 

燕は戻ってこない

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

この記事の本題は、「代理出産」です。

「代理出産」とは、生まれた赤ちゃんを引き取り、自分の子どもとして育てる目的で、第三者の女性が妊娠し出産して貰う行為です。そうした慣行は色んな国の社会で古来からありますが、現在は、体外受精などの生殖技術を通して行うものに限定するのが普通です。代理母、代理懐胎とも言われています。

「代理出産」は、10ヵ月間子宮を”貸す”行為という性質上、そこに対価が発生しやすい現状、またその対価を期待するビジネスに誘引する商行為に発展する可能性を大いに秘めています。

その反面、「代理出産」を第三者に依頼する、または第三者が引き受けることは自己決定による行動であって、その権利を侵害されるべきではない、との見解もあって、「代理出産」契約を相互扶助による生殖医療とする主張も存在しています。

そんな「代理出産」ですが、この問題に投げかけるドラマが、2024年4月に放送開始されます。

作家の桐野夏生氏による小説『燕は戻ってこない』がドラマ化され、2024年4月30日(火)よりNHK総合で毎週火曜22時~22時45分、BSP4Kで火曜18時15分~19時に放送されることが、2024年2月22日に発表されました。主人公を俳優の石橋静河さんが演じ、共演に稲垣吾郎さん、内田有紀さんが夫婦役で出演します。

命は誰のものか」という重大なテーマを、鮮烈なエンターテイメントで描き出し、第57回吉川英治文学賞・第64回毎日芸術賞をW受賞した本作は、夢もお金もない、29歳の派遣社員の大石理紀(リキ)、自らの遺伝子を継ぐ子どもを望む元トップバレエダンサー・草桶基、その妻で不妊治療を諦めた草桶悠子という3人の欲望が「代理出産」を介して交差するノンストップエンタテインメントです。

今回はこのドラマについてと、「代理出産」を巡る社会問題について追究していきます。

あらすじ

派遣社員として暮らすリキ(石橋静河)は悩んでいる。職場の同僚から「卵子提供」をして金を稼ごうと誘われたのだ。アメリカの生殖医療エージェント「プランテ」日本支社で面談を受けるリキ。そこで持ち掛けられたのは「卵子提供」ではなく「代理出産」だった。元バレエダンサーの草桶基(稲垣吾郎)とその妻、悠子(内田有紀)が、高額の謝礼と引き換えに2人の子を産んでくれる「代理母」を探していた…。

引用:石橋静河&稲垣吾郎、NHKドラマ『燕は戻ってこない』制作 桐野夏生原作を『らんまん』脚本家で描く ORICON NEWS(2024年)

ここからは日本の「代理出産」事情について、発信したいと思います。

日本における「代理出産」の問題

2022年3月7日、第三者から提供された卵子や精子を使用した生殖補助医療を巡り、超党派の議員連盟は、国会内で開催した会合で、ルールや情報管理を定義する、2020年に成立した新法「生殖補助医療法」のたたき台を了承しました。

第三者の精子・卵子の供給や、生殖補助医療の提供が可能となるのは、厚生労働相の認定を受けた医療機関に限定されます。自ら出産できない女性が他の女性に妊娠・出産をして貰う「代理出産」は禁止し、これらに違反した場合の罰則規定も設置する方針です。

議連は今後、各党内での調整を通過して法案を調整する方針だとします。

今国会からの提出もずっと掲げています。

たたき台では、第三者から卵子や精子の提供を受けられるのは原則として法律上の夫婦に限定されますが、夫婦の親や兄弟姉妹からの提供は例外として認めます。

「代理出産」など新法で定義する以外の医療を提供したり厚労相の認定を受けていない医療機関が生殖補助医療を提供したりしたケースでは、厚生労働相が中止命令を出します。

命令に従わなかった時や、卵子・精子の売買などは罰則の対象とする方針です。

罰則の詳細は今後議論していきます。

卵子・精子の提供者と提供を受ける夫婦、誕生した子どもの情報は独立行政法人に集約し、100年間保存します。大人になった子どもが求めれば、情報の保存の有無を独立行政法人が回答します。子どもが卵子・精子の提供者の情報を求めた時には、提供者に意向を確認して、同意が得られた範囲で回答をしていきます。

