ウイルスがうつ病を引き起こす?うつ病の新たな原因と今後の治療の可能性について

パソコンの前で頭を抱え、思い悩む女性の画像

この記事は約 6 分で読むことができます。

こんにちは、桜鳴です!

あらゆるストレスが蔓延る現代社会。そんな社会が抱えている問題の一つが「うつ病」です。

国内の生涯有病率は15%前後(約6~7人に一人が、生涯に一度は発症する)とも言われており、誰しもが発症する可能性のある病気です。

私も、うつの症状に悩まされた経験が多くあります。症状の程度はその時々で変わるのですが、好きなものを楽しめなくなったり、メンタルのみならず体調まで崩したり、起き上がる気力が全く湧かなくなったり、そんな自分がなんだか情けなく思えてきて、結果さらに深く沈み込んでしまったり……とにかく、とてもしんどいです。

そんなしんどいうつ病ですが、これまではストレスやセロトニンの不足等が主な原因とされてきました。

しかし近年、とあるウイルスがうつ病の発症と関係している可能性が浮上したのです。

精神疾患であるはずのうつ病にウイルスが関係しているとは、一体どういう事なのでしょうか?
気になったので色々と調べてみることにしました。

「HHV-6」と「SITH-1」について

今回注目されたウイルスの名前はヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)(以下、HHV-6)。

このウイルスには、ほぼ全ての人が感染しており、感染後は体内に潜伏し続けています。

ストレスや疲労、免疫低下によって再活性化・増殖するという性質を持ち、増殖後、嗅球(人間の嗅覚を司る器官)に感染した際にSITH-1という物質を発現させることが、近年の研究によって判明しました。

そして、さらなる研究の結果、

・うつ病患者の人は、そうでない人に比べてSITH-1の発現量が非常に多い事

・SITH-1は、人を12.2倍うつ病にさせやすくする事

・うつ病患者の79.8%がSITH-1の影響を受けている事

などが判明し、SITH-1がうつ病の発症に大きな影響を与えている事が分かりました。

SITH-1が鬱の症状をを引き起こす仕組み

HHV-6およびSITH-1によるうつ病は、以下のような仕組みで引き起こされます。

ウイルスによるうつ病が引き起こされる仕組みの図解

(画像引用元:与野・そよかぜ病院「うつ病の黒幕発見 シスの暗黒卿」2022年1月26日

ストレスや疲労によって再活性化したHHV-6が唾液中に放出され、増殖する

HHV-6が唾液から嗅球へ潜伏感染し、SITH-1を発現させる

SITH-1が嗅球のアポトーシス(細胞の死)を誘導し、炎症を起こす。それにより脳内のストレス物質が増やされる事で、うつ病の症状を発症する。

研究の先に見えるもの

SITH-1に関する研究の先には、以下のようなことが期待されています。

偏見の減少、理解の向上

うつ病の発症にウイルスが関係している事が広まれば、「うつ病は病気である」と理解しやすくなり「うつ病は甘え」「心の弱さのせい」といった偏見や、それ故に発生するハラスメントや自責などが減少することが期待されています。これにより、当事者自身がうつ病だと診断された事を開示しやすくなったり、それを受けた周りの人も戸惑ったり、排除するような事なく、当事者への適切な接し方を考えやすくなるのではないかと思います。

・予防法の確立

SITH-1に対し、体が作り出した抗体の量を測定することで、うつ病の発症リスクを診断する技術が確立されるかもしれません。そうなれば、ストレス軽減や生活習慣の改善といった未然の予防がしやすくなります。

・新たな治療法

抗うつ薬などの従来の治療法に加え、抗ウイルス薬を用いた治療など、「ウイルスへの対処」を軸とした新しい治療法の確立が期待されています。

これは特に、抗うつ薬を服用することに抵抗感がある人にとっての、大きな助けになると思います。

私自身も、薬で精神の状態を変える事や、離脱症状への不安などが要因で、症状が辛い時でも「抗うつ薬は飲みたくない」と思っていましたし、同じような価値観を持っている人も、世の中に少なからずいるようです。抗ウイルス薬という比較的馴染み深いものが選択肢に加わる事で、そういった人の治療の幅も広げられるのではないかと思います。

この他にも、医療的、社会的な面で様々な影響を及ぼす可能性があるとされています。

おわりに

もし以上のようなことが実現すれば、うつ病に対する世間の認識が大きく変わり、当事者のみならず、その人に関わる非当事者も生きやすい世の中にグッと近づくと思います。これからの研究に期待したいですね。

ただ、前述した通り、HHV-6はストレスや疲労などによって増殖します。ウイルスが大きく関係していることが判明しても、うつ病の根本の原因にそれらがある事実は変わりません。

つまり、うつ病予防に大切なのは、やはり「ストレスをためない事」「健康に過ごす事」だと思うのです。

無理をせず、嫌なものは嫌と言い、適度に愚痴も吐きつつ、肩の力を程よく抜いて、程々に健康に生きていくのが大切だと思います。うつ病であろうが無かろうが、頑張らなくちゃいけない時以外は、きっと無理に頑張らなくてもいいんです。

……とはいえ、これらを実践するのも中々難しかったりするんですよね。私自身、ついつい溜め込みすぎたり、上手く力が抜けなかったりするタイプなので、その難しさはよく理解しているつもりです。

ままならない事も色々とありますが、願わくば、誰しもがうつ病や過度なストレスに悩まされず、良い感じで脱力して生きられるような未来になってほしいなぁと思います。

という訳で、今回の記事はここまでとなります。お付き合いいただき、ありがとうございました!

・本記事の参照元

アルケリス株式会社「ヒトヘルペスウイルス6B(HHV-6B)と抑うつリスク──SITH-1遺伝子に注目した最新研究の徹底解説」2025年4月20日

日本経済新聞「うつの発症にウイルスが関係? 五月病との関連も」2022年5月31日 

学校法人慈恵大学「ヒトヘルペスウイルス(HHV-6)の 潜伏感染遺伝子SITH-1はうつ病を引き起こす -うつ病の原因遺伝子の発見- 

与野・そよかぜ病院「うつ病の黒幕発見 シスの暗黒卿」2022年1月26日

 

HOME

パソコンの前で頭を抱え、思い悩む女性の画像

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です