年金制度改革 -少子化進行で、現役世代が高齢者を支えると言う制度自体が限界かも-

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こんにちは、金次郎です。

6月になれば、年金機構より今年度分の「年金振込通知書」が届きます。
今年の年始めは、トランプ大統領が発令する関税騒ぎで世界経済が翻弄されてしまいましたが、年金額に影響していない事を祈ります。

また、つい先日国会に提出された「年金制度改革案」も、当初石破首相は「就職氷河期世代を救うために国民年金の底上げをする」と言っていましたが、出された法案を見ると「底上げ案」はバッサリと削除されていました。
これには、野党が「就職氷河期世代を救うと言いながら、保険料支払い対象者を増やしただけの骨抜きの改革じゃないか!」と、猛反発します。

今回は、「年金は、現役世代が高齢者を支えると言う制度自体が、もう限界かも」と言う事で書いてみます 

条件を満たせば、私も厚生年金保険料を支払わなければならない

3年前に「年金制度改革?改悪?」と言う記事を書きました。

この年の年金制度改革で、現在は以下の5つの条件を全て満たせば、厚生年金保険料支払い対象者です。            

1、週の所定労働時間が20時間以上
2、所定内賃金が月額8.8万円以上
3、2か月を超える雇用の見込みがある。
4、学生ではない。
5、従業員数51人以上の企業で働いている。

引用元:(政府広報オンライン)パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。(2025年1月9日)

条件に雇用形態が書いていませんので、アルバイトやパート等の非正規雇用の労働者でも上記条件を全て満たせば、勤務先の会社と折半払いで厚生年金保険料を払わなくてはいけません。

私の場合、1番・2番の週の労働時間月額賃金未達成の週や月が有りますけど、3・4・5番は条件を満たしています。

今回の改革案では、年収要件も削除されましたので、条件を満たした働き方の人は全員厚生年金保険料支払い対象になります

「就職氷河期世代」とは?

今回の年金制度改革だけでなく、良く耳にする「就職氷河期世代」とは以下の様な人たちです。

1990年代〜2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代を就職氷河期世代と呼び、希望する就職ができず
・不本意ながら不安定な仕事に就いている
・無業の状態にある
・社会参加に向けた支援を必要とする

引用元:(厚生労働省就職氷河期世代の方々への支援のご案内)就職氷河期とは

何故この年代の雇用環境が厳しかったのかと言うと、その前の1986年~1991年にかけての5年間が「バブル景気」と言うとんでもない好景気な期間が有りまして、その反動の不景気期間に就職活動期だった人を「就職氷河期」と言っています。

この不景気期間では「潰れるはずがない」と言われた銀行や証券会社等の金融機関がバタバタと倒産しましたし、それ以外の企業も商品が売れずに業績不振に陥り、とても新入社員を雇える状態では無くなりまして、ほとんどの企業が新卒募集を止めるか募集しても数名のみと言う時代でした。

この様な不況下に就職活動をした「就職氷河期世代」の方々。
正社員募集の企業がほとんど有りませんでしたから、良い学校を卒業しても派遣社員や契約社員あるいはパートやアルバイトで働く事を余儀なくされました。
ですから、厚生年金どころか国民年金の保険料すら満足に払えていないと言う経済状況の方が多くいます。
現状のままですと、これらの方が定年退職をしても、生活できるだけの年金が貰えません

何故、「国民年金(基礎年金)の底上げ案」が削除されたのか?

年金と言うのは、現役労働世代が保険料を支払って、それを定年退職した高齢者に年金と言う形でお金を給付する事で制度が成り立っています。
しかし、少子高齢化で現役世代の人口が減っていますから、年金生活をしている高齢者を支える人の数も相対的に少なくなっています。

厚生労働省の将来予測では、
40年後には、就業者が現在より3割ほど減ってしまい、これにより国民年金(基礎年金)の額も減ってしまうと予測されています。

参照元:(厚生労働省)令和6(2024)年財政検証結果 第10話 給付水準の将来見通し(2024年7月)

それで、政府は厚生年金の積立金を使って国民年金(基礎年金)の減る分を補い、就職氷河期世代が将来年金受給者になっても生活できるだけの年金額にしようとしました。
しかし、自民党内から

・現在厚生年金を貰って生活している人から年金額が減ったと怒られ、7月の参議院
 選挙で不利になる

と訴える一部議員による「厚生年金積立金からの流用反対」と言う選挙を意識した意見があった事で、改革案から削除されてしまったと言うのが事のてんまつの様です。

参考元:(FNNプライムオンライン)「まさに政治の怠慢そのもの」ジャーナリスト青山和弘氏が指摘する“骨抜き”年金改革の大罪 国会審議なしで社会保険料は25年で1.5倍に!このままでは「生活保護をもらうほうが暮らしが安定する」という事態に(2025年5月20日)

でも、あっさり復活した「底上げ案」

と言う感じで、記事の下書きを作っていましたが、私が体調不良で休んでいた週末から週明けにかけて動きがありました。
立憲民主党が、削除されてしまった「基礎年金の底上げ案」を見直せと与党の自民党や公明党に要望したところ、あっさりと「底上げ案」を復活させてしまいました。

参考元:(産経新聞)自公立3党首、年金改革法修正で正式合意 与党が立民案「丸のみ」基礎年金底上げ策を明記 – 産経ニュース(2025年5月27日)

この法案が通ると氷河期世代は助かりますが、現在年金生活をしている
 ・男性は63歳以上
 ・女性は67歳以上
の方から上の世代は、受給額が減少してしまいますので「何故、我々が積立てたお金を使うのか?」と怒りの声が上がっています。

参照元:(dmenuニュース)【速報】「年金制度改革法案」修正で3党合意 基礎年金の底上げに厚生年金の積立金活用 受給額減のシニア世代からは怒りや嘆き(2025年5月27日)

終わりに

私自身も、あと2年ほどで定年退職して年金生活になる予定です。
でも、現在の世界情勢を含め2年後の日本がどの様な状態になっているか?予想もつきません。
今年は「第二次世界大戦終戦80年の年」ですが、先の大戦の反省も空しく世界のあちこちで紛争が起っていますし、国内では凶悪事件が増えています。
また、私自身の身体の健康も新たな病魔に襲われたばかりです。
なので、両親の様な気楽な年金生活を送れるのかも分からず不安だらけです。

更に「就職氷河期世代」ほど長い期間では有りませんが、似た様な新たな就職難世代がいます。
それは、5年~2年ほど前の「新型肺炎流行期世代」です。
私の甥っ子も、この新型肺炎の流行期と就職活動が重なってしまいまして、思う様に活動が出来ず就職浪人してしまいました。

少子高齢化が加速度的に進行していて高齢者は増えるけど若者が少なくなっている今の日本。
3年前の記事で「絶対破綻しない年金制度」と書きましたが、年々減少していく現役世代の人数や出生率などを見ていると、いずれは制度破綻するんじゃないかなぁ?なんて考えてしまいます。

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