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この度、片耳難聴(片耳のみが聞こえない、聞こえにくい)当事者向けの情報発信や、交流会などのコミュニティづくり、啓発活動などに2019年より取り組まれている任意団体『きこいろ』様に、インタビューをする機会を頂戴しました。
今回お話を伺ったのは、運営メンバーとしてボランティアで活動する麻野様と、高木様です。
麻野様は『きこいろ』の発起人で、本業のソーシャルワーカーやまちづくりコーディネーターの経験を生かしながら、事務局長として全般の企画や、特に交流会を担当され、多くの当事者の方と交流を深めておられます。10歳の頃に、左耳を失聴した当事者です。
高木様は東京大学大学院工学系研究科 特任助教としてお勤めの傍ら、片耳難聴の方向けの眼鏡型デバイス、「asEars(アズイヤーズ)」の開発に取り組まれています。10歳の時に右耳が難聴になった当事者です。
今回は前後編に分けてお届けします。
前編では、『きこいろ』の活動についてや、高木様に「asEars(アズイヤーズ)」の開発についての興味深いお話をたくさん伺うことができました。
後編では、主に麻野様に、ご自身のこれまでの歩みについてや、片耳難聴について、また今後の『きこいろ』の活動の展望についてお話を伺わせていただきました。
今回お話を伺ったのは、ゆた、翼祈、Pink、どんはれ、島川です。
ぜひ前後編併せて最後までご覧になってください!
片耳が聞こえないって?
高木さん:「一側性難聴」「一側ろう(難聴耳が100dB以上の全く聞こえない場合)」と医学的に言うこともあります。片耳は正常聴力のため、いつも聞こえない訳ではないのが特徴です。
きこいろでは、当事者以外にも分かりやすい言葉かと思い、総称して「片耳難聴」を使っています。
麻野さん:「片耳失聴」「右耳難聴」など人によっても、自分のことを表現する言葉が違うこともありますね。
なお「障害者手帳」という制度がありますが、主に両耳が高度難聴(大きな声でも聞き取れない)以上の方が対象です。片耳難聴は、対象外です。
高木さん:36万人以上の片耳難聴の人がいると、きこいろの代表で片耳難聴の研究者でもある岡野さんは推定しています。
音声でコミュニケーション出来るため、手話を使う人はほとんどいませんし、補聴器を使う人も少ないので、周りの人が見た目で気がつけることはそうありません。
「カクテルパーティ効果」という雑音の中でも音を聞き分ける力や、「両耳聴効果」など、両耳聞こえる人にある効果が享受しづらいです。
困る場面が主に3つで、①雑音下で聞こえにくい ②難聴側の耳で聞こえにくい ③音の方向が分かりにくい です。
麻野さん:半数が原因不明と報告されています。
分かっている方でも様々です。聞き馴染みが無さそうなところだと、生まれつき耳たぶがない「小耳症」それに伴う「外耳道閉鎖」の方や、子どもの頃に「中耳炎」が慢性化し聞こえにくくなった方、大人になってから「聴神経腫瘍」というものになって…など。
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画像・引用元:きこいろWEB 片耳難聴を伝えるリーフレットご案内
きこいろ様について

