この記事は約 7 分で読むことができます。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
2022年5月に、メキシコからアメリカへ国境を越えた息子を追う母の物語の映画『息子の面影』が公開されます。なぜメキシコの人々は国境を越えるのでしょうか?
そこには政権や不安定な治安で生活出来ないから、アメリカに行って家族を養いたいという強い想いが込められている事が分かりました。
今回はその映画の話題と、見えて来た課題について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
『息子の面影』2022年5月公開!
2020年サンダンス国際映画祭で観客賞&審査員特別賞(ワールドシネマ部門)、2020年ロカルノ国際映画祭で観客賞、第68回サン・セバスチャン国際映画祭で最優秀作品(ホリゾンテス・ラティーノ部門)、2021年ゴッサム・インディペンデント映画祭で外国語映画賞を獲得するなど高い支持を集め、世界中の映画祭で人々を魅了した『息子の面影』が2022年5月27日(金)よりヒューマントラスシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて公開決定。ポスター、予告編も解禁となりました。日本では、2020年第33回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で先行上映されています。
予告編&あらすじ
動画・引用:映画『息子の面影』公式サイト
メキシコの貧しい村に暮らすマグダレーナ。貧困から抜け出すため仕事と夢を求めた息子は、友人とアメリカへ向けて旅立ち、そのまま消息を絶つ。多くの若者が国境を越えようとして命を失うことが多い中、マグダレーナは、息子を探すために1人、村を出発する。
やっとの思いで得た情報を頼りに、ある村へと向かうマグダレーナは道中で息子と同じような年齢の青年ミゲルに出会い、彼が母親を探していることを知る。息子と母、それぞれが大切な存在を探している2人は共に旅を始める――。
メキシコ国境近くを舞台に出稼ぎのため家を出た息子が行方不明になり、その息子を探すため旅立った母・マグダレーナの旅路を描いた本作。“悪魔が潜む”といわれる荒涼としたメキシコの大地を美しく切り取りつつ、いまなおメキシコに残る社会問題を鋭く描き出している。
画像・引用:メキシコ国境で行方不明になった息子を探す母の旅路『息子の面影』予告編 cinemacafe.net(2022年)
監督、キャスト陣
メキシコ人のフェルナンダ・バラデス監督をはじめ、ほぼ無名の出演者のみですが、大手映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」では99%フレッシュを記録、アメリカの大手映画メディアの「スクリーンデイリー」では「あらゆるレベルにおいて感動的に完成された映画と評す」など世界中の映画が好きな人たちから評価を得ています。
「アメリカに来れば何かが変わると思った」国境を越えて来た人の想い
メキシコ国境を越えてアメリカを目指す移民希望者の拘束数が今年2021年、過去最多が更新されました。貧困や政情不安から逃れるメキシコを始め、ハイチなど中南米出身の移民希望者が殺到しています。移民に対して厳しい政策を取ったトランプ前政権から一転、移民への寛容な政策を表してきたバイデン政権は移民希望者への対処に厳しい批判が上がっています。
メキシコから白色の大型バスがアメリカに到着すると、約30人の若い男女が続々と大型バスから降りてきました。先月2021年10月3日、メキシコと国境を接するアメリカのテキサス州南部デルリオのガソリンスタンド。ここは強い日差しが照り付け、昼間の気温は35度超です。
若い男女30人らは非政府組織(NGO)が設置した日傘の下で、手渡された果物や水で喉の渇きを解消させました。NGOの支援でこれからその男女30人らは親族や支援者の元を訪ねます。
参考:国境を越えた移民希望者、テキサスで手渡された水飲み「アメリカに来れば何かが変わると思った」 読売新聞(2021年)
メキシコは経済破綻にあえいでおり、とある女性は働きたくても仕事がなく、重い持病を抱える幼い息子を病院にも連れて行けません。家族を残し、友人とメキシコ国境を越えました。「お金を稼ぎ、息子や家族を助けたい」と述べました。
「アメリカに来れば何かが変わると思った」。皆さんそういったわずかな希望にかけて命がけで国境を越えています。
2021年の不法入国の拘束者数。
米税関・国境取締局(CBP)は10月22日、メキシコと接する米南西部国境での不法移民の拘束者数が2021年度(20年10月~21年9月)に約173万人だったと発表した。前年度の3.8倍になり、過去最高を更新した。移民に寛容と見込まれたバイデン政権が発足したことで、米国をめざす中南米出身者が急増している。
不法移民の拘束者数は近年、40万~50万人程度で推移していた。移民キャラバンが押し寄せた19年度には約98万人と一時的に急増していたが、20年には再び約46万人まで減っていた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、160万人を超えたのは1986年と2000年の少なくとも2回あった。
ちなみに170万人は日本で言うと福岡市が約160万人なので、福岡市の人が丸ごと一年間で移住したことになります。例年の40万人で言うと、東京の品川区が約42万人ですが、それでも凄い人数が動いているのがよくわかると思います。
不法入国での死者数も2021年過去最高に増加
国際移住機関(IOM)は、メキシコからアメリカの国境を越えようとして亡くなった人が今年2021年、少なくとも651人に上り、統計を取り始めた2014年以降で過去最悪となったと発表しました。
2021年12月9日にはメキシコ南部でグアテマラ人ら150人以上が乗ったトレーラーがカーブを上手く曲がりきれずに横転。AP通信によると55人が亡くなり、50人以上が重軽傷を負いました。
多くがアメリカ入りを希望した不法移民でした。アメリカのバイデン政権の国境政策も二転三転しており、不法移民への状況好転は先を見越せません。IOMは「メキシコとアメリカの国境にある運河で渡った際の溺死や水とアメリカ到着までの食料の不足が主因」と指摘。夏場のメキシコとアメリカの国境地帯の高温なども亡くなる人の数の増加に顕著に影響していると思われます。
政情が不安定な中米からの移民希望者はブローカーに金を払って越境を試みますが、移動中に犯罪や事故に巻き込まれるケースが後を絶たないといいます。
なぜこんなに不法移民が多かったのか知らなかった。
アメリカの前大統領トランプ氏が政権を握っている時に、「メキシコの国境に壁を作ってやる」とずっと公言しており、実際に国境の壁を460マイル(740㎞)も建設しましたが、なぜあんなに強気に壁を作る話をしているのか、トランプ氏の就任時には分からず、こうして記事化する事で、ようやくこの問題について理解する事が出来ました。
同じく隣国のハイチでは2021年7月にモイーズ大統領が暗殺され、2021年9月には政変や大地震で混乱するハイチからの移民希望者がアメリカに殺到し、一時は国境沿いで約1万5000人が野営する事態になりました。その際、馬に乗ったアメリカの境警備隊が人々を追い回す様子が報じられ、批判を浴びたといいます。
今の世界情勢は簡単には片付けらない問題が山積しています。簡単に国同士が手を取り合って、解決とはいかないんでしょうね。難しい、とても難しい問題ですー。
関連記事
【国境問題】「トランプ大統領は正しかった!」/バイデン、遂に「国境の壁」の建設中止を取りやめて再開の見込み/「移民よ来るな」のCMに続く措置
noteでも書いています。よければ読んでください。
コメントを残す