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こんにちは、改めましてM. Jです。
「あいたたっ!まだ腰が痛い」
皆さんには慢性的な腰の痛みはないでしょうか?
そんな時に、「整形外科に行っても異常はなかったし、様子をみるか」という考えの方がいると思います。
「ちょっと待ったあーー!」
もしかするとそれ、腎臓に異常があるかもしれません。
腎臓は、『沈黙の臓器』と呼ばれるくらい、ひどくなった時にしか悲鳴をあげない臓器ですので、腎臓の異常は「早めに気づくことが難しい」と言われています。
そのため、「腰からの関連痛」に気づくことは大事なことで、安静時の腰の痛みは「腎臓の病気」を疑ってもいいのかもしれません。
治療も難しい場合が多く「人工透析」「腎臓の移植」など治療の「ハードルが高い」臓器と言えます。
腎臓は、病気の種類が「急性腎盂腎炎」「ネフローゼ症候群」「慢性腎炎」「腎臓結石」「腎臓ガン」など多くあります。
意外と「病気になりやすい臓器」なのかもしれません。
普段なかなか意識することが無い臓器ですが、「病気の予後(=かかった後の健康状態)」が著しく悪いので、皆さんも若い時から「腎臓」について意識されたほうがいいと思います!
今回、腎臓の病気は簡単ではないという視点で、以下の項目に沿って書いていこうと思います。
- 腎臓の構造と働き
- 急性腎盂腎炎とは
- 腎不全とは
- 腎臓の病気の治療
- 腎臓の病気になった有名人
- 腎臓の病気は簡単ではない!
腎臓の構造と働き
日頃の生活の中で意識することが少ない臓器「腎臓」ですが、どのような構造と働きがあるのでしょうか?
【腎臓の構造】
- 成人の腎臓は、長さ10〜12cm、幅5〜6cm、重さ100〜120g
- 位置:横隔膜の下の腰の高さの背中側にある
- 腎臓の中央内側のくぼみ→腎門(尿生成に関与する管が集合している)
- 腎動脈は腹部大動脈から分かれている
- 腎小体は糸球体とボーマン嚢から構成されている
【腎臓:血液の流れ】
- 血液から老廃物を除去し、99%は再吸収して血液へ戻している
- 残りの1%を尿管に排泄している
【腎臓の働き】
- 血液中から「必要なもの」と「不要なもの」を分けている
- 不要な「老廃物・水分・塩分」を尿として排出する
- 身体の水分量を調整する
- イオンバランス(ナトリウム・カリウム)を適正に保つ
- 血圧を調整するホルモン(レニン)を分泌する
- 骨髄でつくられた赤血球の増殖を促進する
- 骨を強くする
【腎臓の状態の悪化】
- 尿が泡立つ:タンパク質の尿が出る
- 血尿:赤い尿が出る・コーラのような尿が出る
- 尿の量が減る:尿意が起こりにくくなる
- 老廃物・余分な水分・塩分を排出困難となる
- 溜まった水分によって浮腫(むくみ)が起こる
- 高血圧→だるさ・息切れが起こる
腎臓という臓器ですが、知れば知るほど「奥が深い」です。
意外と知られていない臓器だと思うのは私だけでしょうか?
腎臓は「身体にとって必要なものと不要なものを分別する」「血圧に大きく関与する」「血液や骨に関与する」など、さまざまな働きがあるため、悪くなると身体にとって大きな影響を及ぼすのです。
肝臓・すい臓と並び「沈黙の臓器」なので、いつの間にか「状態が悪くなっている」ことが考えられます。「むくみ・だるさ・息切れ」を「大したことない」と侮らず、「病院での定期的な検査」を行い、状態を悪くしないようにすることは大事なことです。
腎臓の病気は「危険と隣り合わせ」のことも多いようです。
あまりなじみのない病気かもしれませんが、女性に多い腎臓の病気として「急性腎盂腎炎」があります。
突然、腰痛や高熱が出現しているようです。どのような病気なのでしょうか?
