ITで「お参り」が変わる?―現代の神様・仏様との付き合い方

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 こんにちは、nonoです。

 皆さんは、お正月に初詣には行きましたか?私は毎年家族で三社参りをしているのですが、今年は少しびっくりする出来事がありました。

 昔からお参りしている宮地嶽神社にお参りした時に、参道で「宮地嶽神社公式アプリ」を紹介する立て看板を見つけたのです。神社の公式アプリだなんて時代も変わったね、と家族みんなで驚きました。

 神社やお寺はテクノロジーとは少し遠いところにある――というイメージがあるからこそ「神社の公式アプリ」を珍しく感じたのですが、実は神社仏閣にも徐々に電子化の波が訪れているようなのです。

神社やお寺も「電子化」の時代?

 IT技術の発展により「IT革命」が起きて以降、社会や経済、そして個人単位の生活にまで大きな変化が生じました。

 そしてIT技術が当たり前になった現代では、単なる知識・情報の共有に留まらず「ネットワークを介した他者とのコミュニケーション」を実現する「ICT」、パソコンやスマートフォン以外の電子機器をインターネットと接続し、自動的にデータの送受信を行ってくれる「IoT」など、IT技術のさらなる活用を目指す時代になっています。

 現在ICTはSNSなどで、IoTはスマート家電や自動運転で活かされているのですが、一見するとITとは無縁そうな神社仏閣にもIT技術の活用事例があるようです。

神社の公式アプリ

 冒頭でも紹介しましたが、宮地嶽神社など一部の神社では「公式アプリ」が作られています。

 宮地嶽神社では今日一日のアドバイスがもらえるコンテンツと御朱印に添えられたスタンプをカメラで読み取れる「御朱印+AR」というユニークな機能がありますが、他の神社では神社の歴史や奉納された品々の説明を見られたり、音声ガイドを聞けるアプリもあるそうです。

 また、神社の公式アプリとはちょっと違いますが、神社の「御朱印集め」を記録してくれるアプリや、仏様にお経を上げる際に読み上げをサポートしてくれるアプリもあるんだとか。近代化を感じますね。

お賽銭の電子マネー対応

 東京都港区の愛宕神社では参拝客に電子マネーの利用者が多く、かねてから「現金以外での支払いにも対応してほしい」という声があったことを理由に、2012年からお賽銭のキャッシュレス決済を始めました。

 お賽銭のキャッシュレス決済が可能なのは年に一度だけ、特に参拝客が増えて混雑する1月の仕事始めの日だけですが、キャッシュレス決済の導入には「便利なので年中対応してほしい」という肯定意見のみならず「宗教にふさわしくない」などの批判的な意見があり、賛否両論のようです。

 なお、寺社におけるキャッシュレス決済の導入例は愛宕神社以外にもあり、海外からの観光客が多い日光では「日光二荒山神社」など複数の場所でキャッシュレス決済が恒常的に使用できるそうです。

VRで参拝を疑似体験

 奈良の大仏で有名な東大寺では、360度のパノラマ写真を使って東大寺にお参りした気分になれる「東大寺3Dバーチャル参拝」のWebページが用意されています。

 他にも、「神宿る島」として世界遺産に認定されている宗像の「沖ノ島」にも、VR体験コンテンツが用意されているそうです。

 沖ノ島は島そのものがご神体であるため一般の方の入島は禁止されているのですが、海の道むなかた館という施設で沖ノ島のVR映像を視聴できるのだとか。機材を用意すれば室内でも旅行気分を味わえるのがVRの利点ですが、神様の宿る神秘的な土地にまで行けるのは驚きです。

ネット墓参り、バーチャル霊園

 一時期、インターネット上で墓参りができる「バーチャル霊園」が話題になったのは覚えているでしょうか。

 10年ほど前から、忙しかったり遠方に住んでいたりしてなかなか墓参りに行けない人のために、インターネットでいつでもお墓参りができるバーチャル霊園が開設され始めました。

 バーチャル霊園は遺骨をどこかに納めたり散骨したりした後に、インターネットのサーバー上にお墓を建て、そこに個人の写真をアップロードして拝んだりクリックで線香を上げたりできる仕組みになっています。

 サーバーを利用するだけで墓石を建てる必要がないので、さまざまな事情でお墓を作れない人やペットのお墓、水子の供養に役立てられる例もあるのだとか。

 また、実際にお墓を作った場合でも、お墓に設置されたライブカメラの映像を見ることでお墓参りをする「ネット墓参り」や、ネット上で依頼をしてお参り・お供え物・読経やお墓の清掃・修繕をしてもらえる「墓参り代行」のサービスがあるそうです。

信心のかたちも、時代と共に変わる

 アプリやキャッシュレス決済、VRなど……世俗とは離れた位置にいそうな寺社にも、少なからずIT社会の影響が現れているようです。

 ただ、「便利になる」というのは決して手放しで喜べることばかりではなく、利便性と効率を追求して機械やインターネットに頼りきりになるのは罰当たりだし、神様仏様へのありがたみが減ってしまうと考える人もいるでしょう。

 しかし、私は寺社とIT技術が関わりを持つのはそう悪いことではないと思います。「面倒だから」という理由で人の手でやる仕事をなくし、機械ばかりになってしまっては温かみがない……と考える気持ちもなくはありませんが、面倒なものを面倒なままにしていてはいずれ人は離れていって、少しずつ神様仏様が忘れ去られてしまうだけではないでしょうか。

 それに、機械で人の心を作り出すのは難しくても、機械を通して人の気持ちを伝えることはできます。信仰は時代と共に変化するものですから、ICTで神様・仏様を敬う気持ちを伝える……というのも、今時の信仰の形と言えるかもしれませんね。

 

参考元:宮地嶽神社公式アプリ Yahoo!ニュース 日テレNEWS24

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