「代理出産」は出産のリスクを第三者に負わせる以外にも、民法では「代理出産」で誕生した子どもを想定していないことから、法律上の親子関係が複雑化するなどといった社会問題が指摘されています。

最高裁は2007年、アメリカで「代理出産」を依頼した夫妻に対し、自分の卵子を提供したケースでも、現在の日本の民法では母子関係の成立が認められないとする判決を出しました。血縁関係の有無に関係なく、法律上の母親は代理母となりました。

参考:代理出産の規制どうなる? 「2年をめどに検討」も進まぬ議論のなぜ 朝日新聞デジタル(2022年)

難しい問題

この原作小説のコミカライズが2024年2月28日より連載がスタートしていますが、このコミカライズの紹介には、「29歳、独身、地方出身、非正規労働者ー困窮から這い上がるにはこの身体を使うしか、ない。」と書いてありました。

2024年3月15日、春闘でほとんどの企業が満額回答で賃上げ率が5%超上昇し、2024年3月4日に日経平均株価4万109円23銭で取引を終え、史上初めて4万円を超えたと、バブル期を超えました。

それでもなお、物価高は止まらず、2024年3月13日、国連開発計画(UNDP)が、教育や平均寿命、所得の観点から各国の豊かさを測った「人間開発指数(HDI)」の2023~2024年版報告書を観ると、日本は前回から順位を2つ下げ、193ヵ国・地域中、24位でした。

「国際幸福デー」に合わせて2024年3月20日に発表された「世界幸福度報告書」は、国連の関連組織などがメーンとなって世論調査を実施し、世界の国や地域の「幸福度」をランキングは、日本は2023年より4つ順位を下げて、143ヵ国中、51位でした。G7の中で最も低い順位です。

このドラマの主人公は非正規労働者、春闘は一部の人のみの恩恵であり、多くの人がその恩恵の微々たるものを得ることも叶いません。

まさに日本の現代社会の映し鏡の様な、コミカライズの語り口だなと思います。

妊娠・出産をする年代に適している20〜30代の非正規労働者率も高く、今は年金のこともあり、一生安定した収入が見込まれるわけではなく、恋愛も結婚も選択しない人もいます。また結婚をし、妊娠を望んでも、晩婚化が進んで、全てのカップルに子どもができることも難しくなりました。

2024年2月27日に発表された、2023年に生まれた子どもの数は、2022年より5.1%(4万1097人)減少し、75万8631人(速報値)と、生まれた子どもの数が減少するのは8年連続で、統計を取り始めて以来、過去最少になって、どんどん少子化が進み、先細る日本です。

このドラマの冒頭に出て来る、卵子の話。

私も20代の頃、卵子凍結など考えたいと思っていた人間です。

ですが、それが言われ出した頃はまだまだ設備も今ほど整っておらず、課題も問題も山積みでした。また私は当時仕事をしていない引きこもりで、高額な卵子凍結に回すお金なんてあるわけがない、そういうことに至る何かきっかけがあったわけでもありませんでした。

卵子凍結はあれから技術が進み、今多くの人が望んでしていますが、私はもう適さない年齢でしょうし、卵子凍結もしていないことで、もし仮に妊娠などそういうことをすることが訪れたとしても、既往歴もあるので自然妊娠も相当難しいだろうと思います。

主人公リキに「代理出産」を依頼した夫婦だって、もしかしたら卵子凍結や体外受精などの様々な不妊治療も試していたかもしれませんし、それでも妊娠しなかったから「代理出産」を希望したのだと思います。

その点でも、このドラマは日本の貧困という闇というか、現状を炙り出す作品になっていると思います。

参考サイト

【生殖医療】D-4.代理懐胎と倫理 日本医師会(2018年)

noteでも書いています。よければ読んでください。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。