九州産業大学発、『アクリルアニマルプロジェクト』で、絶滅危惧種の保護の必要性訴えるー。 

アクリルアニマルプロジェクト

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

コロナが5類となり、役目を終え、ひっそりと身を潜めたアクリル板(パーテーション)

撤去され、あんなに数多くあったものが無くなりました。

そんなアクリル板を、絶滅危惧種を守るための、保護資金を寄付するために、あるものにリサイクルされている取り組みが、福岡県で行われています。

福岡県福岡市東区にある九州産業大学の学生らが、コロナ禍で飛沫防止で活用されていたアクリル板を動物型のキーホルダー〔アクリルアニマル〕に変換させるプロジェクトに励んでいます。

アクリル板でリサイクルされたキーホルダー〔アクリルアニマル〕は2023年6月24~6月30日まで福岡県福岡市中央区にある商業施設[ミーナ天神]地下1階で販売され、売り上げは絶滅危惧種の保護へと寄付されます。アクリル板をリサイクルした、透明なキーホルダーのカプセルトイは、全部で15種類で、およそ200個が販売され、1回300円です。

このアクリル板のリサイクルプロジェクトは九州産業大学芸術学部ソーシャルデザイン学科の伊藤敬生教授が「人間の命を守り続けたアクリル板を、次は動物の命を守るものに変換しよう」と発案しました。アクリル板の大量廃棄と地球上で消えゆこうとする絶滅危惧種の動物の2つの社会問題を考えて欲しいと『アクリルアニマルプロジェクト』と命名しました。

今回は『アクリルアニマルプロジェクト』が誕生した経緯、製作現場秘話、携わった学生の皆さんの話などをお届けしたいと思います。

『アクリルアニマルプロジェクト』が始まった経緯

「学内で使ったアクリル板は、こちらの倉庫で収納しています」。

2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行を受け、九州産業大学は2023年5月、学内の食堂やラウンジ、教室、自習スペースなどに置かれていた厚さ3mm程度の頑丈なアクリル板およそ300枚を、全部撤去しました。

人間の命を守るために3年もの長い間活躍したアクリル板ですが、役目を終えて撤去されていきました。「そのままただアクリル板を廃棄して、この間にコロナ禍で得られた教訓をも忘れてしまっていってもいいのだろうか?」と発案したのは、九州産業大学芸術学部ソーシャルデザイン学科の伊藤教授です。

考え抜いたのは、透明なアクリル板を、地球のどこかで知らない間に「消えゆく」絶滅危惧種の動物の姿をデザインしたアイテムに変換させることでした。『アクリルアニマルプロジェクト』には、芸術学部ソーシャルデザイン学科内で有志を募ると、5人の学生が手を挙げました。

伊藤教授は、「“コロナ”で味わった経験は忘れてはいけないことが、沢山あると思います。“コロナ禍”を忘れないためのモニュメント、記念になるカタチとして、アクリル板自体をアップサイクルのアイテムにすることができないだろうか?絶滅危惧種の動物のこともアクリル板から想像するし、コロナ明けしても『コロナ禍の時に私たちの命を守ってくれたアクリル板だよね』とどこかで観る度に思い起こす、2つのきっかけが誕生したんじゃないかと思いました」と説明しました。

学生たちは、廃棄される予定だった透明なアクリル板に《消えゆく動物たち》を重ね、【絶滅危惧種の保護】をメインテーマに掲げました。

『アクリルアニマルプロジェクト』製作現場秘話

『アクリルアニマルプロジェクト』に参加した5人の学生は、オオアルマジロやトラ、ワオキツネザル、アミメキリン、ユキヒョウなど、それぞれお気に入りの動物を3種類ずつ選択して、〔アクリルアニマル〕をデザインしました。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の3年の女性Aさん「私はホッキョクグマです。普通のクマは耳が大きいですが、ホッキョクグマは耳が小さくて寒さにも耐えられる様になっています」。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の4年の女性Bさん「アミメキリンというキリンを選びました。キリンは、ずっと立っているイメージでしたが、安全性が確保されたキリンは、寝ている時に座って、しかも首を曲げて寝ます。そのギャップとの差にキュンと来て大好きになりました。動物の命を救えるプロジェクトになれたらいいなと思います」。

アクリル板を再利用したキーホルダー〔アクリルアニマル〕の販売開始まで2週間を切った2023年6月7日、伊藤教授と学生3人は抜き型の製造などを手がける、福岡県久留米市にある企業「モリサキ」を訪問し、〔アクリルアニマル〕の仕上がりを確認しました。大学の自習室で使われていたアクリル板を消毒し、学生のデザインをベースにカットし加工する工程も、プロジェクトに共感した「モリサキ」が手がけました。学生たちは1つずつ丁寧にやすりをかけ、仕上げていきました。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の2年の女性Cさん「〔アクリルアニマル〕は、想像通りの可愛さですね!みんなに届いて欲しいという気持ちもあります。ラブレターでもあり、我が子を送り出す感じもします」。

〔アクリルアニマル〕の製作に協力した「モリサキ」の社長の男性は、「アクリル板はリサイクルもなかなかないですし、これから先活用される機会も少ないと思っていましたが、素敵なアイディアですね」と述べました。

