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こんにちは、翼祈(たすき)です。
日本の河川が発がん性のある、PFASこと有機フッ素化合物で汚染されている地域があるのをご存知ですか?
PFASとは、何千種類と多岐に渡る多様な化学物質の総称で、それらは耐熱性、耐薬品性、耐候性、潤滑性、撥水撥油性、電気絶縁性といった非常に重要な特性を持っています。 これらの特性は、炭素原子とフッ素原子の非常に強い結合から生まれるものです。水や油をはじく働きがあり、フライパンのコーティングや撥水加工された衣類などに多くの素材に用いられている化学物質で、約4千700種類存在します。
PFASは自然界では分解されづらく、“永遠に残る化学物質”とも言われています。2023年1月24日、環境省の発表した資料によりますと、全国13都府県の河川や地下水など81地点で、PFASが国の基準値を大幅に超えていました。さらに、県独自の調査を行った沖縄県でも、33地点の河川の汚染が明らかとなりました。
今回は東京都多摩地域の話題から、PFASについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
東京都多摩地域でPFASによる汚染が深刻。原因は米軍基地?
東京都多摩地域に設置してある井戸水のPFASによる水質汚染は、長い間、広範囲で拡大してきた恐れが出てきました。水道水として使用される水は、人間の健康や生命の安全に繋がるはずですが、市民団体の再三の疑念に対しても東京都の取り組みは鈍化してます。
取り組みが鈍化している背景には、日本各地ではPFASの明確な健康基準が定義されていないことや、汚染源の可能性が高い米軍基地への立ち入り調査が困難なことが挙げられます。
国は水道水においてのPFASの暫定目標レベルは1リットル当たり50ナノグラム以下と定義していますが、健康影響に関連する基準は明確には示していません。
その反面、ドイツでは人の血中濃度のPFASの基準レベルが定義されていて、血液1ミリリットル当たりPFASの一種PFOSが20ナノグラム、PFOAは10ナノグラムを超過すると健康に悪影響が及ぼす可能性があるとされています。
米軍からのPFAS汚染が確認された沖縄県では2022年、米軍基地周辺などの住民387人のPFASを検査し、27人はドイツが設ける基準レベルを大幅に上回りました。2020年には東京都内のNPO法人が府中、国分寺の2市の住民22人を対象としたPFASの検査を行い、基準を大幅に上回った住民もいました。
PFASの汚染源の可能性が高いとされるのが、東京都福生市にある米軍横田基地です。多摩地域で高濃度のPFASが確認できた井戸水の範囲は7市34本に達しますが、全て米軍基地の東側にあります。多摩地域の地下水を調査した昭島市によりますと、地下水は西の山側から平野部の東側へと流れています。PFASの汚染源は井戸の西側にある可能性が非常に高いとしています。
米軍横田基地では、過去に長い期間が経過し大量のPFASを含んだ泡消火剤が漏出したと報道されました。PFASの汚染が確認された浄水施設は最長で井戸水から約16キロ離れていますが、専門家が大阪府で行った調査では化学工場から10キロ以上離れた地下水も汚染していたことで「横田基地がPFASの汚染源の可能性はある」と推測されます。
東京都が米軍横田基地に調査を依頼する時の障壁となるのは、米軍に特権を与えている日米地位協定にありました。日本側が米軍基地の土壌の立ち入り調査が可能になる時は「環境に影響を及ぼす漏出事故が明らかに発生した場合」に限定されます。
米軍基地にはPFASの事故報告も漏出した明白な証拠も存在せず、土壌の立ち入り調査の申請は事実上不可能です。東京都の担当者は「土壌の立ち入り調査は『しない』ではなく『できない』のが事実だ」と説明します。