次の項では、急性腎盂腎炎について書きます。
急性腎盂腎炎とは
- 腎盂(じんう)と呼ばれる、腎臓でつくられた尿が集まり尿管につながる部分が大腸菌に感染し、炎症することによって起こる病気。
- 高熱・寒気・腰痛などの症状が出現する。
- 急激に発症して、症状が「重篤」になる。
- 腎盂腎炎の男女比→男性:女性=1:30
《女性の方が肛門から尿道口が近い、尿道が狭いため菌が侵入しやすい》
【急性腎盂腎炎の原因】
- 細菌感染:大腸菌などが尿路を逆行して腎臓に至る。
- 膀胱炎:女性に多い膀胱炎があると感染が上部尿路に進行する。
- 尿路の構造異常
- 尿の逆流
- 前立腺肥大
- 糖尿病
- 免疫抑制状態
- 妊娠
【急性腎盂腎炎の症状】
- 高熱・・・38度以上の高熱が出現する。《基本的に発熱する》
- 腰痛・・・腰の両側または片側の痛みが出現する。
- 尿の異常・・・尿が濁る・血尿・尿の量が減る。
- 排尿困難・・・排尿時の痛み・頻尿・尿意が強くなる。
- 悪寒・寒気
- おう吐・吐き気・食欲不振
- だるさ:日常生活に大きな影響を与える。
- のどの渇き・立ちくらみが出現する。
【急性腎盂腎炎の治療】
⚫️抗生物質 ⚫️解熱剤・鎮痛剤 ⚫️点滴 ⚫️定期的なフォロー
◎基本的には、多く水分を摂取して化学療法を実施する。
◎再発防止のため薬を少量で長期的に使用する。
◎尿路異常の改善のために外科的療法を行う。
◎腎機能が著しく悪化している場合は人工透析が必要。
【急性腎盂腎炎の予後】
◎適切な治療をすれば「3日〜5日で状態が改善」する。
◎症状が悪化すれば「入院」の危険性が高くなる。
◎放置すると「慢性腎盂腎炎」に移行しやすくなる。
男性と女性では、腎臓から膀胱、それから尿を出す部分において大きな違いがあります。このため、女性の場合「膀胱炎」などをキッカケに「急性腎盂腎炎」になりやすいです。
トイレの我慢は、膀胱だけでなく「腎臓の健康」にも悪いです。「尿をしっかり流す習慣」もつけていきたいところです。
細菌感染や免疫力低下も「急性腎盂腎炎」の原因となるので、規則正しい生活も大事になってきそうです。
急性腎盂腎炎の症状は「高熱・悪寒・食欲不振」など厳しいものが多いようです。
症状がひどくなる前に病院を受診したほうがいいです!
場合によっては「再発」したり「慢性腎盂腎炎」に移行したりするので、医療と健康に向けた生活をすることが必要です。
ただ、腎臓の病気は治療のできる病気ばかりではありません。なってしまったら「治療が困難な病気」というのも存在します。「人工透析」または「腎移植」といった厳しい治療を迫られる病気があります。
皆さんも、比較的聞いたことがあると思われる「腎不全」という病気です。
前述したように、腎臓は「沈黙の臓器」と言われているので、ひどくなると「生命の危険のあるものすごく厳しい病気」について掘り下げていこうと思います。
次の項では、腎不全について書きます。
腎不全とは
- 正常時と比べて腎臓の機能が30%以下になった状態。
- 腎臓の機能低下が進行すると老廃物が排泄されなくなる。
- 放置をすると末期腎不全となってしまう。
◎腎不全を放置すると「人工透析・腎臓移植」が必要となる
【急性腎不全と慢性腎不全】
急性腎不全:数日〜数週間で症状が進行する
慢性腎不全:数年以上経てゆっくり症状が進行する
◎「自覚症状」がないまま進行する
◎腎臓の治療は困難《回復しない》
【腎不全の症状】
①尿毒素が溜まる・・・食欲不振、頭痛、だるさ、動悸、呼吸困難(肺水腫など)、眼底出血、感染症
②水分が溜まる・・・浮腫(むくみ)、動悸、胸痛、呼吸困難
③電解質の調節ができなくなる・・・喉の渇き、むくみ、手や口のしびれ、だるさ、おう吐、関節の痛み
④血液が酸性・・・呼吸困難、意識レベル低下
⑤貧血・・・動悸、息切れ、頻脈
⑥カルシウム代謝異常・・・骨粗しょう症、骨折
⑦血圧上昇
【腎不全の予後】
◎急性:入院治療によって「改善する可能性」がある
◎慢性:現代医学では「治療困難」
改めて、腎不全は「厳しい病気」としか言いようがありません!
