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こんにちは、翼祈(たすき)です。
皆さんはスマホ代に、1.1円と電話リレーサービス料という料金がかかっている事に気付いていませんか?実はあのサービスは、聴覚障害者の方の為の、通話サービスの為の料金だったのです。
今回は、そんな『電話リレーサービス』について、皆さんと考えていきたいと思います。
電話リレーサービスとは
「電話リレーサービス」とは、聴覚や発話に困難のある方(以下「聴覚障害者等の方」)とそれ以外の方(以下「聴覚障害者等以外の方」)の会話を、通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」とを通訳することにより、電話で即時双方向につなぐサービスです。総務大臣の指定を受けた電話リレーサービス提供機関である一般財団法人日本財団電話リレーサービス(本部:東京都千代田区)は、令和3年7月1日より公共インフラとしての電話リレーサービスの提供を開始致します。また、それに先立ち、令和3年6月1日午前9時より、聴覚障害者等の方の登録の受付けを開始致します。
画像・引用:公共インフラとしての「電話リレーサービス」の登録受付を6月1日午前9時よりよりスタート!7月1日より提供を開始します! PR TIMES(2021年)
公式Twitter
電話リレーサービスの仕組み
「電話リレーサービス」の仕組みは、聴覚障害者等の方の会話を、通訳オペレーターが手話や文字、音声で通訳することにより、電話で相手方と即時双方向につないでやり取りのお手伝いをします。
下記のCMでは、通訳オペレーターが相手との通話内容をチャットでスマホに送り、目で確認できる状況にしてくれたり、チャットの内容を音声で相手方に伝えるなどして、聴覚障害者等の方とのやり取りを問題なく行えるようにしてくれています。
こうしたことにより、すぐに伝えなくてはならない情報を取り次いでもらえることで、何かをすることや伝えることをあきらめたりする必要がなくなります。
電話リレーの良いところ
電話リレーサービスにより、24時間・365日、双方向での利用、緊急通報機関への連絡も可能となりました。「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」(2020年6月制定、同年12月施行)によって公共インフラとして制度化されたこのサービスは、社会全体で支える形で運営しており、“きこえる人”も他人ごとではありません。
引用:広がる電話のバリアフリー。“きこえる人”にこそ知ってほしい 「電話リレーサービス」を、大学生とともに考えます 朝日新聞デジタル(2021年)
電話リレーサービス料の料金プラン
もしこれが民間のサービスであれば、かなりの額が必要となりそうな便利なサービスですが、こちらは公共のサービスとなっているので、下記のようにサービスの手厚さに比べて良心的な価格設定になっています。
※サービス開始の、2021年7月現在の価格です。
画像・引用:ケータイWatch
月額料金ありの場合なら、固定電話と10分話しても55円、携帯電話でも330円と、何かの予約に関することや健康に関することなど、急ぎの内容を伝えないといけない場合を想定すれば、十分払うに値する額だと思われます。
関連記事
2023年度の「電話リレーサービス料」は年間11円に ケータイWatch(2023年)
電話リレーサービスが出来た経緯
総務省によると、以前からこうした電話リレーサービスへの要望はあったといいますが、電話リレーサービスの議論を加速させる一因となったのが、IGBによる署名活動の成果です。 IGBは、社会にある会話ができないというコミュニケーションの障害を無くすことを目的に、当事者自身も生まれつき聴覚障害のある有志達が2010年にIGBを設立。2014年から同電話リレーサービスの啓発活動と署名活動を開始し、2017年に「24時間365日対応の公的サービス化」を要望して、国に8096人分の筆の署名を提出しました。
背景には、聴覚障害者当事者自身がどこかに電話をかける時、毎回も友人や知人らにお願いせねばならず、人間関係が壊れてしまった苦しい体験にあります。「公のサービスがあれば」とそんな想いを募らせていた頃、民間企業の代理電話サービスや日本財団のモデルプロジェクトが発動され、改めて電話リレーサービスの必要性を実感。ここ数年署名活動やロビー活動、企業と市民、聴覚障害者当事者向けの講演やセミナーを開催してきました。
「聴覚障害者当事者やこれまで代わりに電話をかけていた家族からの賛同の声や協力も、背中を押され励みになった」と振り返ります。
参考:電話リレー、7月開始へ 区内NPOも啓発尽力 タウンニュース(2021年)
登録方法
利用方法は下記サイトから手話や字幕付きの動画などで解説して下さっています。
アプリを登録して、そこから利用者登録ができるので、ぜひお試しください!
