何でも言い当てられているように思える?「バーナム効果」のマジック

バーナム効果

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こんにちは、nonoです。

突然ですが、ここでちょっと心理テストをしてみましょう。

ハートをひとつ描いてみてください。そのハートの大きさはどのくらいですか?

描いたハートの大きさは、あなたの性格を表しています。小さいハートを描いた人は、几帳面なタイプ。でもルーズな部分もあり、時々手抜きをしてしまいます。

大きいハートを描いた人は、おおらかなタイプ。でも、これだけは譲れない!という頑固な部分も持っており、芯の強い人と言えるでしょう。

どうでしょう。当たっていましたか?

当たってるかも!と思った人は、ちょっとしたマジックにかかっています。実はこの心理テスト、まったくのデタラメなんです。テストの結果をよく見ると、「几帳面だけどルーズ」「おおらかだけど頑固」と、反対の性格を並べて書いてありますね。つまりは、誰だってどちらかに当てはまるようにできているのです。

こんな風に、誰にでも当てはまるような特徴を言われて、それが自分だけに当てはまっていることのように錯覚してしまう心理現象を「バーナム効果」と呼びます。

バーナム効果はどんな風に使われている?

バーナム効果、またの名をフォアラー効果は、人の心を掴むテクニックとして使われています。

その代表的な例が「占い」です。占い師の人はよく「あなたは今悩んでいますね」と言ってくるイメージがありますよね。でも、たいていの人は日頃から何かの悩みを持っているものです。これと同じように、誰にでも当てはまるようなことをさも占いで見抜いたかのように言うことで、「この人の占いは当たる!」と思わせるのです。

バーナム効果を利用すれば、相手に「この人は自分をよく理解している」と思わせ、信頼を得ることができます。占い以外でも、営業職の人のセールストークや広告のキャッチコピーなどビジネス的な方面で活用されているようです。

バーナム効果にかかりやすい条件

さて、このバーナム効果ですが、どんな状況でも必ず働くというわけではありません。

最初の心理テストだって、「いやいや、当たってないよ」と全く信じていなかった人もいるでしょう。

バーナム効果にはかかりやすい条件というものがあり、これを満たしているとより信じやすくなるのです。

その条件とは…

自分だけに当てはまることだと思っている

バーナム効果は、個人に向けられた内容であるほどかかりやすくなっているそうです。

最初の心理テストは「ハートを縦長に描いた人」「横長に描いた人」というおおざっぱな区分のテストでしたが、これが「20の質問からあなたの性格を分析!」という性格診断だったらどうでしょうか。

より細かな分析から得られた結果、つまり「自分自身によく当てはまること」だという先入観が生まれれば、その分内容を信じやすくなります。

発信者に権威がある

情報の発信者に権威があるかどうかも、バーナム効果の影響に大きく関わってきます。

例えば、最近占いに夢中になっている友達から「近々いい出会いがあるよ!」と言われてもあまりあてにする気にはなりませんよね。ですが、よく当たると評判の占い師に「近々大きな転機が訪れるでしょう」と言われたら、ちょっと期待してしまうのではないでしょうか。

「この人が言うことなら間違いないかも」という信頼感も、バーナム効果を生み出す一因になっています。

前向きな内容である

自分に向けられた言葉ならば、ネガティブなものよりもポジティブな内容の方がよりバーナム効果が働くと言われています。

仮にあなたが性格診断をやってみたとして、「ちょっといい加減で、不真面目な所があります。周りの人からはだらしないと思われているかもしれません」という文章と「おおらかでユーモアがあるタイプです。知人からは憎めない人だと思われていることでしょう」という文章が出たら、どちらがより自分に当てはまると思いますか?

おそらくたいていの人は、後者が自分に当てはまると感じるはずです。人は自分を否定されることを嫌がる傾向があるので、自分に対する悪い評価と良い評価なら良い評価の方を好意的に受け止めやすいのです。

あいまいで、どうとでも解釈できる表現を使っている

バーナム効果は「そうかもしれない」と思うことで働くものですが、反対に「これは違う」という意識が大きくなるとかかりづらくなります。

そのため、明確に断言するのではなく、わざとぼかした言い方をする方が効果的なのです。

広告のキャッチコピーを例にすると、「いつも仕事で疲れているサラリーマンの方に」という文章だと、会社員の男性にしか当てはまりませんよね。でも、これを「最近疲れを感じるあなたに」という文章に直せばどうでしょうか。表現をぼかすことで家事の疲れが溜まった主婦やバイト・サークル活動で忙しい学生にも当てはまる文章になり、広告のターゲットにできる人が増えましたね。

ただし、あまりぼかしすぎると反対にバーナム効果が働かなくなるので、ほどほどにするのが重要です。

一度信じてしまうと、疑いにくくなる?

バーナム効果をより強固にする要素として、「確証バイアス」というものがあります。

確証バイアスとは?
自分の考えが正しいかどうかを判断する際に自分にとって都合のいい情報ばかりを集め、反対意見など都合の悪い情報を軽視したり、無視してしまう傾向のこと。

一度バーナム効果で信じてしまった情報には確証バイアスがかかり、その情報を疑いづらくなるのです。

占いの例で言うと、「これからあなたには思いがけない幸運が訪れます」と占い師に言われた人が、数日後に懸賞に当たったとします。その人は数日間のうちに買った宝くじが外れたり、新品のシャツにコーヒーをこぼしてしまったり、告白した相手に振られたりと、色々な不運を体験していました。しかし懸賞に当たった瞬間、その人の中では「占いの通り、幸運が訪れた!」と一つの幸運だけがクローズアップされ、他の不運のことは意識の外に追いやられてしまいます。

つまりは無意識のうちに占いの結果に合致する出来事を探して合わない出来事は無視することで、自分から「占いが当たった」という思い込みを作っているわけですね。

バーナム効果をどう使うかはあなた次第!

バーナム効果は日常のいたる所で使われています。

よくある「血液型占い」や「星座占い」の性格診断はバーナム効果が働くから「当たってるかも…」と思ってしまうわけですし、一部の心理テストもバーナム効果を使ったものと言われています。

バーナム効果は、上手に使えば人の心を掴める強力なテクニックです。例えば、仲良くなりたい相手との会話にバーナム効果を仕込んでみれば、ぐっと距離を縮められるでしょう。ただ便利な分、バーナム効果は詐欺といった形で悪用されることもあるようです。

しかし、事前にバーナム効果について知っておけば、バーナム効果で自分を騙そうとする人に出会った時に「ん、これってひょっとして…」と相手のトリックに気付けるかもしれません。

バーナム効果を他人に使うか、自分を守るために使うかはあなた次第です。

あるいは、知人との会話で豆知識としてバーナム効果の話をする…というのも、一種の使い道かもしれませんね。

参考元:日本心理学会 心理学ミュージアム

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