身体の中の「老廃物が排出されない」ということだけで、どれだけ「危険なこと」かわかるのではないでしょうか?
特に、慢性腎不全の場合は「自覚症状がなく進むこと」や、「治療自体が難しい」ので、ひどくなる前に「早期発見」することができればいいのですが・・・。
「浮腫(むくみ)」や「血圧上昇」などが軽度なうちに「腎臓の病気」が発見されるようになると、腎不全で助からない人も減少するのではないでしょうか?
腎不全が重度になると、「浮腫(むくみ)がひどくなる」「身体がだるくなる」「動悸・息切れ・呼吸困難」などの日常生活に支障が出るほどの症状が出現します!
腎不全の症状が進んだ時はどのような治療法があるのでしょうか?
次の項では、腎臓の病気の「重症度による治療の違い」について書きます。
腎臓の病気の治療
腎臓の病気は「重症度」によって治療の方法が異なります。
【軽度〜中等度の治療】
①食事制限:腎臓食
◎基本的にタンパク質と塩分の制限が必要!
◎さらにひどくなると、カリウムとリンも制限が必要!
②薬物治療
「血圧・尿毒素・貧血・骨粗しょう症・カリウム異常」に対しての薬の使用。
【末期腎不全】
◎末期の腎不全は「尿毒症」「高カリウム血症」「心不全」など合併症を起こす。生命の危機!
◎末期の腎不全の治療法は「人工透析」または「腎移植」のみ!
透析治療について
①血液透析
- 腕の血管に針を刺し、ポンプを使い血液を体外に排出する。
- 体外に排出された血液を透析器に血液を送り込む。
- 透析器で老廃物や余分な水分を除去して血液を体内に戻す。
《長所》
- 日本では血液透析のできる医療機関が多い。
- 病院で行うので装置の手技を覚えなくてもよい。
- 腹膜透析よりも毒素を除去できる。
《短所》
- 決められた時間と場所でしか受けられない制約がある。
- 身体への負担が腹膜透析よりも大きい。
- 透析のたびに針を刺す必要性がある。
②腹膜透析
- 自分のお腹に着けた管を通して腹腔内に透析液を入れる。
- 透析液を注入すると、液に老廃物や余分な水分が吸収される。
- 吸収した透析液を取り除いて、新たな透析液を入れて体内に戻す。
- 腹膜透析は5〜8年以内、それ以上は血液透析のみ
《長所》
- 身体への負担が血液透析よりも少ない。
- 透析ごとに針を刺す必要性がない。→簡易的!
- 病院への通院は月1回〜2回で済む。
《短所》
- 日本では一部腹膜透析ができない地域がある。
- 本人または家族による管理が必要となる。
- 長期間行うと被嚢性腹膜硬化症が起こる。
③腎移植
- 末期腎不全の唯一の治療法。
- ほかの人の腎臓を体内に移植することで、腎臓の働きを回復させる方法。
- 誰でもすぐに受けられるわけではない。
- ドナー(腎臓提供者)の存在が必要な治療法。
《長所》
- 透析治療よりも長生きしやすい!
- 透析治療から解放される。→自由な生活!
- 腎不全の合併症からの解放!
- 食事制限の緩和
《短所》
- 免疫抑制剤を常に服用し続けないといけない。
- 免疫抑制剤の副作用。
詳細は以下の文献に詳しく記載しています。
腎臓の病気がひどくなると最終的には、「透析治療」と「腎臓移植」の二本柱しかありません!それぞれ「厳しい治療」が待っています。
透析治療の場合、血液透析が主流で「決められた時間・場所でしかできない」という制約があります。
腹膜透析は、時間の制限は緩やかですが「自己管理」や「治療の年数が少ないこと」で難しい場合があります。
また、腎臓移植は「ドナーを見つけること」「ドナーの腎臓が身体に合うこと」「ドナーの将来の体調が心配」ということで難しい場合が多いです。
どちらも長所もあるのですが、短所も多いので「腎臓の病気をひどくしないこと」はとても大事です。
あまりにもネガティブな情報ばかりで「信じられなーい」というかたもいると思います。
次の項では実際に腎臓の病気になった有名人の体験を通して「腎臓の病気」について書いていきます。
腎臓の病気になった有名人
実際に腎臓の病気になるとどのような感じになるのでしょうか?