注意点
このサービスについて、いくつか注意点があるので、それも抜粋して紹介します。
下記の様なことを理解してしっかり生活に活かしていただけるといいと思います。
・目の前にいる相手に用件を伝えるのに、電話リレーサービスを利用することはできません。
・用件を預かり、代わりに質問や交渉して連絡調整した結果だけをまとめてお伝えするような使い方はできません。
・文字通訳の履歴を記録として利用することはできません。
・オンライン会議で電話リレーサービスを利用することはサービスの対象外となります。
電話リレーサービスを利用する当事者の悩みを聞いた、アンケート結果
2021年7⽉1日より公的インフラの1つとして始動した電話リレーサービスにおいて、神奈川県横浜市港北区にあるNPO法⼈インフォメーションギャップバスターは、電話リレーサービスを使う人を対象にアンケート調査を実施しました。
①<現代社会での電話リレーサービスがほとんど浸透していない> 問題については、認知不⾜と⾔えるでしょう。ライフスタイルを送る上で、⾳声電話で話せる⼈には当然なことが不可能で、不便さを感じている⼈がいて、そのために法律をなぞった公的インフラとしてのこのサービスがあるということを、今まで以上に積極的に、その上で色んなツールを活かし、幅広く認知させていく必要があると求めます。
Q1.電話リレーサービスを使った時に、相手先に通話を切られた経験はございますか?
A.通話を切られたことは、前回のアンケート調査では19%でしたが、今回のアンケート調査では32%と増えました。
②<役所が電話リレーサービスの普及啓発施策を持続的に取り入れていない> 問題については、電話リレーサービスで通話前オペレーターを通した時にも本⼈認証が可能な様に、クレジットカード事業者などの信販会社や銀行に向けて、従来も監督官庁の⾦融庁から要請が上がっていましたが、現実では今なお本人認証がされずに⼿続きができないといった声も届いていました。
Q2.電話リレーサービスを使った時に、本人でないと使えませんと断られた経験はございますか?
A.本⼈確認において質問では「断られた経験があります」との回答が前回のアンケート調査では44%でしたが、今回のアンケート調査は51%と微増しました。
Q3.電話リレーサービスを使った時に本人でないと使えませんと断られた時に、断られた相手先は以下のどれに該当しますか?
A.断られた相手先に関しては、クレジットカード会社が今回のアンケート調査でも最多を記録しました。そして銀⾏も前回のアンケート調査では23件だったのに対し、今回のアンケート調査では44件と倍増しました。
③<当事者における誤認識> 問題については、例を挙げると、電話リレーサービスに対して要望や改善点を聞いた質問に対する回答の『オペレーターが相手先へ電話を繫ぐ前に、予め⽤件をオペレーターに伝えても、もう⼀度話して下さいと催促され、戸惑いました。予め伝えた時間も料⾦発⽣していることを受け、お⾦返してと思います。』においては、電話の相手先とかけた本人が受話器を取る、通話が始まる前までのオペレーターとだけ繋がっている時には通話料の必要はない、という情報が当事者には、浸透していないことによる起こる誤認識からでした。
画像引用・参考:きこえない人ときこえる人をつなぐ「電話リレーサービス」の社会における認知度が依然として低いことが明らかに PR TIMES(2023年)
少なくとも2017年からあったこの、『電話リレーサービス』
この記事を書くにあたり、前の記事も観てみましたが、少なくとも2017年にはこのサービスがあったみたいです。ですが、まだこの頃は公的インフラもなく、24時間体制でもない、まだ名前が普及しておらず、通訳オペレーターの方が「電話リレーサービスです」と一般企業に電話すると、不審に思われていた様です。
記事の中に、「熊本地震でみなし仮設住宅入居を希望する時、この電話リレーサービスがあったから助かった」という記事も観ました。こうしてあれから数年経ち、インフラ整備もされ、24時間体制にもなり、代金も通話料だけと聴覚障害者の方にはなくてもならないものでしょうね。
最初私はTANOSHIKAに入社する前に携帯会社に、「この1円は何の為の料金ですか?」とお問い合わせをして、「凄く大切なサービスの為の料金です」と向こうの方に言われても、よく分かっていませんでしたが、記事を書く為に調べるにあたり、凄く大切なサービスだと分かりました。このサービスが広く、もっと色んな方に知って貰えます様に。
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参考サイト
電話リレーサービスとは?(2020年版) 一般財団法人 全日本ろうあ連盟
noteでも書いています。よければ読んでください。
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