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はじめに
皆さんは、「性別適合手術」をご存知でしょうか?
男性が女性へ、女性が男性へ性転換する際に行われる手術になり、現在の日本では戸籍の性別を変更するためには、必要となる手術です。
しかし、病気でもない健康な身体にメスをいれるのには、大きなリスクが伴います。
それでも、戸籍の性別や身体の性別を変えたいと願う人はいるのです。
性別変更の「手術要件」に関する裁判
つい先日、このようなニュースが目に入ってきました。
現在の日本では、性同一性障害特例法により、戸籍上の性別を変更する際には、「生殖機能をなくす手術」が必要となってきます。
しかし、身体的、精神的、経済的な負担から、性別適合手術をしない当事者は少なくありません。
見た目などと身分証明書の性別が違うことで、職場や学校で不利益を被るなどし、常に性別を気にする生活を余儀なくされています。
今回の裁判では、特例法は望まない手術を「強制」しており違憲だとして、性別変更を認めるように、浜松市天竜区の鈴木げんさんが申し立てていました。
性別適合手術は本当に必要?
日本では、戸籍上の性別を変更するためには、以下の要件が必要となってきます。
- 年齢要件:20歳以上であること
- ⾮婚要件:婚姻をしていないこと
- ⼦なし要件:未成年の子どもがいないこと
- 不妊要件:生殖機能を永続的に欠く状態にあること
- 外観要件:移行する性別の性器に近似する外観を備えていること
これに加え、医師2名以上による性同⼀性障害の診断書が必要で、この「医学要件」を加えて、6つの要件として記載される場合もあり、2003年に成立した「性同⼀性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(2008年一部改正)」に基づき、家庭裁判所の審判が必要とされています。
今回の裁判で問題とされたのが、④と⑤の不妊要件と外観要件です。
この要件を満たすためには、
性腺・性器の手術(卵巣摘出術、子宮摘出術、尿道延長術、膣閉鎖術、陰茎形成術)が必要となります。
そして特に、乳腺・乳房切除術は身体的治療の中では非常に重要であり、乳房の膨らみは著しい当事者本人のQOLの低下を招くことから、治療希望者の低年齢化を認める傾向にあります。
そして、なにより性別適合手術で負担となっているのが、「費用」になります。
病院やホルモン治療の期間などによっても異なりますが、トータルでかかる費用は、MTFは膣形成をしない場合は130〜150万円、膣形成をする場合は200〜250万円、FTMだと100〜200万円が相場となっており、決して安い金額ではありません。
さいごに
私は、マイノリティ当事者です。過去にお付き合いをした方に、FTMの方がいらっしゃいました。(性別は女性、性自認は男性)
彼は、男性になろうとホルモン治療を受けていて、のちのち乳房を切除し、子宮も摘出すると言っていました。
「俺たちは、ホルモン治療や手術で寿命が短いんだよ。」
と彼が言っていたのが、心に残っています。(寿命が短いというデータはありません。)
今、調べれば寿命が短いなんてデータはないですし、そもそも寿命は人それぞれだと私は思います。
しかし、まだ若かった当時の私は「そんなの絶対いや!治療をやめて!」と、男性になることが夢の彼と、早死してほしくない私とで、何度もぶつかってしまい、お別れすることになってしまったのです。
先にも書きましたが、病気でもない健康な身体にメスをいれるのには、大きなリスクが伴います。
そのことが、彼が言っていた「寿命」のことと関係あるのかは今となっては分かりませんが、やはり戸籍の性別変更を望む方の中でも、身体にメスを入れることを躊躇されている方は多くいらっしゃいます。
今回の裁判で、性別変更の「手術要件」は憲法違反と判断されたことは、時代のながれもあると思いますが、よりよい結果へ向かっているように感じています。
こちらの記事もぜひ、ご覧ください!
参考サイト
法的要件や費用は?「性別変更」に必要な手続きを解説 (cosmopolitan.com)
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