ここでは、有名人の体験を通して掘り下げていこうと思います。
【小西博之さん】
萩本欽一ファミリーで主にタレントとしてテレビに出演されていました。
2004年8月に若干身体の違和感を感じ、10月にはビールの味がわからなくなったとのことです。
12月23日、Vシネマのスタッフが異変に気づき、トイレに行くと「血尿」が出たとのことです。
病院で検査した結果「腎臓ガン」といわれたそうです。
改めて大学病院で精密検査を受けた結果「日本の腎臓ガン史上、腫瘍の大きさが5本の指に入る」「全身にガン細胞が・・・、無理」「生存率2%以下」といわれ即手術を受けました。
その後、治療を受け続けて5年後に医師から「完治!」と言われたそうです。
参考:デイリースポーツ:小西博之の腎臓ガン/45歳の時に発覚
このほかにも、タレント・モデルとして活躍されています杉本有美さんが仕事後「急性腎盂腎炎」で病院に搬送された時の体験談です。ご覧いただけると有り難いです。
参考:News. Lounge:杉本有美・腎盂腎炎から笑顔で仕事復帰!
また、俳優の中江有里さんが腎臓の病気「腎血管筋脂肪腫破裂」という難しい病気で手術をされた時の体験談です。ご覧いただけると有り難いです。
参考:スポニチ:腎血管筋脂肪腫破裂で手術の中江有里が生出演で復帰報告
腎臓は、沈黙の臓器なので「ひどくなるまで気づかない」ことが多いようです。小西さんの場合も、軽度の時には病院に行っていないので「気づきにくい臓器」なのでしょう。
ということは、腎臓の病気で「最悪の事態になっている人」のことは報道されることも少ないので、かなりの恐怖を感じています。
改めて、腎臓の病気の難しさを感じてしまいます。
腎臓の病気は簡単ではない!
以上、腎臓の病気は簡単ではない!でした。
この記事をご覧の皆さん「腎臓の働きから病気・治療のことまで」掘り下げていきましたが、いかがでしたか?
基本的に「沈黙の臓器」ですので、何らかの症状が出現したときは「腎臓の機能がかなり悪くなっている」と認識していただいたほうがいいです。
腎臓の状態悪化が進むと「人工透析」または「腎臓移植」という厳しい治療しか選択肢がありません!
透析の場合は病院通院による「時間の拘束」が発生する、移植の場合は臓器を提供する「ドナー」の部分で時間を要するなどの「制約」が生じてしまいます。
腎臓の病気は、厳しい治療が多く、一歩間違うと「生命の危機」になることもあります。
皆さん、厳しい治療である「人工透析」や「腎臓移植」を避けていきたいと思いませんか?
そのためには、腎臓の健康を意識した「健康的な日常生活」をしていきたいものです!
沈黙の臓器ですので「病気になる前の予防」は、ものすごく大事です!
次回の記事では、腎臓を健康にする方法として「腎臓を健康にして快適な生活を!」を書いていこうと思います。ご覧いただけると有り難いです。
記事をご覧いただき、どうもありがとうございました!
今回の記事は、以下の文献を参考にしました。
急性の腎臓の病気は腎盂腎炎だけではありません。急性腎障害もあります。
以下の文献は急性腎障害について詳しく書いてあります。ご覧いただけると有り難いです。
腎臓の病気は、上記の病気だけではありません。石が滞留して激痛となる「腎臓結石」「尿路結石」という病気があります。ご覧いただけると有り難いです。
腎臓の働きや腎臓の病気について詳しく書いてあります。ご覧いただけると有り難いです。
腎臓の移植について詳しく書いてあります。ご覧いただけると有り難いです。
参考:神戸大学:腎移植
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以下の記事は、以前AKARIで取材した、ネフローゼ症候群の方の関連記事です。
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以下の記事は、腎臓と共に「沈黙の臓器」と言われる「すい臓」のことについて書いています。皆さんの健康促進を願っています。
今後について
興味があることや、今後書いていきたい記事のテーマとして、腎臓を健康にして快適な生活を!ゲートキーパーの数をもっと多くしよう!-役割や研修について-、一般的な腰痛予防:日常生活の注意点、があります。
皆さんに役立つ情報を届けていければと考えています。
今後ともよろしくお願いします!
新たな価値観を提示するM.Jのオススメ記事10選!
Noteも始めました。よかったら、ご覧いただけると有り難いです。
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