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こんにちは、翼祈(たすき)です。
まずこの記事を紹介する前に、RSウイルスについてご紹介しないと話が進まないと思います。
RSウイルスに感染すると、発熱、くしゃみ、咽頭痛、鼻汁、軽い咳などの症状が数日続きます。
生後1〜2ヵ月の赤ちゃんでRSウイルスが疑われるケースでは、経過中に無呼吸発作などの重症な症状を引き起こす危険があります。
RSウイルスの感染によって、全世界で亡くなる人数は1年間で16万人と推定されています。
詳しくは私が過去に書いたこちらの記事を読んで頂けると、よりRSウイルスに関して、分かりやすいかと思います。
そんな2023年5月に高齢者用のRSウイルスワクチンを承認したアメリカが、2023年8月には妊婦さん用のRSVワクチンを承認したというニュースが、先日入って来ました。
今回はこのRSVワクチンが承認されるまでの過程、実際に行われた臨床試験の結果についてお伝えしたいと思います。
2023年8月に、アメリカの食品医薬品局(FDA)が承認した、RSVワクチンの効果とは?
小さな子ども達が重い肺炎の症状が出ることもあるRSウイルスに関して、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、アメリカの製薬会社ファイザーが開発した、妊娠中である女性が接種するタイプのRSVワクチンを承認したと公表しました。
RSウイルスは、赤ちゃんなどを中心に流行る風邪に似た症状の呼吸器系の病気で、時には肺炎を引き起こし、重症化や入院に至るケースがあります。赤ちゃんは重症化するハイリスクに陥る可能性が1番高く、政府データによりますとアメリカでは年間5歳未満の推定5万8000-8万人がRSウイルスの感染によって入院しています。
RSVワクチンはRSウイルスが細胞に侵入する時に使用するFタンパク質をベースに開発しました。RSウイルスはA型とB型の2種類があって、このRSVワクチンは両方の型に対応できます。妊娠してから24~36週の妊婦さんに1回RSVワクチンを注射し、抗体を母体から胎児へと輸送することで出生後の細気管支炎や肺炎を予防します。
ファイザーが開発したRSVワクチンを妊娠中の女性が接種した場合、生まれてきた赤ちゃんに一定の効果があると見込まれる臨床試験の結果を、各国の医師らで構成された研究グループが明らかにしました。
このRSVワクチンは、妊婦に接種することで赤ちゃんが抗体を持って生まれて来ることを狙ったものです。ファイザーが開発したRSVワクチンを妊娠中の女性に接種し、生まれて来た赤ちゃんへの効果を確認する臨床試験では、アメリカや日本など18ヵ国の妊娠24~36週の妊婦7358人をRSVワクチンを接種したグループAと、有効成分が含まれていないプラセボを使用したグループBとに分け、生まれて来た赤ちゃんのRSウイルスへの感染の予防効果を観ました。
その分析をした結果、RSウイルスの発症を予防できる効果は生後3ヵ月以内で57.1%、生後半年以内で51.3%。RSウイルスの重症を予防できる効果は生後3ヵ月以内で81.8%、生後半年以内で69.4%でした。
頭痛や倦怠感などの副反応がありましたが、ファイザーは「安全性に特に問題はありません」としています。
各国の医師らで構成された研究グループは「妊婦がRSVワクチンを接種することで、生まれて来る赤ちゃんがRSウイルス感染で重症になるのを予防できる効果が認められ、安全面での懸念も確認されませんでした」といいます。その結果は、2023年4月5日、国際的な医学雑誌の[ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン]に掲載されました。
参考:米FDA RSウイルス感染症のワクチンを承認 妊娠中女性が接種 NHK NEWS WEB(2023年)
FDAはRSウイルスに関して妊娠中の女性が接種するタイプのワクチンとしては初の承認だといいます。
一方、RSVワクチンを接種した人と、接種していない人で早産の発生率に異なる点が見受けられましたが、現時点でのデータの結果では因果関係を判断するにはまだまだ不十分だと説明していました。
FDAは「今回のRSVワクチンの承認によって、命を脅かす可能性があるRSウイルスから赤ちゃん達を守るための選択肢が広げられたことになります」としています。
RSVワクチンはファイザー以外にも、イギリスのグラクソ・スミスクライン社(GSK)やアメリカのモデルナ社なども目下開発中だといいます。日本ではRSVワクチンを承認申請中です。
やっぱり早いな。
2023年5月に承認されたアメリカの60歳以上の高齢者向けのRSVワクチンは、2023年4月現在では、高齢者への効果も明らかにし、RSウイルスに関する呼吸器疾患への感染予防効果は62.1%でした。
欧州連合欧州委員会は2023年8月24日、2023年6月にイギリスの製薬大手GSKが開発したRSVワクチンに関して高齢者への接種が承認されました。ファイザーとGSKのRSVワクチンは既にアメリカで高齢者への接種が承認され、接種されています。
RSVワクチンの市場規模は2030年までに100億ドル超となるだろうと推定されています。
こちらの記事の方が後から掲載されますが、私は先日[ドラッグ・ラグ」という記事を書きました。これは薬の開発から承認までの期間の事ですが、日本は承認までが慎重で時間がかかります。
2022年に書いた[レカネマブ]というアルツハイマー病の治療薬に関しても、日本製の治療薬にも関わらず、アメリカが1番最初に承認申請して正式承認、2番目にEU、日本は3番目に承認しました。
それらを通しても日本がいかに正式承認までが遅いかが分かります。RSVワクチンに関しても承認申請中だそうですが、そのことについては2023年6月時点の話なので、どこまで進んでいるかまだ分かりません。
アメリカの妊婦さん向けのRSVワクチンは有効性が確認されたので、正式承認されました。臨床試験に協力した国も多く、良いワクチンだと思いますが、日本ではいつこのRSVワクチンが接種できるのか、知る術はまだありませんー。
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noteでも書いています。よければ読んでください。
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