ですが、東京都の取り組みはできることに対しても鈍い状態です。2021年には東京都内260ヵ所の地下水でPFAS濃度の調査をスタートさせましたが、濃度の調査が広範囲に達することを理由に、すべてのPFAS濃度の調査の結果が明らかとなるのは2025年とまだまだ先になる見込みです。
「行政はPFASを公害だと認識し、危機感を持って取り組むべきだ」と公害問題に詳しい専門家も警鐘を鳴らします。
参考:発がん性の恐れ、化学物質「PFAS」が全国の河川・井戸水から大量検出…国が対策へ 読売新聞(2023年)
PFASが検出された井戸水、更に拡大
東京都多摩地域の井戸水から発がん性が疑われるPFASが検出された問題で、東京都がPFASでの汚染で取水を停止した井戸が、7市の11の浄水施設の34本まで増えたことが、明らかとなりました。3施設の5本の井戸は明らかとなっていましたが、東京都は井戸の停止対象範囲を拡大しました。一部の多摩地域の浄水施設ではおよそ15年前から高濃度のPFASが検出されており、市民団体は「東京都はPFASの汚染源を迅速に特定し、対策を行って貰いたい」と声を上げています。
多摩地域の住人の血液から基準を超えるPFASが検出
東京都多摩地域で水道水として使っていた井戸水から発がん性を持つPFASが検出された問題に対し、住民の血液検査を進めていた市民団体が2023年1月30日、国分寺市をメーンとする87人分の血液の分析結果を明らかにしました。
血中濃度がアメリカで定義する指標レベルを大幅に超えた住民は約85%にも達し、検査に携わった専門家は「水道水が主な原因ではないか」と訴えました。
今回は、2022年11月から検査した約600人の中で、中間報告として21〜91歳の87人分の血液の分析結果を発表しました。血液中に含まれる13種類のPFASを分析し、PFOS、PFOA、PFHxS、PFNAの4種類のデータをまとめました。日本国内ではPFASの血中濃度に関連する基準が定められていないので、海外の指標レベルをベースに評価しました。
4種類のPFASのトータル値でアメリカの指標レベルを大幅に超えた人は、全体の約85%の74人に達しました。特に、日本国内で製造や輸入が禁止されていないPFHxSの平均のレベルが血液1ミリリットルに対し14.8ナノグラムで、環境省が2021年に日本各地の約120人を対象に行った調査と比較しても、約15倍の高水準でした。指標レベルを超過した人が多くなった大きな原因にも繋がりました。
さらに、PFOSとPFOAをそれぞれ対象とするドイツの指標レベルでは、PFOSでは約24%の21人、PFOAでは約7%の6人が大幅に超過しました。
参考:PFAS 東京 多摩地域の住民に血液検査 “約2.4倍の血中濃度” NHK NEWS WEB(2023年)
血液検査を行った国分寺市に住む65人には自宅の浄水器が有るか無いかを尋ねました。浄水器を設置していなかった42人の血中濃度の平均基準値は4種類の中で3種類で、浄水器を設置している23人よりも高いレベルでした。水道水に含まれたPFASが体内に蓄積されている恐れがあると指摘しました。血液調査のデータのまとめを報告した京都大の准教授の男性によりますと、浄水器の中にある活性炭がPFASの約9割を除去するとのWHOのデータがあるとします。
健康への悪影響に関しては、急性に影響が出る数値ではなかったといいますが、将来的に(1)免疫力低下(2)脂質代謝異常(3)腎臓がん(4)甲状腺疾患や、妊娠中の場合、胎児や子どもが低体重児になる発育障害の可能性が出てくると懸念しました。
先述の准教授の男性は「今回の多摩地域の住民の血液中のPFASの数値は超過し、沖縄のデータに近い水準です。まだまだハッキリと輪郭の見えない、PFASの汚染をしっかり捉えていかないといけない」と警鐘を鳴らします。
市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」の共同代表の女性は「(国分寺では)東京都の調査によりますと、2011年から浄水場の水でPFASでの高い汚染の数値が出ていました。国や東京都は米軍横田基地の周辺の土壌をもっと熱心に調査を進めるべきです」と訴えました。
