薬を「OD(過剰摂取)」する若者-原因は何だろう?-

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こんにちは、金次郎です。

 最近、新聞やテレビのニュースで、市販の「風邪(かぜ)薬」や「咳(せき)を止める薬」を、一度に大量に飲む行為をする若者が増えているそうです。
 薬を大量に飲む、いわゆる「オーバードーズ(OD)」と言う、薬の過剰摂取です。
 これ、過去にも睡眠導入剤でする事が世界中で流行り、国際問題にまで発展しました。

 しかし、ここ3年若者の間で「オーバードーズ」をする人がまた増えており、今年は1月から6月までの半年間で5625件の救急搬送が有ったそうです

 これを受けて厚生労働省は検討会を開き
「乱用のおそれがある医薬品については、20歳未満に複数販売することを禁止する制度(案)」
 と言う案をまとめ、法改正する事を目指しており、更には薬局やドラッグストアに対しては、適正な販売を周知するよう都道府県に通知を出しました。

参考:(NHK)市販薬のオーバードーズ疑われる救急搬送 半年で5600件余 | NHK | 医療・健康

「OD(過剰摂取)」とは?

 「OVER-DOSE(過剰摂取)」とは、身体もしくは精神に有害な作用が生じるほど太量の薬を一度に摂取することです。
 過剰摂取する事によって一時的、もしくは永続的な身体への影響があり、最悪の場合は死亡することもあります。
 英語の発音では(オウヴァドウスやオーバードース)ですが日本ではオーバードーズとカタカナ表記です。
 略称はOD」でして、英語で超過を意味する「OVER」服用量の「DOSE」を合わせた言葉です 

過去にも有った「OD(過剰摂取)」

 以下は、5年前の2019年に、私が精神科のクリニックを変えたら減薬に成功した事を書いた、記事です。

抗うつ薬は、最低限の用量の方が効果的だった!! 減薬のススメ

 記事の最初の方に、以前行っていた精神科クリニックで処方されていた薬一覧を書いています。
 この記事で出て来る「ハルシオン」という睡眠導入剤も、2010年代にアルコールと一緒に大量服薬する事が世界的に流行った為に、当時通院していたクリニックの医師から
「睡眠導入剤のハルシオン遊びが問題になっているから、お薬変えるよ」
と薬を変えられた事を書いています。
 あの当時も、無許可でこの「ハルシオン」と言う薬を個人売買する人がいたりしました 

薬を(OD「過剰摂取」)するとどうなるか?

 薬を過剰摂取すると、どのような症状が出てくるでしょう?
 無論、過剰摂取する薬の種類によって変わってきますが、私が薬を変えられた睡眠導入剤系の場合、以下の様な症状がでてきます。

・酔ったような状態になり、正しい判断ができない
・錯乱状態になる
・ろれつが回らなくなり、会話がおぼつかなくなる
・昏睡状態になる
・身体が、けいれんする
・呼吸が遅くなるか、呼吸停止状態になる

急増している10代が「OD(過剰摂取)」する原因

 市販薬をオーバードーズしているのは、中高校生辺りの女子が中心です。
 非行歴も無く、学校にもきちんと通い続け、表面上は「よい子」とされる人が多いです。
 なぜ10代の女子たちが、オーバードーズに陥ってしまうのでしょうか?
 それは、こんな理由からです。

・つらい気持ちを和らげたい
 学校で仲間外れにされているとか、家庭の雰囲気が良くないなどの悩みを、誰にも相談できず、
 薬という物に逃げてしまう様です。

・生きるための手段
 オーバードーズをすると健康を損ないますが、オーバードーズをしている間だけ、今すぐ死に
 たいほどのつらい気持ちから一時的に逃れられると言うのがある様です。

・故にネットに居場所を求める
 「きょうは50錠飲んでみます!」とか「多く薬を手に入れたので一緒にODしてくれる人いませ
   んか?」この様な投稿が、今SNSにあふれているそうです。
  学校や家庭に馴染めない子にとって、ネットとは同じ境遇や悩みを共有できる大事な居場所で
  す。

その子の周りは、どうすれば良い

 オーバードーズをする子の周囲は、どう受け止め、どう対応したら良いでしょうか?

・つらい気持ちに寄り添う
 自分の子どもが薬を過剰摂取していると知ったら、親は驚いてしまい頭ごなしに怒ってしま
 うでしょう。
 しかしその様な態度では、子どもは益々心を閉ざしてしまいます。
 過剰摂取を打ち明けてくれたら「よく話してくれたね」とまずはねぎらい、正直に話せる関係を
 持続させましょう。

・解決には時間がかかると心得る
 薬の過剰摂取は、簡単にはやめられません。
 すぐには薬を辞めさせられない現実を認め、少しずつ量を減らしていくほうが、結果的には解
 決への近道となります。
 無論、薬で健康障害が起きてはなりません。
 副作用をどうすれば最小化できるか、飲む頻度や量をどうしたら減らせるか、しっかり見極める
 必要があります。

・専門機関に迷わず相談する
 薬の過剰摂取を、本人や親だけで解決する事は難しいと思って下さい。
 医療機関または精神保健福祉センターや保健所などの行政機関に相談する事を考えて下さい。
 他人には問題を隠したいですが、そうすると本人も親も孤立してしまいます。
 本人がこの様な専門機関に行きたがらなくても、親だけでもぜひ行ってみてください。
 精神保健福祉センターでは、家族に対する支援も行っています。
 親が相談を続けているうちに、本人の状況が好転することもよくあることです。

参考:(厚生労働省)全国の精神保健福祉センター

終わりに 

 最近ですと、歌舞伎役者の市川猿之助さん親子が睡眠導入剤で自殺した事件があります。
 私は、テレビでこの報道を見ていて、自殺に使った睡眠導入剤の名前が出てきた時に「えっ?」
と思い自分に処方されている睡眠導入剤の名前を見たら、まさにその薬でした。
 その後の精神科クリニック受診で、猿之助さん自殺未遂の話しをすると、処方箋を見ながら「これでしょ」と先生から言われました。
 私が「ハルシオンみたいに、また処方規制されちゃいますかね?」と尋ねたら「1回くらいじゃ
規制はされないよ。ハルシオン遊びみたいに世界中に広がったら規制されるだろうけどね。」と言
われました。
 ですから、薬のお陰で眠りにつけている精神疾患者だけでなく、薬の大量服薬は全ての病気の方の薬の処方に影響する事を忘れないで下さい。

参考:(ひまわり医院)オーバードーズによる症状と市販薬の種類について【メジコン・咳止め薬での死亡・トー横】

  

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2 件のコメント

  • 記事を読ませていただきました。薬を大量に買って服用するような子どもをつくってしまった社会がくるとは思いもしなかったです。
    これからも記事を楽しみにしています。

    • カメレオンさん、毎度コメントありがとうございます。
      記事にも書いている、14~15年前の「ハルシオン遊び」と言うのは、先ず欧米で流行り、その後に日本でも流行りました。
      現在「ハルシオン」と言う睡眠導入剤は、ほとんどの先進国で処方禁止になっています。
      この事を現代の中高生辺りの若者が知るはずは無いと思いますので、なぜ「大量服薬をしてみよう」と言う気になったのかが分かりませんです。
      あるいは、ネットで検索していて「ハルシオン遊び」の記事を見つけたのかも知れません。

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