アルコール依存症の家族をもつということ~厚生労働省主催、オンラインシンポジウムに参加して~

夜空を見上げる少女

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はじめに

先日、厚生労働省が主催するオンラインシンポジウム、「親のアルコール依存症など、家族の問題の中で育つ子どもたちをどうサポートするか〜医療・教育・支援の現場から〜」に参加してきました。

依存症の専門医や、教育の現場から、そして実際にアルコール依存の親を持つ当事者のお話を聞くことができました。

私がこのシンポジウムに参加しようと思ったのは、私も実際に「親にアルコール依存症」を持つ子どもだったからです。

母親の病気と、父親の飲酒

以前にも、何回か家族については記事にさせていただきました。

改めて、家族構成を紹介させていただくと、母は私が13歳の時に難病になり、16歳で寝たきりとなりました。

父は、地元で床屋さんをやっていて、元々お酒が大好きな性格でした。それが、母の病気が進行し、寝たきりになると同時に、仕事を辞めて母の介護に付きっきりになったのです。

そして、毎日の飲酒が始まりました。仕事をしていた時は、夜だけの飲酒だったのが、介護をするようになると朝から飲酒をし、常にお酒が入っているような状態でした。

それが父のアルコール依存への始まりです。

アルコール依存症の問題が子どもに与える影響

アルコール依存症の親が子供へ与える3つの影響というものがあります。

混乱し、自信が育まれにくく

常に飲酒しているアルコール依存症の親は、酔っている時としらふの時では、言うことや行動が違います。依存症ではない方の親も、感情的にいつも不安定なため、子どもへの対応には、一貫性がありません。

そのため、子どもは親の行動に混乱し、自分のやることに対していつも自信がなく不安を感じてしまいます。

 人の言葉が信じられなくなる

アルコール依存症の親は、お酒が入っている状態で言ったことを忘れていたり、酔っ払って約束を破ったりします。

また、お酒を飲ませまいと脅したり、その場を取りつくろったりと、家族の間での言葉にも嘘があることが多いです。

言葉での信頼性が失われた家庭で育つ子は、他人の言葉を信じられなくなります。

感情を表に出さなくなる

アルコールでの両親のケンカや、泥酔時の怪我や事故などを何度も見るうちに、子どもは徐々に感情的に鈍感になってきます。

普通ならば、不安や恐怖、恥ずかしさを感じる状況でも、何事もないように対処する術を身につけ、感情を表に出さなくなります。

その結果、親しい人間関係を作りにくくなることがあります。

自分を好きになれない

アルコール依存症の親は、まるで子どもよりお酒の方が大事なように見えます。

また依存症でない方の親も、飲酒を見張ったり、飲酒による問題の後始末で精一杯であることが多いため、子どもは両親の関心から離れて、無条件に愛されていると感じることができません。

そして、自分を好きになれず、自分は価値がない存在だと感じます。

参考:【アルコール依存症家族】子供への3つの影響と子供への伝え方のコツ【体験談】 | 心のオンライン相談ならReme(リミー) – Part 2 (reme-nomal.com)

