私と文章

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昨日お風呂に入っていたら、ある過去のことを思い出した。
それから、その事が、点が線になって全て今に繋がった。

悲しいはずの記憶なのに、妙に吹っ切れた。

小学生の時。
私は、よく作文で選ばれていた。
先生が、終礼の時に、みんなの前で私の日報の日記を読んだりした。
そして、必ずみんなの前で褒めてくれた。
その事が、鼻高々だった自分もいる。

小学四年生の時。
私の作文がまた先生に選ばれた。
小学生向けのアナウンスコンテストに挑戦したという作文。

私は、先生に気に入られる文章を書くのが得意だった。
先生や親が、どのように書いたら喜ぶか。
そういうのが手にとるように分かったから、大人に気に入られるために、若干誇張したり、嘘の気持ちも書いたりしていた。
当然、大人は喜んでくれた。

アナウンスコンテストに挑戦したという事を書いた、その作文もそう。
いい子を演じて、大人の顔色を伺って、一生懸命書いた。
県の作文コンテストに出すために、居残りして、先生と修正を毎日行った。

その作文は、負けた。

隣のクラスの中国人の男の子に負けた。
その男の子が県で作文で優勝した。
私は、入賞程度だった。

今でも覚えている。
校内放送で、その男の子が自分の作文を音読した。
泣きながら。
中国からやってきて、クラスの子にいじめられるようになった。
でも、自分にも非があった。
自分はみんなと仲良くなりたい。
そんな文章を、その男の子は号泣しながら読んでいた。
嗚咽しながら。

私は、それを聴きながら、ただただ「負けた」と思った。
恥ずかしかった。
自分にもプライドがあったからだ。
でも、その男の子の心のこもった文章を聞いた時、「これは負けて当然だ」と思った。
私の、大人の顔色を伺った、嘘がいっぱいの文章。
そんな偽りの文章なんて、その男の子の文章のように、人の心を震わせる事はできない。

小学6年生になり、また私の作文が先生に選ばれた。
新聞に載る事になった。
私はドキドキしながら、掲示板に貼ってある新聞を見に行った。

びっくりした。

新聞には、自分の文章は小さく、そしてもう一人の女の子の文章がデカデカと載っていた。
悔しい…とかではなく、その時も妙に納得した。
その女の子の文章は、子供のあどけなさとか純粋さとか美しさとか。
そういうのが表れていたからだ。
それに比べて、私の文章は、やっぱり嘘に満ち溢れていた。
大人に媚を売るような、汚い文章だな、と思った。

お風呂で思い出したことは、その二つの出来事だった。
あっ!と思った。
今も一緒だと思ったから。

私は、このAKARIで、いつも誰かの後ろを走っている。
そして、みんなの記事を見るたびに、あの時の感情が湧いてくるのだ。
「ああ、これなら負けるな、私の文章は」と。

私は、ここAKARIでも、みんなの顔色を伺って文章を書いている。
これを読む、支援員さん、親、大人。
そんな人に褒められる為の文章を書いている。

だから、みんなの文章を読むと、「負けたなあ」と思うのだ。
みんなの文章は美しい。
そして、人の心の真髄を動かす…。

私は、ずっと誰かの後ろだ。
全てが繋がって、私はただただ、静かな挫折を味わっていた。

美しい文章を書きたい。
みんなのような、打算のない、美しい文章を。

そうは思うのに、できない。
どうしても、いっつも大人の顔色を伺った文章を書いてしまう。
だから、私はいつも、文章で一番になれない。

少しは、みんなの文章を見習いたい。
文章の美しさは、心の美しさを表してると思うから…。
綺麗な文章を書きたい。
人の心を動かす文章を。

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