『アクリルアニマルプロジェクト』初日、

〔アクリルアニマル〕の販売方法もユニークでした。伊藤教授は、カプセル入りの玩具販売機、カプセルトイを利用した社会貢献に繋げ、活動利益を寄付する活動を「ガチャリティ」と命名し、2011年から活動をしています。今回も同じ様に「ガチャリティ」で販売しました。

カプセル内には絶滅危惧種の動物の個体数や生息地などを書いた説明書も同封しています。実費を除いて1回300円で、活動利益は日本動物園水族館協会の「野生動物保護募金」に全額寄付します。

〔アクリルアニマル〕の販売初日、福岡県福岡市中心部にある商業施設の[ミーナ天神]の地下にカプセルトイの機械が設置されると、子どもから大人まで幅広い世代が集まってきました。「ガチャリティ」を回したお客様の視線の先には丸いシルエットがキュートな文鳥や、特徴がよく観察されたチンパンジーもいました。

アクリル板で製作された絶滅危惧種の動物のパズルや本棚なども展示されていました。

「ガチャリティ」を利用したお客さんは、「元々廃棄されるアクリル板からリサイクルされて、新たなデザインのアイテムとして生まれ変わって、素晴らしいアイディアだなと思います」と、話していました。

『アクリルアニマルプロジェクト』、初日を終え、携わった学生の皆さんの話

コロナ禍での感染対策の象徴的だったアクリル板を変換させた学生たちは、“コロナ禍”だった日常も振り返りました。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の3年の女性Aさん「動物の身体の特徴を観察して表現することが凄く大変でした。人間の活動により、さらに絶滅危惧種の動物の数が少なくなっていることに気付いて頂きたいです。コロナ禍にどんなことが起きたか忘れず、絶滅危惧種の動物のことも少し理解して頂きたいです」。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の4年の女性Bさん「〔アクリルアニマル〕が、手元にあるともっと絶滅危惧種の動物たちに愛情が芽生えました。どこか他人事だった絶滅危惧種の動物たちの問題も自分事に感じられました」。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の2年の女性Cさん「“コロナ禍”を経てちょっとした嬉しいことに幸せを感じることができる様になったのは、確かだと感じていて、“コロナ”を忘れることによって、そのありがたみを忘れてしまうのは、勿体ないと思うので、“コロナ禍”があったからこそ、コロナ明けのありがたみがあるというのは、“コロナ”と同じく忘れて欲しくないです。『実はこのキーホルダー、アクリル板でできているんだよ』と話題の種になります。家族や友達と絶滅危惧種の動物のことを共有して頂ければ」。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の2年の女性Dさんは、飛べないオウムのカカポなどをデザインしました。「〔アクリルアニマル〕を手にしてくれた人が、『こんな動物たちもいるんだ』と話題に上げてくれることを想像して、カカポをデザインしました」と振り返ります。

伊藤教授も、「コロナ禍前のかつての賑わいが戻る反面、この3年で得た気付きを振り返る瞬間も必要なのではないでしょうか?人の命を守ったアクリル板が、再びカタチを変えて、別の命を守るシンボルとなった姿を観て考えるきっかけにして頂きたいです」と話し、「今回の『アクリルアニマルプロジェクト』はあくまでもお披露目です。長く継続してPOP UP SHOPを続け、多くの人に販売し、絶滅危惧種の動物たちの寄付を集めたいです」と説明しました。

参考:「5類」で撤去のアクリル板、絶滅危惧種の動物キーホルダーに…保護団体に売り上げ寄付 読売新聞(2023年)

実際に行われた映像を、

先月テレビで観ました。伊藤教授は、なぜアクリル板を絶滅危惧種にデザインした理由を、「絶滅危惧種の動物は、姿が徐々に見えなくなって、透明になるんじゃないかなと。アクリル板で動物を製作することは、絶滅危惧種の動物を象徴していくデザインになるのではないか?と、考えました」と説明しました。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の3年の女性Aさんは、「オオアルマジロは身体が大きくて、U字しか曲げられませんでしたが、それが凄く可愛いと思います」。

芸術学部ソーシャルデザイン学科の2年女性Cさんは、文鳥をデザインされていて、「丸いシルエットが1番魅せたくて、文鳥がちょこっと木に止まっている姿をデザインしました」と話していました。

また、芸術学部ソーシャルデザイン学科の1年のEさんは、「コロナ禍は友達が欲しいけど、なるだけかたまっていない様に言われたり、離れて座って下さいとか先生たちから言われて、友達と囲んで笑うって経験はできませんでした。コロナから守ってくれたアクリル板が廃棄になるのも、ネガティブに捉えがちですが、可愛いキーホルダーになるのがポジティブで、お客様が嬉しそうにしてくれるのが参加した醍醐味です。この『アクリルアニマルプロジェクト』を聞いた時から、参加したいなと思って手を挙げました」とも言われていました。

気軽に参加できるこの『アクリルアニマルプロジェクト』。今後もイベントでの販売を予定しており、九州産業大学はアクリル板の提供も求めているそうです。

この『アクリルアニマルプロジェクト』は、誰もが簡単に参加できるチャリティーです。6月のはすぐに完売したそうなので、お目にかかる機会は少ないかもしれませんが、是非私も参加したいなと思いました。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。