ゆた:きこいろの皆さんの、主な活動について、教えてください。
麻野さん:片耳難聴の本人を対象とし、保護者・家族、関心のある方も利用されています。
片耳難聴は、公的支援もほとんどなく、片耳難聴の情報やコミュニティはきちんとありませんでした。『きこいろ』では、大きな三本の柱として、
①情報発信:Web、SNS、YouTubeなど
②交流の場:交流会、FBグループなどで
③啓発活動:メディア掲載、講演、研修など
当事者の困りごとを減らすために、広く、聞こえる人にも知ってもらうことを大切にしています。
ゆた:きこいろを立ち上げたきっかけについて、伺っていいでしょうか?
麻野さん:私が25歳位のときに、片耳難聴の後遺症のようなものでなる「めまい」の病気になり、困ったことがきっかけでした。聞こえ自体では、周りに開示しながら大きく困らずに過ごしてきたのですが、めまいは、仕事も生活にも差し支えが大きく困ってしまい…。それをきっかけに、改めてネットなどでも調べるうちに、ほかの片耳難聴の人の悩みが目に入るようになり、出来ることがあるのではと思ったのが始まりでした。
ただ、きちんとやるには専門家や自分以外の当事者の声も聞くべきだと思い、当時より片耳難聴について研究されていた、現きこいろ代表の岡野さんに連絡をして、一緒にやろうと言っていただき、立ち上げました。
翼祈:立ち上げの際のキックオフミーティングの際は、どんなことを話されましたか?
麻野さん:まずは自己紹介ですね(笑)
私たちは、初めから知り合いじゃなかった人がほとんどで、立ち上げにあたり、当時のTwitter(現:X)で私が呟いていたものなどで声をかけたり・かけられたりして各地から集まったメンバーだったので。
そして、一口に片耳難聴と言っても、それぞれ体験も考えも違うので、まずはその想いや目指したいもの、逆にこれは違うかな、といったことも話し合いました。
どんはれ:当事者が情報を発信することで、社会にどのような変化を与えられると思いますか?
麻野さん:「見えにくくても、大なり小なり、皆いろいろある」といったことが、片耳難聴もきっかけに少しでも広がり、その先にお互いさまのスタンスやスキルが根づいていくと、片耳難聴の人も含め誰もが過ごしやすい社会になっていくのではないかなと思って活動しています。
片耳難聴に限らず、困っていることを周りの人に発信するのは時に難しく、中にはコンフリクトを生んでしまうケースも、例えば昨今のSNSで見られたのは、女性の大変さVS男性の大変さとか…
個人が声を上げられるのは大切な一方で、大変な渦中にある人に強いるのは違うし、一人だと社会的に声を届けるのは難しいので、きこいろは媒介のような役割を担えたらと思っています。
また、中には特に個人では誤った情報を発信されている方もお見かけするので、注意が必要ですよね。私たちは団体だからこそ、専門家の監修を受け根拠を持ちながら、メディア取材などインパクトある啓発活動にも力を入れられています。
翼祈:片耳難聴Cafe(交流会)では、どんなことをされていますか?
麻野さん:ざっくばらんに、それぞれの体験や思いを話します。
「自分以外の片耳難聴の人に会ったことがない」「片耳難聴について、人に伝えたとしても、こんなに言語化したことがない」という方がほとんどなので、シンプルですがそれが基本です。
ゆた:片耳難聴Cafeに参加された方の感想や、変化などはどんなものがありますか?
麻野さん:「自分だけじゃない、と勇気づけられた」とか「他の人の工夫や考え方が、参考になった」など、話すだけで悩みや困りごと全てが解決するわけではないですが、モヤモヤが大きい人ほど、参加してよかったという感覚は大きいようです。
ゆた:お二人は、片耳難聴になってから出会った人や片耳難聴になったからこそ出会えた、という話はありますか?
麻野さん:『きこいろ』を通した出会いや体験は、片耳難聴だったからこそですし、片耳難聴だから体験した良いも悪いも全てが、人生の幅を広げてくれる1つだと思いますね。
ただ、全ての出会いが自分の人生には影響していると思っているし、片耳難聴以外にも病気や色んな要素を持っているので、片耳難聴だけが特別ではないのですが。
高木さん:僕自身は、片耳難聴のためのものづくりをするぞと決めたので、割と片耳難聴になったから、今の人生が今の自分があるっていう感じです。なかったらどうなったかちょっと考えにくいですね。
片耳難聴になって、大きなくくりで言うと聴力障害ってところが広がっていって、そういうところまでくると、共感してくれる人も結構いっぱいいて。似たような症状の人もいるし、支援をしたいって人もいるし、そういう人と色んな出会いを通して、色々な仕事をしたりできて、僕は今を結構、楽しんでます。

メガネ型デバイス「asEars(アズイヤーズ)」について

翼祈:まず簡単にどんなものか、教えてください。
高木さん:片耳難聴の人が使える、「聞こえない耳側の音を、聞こえる耳に届ける」デバイスです。これをつけることで、両側の音を、聞こえる方の耳で聞くことができます。このデバイスは、好きな眼鏡に取り付けることで使用します。
「asEars(アズイヤーズ)」が特別なモノではなく、普通の眼鏡のように使えることが理想的なんですが、朝起きたらそれを付けて、夜寝る時だけ外して、それぐらいの凄い使いやすいものになったら、良いなって思っています。
翼祈:高木さん自身の片耳難聴についても、改めて教えてください。
高木さん:10歳の時に、右耳が突発性難聴(突然に原因不明で聞こえなくなるもの)になりました。ステロイドの点滴などを打つ通院治療をしましたが聴力はあまり回復せず、今も右耳が高度難聴です。
翼祈:デバイスが誕生したきっかけを教えて下さい。

