スナック 都ろ美。〜摂食嚥下障害の子どもを持つ、親同士が集まるネット上のコミュニティ〜 

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こんにちは、翼祈(たすき)です。

2019年8月に特別支援学校、東京都立府中けやきの森学園で開催された「特特祭(とくとくさい)」内の催し物としてスタートした『スナック 都ろ美』をご存知ですか?母として摂食嚥下障害を持つ子ども達の為に、にぎらな寿司やむせないケーキなど、柔らかい食事=「インクルーシブフード」を企業と提携を結び、開発して来ました。

今回はそんな『スナック 都ろ美』の活動についてご報告していきます。

スナック 都ろ美とは?

スナック都ろ美とは、

嚥下障害がある子を持つ親たちがはじめたコミュニティです。

2019年8月に東京都立府中にある特別支援学校で開催された

『特別支援学校の特別おもしろ祭』にて、

嚥下機能が低下・未発達な方も家族と一緒においしく食べられる、

「おもしろい食」を発信する場としてスナック都ろ美が誕生しました。

ところで、なぜスナックなのか。

スナックといえば、安心して話せる誰かがいて、

気づいたらちょっと気持ちがスッキリしている。

「みんながふらっと気軽に立ち寄れる、

悩み事などを気軽に吐き出す場をつくりたい」

というわたしたちのコンセプトには、スナックがピッタリでした。

仮想スナックではありますが、

食事支援が必要な子どもの親御さんのオアシスのような場所、

困りごとをみんなで解決して前進できるような場所にしていきます。

画像・引用:スナック 都ろ美

あまり知られていない、子どもの摂食嚥下障害。

高齢者の障害と勘違いされやすい“摂食嚥下障害”ですが、子どもの当事者も全くいない訳ではありません。

胃ろうなど、毎日の生活で医療的ケアが必要な子どもの数はおよそ日本全国に1万9000人いると推計されていて、ここ数年、医療技術の向上などに従って、増加傾向になっています。

ペースト状にした食事を口からちょっとずつ食事する子もいれば、鼻のチューブや胃ろうを使用して食べる子もいます。ペースト状の食事は「ミキサー食」と呼ばれ、家族と同様のおかずやご飯をミキサーを使用して細かくして加工したものです。体重の低下が防止出来たり、体調が改善したりする相乗効果もあると研究が進んでおり、何より家族と一緒のメニューの味や香りを笑顔で楽しむことも可能です。

ですが、障害を抱える子ども達は元々「外出」のハードルが非常に高く、嚥下障害の子ども達が外食をしているシーンを見かけることはほとんどないと思われます。

参考:届け、声なき声 摂食嚥下障害の子どもたちの願い“一緒に食事を”  NHK首都圏ナビ(2022年)

『スナック 都ろ美』を立ち上げた代表の女性は、WEB上で、利用しやすい飲食店の情報を共有したり、障害の有無にかかわらず、おいしく食べられる商品の情報を発信していたり、子ども達の食事の悩みも共有します。

柔らかい食事=「インクルーシブフード」の開発。

『スナック都ろ美』は2019年8月に立ち上がった後、2020年から活動内容を大きく拡大し、コンセプトに沿った様々な活動を加速していきました。柱となるメインの活動は大きく3つです。

(1)毎月に2回開催の接触嚥下障害を抱える当事者家族同士の情報交換会、(2)摂食嚥下障害について、栄養学、リハビリ、小児科などの専門家を招待した勉強会、(3)産業界への情報提供と食べ物や摂食嚥下障害当事者のサービスの開発支援、です。

現在、ショコラティエや飲料メーカーとタッグを組み、摂食嚥下障害を抱える当事者とその家族が同じ様に安心して楽しめるスイーツの企画を始動させていると話します。

『スナック都ろ美』の活動で、摂食嚥下障害を抱える当事者と健常者が分け隔てなく柔らかな食感を味わえる様な食品を「インクルーシブフード」と名付けました。今まではなかったカテゴリ名を付けることを通じて、「おしゃれな食」へとイメージを付けることが狙いだといいます。

参考:「柔らかい食」の新市場、切り開くのは障がい当事者のママ 食の多様性で暮らしやすい社会めざす 未来コトハジメ(2022年)

代表の女性は「柔らかい食感のおしゃれでおいしい食べ物という認識を通じて、摂食嚥下障害への認知と理解を進めたい。また、高齢化が進む中、インクルーシブフードの市場は潜在的には大きいはずで、産業界にもメリットがあると考えている」と話します。

スナック 都ろ美に触れた時。

私が通院日で、家で病院に向かうまでテレビを観る時間があった時に、この『スナック 都ろ美』が紹介されていました。代表の女性が「インクルーシブフード」で紹介されていたのは、舌でつぶせるカステラやようかん、スプーンですくえる食パンなどで、実際にその番組の出演者の方々がカステラを食べて、「美味しい、普通のカステラより甘く感じる」と言われていました。

そのほか、とろみ剤を入れて、牛乳やジュースなどでも、摂食嚥下障害のある人達でも飲める様になったと言われていました。自分の子どもにも同じものを食べさせたい、外食を一緒にしたい、という想いから立ち上がった『スナック 都ろ美』。母の愛は強し、偉大だなと感じた瞬間でした。

あの日通院日でなければ、私はこの様な素敵な取り組みを知らないままでした。偶然が重なって、『スナック 都ろ美』を知れて、嬉しかったです。

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左耳感音性難聴と特定不能の発達障害(ASD,ADHD,LD全ての要素あり)、糖尿病、甲状腺機能低下症、不眠症、脂漏性皮膚炎、右手人差し指に汗疱、軽く両膝の軟骨すり減り、軽度に近いすべり症、坐骨神経痛などを患っているライターです。映画やドラマなどのエンタメごと、そこそこに詳しいです。ただ、あくまで“障害”や“生きづらさ”がテーマなど、会社の趣旨に合いそうな作品の内容しか記事として書いていません。私のnoteを観て頂ければ分かると思いますが、ハンドメイドにも興味あり、時々作りに行きます。2022年10月24日から、AKARIの公式Twitterの更新担当をしています。2023年10月10日から、AKARIの公式Instagram(インスタ)も担当。noteを今2023年10月は、集中的に頑張って書いています。昔から文章書く事好きです、宜しくお願い致します。