国はPFASの解明に消極的な構え
東京都多摩地域の住民を対象にしたPFASの血液検査の中間報告は、住民の多くが将来の健康被害が懸念されるデータとなりました。国は新しいPFASの規制の議論を継続していますが、知見が余りないことで即座に結論を出すことには消極的な姿勢です。専門家からは「海外のデータをモデルケースに、先手でPFASによる汚染対策を行うべきだ」と訴えています。
健康被害の懸念から、欧米ではPFASの規制強化の取り組みが強化されます。アメリカの環境保護庁は2021年6月、目標レベルで水道水1リットルに対しPFOSは0.02ナノグラム以下、PFOAは0.004ナノグラム以下とする新基準を明らかにしました。
一方、日本国内の取り組みは鈍化しています。暫定目標レベルはPFOSとPFOAのトータルで50ナノグラム以下とアメリカよりも緩いレベルなのに、政府はPFASの規制強化は見送りました。日本では研究データがあまりなく、毒性評価が定義されていないことなどが理由だとします。2023年1月末には政府の食料安全委員会が、食品からPFASを摂取した時の健康被害を調査する方針を決定しました。ですが、いつ結論に至るかは不透明です。
PFOSとPFOAは環境残留性が高水準として日本でも既に製造・輸入が禁止されています。今回の東京都の多摩地域の血液検査で、高水準を示したPFHxSはその代替品で泡消火剤などに使用されていますが、2024年春以降に同様のPFASの規制が検討段階です。ですが、PFASは数千種類あるとされています。公害問題に詳しい弁護士の女性は「1つ1つの物質を個別に規制してしまうと、いたちごっこになる可能性も出て来る」と国には先手の対策が求められています。
参考:PFAS含む泡消火剤の漏出確認 米軍横田基地内で10年以上前に3件 NHK 首都圏ナビ(2023年)
2023年5月17日に、PFASの外来が多摩地域に開設
東京都立川市にある社会医療法人社団「健生会」においては2023年5月17日に、市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」によるPFAS血液検査の参加した人を対象に健康相談を受け付ける、PFASの知識を持つ専門医で構成された健康相談窓口「PFAS採血結果相談外来」を、同立川市にある「立川相互ふれあいクリニック」に立ち上げました。同「健生会」によりますと、PFAS汚染で相談外来が設けられるのは日本初のプロジェクトで、「健生会」の専務理事の男性は「PFASへの不安を持つ人の為の医療機関として担っていきたい」と説明しました。
「PFAS採血結果相談外来」の立ち上げに携わるのは、東京都立川市にある同「健生会」グループの同「立川相互ふれあいクリニック」など多摩地域5ヵ所前後の診療所から成ります。同「健生会」は、多摩地域の市民団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が2022年11月から行っている、多摩地域にお住まいの人のPFAS血液検査で使用する採血会場も支援し、賛同してきました。
暫くの間は、PFAS血液検査の参加者およそ600人の中で希望者の健康状態を持続的に確認し、治療が必要と判断すれば専門の診療科を紹介します。2022年のPFAS血液検査に参加しなかった人でも、PFAS摂取を抑える手段をアドバイスしたり、健康相談に対応します。PFAS血液検査の費用は未定です。
「PFAS採血結果相談外来」では、医師らが無料で健康相談に対応します。コレステロールなどの症状や異常値があるケースは、保険診療で対じるといいます。PFASの検査に参加していない人については、当初は健康相談も検討していましたが、設備や人員が不足しているとして、現体制での対応は困難だと判断し、当面は対象外としました。相談外来は、それ以外にも多摩地域の複数の診療所で開設への調整を行なっています。
環境衛生学が専門の京都大の名誉教授の男性は「PFASの血中濃度が高水準の人の健康不安に対峙すると同時に、健康影響に関連した科学的知見を収集できる場所になれば」と述べました。
