認知症でも「はたらく」人々~人生100年時代の働き方

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はじめに

皆さんにとって「はたらく」人ってどんなイメージですか?「若くて健康で元気なひと」が「はたらく」人で、「病気や障害を抱えていたり、高齢者」は、「はたらけない」人と勝手にイメージしていませんか?

実際には、「病気や障害を抱えながら」「はたらく」人はたくさんいます。

人生100年時代、「高齢者」だって、まだまだ「はたらきたい」と思って生きている人もたくさんいます。

認知症を患いながらも「はたらいている」人も中にはいます。

皆さんにとって「はたらく」人のイメージをアップデートするためにも、認知症でも「はたらく」人々をご紹介していこうと思います。

認知症で「はたらく」こと。島田豊彰さんの場合 

考古学研究者の島田豊彰さんは47歳のときにアルツハイマー認知症と診断されました。しかし、職場の理解とサポートを得て働き続けています。島田さんの「はたらく」ための工夫を見ていきましょう。

島田さんの職場の工夫

○チェックシート

○三者面談

○部署の変更

○得意な仕事

チェックシート

46項目にわたり、「何ができて、何ができていないのか」チェックしていきます。

本人、家族、職場の三か所、それぞれの見方で確認作業を行います。

具体的には、「出勤時間を守れるのか」「パソコン操作ができるか」などのチェック項目を確認していきます。

三者面談

2カ月に1度、本人、家族、職場で三者面談を行います。チェックシートを確認しながら、島田さんの今の状況を見極め、仕事の内容ややり方を振り返ります。

部署の変更

所属する部署も再検討し、発掘などを行う部署から展示や広報を行う部署に異動しました。

発掘などの細かい手作業から、見学者の案内を行う仕事に変わりました。考古学の魅力をユーモアあふれる話術で披露し、見学者の方たちにも好評です。

得意な仕事をしてもらう。

子どもたちの質問に島田さんが答える掲示板を作りました。島田さんの残存している能力をいかした新しい仕事です。

このような職場での工夫とサポートにより、島田さんは2年にわたり仕事を継続されています。

医師の數井裕光さんは語ります。

一番のポイントは三者面談です。三者面談により、「何ができて、何ができないのか」チェックシートの内容を詳細に分析できるようになり、どんな仕事が得意なのか明確になります。そこで、部署の変更をし、新しい仕事に従事することができ、今勤めている会社に少しでも長く続けられることから始めることが認知症を患いながらも働ける仕事の第一歩となるでしょう。

<参考サイト>

認知症×就労 (2) 仕事を続けるためのヒントと必要なサポート – 記事 | NHK ハートネット

認知症基本法が成立

2023年6月14日、認知症基本法案が参議院本会議で可決となり、認知症基本法が成立しました。

「認知症基本法」とは、認知症がある人でも尊厳を持って社会の一員として自分らしく生きるための支援や、認知症予防のための施策を定めるための法律。

引用:認知症基本法が成立!認知症の人への支援や配慮ある社会へ

国は、2022年に「治療と仕事の両立」を目指す病気にがんや糖尿病に加えて、65歳未満で発症する「若年性認知症」も指定しました。

「若年性認知症」も早期の発見で進行を遅らせることができます。働き盛りの世代の若年性認知症、発症に国も手をこまねいているばかりではないということです。

「認知症」=「自分たちは助けてもらうだけの存在ではない」

もっと積極的に自分の残存能力を使い、社会に貢献したい、自分らしく生きたいと思っている認知症の方たちは数多くいるのです。

「はたらく」=賃金労働なのか?

「はたらく」ことはいわゆる賃金をいただくことだけでしょうか?

正社員の人でも、お客様へのお茶出し、飲み会の幹事など契約内容には必ずしも含まれていない仕事もあります。

「はたらく」を誰かのため、何かのために日常行うものと広く考えると地域の中には多くの仕事があり、できることがたくさん潜在しています。

今、日本では誰かのサポートを受けながら、誰かのために「しごと」もする。認知症の人と一緒にはたらくことを実践している試みが、広がりつつあります。

「待つ」「一緒にやる」

例えば、認知症の方と一緒に料理をしてみることにします。

まずは、献立を決めます。そのときに認知症の方、本人に献立を決めてもらいます。

忘れてもいいようにホワイトボードに書いておき、何度も確認できるようにします。

そして、認知症の方の役割を奪わないで本人にやってもらう。

その時に「待つ」こと、「一緒にやる」ことが大切です。

そして、うまくできたら褒めてあげましょう。「褒められる」と肯定的な気持ちが沸きあがり、前向きの力を引き出してくれます。それが、誰かの役に立ち、人と人のつながりができます。

認知症の方、本人が活躍する姿を家族が見て、さらに家族が前向きになる。

その家族を見て、本人も前向きになる。このような好循環が生まれてきます。

認知症の方のちょっとできないことを「待ち」ながら手伝うことで、本人の残存能力を大いに引き出せるのです。

終わりに

我が国、日本では高齢化が進むにつれて認知症の方が増えてきており、65歳以上の認知症の方の人数は約600万人とされています。(2020年現在)。

さらに、団塊の世代が75歳を超える2025年には認知症の方が700万人に達するという予測もされています。

これは、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症患者になる可能性があり、予備群も含めるとさらに増える見込みになります。

認知症を患いながら「はたらく」も近々の課題になってきています。

私自身も精神疾患があり、認知症を患いながら働き続けることに勇気をもらっています。病みながらも生きていけるのは人間の大きな特徴でもあります。

どんな病にかかろうとも自分らしく、人の役に立つ仕事をして生きたい、それは本人の尊厳の問題になります。

その尊厳を活かしながら「はたらく」こと、「生きていける」社会を私は望みます。

参考サイト

認知症の人の 「はたらく」のススメ

専門家と考える 認知症の人の力を引き出す関わり方 – 記事 | NHK ハートネット

 

noteでも書いています。よかったら、読んでみてください。

 

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