福岡地裁、同性婚訴訟判決でレインボーカラー着用での入廷認めず。裁判長指示。 

福岡地裁 レインボカラー

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

2023年6月16日、LGBT理解増進法が成立しました。成立したものは当初国が掲げていたものとは変わり、当事者が求めていたことも盛り込まれず、多数派を配慮する条項が設置されたことで、多数者が許可する範囲内でしかLGBTQの人権が認められないとの懸念も浮上しています。

当事者団体の全国組織「LGBT法連合会」などの関係者が記者会見を開き、「当事者に寄り添った法律だとはいえません」などと主張し、成立した法案は廃案にし、差別禁止を強制力のある措置を盛り込んだ法案の制定を再度要求しています。

そんなLGBT理解増進法が成立する前に、ある当事者に関する問題が起こっていたことが、明らかとなりました。

福岡地裁が「違憲状態」と判断した同性婚を関する裁判で、2023年6月8日の判決をする当日に福岡地裁が多様性の象徴である“レインボーカラー”の入った服飾品を法廷内で着用しない様に原告側などに要求していたことが、2023年6月14日、判明しました。

初弁論から判決までトータル12回の審理が開廷されましたが、「レインボーカラー」の入った服飾品を着用しない様に要求されたのは判決当日の今回だけだったといいます。

原告側弁護団などは「これまでトラブルになったことはありませんでした。座ったら目に見えない部分まで制限したことは、やり過ぎです。今までの審理で注意を受けたこともなく、過剰反応ではないでしょうか」と主張しています。

今回は実際に「レインボーカラー」の入ったものの着用を認められなかった方の証言を元に、この問題を検証していきます。

なぜ「レインボーカラー」の着用が認められなかった?当日の福岡地裁での様子の証言

福岡地裁には福岡県福岡市と熊本県熊本市の同性カップル3組が、同性同士の結婚を認めていない現行制度は憲法違反だとして、国に損害賠償を求め、提訴しました。全国5つの地裁で争われた同様の同性婚訴訟の最後の一審判決として注目され、一般向けの傍聴席が72席設けられ、315人が傍聴券を求めて開廷当日並びました。

原告側によりますと、同性婚訴訟の判決の開廷のおよそ1時間前、裁判所の書記官から原告側に「傍聴席などで入廷する人で『レインボーカラー』の服飾品を着用している人は隠して下さい」などと伝えられました。裁判を傍聴できなかった人はいませんでした。

上田洋幸裁判長は「同性婚を認めないのは、違憲状態」と判断しました。福岡地裁は「法廷警察権による規定で、裁判長の指示で、『レインボーカラー』の服飾品の着用や入廷は許されていませんでした」などと回答しています。

裁判所法71条は、裁判長が法廷の秩序を維持すべきためには必要な事項を命令し、処置を執ることが可能です。日本各地の裁判所でははちまきや襷、腕章、ゼッケンなどを着けての入廷を許されていません。服飾品などに関する問題は全国の裁判所でも起こり、地裁支部が拉致被害者の救出を要求する[ブルーリボンバッジ]を外すように要求して、国賠訴訟に発展したケースもあります。

福岡地裁は、靴下などの具体的な服飾品の対象は明らかにしていません。

明治大学法学部の鈴木賢教授は傍聴人として福岡地裁に入ろうとした時、白い靴下にラインで入っていた「レインボーカラー」について、福岡地裁職員から「裁判長からの指示で、隠さないと入廷できません」と言われ、福岡地裁職員が用意していた粘着テープで「レインボーカラー」柄を覆う様に要求されたといいました。そのため、「レインボーカラー」のラインの部分を折り曲げて入廷しました。

また、鈴木教授が福岡地裁の建物に入る時の持ち物検査の時も、「レインボーカラー」の文字で「LOVE&PEACE」とデザインされたストラップをバッグに付けていると、「入廷する際には、『レインボーカラー』を隠して下さい」と言われました。

鈴木教授は「靴下には文字がデザインされているわけではないのに、規制するのは前代未聞の判断です。不当な規制で、不必要なLGBTQの人に対する萎縮効果に影響を与えます。『レインボーカラー』は、自分も含めたLGBTQを象徴するカラーです。裁判官からも見えない靴下のラインまで裁判所が規制してくるのは異常な判断です」と批判しました。

佐賀県にある、LGBTQの支援団体で共同代表の小林誠さんも「レインボーカラー」で「PRIDE」とデザインされたTシャツを着ていましたが、入廷を拒否されました。シャツを羽織って入廷しましたが、

今度は福岡地裁内で、「レインボーカラー」のバンドを付けた腕時計も外す様に指示を受けたといいます。小林さんは「なぜ腕時計まで外さないといけないのか」と理由を求めましたが、複数回に渡るやりとりを交わした後、説得に応じ、腕時計をその場で外しました。

小林さんは「裁判所に私たち当事者の声を聞いて頂き、国を動かして欲しいと思い傍聴してきましたが、私たち当事者の声を裁判所から拒否されたと感じました。とても怖い出来事でした」と語り、「裁判所にはLGBTQ当事者への権利擁護の最後の砦としての役割を期待して今回来たのに、裏切られたと感じ、残念な気持ちが残りました」と、吐露しました。

参考:レインボーカラー「隠して」 同性婚訴訟判決で福岡地裁が着用制限 毎日新聞(2023年)

全国5つの地裁で争われた同性婚訴訟では、2023年5月判決が判断された名古屋地裁でも「レインボーカラー」の服飾品の入廷する時には着用について原告側などに注意する様に伝えられたといました。

2021年10月に行われた大阪地裁の口頭弁論でも、地裁側が入廷する前、傍聴した人に対し、レインボーカラーのマスクから白色のマスクに着け替える様に、注意していました。

今回の対応に関して福岡地裁総務課の担当者は「裁判長からの指示で、『レインボーカラー』の服飾品の中で裁判体(裁判官)やLGBTQの当事者の方が認識可能なものの着用を許されていませんでした」と説明しましたが、詳細な理由は明らかにはしませんでした。

原告側の弁護士は、

弁護団共同代表の森あい弁護士は「靴下の様な外から服飾品まで規制するのは過剰な判断だと感じます。なぜ判決を行う当日だけこの対応を取ったのでしょうか」と疑問を持ちました。

原告側弁護団事務局長の石田光史弁護士によりますと、弁護団も福岡地裁で判決を行う当日の朝、地裁書記官から「レインボーカラー」のバッジなどの服飾品を福岡地裁内で着用しない様に要求されました。

今までの弁論期日でこの様な制限はなかったことを受けて、石田弁護士は「『レインボーカラー』は同性婚実現を象徴するものではなく、直接的なメッセージを表すものでもありません。福岡地裁は詳細な理由も明かさず、度が過ぎてるのではないでしょうか」と述べました。

今回の記事を書いて、裁判所では傍聴する人にもこんなにも規制を求められることを知りました。裁判では「違憲状態だ」と主張は認められても、当事者の人からは傍聴では納得のいくものではなかったことでしょう。

改めてこの問題を解決することの難しさを感じました。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。