アルコール依存に苦しむ子供

私が受けた影響

私もいくつかの影響を受けています。まずは、感情面です。泣いても、怒っても、お酒をやめてくれない父に対して、「無関心」になっていきました。

「この人に父親としての役割りは求めない。」と心に決めたのです。感情を家族に出さないようになりました。

もちろん、お酒を飲んでいる状態での父親のいうことは、一切信じられなくなり、信用もなくなっていきました。

アルコール依存症の人への適切な対応

お酒を飲む飲まないは本人に任せる。

家族の適切な接し方1つめは、お酒を飲む飲まないは、すべて本人に任せて、干渉しないことです。

「放っておいたら、もっとひどくなるのでは?」と心配になるかも知れません。

しかし、本人自身がコントロールが出来ない事を、家族やまして他人がコントロールすることができるはずがありません。

苦しい選択になるかもしれませんが、家族には、飲酒を止めさせたり、飲む量を少なくさせる力はないことを、まずよく理解して下さい。

飲酒の理由に振り回されない

適切な対応の2つめは、飲酒の理由に振りまわされないことです。

アルコール依存症の人の飲酒の理由に、正しい理由はありません。

    • 「家族の態度が悪いから」
    • 「仕事のストレスがあるから」
    • 「心配事があるから」

理由があるから飲酒したわけではなく、飲酒したことを周りに正当化するために理由を作りだすのです。

アルコール依存症の人が飲酒をする理由はたった1つです。 

「病気だからです。」

悔しいと思うかもしれません、悲しいと感じるかもしれません。

けれど、すべて病気がさせていることなのです。

納得ができないかもしれません。

私は、納得しなくてもいいと考えています。

実際に、飲酒によって苦しい思いをしたのは消えないのですから。

ただ、「病気なんだ。」と思うことで救われることもあるということも忘れないでください。

3つめは、病気の言葉と健康な言葉を見分けること。

 アルコール依存症は、前述で説明した通り、「心の病気」でもあります。

比較的心の落ち着いた状態の時と、病的な状態の時とがあります。

そのため、家族の前で涙を流して断酒を誓ったかと思うと、

    • 「酒を飲んで死ねるなら本望だ」
    • 「自分の金で飲んで何が悪い」

と平然と豪語して飲酒したりするのです。 

これはそれぞれ健康な心と病気の心が表にあらわれている状態です。

健康な心の状態と病気の心の状態の区別ができていないと、家族は二重人格ではないかと理解に苦しみ、その度の発言や行動に、振り回されてしまいます。

参考:アルコール依存症家族に必要な3つの対応とは?再飲酒はどうすれば?【体験談】 | 心のオンライン相談ならReme(リミー) – Part 2 (reme-nomal.com)

伝えたいこと

お酒を飲んでいる時は、病気がそうさせているのであって、その人本来の性格ではありません。 

また、飲酒していない時でも病的な症状が出ることがありますので、飲んでいる時と飲んでいない時とだけで区別しないことが大切です。

病気の心からの言動は、真に受け取る必要はありません。ただ、バカにした態度を取るべきでもありません。その時は病気の症状が出ているのだと受け止めて下さい。

アルコール依存に苦しむ夫婦

負の連鎖

父が肝臓を悪くし、亡くなる何年か前から、今度は妹がアルコール依存症となってしまいました。

症状は、父よりひどく、ウソをついてはお酒を飲む日々が続きます。

これは、AC(アダルトチルドレン)とよばれる、依存症の負の連鎖です。

依存症の親を持つ子供は、依存症になりやすいというものです。

妹は、自らの子育ての悩みなどから飲酒に走ってしまいました。その前から、精神的に不安定な部分があったのですが、その部分を補うためにアルコールへと逃げてしまったようです。

現在は、専門施設に入所して生活をしています。

私にとって幸いだったのは、自分自身がアルコール依存にならなかったことです。

今でも、飲酒することは好きです。

しかし、アルコール依存という病気がどれほど恐ろしい病気なのかを身をもって知ってしまったので、飲酒に走ることはないと祈ります。

 

参考サイト

依存症の理解を深めよう。回復を応援し受け入れる社会へ (mhlw.go.jp)

【アルコール依存症家族】子供への3つの影響と子供への伝え方のコツ【体験談】 | 心のオンライン相談ならReme(リミー) – Part 2 (reme-nomal.com)

アルコール依存症家族に必要な3つの対応とは?再飲酒はどうすれば?【体験談】 | 心のオンライン相談ならReme(リミー) – Part 2 (reme-nomal.com)

 

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TANOSHIKAライター。うつ病、AC(アダルトチルドレン)、機能不全家族育ち。現代詩を勉強中です。セクシャルマイノリティ当事者。読みやすい、わかりやすいをモットーに様々な記事を書いていきます。