高木さん:これを作り始めたのは、大学生の2年生か3年生ぐらいです。
僕自身も元々もの作りが好きで、大学のもの作りが好きな学生を支援する施設に属していて、その時に「とにかく自分が欲しいものを作りなさい」「自分だけの困りごとに注目すると良いよ」って言われていたんですね。
それで考えてみた時に、「そういえば片耳難聴で、困る時ってちょこちょこあるな」と。
今までは、自分の好きなことや仕事の話と片耳難聴と、というのは全く結びついてなかったんですけど、それがきっかけで作り始めました。
翼祈:片耳難聴でどんなことで困ると感じてきたのですか?また周りには伝えていますか?
高木さん:聞こえない側から話かけられて、気付かなかったりしますね。そういったことが、デバイスで解決できるように開発しています。
周りの人には、単純に「こっちの方が聞こえないから、ちょっと席を代わってもらってもいい?」って言ったりとか、 僕は研究者ですけど、相手が研究者じゃないことのほうが多いと思うので、特別な説明をするわけではなく、普通に「お願いします」って言ったりとか。
あとは、たとえ一回お願いしても、その時に分かったつもりでも、多分次回会った時は、覚えてることを期待できないんですね。
これは別に諦めているわけではなくて、『きこいろ』で片耳難聴同士であると、お互いに分かってても、「あれ?どっちが聞こえないっけ?どっちだっけ?」っていうことは毎回あるので。
片耳難聴者同士でもこうなんだから、片耳難聴と縁遠い人はなおさら、毎回覚えてるわけないよなと。本当に仲いい人だけは覚えてくれてるけど、そうじゃない人は大体、忘れてることが多いので、そうしたら普通に初めて説明する時のように、またお願いする…っていう感じで説明することが多いです。
翼祈:デバイスを実際に使われてる片耳難聴の方の声とかは、どういう声がありますか? また「きこいろ」の運営メンバーの方も使ってますか?

高木さん: 今はまだ開発中のフェーズで、試作品を2年ぐらい前に10人ぐらいに使ってもらう機会がありました。
テストユースだったので、2週間ぐらいに限定して使ってもらって、その中の1人にも『きこいろ』の運営メンバーの1人もいましたし、それ以外の方も色んな属性の人に使ってもらいました。
その時は、つけることによって、 仕事場で隣りの人とお喋りするときに、「難聴側に座っていても、そもそも気付かなかった」っていう場面で気付くようになれたとか、そういうエピソードがあります。
あとは、使用者の友達から「普段、聞こえないのに、今は聞こえているから、それ付けた方がいいよ」っていう風に言われたみたいなエピソードがあったりとか、使っていつもより聞こえるようになった」とかいう声も、ありましたね。
その一方でまだ本体の部分が大きかったりとかして、その部分のつけ心地とかがまだまだ、改善の余地があったりとかしたので改善していますね。
島川:オーダーメイドで、形を作っているのですか?

高木さん:今考えてる形としては、眼鏡に後付けする形を考えていまして、ネックバンドみたいな感じですね。それだと、割りと色んなメガネにあとから付けて使えるっていうものになっています。
島川:それはめちゃくちゃありがたいですね。 眼鏡そのものががらっと変わっちゃって、度も合わせなきゃいけないとかなると、結構大変ですもんね。凄く面白いです。
翼祈:2020年度には学内でデバイスに関連する研究で『東京大学総長賞』を受賞されましたが、一連の経緯を教えて下さい。
高木さん:作る中で、眼鏡型デバイスを作るのって凄い難しいなって痛感したんですね。
特にどこが難しいかというと、眼鏡の蝶番(ちょうつがい)のところを折りたたむと思うんですが、デバイスにマイク・スピーカーをこの配線が蝶番のところを通す必要があるんですけど、蝶番は曲がるので配線を通すことができない。その部分の設計が凄く難しいと感じました。
それを解決するためには、「じゃ、この折りたたむところを線じゃなくで無線でやろう」ということで、最近よく使われる無線給電とか無線通信とかで、この部分だけワイヤレスにして、配線部分無くしてしまえば、設計は簡単になるんじゃないかって思いました。
その研究自体が、VRやARといった色んな眼鏡型デバイスに応用され、汎用的に使えそうだということで、ありがたく賞を受賞することができました。

