女性は職場でメガネ禁止【無意識の偏見】は社会の悪なのか?

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 特定の職場で「女性のメガネ禁止」というのが現在SNS等で話題になっていて、さまざまなメディアでニュースとして取り上げられています。ある女性がTwitterを通して経験談を語ったのがきっかけで「仕事でメガネの着用が認められなかった」とつぶやいたことが拡がり、議論になっているそうです。

 メガネ禁止としている主な職業は飲食店の接客、企業の受付、エステティシャン、保育士などです。エステティシャンは「メガネが落ちたら危ない」との理由もあるそうですが、企業の受付では【・冷たい印象を与えてしまう】【・暗い印象を与える】という古すぎる固定観念は今でもあったりします。

 そういった男性はこうだろう、女性はこうあるべきなどの決めつけを「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」といいます。今回はそんな根付いてしまっている偏見について、掘り下げていきたいと思います。

1.アンコンシャス・バイアスとは

 自分で判断しているつもりでも育った環境や積み重ねてきた経験で、偏った判断をしてしまっていることをアンコンシャス・バイアスというのですが、アンコンシャスが無意識、バイアスが偏りという意味です。具体的にどういうことなのか次の文章を読んでみてください。

父親と息子が自動車事故に遭い、父はその場で死亡し、重傷を負った息子は急いで病院に運び込まれた。

手術室で外科医はその少年を見て言った。

「この少年を手術するのは(とても辛くて)できない。この少年は私の息子です」

引用元・iMagazine

 一読して違和感を覚える方もいると思いますが、外科医は男性だと思い込んでいませんか? この文章、普通に考えたら外科医は母親(女性)ですよね。しかし外科医は男性だと意識なくイメージしてしまうと、違和感がある文章になってしまいます。

 性別によるバイアスは社会において、無意識に行われています。会社で来客にお茶を出すのは女性、重い荷物を持つのは男性と思い込んでしまっていませんか? 個人に根付いている問題でもありますが、大元は日本の社会や企業の古くさい理念の問題だとも思えます。

2.バイアスの5つのカテゴリー「S・E・E・D・S」

 ニューロリーダーシップ・インスティチュートという脳科学の研究によると、世の中には約150種類のバイアスが存在しており、それらは「S・E・E・D・S」という5つのカテゴリーに分けられます。

Similarity : 自分との類似性

 自分と価値観や考えなどが近かったり似ている人は、いい人間と考えてそれが部下という立場だったりすると、より高く評価してしまいます。調査結果によると多様性の高いチームはパフォーマンスがアップし、同質的なチームはメンバーを信頼し合えるため効率的と感じてしまうようです。

Expedience :  便宣主義

 脳は賢く、時には怠け者です。なので最初に味わった感覚が、ほぼ正しいと錯覚してしまいます。そこから結論を出そうとすると、楽をするべく近道をしようとして、自分の主張を裏付けるデータのみを集めてしまいます。逆に「自分は公平な人間だ」という思いが強い人は、反論する人の意見が聞こえなくなります。

Experience : 自らの経験

 自分の経験は限定された視点だけであっても、過大評価をしてしまう傾向があります。経験とは主観的な認識を客観的にも正しいと思い込んでしまい、逆に経験していないことは説明を受けても納得しにくく、理解をしたがりません。

Distance : 時間・空間的な距離

 遠い距離の人と電話やTV通話でやり取りをした人が、たとえ優秀でもオフィスなどで顔を合わせた人のほうに、親近感と信頼感を覚えます。脳は時間、空間と近いところにいる人のほうが、自分にとってよい人と感じるのです。

Safety : 安全性

 脳は良いことよりも悪いことのほうが、強烈に残ります。生存や安全などに敏感な脳は、脅威を回避する選択肢を無意識のうちにチョイスしています。

 上記のバイアスで特に問題なのが、上司のような立場にある人がパワーを持ち、それを無意識に行っているかもしれないということです。

 上司が部下の名前を間違って覚えてしまい、それを言えない部下やAグループには親しく話しかけるが、Bグループは価値観が違うので話しても分からないだろうと、本人が気付いていないところで、圧力やパワーを感じさせている不公平な振舞いです。

 パワーを持っている立場の人は、発言や行動だけではなく立場自体が部下に、心理的な圧力を多少なりとも掛けていると理解する必要があります。そこに気付かないでいると、上司は利己主義的になってしまい、共感力が低下してしまいます。ますます部下は上司に圧力を感じてしまうでしょう。

まとめ・「アンコンシャス・バイアス」は果たして悪なのか?

 このサイトに無意識の偏見度チェックというものがあって、自分は2つチェックを入れました。自分がチェックを入れたのは【女性を一人で海外出張させるのは、躊躇してしまう】と【無理して参加させるのは申し訳ないから、小さい子どものいる女性は飲み会に誘わないようにしたい。】です。

 チェック入れて診断スタートを押すと

【少しの「無意識の偏見」が!じっくり話し合う時間を持ちましょう!多少ですが思い込みや理解不足があるようです。部下や同僚、立場の違う人たちとゆっくり時間を取って、さらにお互いに本音を話しやすい雰囲気を作ってみてはいかがでしょうか。】

 という結果がでてきました。私はこの結果について少し疑問があります。文章の後半は確かにそうだなと思うのですが、前半の「思い込みや理解不足」という部分までは無意識の偏見が、悪だという風にも取れます。

 最初も私は「確かにそうかもしれない」と思いましたが、よくよく考えてみると優しさという根本が無視されているように思えます。例えば子どもがいる女性がプロジェクトを任され、出張を頼まれた時に「子どもが小さいから大変そうだね。別の人に出張を頼むよ」と言われたことに対して「最後までこのプロジェクトを完遂したかった」と思う人もいれば「今は子どもとの時間を作りたいから、助かった!」と思う人もいるのではないでしょうか?

 アンコンシャス・バイアスを排除した世界だと電車やバスでお年寄りが立っていた時に席を譲ろうとする場面で「お年寄りに席を譲るのはアンコンシャス・バイアスだから、やめておこう」となってしまいます。「小さい子どもがいるけど配慮するのは偏見だから、残業してもらおう」など思いやりのない世界になってしまいます。

 確かに決めつけはよくありません。それで嫌な目にあったことは性別問わずあると思います。ですが思いやりを無くすとこれは偏見だからやめておこうと、何もアクションを起こせない世界になってしまいます。

 ここで話を戻すと女性は見た目重視とも取れる、メガネ禁止や少し前に話題になった#KuToo運動などの、古くさく根深いものは企業側の提案に個人で選べるようになればいいなと思います。女性だから、男のくせに、なんていう決まり文句が無くなれば、より良い社会が作れるのではないでしょうか。

参考・働き方改革とダイバーシティに関する用語集 Cicom Brains NHK NEWS WEB coco color iMagazine

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