相談外来の予約は立川相互ふれあいクリニック=電話042-524-1371=へ。
2023年5月1日から、PFASの電話相談ダイヤルを開設
東京・多摩地域で水道水に利用していた井戸水からPFASが検出された問題で、東京都は2023年5月1日から電話相談ダイヤルを開設し、PFASでの健康への不安などを抱く人の相談に応じます。
電話相談ダイヤルでは、東京都の保健師などが「PFAS」に関して、
▽東京都内の水道水や井戸水などでのPFASの検出状況など、これまで判明していること
や
▽PFASの実態の把握を促進する環境省の専門家会議の検討状況を捉え、最新情報を提供する
ということです。
東京都福祉保健局によりますと、健康への影響などはまだ分からないことが多いですが、電話相談ダイヤルではPFASの持つ特徴や、東京都内の地下水などの水質検査の結果データなども案内します。
東京都の担当者は「現状で日本国内でPFASが健康に影響が生じているという報告は見受けられません。ただ漠然と不安を抱く人も多いと思われます。分かっている範囲での情報を丁寧に伝えていきたいです」と説明しています。PFASを関しては、環境省が総合戦略検討専門家会議で対応することも検討段階でいます。
電話相談ダイヤルの受付時間は祝日を除いた平日午前9時〜17時。電話は=03-5989-1772=へ。
参考:東京都、PFASに関する電話相談窓口を開設開設 – 環境展望台(2023年)
2023年7月5日、東京都は米軍横田基地からPFASの漏出があったと報告
PFASを巡る横田基地に新たな動きがありました。PFASを含む泡消火剤に関して、米軍は2010~2012年に3回、横田基地で漏出していたケースがあったと公表しました。東京都と基地周辺の自治体で構成された連絡協議会が、防衛省を介して連絡を受け、2023年7月5日に明らかにしました。
このPFASは、「2010年から2012年の3年間に、米軍横田基地の飛行場で泡消化剤の漏出したケースが3件あった」と米軍から防衛省北関東防衛局を介して、2023年7月4日、東京都に情報提供がありました。米軍側がPFASの漏出を認めたのは、今回が初のことです。
東京都によれば、泡消化剤にはPFASが使用されていて、▽2010年1月に格納庫で、▽2012年10月にドラム缶から、▽2012年11月に保管していた容器から漏出したそうです。
米軍からは3件のケース全部を「飛行場の外へPFASが流出したとは認識はない」と説明があったともしました。
米軍は、横田基地のPFASの漏出量などの詳細もハッキリと説明していません。
この説明に対し、東京都などは同日2023年7月5日、国へ、「▽米軍が漏出させたPFASの量や場所などの詳細な情報を迅速に東京都などに情報提供すること、▽国の責任では横田基地内のPFASの漏出に関与する地下水への影響において調査・分析・評価を実施し、その調査データを明らかにすること」を対応を要求しました。
東京都は「都民の多くの皆さんがPFASによる健康への悪影響などに不安を抱き、迅速に健康被害を払拭する必要があります。早期に米軍からPFASの漏出の情報提供がなかった件は極めて遺憾です」などと述べ、国に、地下水へのPFASによる影響調査や都民へのPFASの情報提供を発信する様に要請を出しました。
参考:米軍横田基地内でPFAS含む泡消火剤漏出 10年以上前に3件 NHK NEWS WEB(2023年)
PFAS汚染問題に詳しい、環境衛生学が専門の京都大学の准教授の男性は「米軍横田基地から漏出事故が発生したのであれば、PFASは土壌を介して周辺地域に拡大したと想定されます。これから先は日本側が米軍基地内への情報公開や立ち入り調査などを米軍に強く要求すべきです」と訴えました。
2023年9月、