特に工夫を凝らされた蝶番の部分
島川:ちなみに1台どのぐらいの値段になりますか?一般の人も買うことができますか?
高木さん:まだまだ市場に全然出ているものではないんですけども、最初は30万ぐらいから始めて、徐々に下げてって10万ぐらいで落ち着かせたいなっていう風には考えています。あとはまだ何も決まっていることはないです。
島川:最初はどうしても、ある程度高額なものになってしまいますね
高木さん:そうですね。どうしても、みんなが使うプロダクトじゃないので、たとえば、ソ二ーのイヤホンみたいに、いっぱい作れば安くはできるんですけど、そうはいかないので、1台あたり高くなってしまうのは、どうしてもあります。
Pink:内蔵された小型マイクロフォンという発想がとても素晴らしいと思います。開発に向けてどう資金調達をするかということですが、「クラウドファンディング」についてはどのように思われますか?
高木さん:クラウドファンディングは、資金を調達する上で1つの選択肢になるなという風には思います。
一方でよく言われることとしては、クラウドファンディングを最初から使ってしまうと、結局、開発をするだけで、お金を使い切ってしまって、クラウドファンディングが最終的に製品を送り届けるまで辿り着かないことが多いです。
なので、ユーザーテストもだいぶ重ねて設計も固まった、もうあとは量産だけだ、ってなった段階でクラウドファンディングをやってお金を調達しましょう、っていうのが結構王道というかのやり方で、そういった方法で、使う時がきたら、やりたいなって思っています。
あとは、知名度上げるっていう意味でも、クラウドファンディングは良い手段かなって思います。
翼祈:デバイスは凄く高度な技術が使われていると思うんですけど、使う上での注意点とか、気を付けなきゃいけない点とかって、何かございますか?

