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旅行のニューノーマル
JR東日本ではインターネットでの販売限定で、全方面の新幹線などの料金が半額になるキャンペーンを実施するようです。
注目はその実施期間ですが、8月20日から2021年3月31日までとなっています。これには『お盆の帰省ラッシュを緩和して密を回避する』という狙いがあります。
この話を聞いて思い出したのは、2010年ごろ話題になった、『GWを自治体ごとにずらすことで、分散させて混雑を避けよう』、という話はどうなったんだろう、という疑問でした。
調べてみるといろんな問題があり、なかなか進展していないようです。他にもキッズウィークという、夏休みの一部を他の月に移動させて、一週間ほど休みを取るという仕組みがあるみたいです。
コロナ禍の今だからこそ休みを分散し、混雑を避けて休暇を取るのは有効ではないかと考えます。今回は休みの分散化について書いていこうと思います。
GWの分散化やキッズウィークがなかなか広まらないわけ
GWの分散化が2010年ごろに話題になりましたが。なかなか最近では聞きません。
キッズウィークは2018年の4月から一部の地域で導入されましたが、私は今回の題材を調べる際に初めて知りました。GWの分散化やキッズウィークの目的は、長期の休みをずらしたり移動することにより混雑を避けたり、新たな経済効果を狙う取り組みです。しかし、なかなか浸透していません。
その理由は、様々な問題があるからです。
- 社員が休んだ分、派遣社員が働かないといけないという矛盾が生じる
- 家族同士で休日を合わせないといけなくなり、最悪休日がバラバラになる可能性がある
- 大型連休に合わせたイベントに行けなくなる。などです。
最も大きな理由としては現在、「会社では有給休暇が本当に取得できやすい環境か?」ということです。日本の有給取得率は最新の調べで約50%と先進国の中でも極めて低い水準です。
参照:HUFFPOST「有給休暇の取得率、日本が3年連続最下位。取得すると「罪悪感を感じる」は世界最多」
https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/10/vacation-japan_a_23613757/
観光業の実情
国内外に宿泊施設を運営する星野リゾートの代表の星野佳路さんはあるインタビューでこんなことを話していました。
星野リゾートの星野佳路氏:
私が休暇の分散化を提言し始めたのは2004年です。当時私は軽井沢の実家で旅館をやっていましたが、年間100日が黒字で265日は赤字でした。265日が赤字となる理由は、同じ日に皆が休みを取っているからです。
観光産業の雇用者は75%が非正規雇用です。なぜならGWは満室で価格は普段の2倍以上ですが、翌週になるとお客様が減るので、正規雇用のスタッフは必要なくなります。
観光産業の生産性を考えるとき、22兆円の巨大需要を持っているのは日本の強みです。この巨大需要を分散化すれば、価格が下がりますし、道路の渋滞も減り、観光地の混雑も緩和されます。
観光事業者にとっても年間を通して利益が出るようになりますから、結果的に正規雇用も増えます。つまり、観光産業の様々な課題が一気に解決していくことが、大きなポイントなのです。
――休暇の分散化は具体的にどう進めればいいですか?
星野氏:
フランスでは大型連休を地域別に取得しています。日本でも全国を5地域ブロックに分けて、GWの日程をずらして取得していけば、4月の最終週から5月いっぱいまでがGWになります。そうなれば価格は下がりますし、混雑は緩和されます。観光事業者にとってはGWが1ヶ月半続くことになるので、適度に需要がある状態が続くと思われます。さらに秋のシルバーウィーク、旧正月の後に春休みがあり、その後5地区のGW、7,8月の夏休みと続くと、年間を通して需要が分散しますね。(FNNプライムオンライン2020.7.9)https://www.fnn.jp/articles/-/60304
他にも星野佳路さんはマイクロツーリズムを提案しています。
マイクロツーリズムとは遠方や海外への旅行に対し、3密を避けながら地元の方が近場で過ごす旅のスタイル。自宅から30分〜1時間程の距離で、安心、安全に過ごしながら地域の魅力を深く知るきっかけになり、地域経済にも貢献します。保養目的で旅館やホテルに行き、温泉や自然散策、料理を楽しみ、活力を取り戻す滞在旅行です。(星野リゾートホームページより抜粋)https://www.hoshinoresorts.com/sp/microtourism/
群馬県では新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ観光業を支援するため、県民が県内の宿泊施設を利用した場合に、1人あたり1泊6,600円以上の宿泊料金を5,000円割引する愛郷ぐんまプロジェクト「泊まって!応援キャンペーン」を実施しています。
こういった試みは、今住んでいる地元の魅力を再発見するいい機会かもしれません。群馬県だけではなくいろんな県で同じような支援策を実施しているのでお住まいの地域で探してみてください。
最後に
今回GWの分散化やキッズウィークを調べていて問題が山積していて実現するのは難しいかもしれません。
ですが、コロナがいつ終息するかわからない今、ウィズコロナの時代に分散して休みを取ることを改めて考えてもいいのではないかと思います。そして、国が観光業界を救いたいのなら一過性のものではなくてできるだけ継続的にそして安全、安心な形が求められるのではないでしょうか。
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