東京都の多摩地域で水道水源の井戸がPFASで汚染されている社会問題で、住民の血中PFAS濃度の検査を多摩地域で励む市民で構成された団体「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が2023年9月21日、トータル791人分の解析した結果を報告しました。都水道局がPFASによる河川の汚染で井戸の取水を止めた7市の67%に上る住民が、アメリカで「PFASによる健康被害の恐れがある」とするレベルを超過していました。
2022年11月からPFASの深刻な河川の汚染の調査は、環境衛生学が専門の京都大学の原田浩二准教授と、市民で構成された団体が行いました。2023年6月の「最終報告」で検査人数が10人以下だった各自治体をメーンに141人を追加で血中PFAS濃度を解析するための血液検査を行いました。多摩30市町村に住む人たちの血中PFAS濃度が汚染されているかどうかを把握すべく、血中のPFOS・PFNA・PFOA・PFHxSの4種類を解析しました。
多摩地域の全体像をPFASで汚染されていないか把握するために、細かく分類していくと、4種のトータルでアメリカのレベルを超過した割合は46.1%で、都水道局が2019年以降になるまで利用し、止めた井戸の取水を生活水として使っていた立川・国立・国分寺・調布・小平・西東京・府中のトータル7市で判断すると、67.9%とよりPFASによる強い汚染の傾向が明確でした。
河川の深刻なPFASの汚染源として浮上しているのが東京都福生市などにある米軍横田基地です。米軍は過去に3回PFASを含んだ泡消火剤が河川へと大規模な漏出があったことを2023年7月に認めました。その大規模な漏出のためにPFASに汚染された井戸を生活水として使っていた水道水を、住民が身体内に血液循環で取り込んだ可能性もあります。血中PFAS濃度の解析を担当した原田准教授は「米軍横田基地がPFASの発生源であることは間違いない」と主張します。
この日行われた報告会見では、2023年5月に社会医療法人社団「健生会」が開院した受検者向け健康相談外来に訪問した60人への問診で、PFASが発症するリスクを上げてしまう脂質異常症を「現在も治療中」だと回答した割合が23%にも上ったと明らかにしました。この発症リスクは、厚生労働省の国民生活基礎調査が表示した65歳以上の平均レベルのおよそ2倍でした。
参考:「PFAS」 環境省専門家会議が血中濃度の本格的調査を提言 首都圏 NEWS WEB(2023年)
オンラインで報告会見に参加した原田准教授は「東京都は水道水などの調査でPFASの濃度が高い場所の取水を止めていますが、停止してもPFAS排除への効果が出るのが遅いのか、土壌などそれ以外の要因が想定されるか調査すべきです」と危惧していました。
2023年12月1日、
2022年12月〜2023年9月に、京都大学の研究室に所属する、環境衛生学が専門の原田浩二准教授と、多摩地域の市民団体が共同で行い、東京都にある多摩地域の水道水源の井戸水などの140ヵ所で地下水を汲み取って解析し、井戸水に混入するPFASを独自で調査した結果を会見で説明しました。
会見では横田基地から東へと10kmに位置する国分寺市の「深井戸」の地下水で、高い濃度のPFASが広く流れていることも説明がありました。横田基地の周りでのPFASの汚染が東に拡大している可能性が見受けられます。
「PFAS」の1種である「PFOA」と「PFOS」に関しては、ヒトの健康を害する有害性が指摘されていて、東京都が実施している地下水の調査では、今までに東京都内の17自治体で、国の暫定指針目標レベルを上回る数値が検出され、この中で12が東京都に位置する多摩地域でPFASが検出されました。
従来の東京都や環境省が実施した調査では、PFASの採取地点の深さや詳細な場所が所在不明のケースが多いということです。この度の独自調査では深さ30mまでを「浅井戸」、それより深い所を「深井戸」として傾向を解析しました。
すると、132ヵ所の多摩地域の井戸の中で、27%に該当する36ヵ所で目標レベルを超過するPFASの混入のレベルが検出され、この中で、汚染源だと疑われている福生市や立川市などの米軍横田基地の近くに位置する「深井戸」においては、暫定指針目標レベルの62倍のPFASのレベルが検出されました。