高木さん:今はまだ開発中なので、完璧にお答えできない部分でもありますし、逆に現時点での注意点を今あげようと思えばいっぱい出てくるんですけども、それを1つ1つ潰していくっていうのが、僕達の仕事なので、現時点では、ノーコメントでお願いします。
翼祈:「間違った知識のまま暮らすと、まだ聴こえる耳を危険に晒しかねない」と危惧されているとも、以前仰っていましたが、どういったことですか?
高木さん:「骨伝導」が耳にいいと宣伝してる会社もあったりするんですけども、間違った知識になることがあります。
結局は耳に聞こえている音としては、最終的に内耳に到達すれば、骨伝導だろうと、普通の「気導」だろうと一緒なので、“骨伝導だから大きいな音を鳴らして聞いてもいい” っていうのは違いますよね。
もし、それを信じてしまって、大きな音で聞いていたら、まだ聞こえる方も、耳を危険に晒しかねないなっていう風に思っています。
参考元:きこいろWEB 片耳難聴にも役立つ音響機器(骨伝導って?ほか)
翼祈:聴覚障害があっても、生活の質を上げるためには、どんなことを実践したら良いと思いますか?
高木さん:これは生活の面というか、社会的な側面からの研究の専門は僕じゃないので、これは僕の研究者としてというより、一当事者としての実感ですが。
僕が片耳難聴Cafeで、参加者から聞いた話なんですけど「片耳難聴で聞こえない時は、開示するか、しないか」みたいな話があって。
“開示した方が、相手もどうしたらいいか分かる、相手ももしかしたら、分からなくてモヤモヤすることもあるかもしれないから、開示して、席を変わってほしいとか、譲ってほしいとか、積極的にお願いした方が、お互いの為にいいんじゃないか” っていうのを聞いて、「そっか」って思いました。
相手の立場もそう思うんだなっていう考え方をしたのは、自分の中の生活の質が上がったような気がしましたね。
Pink:私はずっと耳鳴りがあり、また聴覚に問題はないものの、聞き取りが上手く出来ないという症状があります。高木さんが、働く上で聞き取りのことで困ったことなどはありましたか?
高木さん:場面によってはあります。たとえば、人が多く集まりガヤガヤした場、共同研究先の企業が催しているイベントに出たりとか、そういうところでいくと、やっぱり聞き取りづらいなっていう場面はまだまだありまして。
ただ、職業柄、接客業とか建設業とかそういうのに比べると同じ社会人の中でも、聞き取りが困難な場面に出くわすことっていうのが、そこまで多くなくて、それは運がよかったなって思うところですね。
麻野さん:仕事は責任があるので、ちゃんと聞き取れないとやっぱりまずい…と感じる方は多いようです。
ただ一方で、仕事だからこそ、周りにお願いしやすいっていうこともあったり、「私は話を聞いて、仕事を全うしたいからお願いしてるんだ」って思えるし、相手も納得しやすく、片耳難聴の協力を求めやすいっていう側面もあるっていうのは、度々出る話題かなと思っています。
Pink:現在、教員をされているということで、同じような片耳難聴の方たちも、色んな分野に就職したい、っていう考えがあると思うんですが、どういう風にしたらいいのかというアドバイスはありますか?
高木さん:「この環境は自分にちゃんと合ってるかな」と確かめるのも手かと思います。
片耳難聴の聞こえにくさは、聴取環境に左右されるので。
実際に就職する前に、インターンや今ならスポットバイトなどもあるので、体験した上で選ぶと、働き始めてから、思いのほか雑音や騒音が大き過ぎて大変だった…となりにくくなるかと思います。
麻野さん:「聞こえにくい=この職種がよい・よくない」と決めつけるのは良くないですよね。
高木くんの言う通り、同じような業務でも、働く場によって楽さが変わるので。
接客でも1対1が多い、小さなお店だから音の方向が分かりにくくても対応しやすいとか。
それこそ最近はITツールも活用すれば改善できることもありますよね、リモートやチャット文化もあるから困る場面が減ったり。
翼祈:「片耳難聴で困ることが社会的にも・聴こえ的にも無くなる様になることが、高木さんの夢」だと以前お聞きしました。そうなるために、当事者ではない私たちは、何をしたら良いでしょうか?
高木さん:学生の頃と、今の僕が思っていることは少し違ってきていて。片耳難聴で困ることもあるんですけど、むしろちょっと便利な時もあったりするなって思うようになりました。片耳難聴だから、全部『悪』っていう風にはいまは考えていないです。
たとえば、飛行機の中で寝たいとき、聞こえる耳だけ塞げば、声がかなり聞こえなくなるので、よく寝れるとか、そういう便利な面もあって。
それを踏まえて、あとは、非当事者から見て何をしたらいいかっていうところは、片耳難聴って言われたら、嫌な顔せずに「席、替わるね」とかそういう風に言ってくれたら嬉しいですね。
人によっても、どうしてほしいか全然違って、人によっては触れないでほしいとか、もう全部自分でやるから、っていう人もいますし、人によっては、もっとこの辺で助けてほしいとは、ちょっと聞こえない時にフォローほしいとかそういう人もいて、本当に色々あると思うので。
でもそれって、片耳難聴に限らず、色んな障害のある人とかも、色んなタイプがあると思いますし、それと同様に個人個人で性格も違うので。
仕事をやる上でも、いっぱい手伝ってほしい人と、自分でやりたい人もいると思うので、そういう範疇(はんちゅう)みたいな感じで接してもらえたら嬉しいなと僕は思います。
翼祈:以前のインタビュー記事を拝見して、「片耳難聴当事者の最適解は何だろう?」と言われていましたが、高木さんにとって、最適解とは、どんなことだと思われますか?
高木さん:これも人によって、ひとりひとり違うなとは思います。
僕にとっては、片耳難聴でのデバイスの観点になっちゃうんですけど、「今、何を言ったんだろう?」っていうのが分からなくてモヤモヤするとか、聞こえづらい環境で凄い頑張って聞かないと聞こえないとか…そういった生きづらさの部分を解決できるようなデバイスを作っていくことで助けになればと思っています。

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麻野、高木も登場する運営メンバーインタビュー(きこいろ)
https://kikoiro.com/volunteer-member2022/
麻野 個人ロングインタビュー(soar)
https://soar-world.com/2023/01/19/miwaasano/
→後編に続く
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