発達心理学から見る老年期65歳~死ぬまでの課題と発達や支援の仕方

家族に囲まれて暮らす老年期のおばあちゃん

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前回はエリクソン・ハヴィガーストの発達段階の「壮年期・中年期(成人中期)」40~65歳頃について書いていきました。

エリクソン・ハヴィガーストの発達段階の意味やその違いとは

発達心理学シリーズの冒頭やその中でご説明しています。

今回はいよいよ老いて死ぬまでの最後の部分「老年期」(65歳以上)という部分に着目して書いていけたらいいなと思います。

発達心理学から学ぶ老年期やそのサポート

画像引用:【キャリコン】 ハヴィガーストの発達段階

ハヴィガーストの発達段階では6つの発達課題が提唱されています。

特に仕事の引退とその収入の減少は社会問題にもなっています。

少子高齢化とともに近年、年金財政が不安定になってきています。年金支給者の対象年齢を引き上げたり、国民の税金を高めたり、親のためにお金を稼いだり、人によっては生活に支障が出るほど年々問題が大きくなっています。それで老後破産になったり貯蓄がない人は生活や満足のいく住居の確保が難しくなってきています。

画像引用:【看護roo】エリクソンのライフサイクル漸成的理論

老年期は死に対する意識が高まり、人生を振り返る時期です。精神的にも身体的にもこれまでの自分自身の人生を振り返り、受け止める「自我の統合」が発達課題になります。

一方、「死」へと近づく自分や現実を受け止めきれないと様々な衰えに対して恐怖を抱く「絶望」が発達危機になります。

そして最終的にはその「絶望」から「英智」という能力を獲得することになります。

自分自身が死という現実に直面しながらも、これまでの人生を振り返りつつ自分の命や生活を肯定し、それを後世に繋げ自分らしく安らかに人生を閉じるということを認めるということです。それがこの心理学という場における「英智」という意味であります。

しかし、歳を重ねるごとに中には生きがいや人生の意味を見つけれなかったり、自分が存在する意味が分からなかったりして、苦しんでいる人もいます。

認知症や自分に自信がなかったりする人に見られがちです。

このような高齢者はうつ状態にあったり、時には怒りや悲しみとして周囲に表現したりすることがあります。

このような時の周囲のサポートとして、傾聴否定しないことが一番大事です。

老年期はそれまでの人生を遡ることが多くなります。その時にその人自身が人生を振り返り、今までの経験の再体験を試みる努力を繰り返すことで自己の統合へと繋がっていきます。

時には自分の人生を肯定できず弱さが出る時もあります。そんな時もそばにいてしっかりと相手の話を聞く傾聴と、相手を否定せずその人の存在を認めることが大切です。

人生の最終局面でも肯定的に生きられない高齢者はたくさんいます。今後自分の親や周りの人がこのようになったとしても、周囲から可能な限りできるサポートとして受容や傾聴する姿勢だけは積極的に行なっていきたいですね。

参照:【富岡県立大学看護学部】老年期を初期認知症とともに生きる人への「人生の統合性」の獲得を目指した看護支援プログラムの効果

こちらはそんな高齢者の「人生の統合性」を得るために、現在・過去・未来について自由に語れる「オレンジノート」という支援プログラムを使って、認知症やアルツハイマーを持った高齢者の当事者たちと実験を行ったものです。

その結果、自分に自信を持っていたり自分を持っていたりする人は高い統合性が出来、あまり自信のなかったり自分を持っていない人はそれを振り返り、周りの人とコミュニケーションを取ったりした結果以前と比べ前向きに物事を捉えることができ、結果以前より統合性が高くなった、という結果が出ました。

これから言えることは以前の記事の中でも出しましたが自分が何者なのか、という「自我同一性(アイデンティティ)」がまた大きく関わってくるということです。前回の記事ではそのことについて詳しく書いていますので、分からない方や詳しく知りたい方はぜひこちらをご覧ください。

自我同一性(アイデンティティ)」は自分の自信を高めたり、ありのままの自分を肯定する「自己肯定感」に大きく関わってきます。

周囲の人との関わりや、この「オレンジノート」を用いて自信が高まったり自分を肯定できるようになったことは大事なことです。「自分らしく、その人らしく」最後を迎えるのにあたって、今後どうサポートしていけるのか、どう生きるのかしっかりと考えて生きられたら良いですね。

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