『ほどけそうな、息』。〜児童福祉司のリアルな葛藤や悩みを描く、短編映画〜  

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

2022年9月3日(土)より、東京・ポレポレ東中野にて、俳優の小野花梨さんが主演を務め、小澤雅人監督がメガホンを執った『ほどけそうな、息』が、公開されています。

葛藤しながらも傷ついた子ども達を助けるべく駆け回り、成長していく小野さん演じる主人公の児童福祉司のカスミと彼女の周りを取り巻く人を描き、生きづらい今の現代だからこそ、多くの発見をもたらしてくれる人間ドラマとなっています。

児童福祉司とは、各都道府県の自治体に設けられている児童相談所に勤務する公務員のことです。担当区域内の心身に障害のある子どもや、非行やDV、虐待など家庭環境に問題を持っている子どもやその親御さんの相談に乗り、問題解決のサポートをしています。

関係する調査、子ども達の一時保護などの判断、支援方法の決定、その後の親御さんへの指導までの過程で家族や関係医療機関などとの連絡連携の中心的な役割を担っています。

本作『ほどけそうな、息』は、児童相談所に勤務する複数の児童福祉司への取材を重ね、実話をベースに作られました。児童相談所に相談された課題や、そこで勤務する児童福祉司のリアルなシーンを描き出します。小野さんは「必ずこの映画に助けられる人がいると信じてカスミを演じました」と話しました。

今回はこの映画についてと、実際の児童相談所と児童福祉司のリアルな現状についてお話ししていきます。

あらすじ

児童相談所に勤務し2年目のカスミ。赤ちゃんを母親の元から引き離して一時保護したり、親たちに理不尽に怒鳴られたりする日々。疑問を感じながらも、上司や同僚のサポートもあってなんとか踏ん張っていた。そんなカスミは一時保護された9歳の女の子、ヒナのケースを受け持つ。ヒナの父、トオルは仕事で留守にしがちで、母のシノブはお酒の問題を抱えていてネグレクトが疑われたが、二人とも反省している様子だった。しかしある日、カスミはつい感情的になり、シノブの信頼を失ってしまう。果たしてカスミはシノブの信頼を再び得られるのか。ヒナは両親のもとに帰ることができるのか。

引用:『ほどけそうな、息』作品情報 cinemacafe.net(2022年)

予告編も公開中

ここからは実際の児童相談所の問題と、児童福祉司の問題についてお話ししたいと思います。

児童相談所へのお問い合わせ件数増加

全国の児童相談所が応じる児童虐待は年々増加し、2020年度には20万件超と過去最多を記録しています。子どもへの虐待が頻発する中で、政府は子どもへの虐待を防ぐべく、新しい総合対策を整備し、2022年9月5日に概要を発表しました。

児童相談所で相談に乗る児童福祉司などの増員計画を2022年内に取りまとめるほか、保護者から子どもを一時保護の必要性の裁量にAIを導入したりして、児童相談所の負担軽減を狙います。

国は2018年、児童福祉司を4年間で約2000人増やす計画を練りました。それから、計画を先行させ2022年度末までに5765人に増員する目標を盛り込みました。しかし増え続ける虐待に対応が進まない現状で、2023年度以降もさらに児童福祉司を増やすことに目標に掲げています。

新たな対応では、児童相談所が子どもを保護者から離して一時保護にする必要性を裁量する時、AIを活用する指針も導入しました。過去に発生した莫大な虐待のデータをAIに取り入れ、各々の案件と照合し必要性の程度などを捻出します。児童相談所のスタッフの判断を補完させます。

参考:増え続ける児童虐待、一時保護にAIも活用 国が新たな総合対策 朝日新聞デジタル(2022年)

厚生労働省の担当者によれば「経験の少ない児童福祉司が急増していて、AIを活用することで判断のズレの補完に結び付く」としています。これまでに三重県や東京都江戸川区など一部の自治体でAI導入の先行ケースも出てますが、政府としてのAI活用を2022年度からシステム開発し、2024年度に日本各地での導入を目標にしています。

児童福祉司の現状

日本全国の児童相談所で、経験が3年未満の「児童福祉司」が急増しています。2020年4月に新たに設置された東京都江戸川区の児童相談所においては、44人いる児童福祉司の中で3年未満が8割に上ります。1人が担当する課題は100件前後です。経験不足を補完すべく、中堅児童福祉司が指導役として新人児童福祉司を訓練させます。

「児童相談所の方なんかと会いたくない」。経験が1年未満と浅い20歳代の児童福祉司の男性の話では2020年秋、虐待の疑いがかかった母親から幾重にも子どもとの面会を断られました。警察から児童相談所への虐待通報もあった課題で、早期の子どもが無事かの確認が必然でした。指導役の中堅児童福祉司からは「難しい課題ほど粘り続けて動いて」とアドバイスを頂き、男性は母親に何度も手紙でやり取りし、自宅に訪問を重ね子どもの無事を確認出来ました。

この20歳代の児童福祉司の男性によれば「私自身は、結婚をしておらず、子育てしたこともなく、年上の保護者が話を聞いてくれないことも多いです」と嘆きます。東京都江戸川区児童相談所の担当者は「経験の浅いところはチームプレーでやっていくしかない」と言います。

関東地方の児童相談所長は「3年未満の児童福祉司を助けるために、中堅児童福祉司に大きな負担が生じています。負担を軽くしてあげたいですが代役が見つからず、新人の児童福祉司が経験を重ね、成長を待つほかありません」と吐露しました。

参考:児童福祉司、勤務3年未満が半数超…経験不足に「保護者が耳を貸してくれない」 読売新聞(2021年)

国は、児童福祉司を約2000人増やして約5200人にする目標を掲げて動いていますが、新卒や他部署からの異動で児童福祉司の増員で対応されています。

これに応じて、2017年度には40%を占めた勤務年数が「3年未満」だった児童福祉司が2020年度に51%の割合を超えました。この中で「1年未満」の児童福祉司の割合は23%でした。

とても気になる題材。

映画はとても気になる題材だと思いますし、朝ドラを観て以来小野花梨さんも好きな俳優さんなので、合わせて観たいなと思います。映画の公式ホームページを観ましたが、上映館が全国一覧で出ていても、上映が実際にあっているのは東京のみ、しかも2週間限定。児童福祉司という良いポイントを押さえながらも、上映映画館が1館の2週間限定、この問題を認知させるためには非常にそれがもったいないなと感じています。

映画本編も44分と短編なので、より濃くてディープな内容が凝縮されているのではないか?と、予告編を観て思いました。

小野さん自身も先日、児童福祉司という職業を演じたことについては、「この映画のお話を頂いて、私自身、勉強になることが多くありました。矢面に立って、子どものみならず、お母さんやお父さん、家庭環境までも助け船を出さなければいけない立場で、あまりにも感謝される場面が少ないなと痛感しました。こんなに愛のある職業が、何でフィーチャーされないんだろうかと、もどかしさを感じました」と、完成披露上映会・舞台挨拶イベントでお話をされていました。

もしこの映画が全国で公開されたら、恐らくミニシアターとか単館系になると思います。単館系だと、上映が福岡でされない場合も多いんですよね…この問題と真摯に向き合うために、新たな児童福祉司の育成のために、1人でも多くの人が映画を観に行ける体制を整えて下さったら良いなぁと感じました。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。