京都大学などの調査結果によりますと、最も高い濃度のPFASの混入が検出されたのは横田基地南東に位置する立川市内にある「浅井戸」で、1リットル当たりおよそ3100ナノグラムでした。東京都や環境省の2018年度調査で最高レベルとされた1リットル当たりおよそ1340ナノグラムの平均レベルのPFASの濃度も高い水準で超過していました。
横田基地の東側10km圏内では、「深井戸」で平均レベルのPFASの濃度が高い傾向でした。国分寺市では「浅井戸」(17ヵ所)の平均レベルのPFASの濃度が1リットル当たりおよそ24.8ナノグラムで、「深井戸」(10ヵ所)の平均レベルのPFASの濃度が5倍に当てはまる1リットル当たりおよそ123.4ナノグラムでした。
概ね西から東へと横田基地の周りを流れる地下水は、東に行くほど地層に沿ってPFASが沈み込んでいると言われています。原田准教授は「国分寺市より西からPFASが井戸水から流れてきていると推定されています。横田基地付近の立川市での高い濃度のPFASの汚染が関連しているのではないか?」と危惧しました。
国分寺市の東恋ケ窪配水所では、2019〜2020年に全水源井戸でPFAS汚染を受けて取水を停止しました。配水所の井戸の深さはおよそ200mで、今回の京都大学などが実施した独自調査結果を顧みても、「深井戸」ではPFASが広範囲での汚染が分布していることが想定されます。
参考:「PFAS」各地で高濃度検出 健康影響の研究を本格化へ 環境省 NHK NEWS WEB(2023年)
横田基地の近くにある福生市や国分寺市、立川市などの「深井戸」からはPFASの1種で土壌中での移動速度が平均と比べて速い、2024年2月から国の規制対象に追加されるPFHxSを高濃度で検出されました。
原田准教授は「後からPFASの1種のPFOSなどが、横田基地の周りの地下水から分布して来ると想定されています。1番メーンな存在であるPFASの汚染地域で早期に対策を取らないと、PFASの汚染がもっと拡がる可能性があります」と指摘し、「井戸水を汲み取った井戸の位置や深さを併せて調査していく中で、PFASの多摩地域での汚染がどういう風に分布していっているのだろうか、PFASの発生している場所が一体どこだろうかを、段階的に検討していく上で重要な情報を、この度の市民団体と行なった独自調査で得られました。これから、この独自調査結果をベースに、東京都や自治体にはPFASへの対処を検討して頂きたいと思います」と懸念しました。
個人でできる対策とは?
専門家はPFASを規制する方針を進めたとしても、「日本のケースでは、米軍基地周辺の汚染源の特定や除染がかなり困難だ」と懸念します。
米軍は、アメリカだけでなく、ドイツやベルギー、韓国などの在留米軍基地周辺の住民からもPFASの被害で訴訟を起こされています。米軍は、各国の規制に従いPFASによる土壌の除染を進めますが、日本は日米地位協定があることで、除染だけではなく汚染の土壌調査すら十分に行えないのが実情です。
個人でできるPFASの対策では、「自宅の蛇口に安い活性炭フィルターを付けるだけで、PFASの大半は取り除くことが可能です」と、活性炭フィルターは安いタイプでも効果が現れるといいます。
日本は昔コレラが流行りましたが、渋沢栄一が外国から持って来た技術によって河川は整備され、安全な水が飲める様になりました。安全だと思って何十年も飲んでいた水から発がん性のあるPFASが検出。どれほど悲しいことか…
国は解明に腰が重い状況ですが、早期のPFASに関する解明が今求められていますー。
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参考サイト
noteでも書いています。よければ読んでください。
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