花火~障害をカミングアウトした夜~

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昨日、いとこと花火をした。

夏らしいことを今年はできてないから。

いとこはそう言って、私を誘ってくれた。

いとこはすごく遠くに住んでたんだけど、今たまたま久留米に来ていて兄弟二人で近所に住んでいる。たまに、3人で会ってはご飯を食べたり、遊んだりするようになった。

いとことはあまり親しい関係ではなかった。
子供の時は、みんなでおままごとをして仲良く遊んでいたけれど、思春期がみんなにもやってきて、照れとか色々あって、みんなの実家で会っても妙によそよそしかった。

スシローでたくさん食べてから、川のほとりで手持ち花火をした。
もう時間が遅かったから、誰もいなくてとても静かだった。
いとこ達は、私のよく知らないサザンオールスターズの歌を熱唱しながら花火をしていた。
私は最近買ったミラーレスのカメラで二人が花火をしている様子を写していた。
花火はとても綺麗だった。

私は二人に隠している事があった。

私が「障害」を抱えている事だ。

仲良くなる人ができるたびに、私はその大きな秘密ごとを抱えている事が煩わしくなる。
いっそ、言ってしまえばどんなに楽だろう。
だけど、そう簡単にはいかない。

近所の人や新しくできた知り合い、美容室とか。
ありとあらゆるところで私は愛想笑いをして嘘を吐く。
私は普通のOLのフリをしてそのひとときを過ごす。
本当は障害があって、就労支援A型に通ってるなんて言えないから。

一度、好きになりそうだった人に障害の事を伝えたら音信不通になった過去があった。
その時は、「あー、そうか」としか思えなかった。
ショックではなかった。
そんなもんだろうな、と半ば諦めたような感じだった。
「障害」がある私といる事で、不利益を被る人もいるし、都合が悪い人もいるだろう。
その事を理解しているからこその「あー、そうか」だったと思う。
でも、悲しかった。

いとこは薄々何かを感づいていたかもしれない。

嘘は必ず綻びが出てくる。
私はそれを知っている。

いとこと遊んでいる最中、私は大きな隠し事をしていることにチクリチクリと心を痛めていた。

花火が終わると、私達は家に帰ることにした。
いとこのアパートは川の近くにある。
弟の方のいとこは眠そうで家に帰ることになった。
お兄ちゃんの方のいとこは、私の家の近くのドンキホーテで買いたいものがあるらしいのと、私が危ないからとの事で家まで送ってくれることになった。

いとこの家から私の家はとても距離がある。
よくよく考えたら二人きりで話すのは子供ぶりだった。
夜の久留米の街はしんとしていた。
飲食店がキラキラ光っていて、私達はその間を通り抜けながら歩いていった。

私はいとこに
「将来の夢ってある?」
と聞いてみた。
いとこは少し迷ってから
「30代では起業家になってみたい」
と言った。
そうなんだ、すごい、できるよ!絶対!私がそう言うと、いとこはすごく嬉しそうだった。

「そっちは何になりたいの?」
不意打ちだった。

私の夢。
私の夢って、なんだろう。
私にはいとこのような大きな希望があるだろうか。

「今はなんの仕事してるの?」
いとこが立て続けに聞いてきた。

怖かった。
だけど、私はなぜかわからないけれど全てを話してみようと思った。
いとこはとても優しい気がしたし、なによりとても仲良くなりたかった。

「引かれるかもわからないけれど、、」
そう言うと、いとこは
「引かないよ!」
と言ってくれた。
私は全てを話すことにした。

「実は心の病気でつまづいて、そういう人が集まる施設で働いているんだ。
私の将来の夢は、みんなが働いているような一般の会社で働くこと。とにかくそういうところで働くのが夢。」

泣きそうになりながら言ってみた。

「病気ってどんな名前の病気か聞いていい?」
いとこにそう言われて、私はいくつかの病名を言った。
とても怖かった。
引かれるに違いない。
もしかしたら、そんないとこいるなんて恥ずかしいと思うかもしれない。
そんなことが脳裏に浮かんだ。

いとこの返した言葉は思いもよらない言葉だった。

「俺は小さい頃から知っているから、そんな風に全然思わないよ。そんな風にも見えないし、そんな風にも見ない。」

「そんなんいったら、俺だっていっぱい障害があると思うよ。みんな何かしらあるよ。」

優しい言葉が返ってきて、私はとてもとても嬉しかった。

私が過去に、病気の事を話して、男性に距離を置かれた事を話すと、いとこは「そんな男やめな!そんな男ろくな男じゃないよ!」と言ってくれた。
それから私に相談できる人が周りにいるか聞いてくれた。
私が、いる、と答えるととても安心した感じで「よかった」と答えてくれた。

もし、私が健常者でいとこに障害があったら。
一体、私はなんて声をかけてただろうか。
そんな優しい言葉をかけれただろうか。
もしかしたらびっくりして、怖くて、慌てふためくかもしれない。
もしかしたら、もう距離をおきたい、なんて考える人だったかもしれない。
迷惑に思うかもしれない。
分からない。分からないけれど、私は彼のような優しい言葉はかけれなかっただろう。

神様は、たまにいい事をくれる。
障害がある事で、私は、普通の人が触れれない優しさに接することがたまにある。
もちろん、障害がある事でお得だな、と思うまでにはいかない。
私にとって、障害はやっぱり邪魔な存在だ。
だけど、昨日の夜はとても素敵な優しい夜だった。

私は彼を自慢のいとこだと思う。
私は彼らに恥じない人生を送りたい。
やっぱり私の夢は一般就労をする事だ。
そして、幸せになりたい。

星が綺麗な夜だった。
その日、私はとても幸せな気分で眠りについた。

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